第2回「1.総論 A.市民的権利」
2001.10.02. 佐藤
はじめに
1.前回のまとめ:ガイダンス・労働保護法の動向
2.本日の予定 :1.総論 A.市民的権利、
B.男女雇用機会均等法、
C.ハラスメント
*本日の講義テーマ:「お礼奉公」は適法なのであろうか
1.具体例から:長谷工コーポレーション事件([資料])
*看護婦の「お礼奉公」([資料]参照)
2.法状況の解説
1)労働憲章:労働基準法「総則」(1条?7条)
2)「労働者」の定義(9条)
*注意点:9条の「労働者」と労組法上の「労働者」の違い
3)封建遺制の排除(16条?18条、第十章)
3.人格権保障
1) 具体的類型
1.個人の自由への干渉 e.g.口髭
2.差別、職場八分 e.g.国鉄人材活用センター
3.使用者による情報収集 e.g.モニター監視
2)人格権の根拠([資料3])
関西電力事件 最三小判平成7.9.5.
職場における自由な人間関係を形成する自由を侵害、名誉・プライバシーの侵害
であって人格的利益を侵害
3)救済手段と要件
4)発展的課題:情報コントロール権
1.趣旨:自由権は、消極的権利から積極的権利として把握される
2.具体的問題状況:勤務査定
3.権利保障手段
1)労働契約で授権された範囲内でのみ使用者は情報を集めることができる
2)情報管理義務:労働契約を根拠として
3)労働者からの情報へのアクセス権
立法:合州国州法、ドイツの連邦データ保護法・経営組織法
労働契約を根拠として、公平さにつき
参考:ドイツ経営組織法
仕事内容・安全衛生上の危険とその防止方法、担当する業務の事業所における位
置と格付け、人事考課の説明を受ける権利
意見や提案を行なう権利
人事簿の閲覧と評価についての反論の添付、苦情申立の権利
4.「お礼奉公」
1)論点
2)諸説
a.返還特約付、消費貸借契約<長谷工コーポレーション事件>
目的が人材育成、自由意思、本人の利益
b.奨学金は賃金である<富士重工業事件>
実態判断より
c.労基法違反
1.5条:強制労働禁止
2.14条:労働契約の期間
3.16条:違約金・賠償予定の禁止
[参考文献]
*関西電力事件:松井繁明『思想の自由は奪えない』(1996年、新日本出版社)
*人格権 :道幸哲也『職場における自立とプライバシー』(1995年、日本評論社)
*お礼奉公 :脇田滋「労働者の権利と看護婦人材確保法」『労働法律旬報』1313号
[自己点検項目]
1)講義を受講して、理解が進んだ点
2)講義でわかりにくかった点
3)講義に関する質問
4)その他(自由記述)