2001年度 立命館大学夜間主   「労働団体法」講義    2001.07.10.佐藤
  第13回「F不当労働行為  A・制度」

はじめに:前回のまとめ
 1.争議の法的正当性
 2.遵法闘争の合法性

*本日の講義テーマ:使用者が組合潰しを行なったらどうなる?

1.事例:これまでに紹介した事例

2.「不当労働行為制度」の意義
 1)不当労働行為の救済制度
  1.司法救済
    2.行政救済
 2)行政救済の制度
    1.類型化して禁止→来週に講義
    2.行政救済制度(労働委員会による救済命令)の創設
 3)行政救済制度の必要性
  1.時間   2.救済手段   3.立証責任

3.行政救済制度の概要
 1)制度趣旨
  1.労働者の権利を守るためのもの→それによって労使関係展開の場を保障する
    2.具体的現れ:使用者のみの義務、そもそもの趣旨、憲法28条
  3.そのための制度(2))、そのための諸規定(3))、その視点からの問題点(4))
  2)制度とその特徴
  1.制度(図参照)
  2.特徴
    (イ)労働組合・労働者の全てが救済を申し立てることができる。
    (ロ)労働委員会と裁判所の両方に申し立てることができる。
    (ハ)使用者から申し立てる手段はない。
 3)制度についての若干の注意点
  1.労働委員会の任務:争議行為の調整と不当労働行為の判定
    2.労組法第五条「資格審査」
    3.一年の期間と継続する行為(27条2項)
  4.再審査を求めても労委命令は有効(27条5項)
  5.緊急命令(27条8項)
 4)現在の問題点
  1.五審制    2.時間    3.判決手続きと類似    4.救済命令の実効性

4.不当労働行為の主体:「使用者」=労働契約当事者+α
 1)対外的拡張
    日本鋼管事件  最三小判 昭61.7.15 (被解雇者)
    油研鉱業事件  最一小判 昭51.5. 6 (社外工)
   朝日放送事件  最三小判 平 7.2.28 (派遣労働者)
 2)対内的拡張
    済生会病院事件 最三小判 昭60.7.19 (救済命令の名宛人は権利義務主体)
       不当労働行為救済制度

                  ┌─────┐
 凡例               │最高裁判所│
 「?」労働組合が         └─────┘
     行う道            ↑△? 上告
 「→」使用者が          ┌─────┐
     行う道          │高等裁判所│
 「△」行政訴訟において      └─────┘
     労働委員会が行う道      ↑△? 控訴
               ┌─────────┐
          取消訴訟 │   地方裁判所 │
         →→→→→→└─────────┘
         ↑     ↑取消訴訟? ?取 ?司法救済
         ↑   ┌───────┐?消 ?<民事事件>
         ↑再審査│中央労働委員会│?訴行?=損害賠償
         or→→→  ───────┘?訟政? 仮処分
       ┌─┐特徴(ハ)     再審査?or? 事? 地位確認
       │使│<・・・・・・・・・  ───────┐件?
       │用│地労委命令│地方労働委員会│ ?
       │者│     └───────┘ ?特徴(ロ)
       └─┘   行政救済 申立? and  ?
              ┌────────────┐
              │  労働組合・労働者    │特徴(イ)
              └────────────┘

[参考文献]
 中山和久『不当労働行為論』(1981年、一粒社)
 日本労働法学会編『現代労働法講座 7 不当労働行為?』(1982年、総合労働研究所)
  同 『現代労働法講座 8 不当労働行為?』(1982年、総合労働研究所)
 外尾健一編『団結権侵害とその救済』(1985年、有斐閣)
 外尾健一編『不当労働行為の法理』(1985年、有斐閣)
 山本吉人『労働委員会命令と司法審査』(1992年、有斐閣)

[自己点検]
 1)自己点検
  a)講義を受講して、理解が進んだ点
    b)講義でわかりにくかった点
  2)自由記述
  a)講義に関する質問
   b)その他

[受講者数]
     4/17  4/24  5/08  5/15  5/22  5/29  6/05  6/12  6/19  6/26  7/03  7/10  7/17
法    48   48   44    47   46    45    52    46    42    45    49
経・営   7    3     7     2    5     4     6     2    2     2     2
産社     6    5     4     5   3     5     4     3  3    2     2
合計    61   56    55    54   54    54    62    51    47    49    53