2001年度 立命館大学経済・経営学部  「労働法」講義

第7回「就業条件管理:休息」

2001.11.07. 佐藤

はじめに

*本日の講義テーマ:長期間の休暇をとることはできないのだろうか?

1.具体的事例から:時事通信社事件(資料参照)

2.法制度
 1.憲法27条「休息権」
 2.休憩・休日
   1)休憩(34条)
    1.法規定
    2.注意点   1)八時間労働なら、2)分割支給も可、3)いつでもよい
   3.休憩時間中のビラまき
     目黒電報局事件   最三小判 昭52.12.13
     明治乳業事件    最三小判 昭58.11.1
   2)休日(35条)
    1.法規定
    2.注意点   1)日曜日、2)祝日、3)法定外休日、4)振替休日、5)休日労働
 3.年次有給休暇(39条)
   1)年休の現状
   2)原則
    1.成立要件(1項、2項)
    1)旧法、2)現行法、3)改正法 
   2.パートタイマーに対する年休の比例付与(3項)
     3.計画年休(5項)
    4.消滅時効
  3)年休日の確定
    1.時季指定権
      白石営林署事件   最二小判 昭48.3.2
   2.時季変更権限行使について
     弘前電報電話局事件 最二小判 昭62.7.10
     高知郵便局事件   最二小判 昭58.9.30
     電電公社此花局事件 最一小判 昭57.3.18
     時事通信社事件   最三小判 平 4.6.23 (長期休暇)
   3.利用目的の聴取について

3.長期休暇と時期変更権限行使
 1.最高裁判決
 2.「事前の調整」
   A説:時季指定権説
   B説:事前の調整義務説

[参考文献]
 *事件については、梅本浩志『バカンス裁判』(1989年、三一書房)が参考になる。ここでは、本件が実は、労働組合潰しの事件であったと描かれている。

[自己点検項目]
 1)講義を受講して、理解が進んだ点
  2)講義でわかりにくかった点
  3)講義に関する質問
 4)その他(自由記述)

[出席者]
   10/3   10   17   24   31  11/7 14   21   28  12/5 12   19  1/9
経済    61  54  53   50
経営   102  102   94   92
合計   163  156  147  142

[前回講義(10月31日)での主な質問]

☆解雇
・左遷をして本人のやる気をそぎ自主退職させることは許されるのか
・大抵の企業では、ムリヤリ辞めさせたい人に「希望退職に応募しないなら無期限で休職もしくは転勤させる」などと、脅しをかけているそうです。他にも解雇したいがコストを削減するため、職場での様々ないじめにより、自分から辞めたくなるように仕向けるなど、珍しいことではないと聞き、このようなことがなぜ裁判で争われないのかと疑問に思いました。
・会社が実務経験者を募集し、採用した場合、その人を能力不足で解雇する場合、労働者は会社の新人を教育する義務を主張して不当であるということができるのか。
・労災で休んでいる際は制限されるとしても、他の持病や急病などの場合は解雇の対象とされるのか。私の知り合いに長期の入院を理由に解雇された人がいる。
・雇う側は退職者に正当な理由を求めることはできないのか。辞めることは契約違反になるのでは。
・解雇立法について、本来政府は労働者を保護すべきものなのに、なぜ政府がそういう法律を打ち出したのかが分からない。
・求人雑誌等には、パートとアルバイトが区別されているが、これはどう違うのだろうか?

☆整理解雇
・経営上の必要性というのはいったいどの程度までを含むのでしょうか?
・解雇回避努力義務とは、具体的にはどのようなものか。
・経営上の理由で解雇される場合、本人に理由がなんであるかを知ることのできる方法はあるのか。

☆多様な雇用形態
・最近日本では正社員より契約社員やパートタイマーを欲しがると聞くが、それはなぜか。
・同一労働同一賃金の原則とはいえ、やはり正社員とパートが同じ賃金だという考えはおかしいと思う。労働は同じでも労働以外での責任が違ってくるからだ。
・求人雑誌等には、パートとアルバイトが区別されているが、これはどう違うのだろうか?

☆パートタイマー
・「雇い止め」と「解雇」はどのように違うのか。