はじめに:前回のまとめ
1.労働協約の要点は「強行的直律的効力」にある
2.質問への回答:なぜ契約よりも強い効力をもつのか、「直接」と「直律」の用語
cf.「部分社会論」は憲法でも学んだ
*本日の講義テーマ:労働者は協約で決まったことに従わねばならないのか?
1.事例から(「資料」参照)
2.労働協約の部分と効力
労働協約は組合と使用者との間の合意であるが、合意としての効力(参照:民法の債権債務)を持つ部分と、規範としての効力(参照:労組法16条)を持つ部分が存する。
[効力]
[部分]
@規範的効力 → 協約の規範的部分 → ?協約の拡張
:強行的効力+直律的効力
e.g.賃金、労働時間
c.f.労組法17条
A債務的効力 → 協約の債務的部分
:債権債務的効力
e.g.ストをやらない合意
? ←B協約の制度的部分
e.g.組合員の解雇についての協議
3.協約をめぐる中心的論点
[要点]有利原則、平和義務を具体的論点として、協約の効力について
@規範的効力をめぐる主要問題:「有利原則」
1.問題状況
2.学説
労働契約<労働協約 労働契約>労働協約
(a)両面的強行性説
○
○
根拠・産別と企業別
・組合つぶし
(b)片面的強行性説
○ ○
根拠・個人の権利
・不当労働行為で処理
(c)意思解釈説
○ 当事者の意思次第
3.検討
A名債務的部分をめぐる主要問題:「平和義務」
1.問題状況:争議を為さない義務の範囲
2.学説
(a)協約の本質から一切争議はできない
(b)「相対的平和義務」
B制度的効力
1.問題状況:「解雇協議条項」の効力
2.学説
(a)債務的効力
(b)規範的効力
?協約の拡張
1.問題状況1:「労働組合を結成している少数者への拡張」
2.学説
(a)完全適用説 (b)選択的適用説 (c)完全否定説
3.問題状況2:不利な労働条件の拡張
朝日火災海上保険事件 最判平8.3.26
[参考文献]
日本労働法学会編『現代労働法講座 6 労働協約』(1981年、総合労働研究所)
久保敬治『労働協約の法理論』(1978年、総合労働研究所)
片岡 『労働協約論』(1984年、一粒社)
[自己点検]
1)自己点検
a)講義を受講して、理解が進んだ点
b)講義でわかりにくかった点
2)自由記述
a)講義に関する質問
b)その他
[受講者数]
4/17 4/24 5/08 5/15 5/22 5/29 6/05 6/12 6/19
6/26 7/03 7/10 7/17
法 48 48 44 47
46 45 52 46 42
経・営 7 3 7
2 5 4 6
2 2
産社 6 5
4 5 3 5 4
3 3
合計 61 56 55
54 54 54 62 51
47