立命館大学理工学部ロボティクス学科運動知能研究室(川村研究室)

お問合わせ

研究開発と事業化の進め方2021
Message to Students Ver. 2

研究室の学生諸君へ コロナの影響で,研究室メンバーで話をする機会が無くなっていますので,研究開発や事業化の進め方について重要と思う方法を記載します.今後の皆さんの何かの参考になればと思います.

2021.8.17 川村 貞夫

第1話

発想は,柔軟に大胆に,
計画は,緻密に小心に,
実行は,確実に自信をもって,
ただし,状況が変化すれば直ちに再計画

学部生や修士院生の人は,
計画を緻密にできるように沢山の先人の知識を獲得する必要があります.この知識が無ければ,緻密な計画が作れずに,発想が柔軟で大胆でも,ほとんどの場合成功しないと思います.まずは,多くの本を読み,実験をして,知識をもっている人と議論して下さい.

博士課程院生以上の一定の知識が身に付いた人は,
発想が限定的になり過ぎる傾向があります.もっと自由に大胆な仮説をもって,発想を楽しんでください.いままで習得した知識のみに頼らず,新しい分野にも発想を広げて,必要に応じて新しい分野の学習をすることが重要です.

実行段階の人は,
計画したことに自信をもって,確実に実施することが重要です.自分の計画の緻密さを信じて,心配せずに堂々と行うと良い結果が生まれると思います.ただし,計画した段階と状況が変化する場合もあり,常時状態を観察しながら,状況変化に応じて迅速に中止,方針転換などを行うことが必要です.

第2話

兎のように見聞きし,虎のように考え,狼のように動く

情報を可能な限り多く入手して,周りの人の意見は聞くけれども,大事なことは独力で考え,実行するときは,協力者を得て集団で作業することが良いと思います.

兎のように
可能な限り多くの有用な情報を入手することが重要です.ネットの情報ばかりではなく,現場に行ってみる,実物に触れてみる,音を聞いてみる,味わってみる,香りを感じてみるなど自分の感覚を駆使して情報を集めてください.兎は,捕食者に対する防御能力が低いので,感覚器を駆使して外敵から身を守っています.まさに,命がけの知覚作業です.沢山の他の人との議論や情報交換からも多くの知識を得ることができます.

虎のように
考えるために,他の人との議論は有用です.しかし,最終的に重要なことは,苦しくとも独力で考え抜くことが重要です.本当にこの決定は正しいのか?他の人の意見や社会的風潮に非論理的に流されず,独自の論理を組み立てて結論を導き出すことが重要であり,後悔しない結果を生み出せます.当然のことながら,独りよがりの考えに陥らないためには,兎に立ち戻って,自分の考えを再考することも必要な場合があります.

狼のように
独力ですべてのことを達成できる仕事は,それほど多くはないと思います.多くの場合は,チームで作業します.工学分野での人工物の実現はまさに異分野チームが重要です.一人で,すべてを実行した方が,効率が良い場合もあります.しかし,大規模なシステムや事業は一人では実現できません.全体の目的をチームメンバーが理解して行動することが重要です.

現在,我々はネット社会で暮らし,仕事では初めからチームワークが想定される場合が多いように思います.その結果,全体として「虎のように考える」ことが弱体化しているように感じます.学生諸君は,ネット上の結論を示す情報に依存せず,可能な限り独力で考えてください.結論を出すために時間がかかることは,まったく問題ありません.むしろ独力で苦しい思考訓練をすることが貴重な体験となります.周りの人(先生方を含む)と結論が異なっても,独力で考え抜いた結論は自身をもって主張すべきです.

方針がきまれば,チーム全体の効率が高まるように,自分の役割を認識して,行動することが重要です.これはチームプレーのスポーツと同様です.チームの各メンバーが効果的に行動して,無駄のない活動をするためには,常時お互いの間のコミュニケーションが必要です.自分の活動が相手に効果的・効率的に理解できるように,分かり易い表現も重要です.単純な状況報告に留まらず,技術を理解した上で,他のメンバーに必要な情報は何かを考えてコミュニケーションすることが大切です.

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