2001年度 立命館大学夜間主コース 「労働団体法」講義     2001.05.29. 佐藤
 第7回「B組合活動 B・行為としての組合活動」

はじめに
 1.前回のまとめ:便宜供与の権利義務関係
   具体的事例:在籍専従、チェック・オフ、組合事務所の貸与
   前回の質問:組合が金を出して借りれば良い←組織形態について理解していない
         日産自動車の判決と労使合意論との関係
         ←労使合意論を徹底すれば、組合間差別も可能となるはず
 2.今回の予定:団結権(労働組合・組合活動)→「組合活動」A.便宜供与、B.活動

*本日の講義テーマ:仕事中に職場で組合活動はできるか?

1.事例から(資料参照:下記二最高裁判決の事例)

2.組合活動の「原則」について
 1)「原則」(日本エヌ・シー・アール事件 東京高判 昭52.7.14 )
   「組合活動は、原則として就業時間外にしかも事業場外においてなすべき」
 2)正当性を持たないとどうなるか
   労組法一条二項「刑事免責」     →刑事罰
      八条  「民事免責」       →民事罰
      七条  「不当労働行為の禁止」→懲戒処分
 3)「原則」の是非
  ・考慮要因:(イ)組合組織形態    (ロ)組合活動の形態      (ハ)実情
 4)「原則」の「例外」
  1.使用者の同意がある場合
    2.業務阻害も職務専念違反もしていない場合
    3.組合活動にとっての緊急の必要性がある場合

3.具体的論点
[要点]使用者の財産権と組合活動との衝突の場面における権利関係。
    前回は使用者から供与、今回は組合が積極的に活動する際の法律関係

 1)リボン闘争(就業時間中の組合活動)
  1.就業時間中の組合活動の正当性
   2.「リボン闘争」とは何か
   3.論点:組合活動の権利と「職務専念義務」
    a)「業務阻害性」からの判断
    b)「職務専念義務」からの判断
   4.最高裁判所判決(大成観光(ホテル・オークラ)事件 最三小判 昭57.4.13 )
    a)多数意見
    b)少数意見
   5.その後の最高裁判所判決
      オリエンタルモーター事件 最二小判 平3.2.22
 2)ビラ貼り(企業施設利用の組合活動)
   1.企業施設利用の組合活動の正当性
   2.「ビラ貼り」とは何か
   3.論点:組合活動の権利と「施設管理権」
    a)受忍義務説
    b)違法性阻却説
    c)許諾説
    4.最高裁判所判決(国労札幌地本事件 最三小判 昭54.10.30)
    5.その後の最高裁判所判決
       住友化学工業名古屋製造所事件 最二小判 昭54.12.14(秩序乱さずと判断)
       明治乳業事件         最三小判 昭58.11. 1(同)
       済生会中央病院事件      最二小判 平 1.12.11(秩序違反と判断)

[参考文献]
 日本労働法学会編『現代労働法講座 3 組合活動』(1981年、総合労働研究所)
 片岡 『岐路にたつ労働者の人権(補訂版)』(1999年、法律文化社)
 

[自己点検]
 1)自己点検
  a)講義を受講して、理解が進んだ点
    b)講義でわかりにくかった点
  2)自由記述
  a)講義に関する質問
   b)その他

[受講者数]
     4/17 4/24 5/08 5/15 5/22 5/29 6/05 6/12 6/19 6/26 7/03 7/10 7/17
法    48   48  44   47   46
経・営   7    3    7    2    5
産社     6    5    4    5   3
合計    61   56   55   54   54