労働3:配置転換
2001.09.10. 佐藤 敬二
はじめに
1.「労働1」「労働2」は労働現場に焦点、「労働3」は家庭生活の問題も含めて
2.「労働2」のまとめ
1.具体的事例より
*チェース・マンハッタン事件(資料参照)
*配置転換の実態、単身赴任の実態 → 男女の違い・男性の不利益
2.対処策と問題点
1)人事異動と法:人事異動は労働契約に基づいて行なわれる
2)配転命令の拘束力
イ)合意範囲
1.明示的合意のある場合
2.職務の性質上あるいは慣行上、合意内容が特定される場合
3.それ以外の場合が問題
A)包括的処分権説
東亜ペイント事件 最二小判 昭61.7.14
(勤務地変更の配転)
日産自動車村山工場事件 最一小判 平元.12.7
(職種変更の配転)
B)包括的合意説
C)労働契約説
ロ)権利濫用
A)説 東亜ペイント事件 最二小判 昭61.7.14 (単身赴任事件)
1)業務上の必要性、2)不当な動機、3)通常甘受すべき程度を越える不利益
の場合には権利濫用となる。
B)説ならば、権利濫用の範囲を広く解する
C)説ならば、権利濫用の成立は例外的
3)個人的事情への配慮:女性の場合
3.社会的対処策と問題点
1)育児
イ)育児休業
1.男女労働者
2.労働者の権利(使用者は拒むことができない)
3.保障内容
1)一歳未満の子を養育する男女労働者に育児休業
2)育児休業をしない労働者に対する特別措置の義務
3)一歳から小学校就学までの子を養育する男女労働者に必要な措置義務
4.休業中の収入:雇用保険から休業前賃金の25%を支給
5.問題点
1)実効性:努力義務
2)休業期間中の所得保障
3)復職の権利
ロ)保育所
1.児童福祉法
2.問題点
1)私的入所
2)数的現状と問題
3)保育料
2)介護
イ)介護休業
1.内容
2.問題点
ロ)介護保険
1.内容
2.問題点
3)健康
イ)労働災害補償
ロ)健康保険
4.今後、どのようにするべきか
1.現状をどう見るのか:「配転」の事例から考えてみると
イ)「能力向上・昇進 vs. 生活上の不利益」という構造
ロ)生活上の不利益をカバーするために、妻が家庭で夫の生活を支えるという構造に
ハ)女性が家庭に入っているのは、この構造が主たる要因
cf.吉田弁護士の講義、杉本弁護士の講義
ニ)同様の構造は長時間労働についても言えるし、昨日のコース制についても言える
2.考える方向性についての諸見解
イ)平等論・能力主義
ロ)条件改善論:現在の構造下で「生活上の不利益」を減少させる手段をつくるべき
ハ)昇進を望むという価値観から生活者としての価値観へ転換すべき
[講義受講の自己点検]
1)趣旨:講義受講した自己点検 →項目1,2 → 成績評価に
教員とのコミュニケーション→項目3,4
2)方法:以下の項目について、各回講義の最後5分に、指定の用紙に記入し提出する
*5分で記入できるためには、講義中に考えておかなければならない
3)項目:1.講義を受講して理解の進んだ点
2.講義を受講してわからなかった点
3.質問
4.自由記述