はじめに
1.前回のまとめ:便宜供与の権利義務関係
具体的事例:在籍専従、チェック・オフ、組合事務所の貸与
前回の質問:組合が金を出して借りれば良い←組織形態について理解していない
日産自動車の判決と労使合意論との関係
←労使合意論を徹底すれば、組合間差別も可能となるはず
2.今回の予定:団結権(労働組合・組合活動)→「組合活動」A.便宜供与、B.活動
*本日の講義テーマ:仕事中に職場で組合活動はできるか?
1.事例から(資料参照:下記二最高裁判決の事例)
2.組合活動の「原則」について
1)「原則」(日本エヌ・シー・アール事件 東京高判 昭52.7.14 )
「組合活動は、原則として就業時間外にしかも事業場外においてなすべき」
2)正当性を持たないとどうなるか
労組法一条二項「刑事免責」 →刑事罰
八条 「民事免責」 →民事罰
七条 「不当労働行為の禁止」→懲戒処分
3)「原則」の是非
・考慮要因:(イ)組合組織形態 (ロ)組合活動の形態
(ハ)実情
4)「原則」の「例外」
1.使用者の同意がある場合
2.業務阻害も職務専念違反もしていない場合
3.組合活動にとっての緊急の必要性がある場合
3.具体的論点
[要点]使用者の財産権と組合活動との衝突の場面における権利関係。
前回は使用者から供与、今回は組合が積極的に活動する際の法律関係
1)リボン闘争(就業時間中の組合活動)
1.就業時間中の組合活動の正当性
2.「リボン闘争」とは何か
3.論点:組合活動の権利と「職務専念義務」
a)「業務阻害性」からの判断
b)「職務専念義務」からの判断
4.最高裁判所判決(大成観光(ホテル・オークラ)事件 最三小判 昭57.4.13
)
a)多数意見
b)少数意見
5.その後の最高裁判所判決
オリエンタルモーター事件 最二小判 平3.2.22
2)ビラ貼り(企業施設利用の組合活動)
1.企業施設利用の組合活動の正当性
2.「ビラ貼り」とは何か
3.論点:組合活動の権利と「施設管理権」
a)受忍義務説
b)違法性阻却説
c)許諾説
4.最高裁判所判決(国労札幌地本事件 最三小判 昭54.10.30)
5.その後の最高裁判所判決
住友化学工業名古屋製造所事件 最二小判 昭54.12.14(秩序乱さずと判断)
明治乳業事件 最三小判 昭58.11.
1(同)
済生会中央病院事件 最二小判 平
1.12.11(秩序違反と判断)
[参考文献]
日本労働法学会編『現代労働法講座 3 組合活動』(1981年、総合労働研究所)
片岡 『岐路にたつ労働者の人権(補訂版)』(1999年、法律文化社)
[自己点検]
1)自己点検
a)講義を受講して、理解が進んだ点
b)講義でわかりにくかった点
2)自由記述
a)講義に関する質問
b)その他
[受講者数]
4/17 4/24 5/08 5/15 5/22 5/29 6/05 6/12 6/19 6/26
7/03 7/10 7/17
法 48 48 44 47 46
経・営 7 3 7
2 5
産社 6 5
4 5 3
合計 61 56 55
54 54