チェレンコフ放射

屈折率nの媒質中では光速はc/n(cは真空中の光速)になります。 高速の荷電粒子がこれより速くこの媒質中を進むと、荷電粒子周囲の 電磁場が後に「置いてきぼり」となり、波面が重なって衝撃波が 生じます。この衝撃波がチェレンコフ放射(チェレンコフ光)です。 放出される角度は衝撃波の波面が荷電粒子の進行方向となす角をθとすれば cosθ= c/n となります。大気の場合は n=1.0003くらいなので θは1度くらいになり、ほとんど粒子と同じ方向に放出されることが わかります。ガンマ線のなどが大気中で起こすシャワー中の粒子も ほとんどもとの粒子の方向に走るので、チェレンコフ光の観測から もとの粒子の方向を知ることができるわけです。

M. Mori, Dec.2000