立命館大学 夏期集中講義 「ジェンダー論T(法女性学)」

労働4:パートタイマー

2001.09.11. 佐藤 敬二
 

はじめに
  労働2:昇進差別
   *質問:人事権の根拠、なぜ法が変わらないか←本講義が理解できていない
       女性が努力不足だ
  労働3:配置転換
   *男女役割分担で男性は仕事のみしていればよく、家庭・地域責任を負わないの
     で男性は自由に転勤させられるし、単身赴任も命ずることができる
    →それを前提として、女性(←家庭責任を負っている)が単身赴任しても他の
     単身赴任のケース(←男性)と比較して大きな不利益ではないので、使用者
     は自由に単身赴任を命じることができる。
    ←男女平等のためにそれは当然、論
     女性は家庭責任を負っているので特別の配慮が必要、論
    ←私は、家庭責任・地域責任を負わないことが問題であり、負うことを前提と
      した議論をするべきであると考えている。

1.パートタイマーとは何か
  1)女性の低い位置の一つの大きな原因としてのパートタイマーの労働条件
  2)男性も含めた全労働者に対する労働政策
    1995年日経連「新世紀の日本的経営」→三分割
  3)日本のパートと諸外国のパートの違い
    疑似パート、期間の定め、賃金格差、女性、
  *パート=女性で、家計補助なので、低賃金・低労働条件でよい
   →それを前提として、基幹職員のみを正社員として、他は低賃金のパートにする
   →家庭・地域責任を負う者は男女を問わず正社員にはなれない
  
2.現状と対処策・問題点
 A.あいまいな採用
  1)現状
  2)労働条件明示義務
    1.法的義務、雇入れ通知書
    2.問題点

 B.期間の定めある契約
  1)具体的事例から(アルバイト・スチュワーデス問題)
  2)期間の定めある労働契約の反復更新
      1.労基法14条
       2.反復更新拒否
          1)諸説
             a)雇い止め
             b)期間の定めのある契約だが、解雇法理を類推適用
             c)期間の定めのない契約に転化
             d)正当な理由のない限り、期間の定めある契約を締結できない
          2)最高裁判決
            東芝柳町工場事件 最一小判 昭49. 7.22
            日立メディコ事件 最一小判 昭61.12. 4
            神戸弘陵学園事件 最三小判 平 2. 6. 5
       3.本件をどうみるか
      a)一年契約の反復更新 →東芝柳町工場事件判決の適用
        b)試用期間と本採用拒否→神戸弘陵学園事件判決の適用
      c)女子若年定年制

 C.賃金差別
  1)具体的事例から(丸子警報機事件)
   2)賃金差別の是正
    1.法規定
    2.諸見解
 
 D.解雇差別
  1)具体的事例から(三洋パート事件)
   2)解雇差別の是正
    1.解雇規制
     2.判例

3.今後、どうするべきか
  1.パート労働と正規労働
   有期契約締結自体への規制をするべきとの議論
      同一(価値)労働同一賃金原則の規定
  2.諸見解
    イ)パートは雇用調整の安全弁
        参照:日立メディコ事件最高裁判決
        人員整理の場合に、能力に関係なく臨時工から解雇してかまわない
    ロ)パートの労働条件を正規従業員と(比例的に)同様にする
 

[講義受講の自己点検]
  1)趣旨:講義受講した自己点検   →項目1,2 → 成績評価に
      教員とのコミュニケーション→項目3,4
  2)方法:以下の項目について、各回講義の最後5分に、指定の用紙に記入し提出する
       *5分で記入できるためには、講義中に考えておかなければならない
  3)項目:1.講義を受講して理解の進んだ点
            2.講義を受講してわからなかった点
      3.質問
      4.自由記述