第14回「権利救済機構」
2002.01.09. 佐藤
はじめに
*本日の講義テーマ:労働基準監督署は労働者保護のための機関なのだろうか
1.救済制度の概略
@序
(1)労働組合による救済が基本
(2)行政救済機関は二元的に設立
(3)最終的には司法救済
(4)私的仲裁機関(cf.合州国)、通常裁判所以外の特別裁判所(cf.ドイツ)はない
A行政救済機関
(1) 労働団体法:労働委員会
1)種別:中央労働委員会、地方労働委員会、
船員中央労働委員会、船員地方労働委員会
2)公的現業:国 →中央労働委員会(かつては、公共企業体等労働委員会
1986年に中労委に統合)
地方→地方労働委員会
3)一般公務:事実上、制度なし不利益取扱禁止の規定はあるが、執行制度はない)
(2) 労働保護法
1)労働基準法:労働基準監督機関
一般公務:国 →基準監督はない
人事院に対して、適正な行政措置を要求することができる
地方→司法警察職員としての権限はない
その権限は人事委員会または委任を受けたその委員が行なう
(人事委員会の設置されていない地方公共団体においては地
方公共団体の長)
2)女性労働:女性局長、都道府県女性少年室、機会均等調停委員会
*労基法による他の権利保障手段
1.強行的・直律的効力(13条)
2.罰則:六ヵ月以下の懲役、両罰規定
3.附加金(114条)
4.その他(105条:国の援助義務、 106条:法令規則の周知義務、等)
3)各種「センター」
イ)種類
1.介護労働安定センター:介護労働者雇用管理改善法(199 年)
2.労働時間短縮促進センター:時短促進法(1992年)
3.短時間労働援助センター:
パート労働法(1993年)
4.障害者雇用支援センター:障害者雇用法改正(1994年)
5.高齢期雇用就業支援センター(1994年)
ロ)設置意図:多面的対策の必要性、支援サービスの必要性
ハ)批判:違反監督の放棄
B司法救済
2.行政救済制度
@労働委員会
(1) 労働委員会制度
┌─────┐
凡例 │最高裁判所│
「?」労働組合が └─────┘
行う道 ↑△? 上告
「→」使用者が ┌─────┐
行う道 │高等裁判所│
「△」行政訴訟において └─────┘
労働委員会が行う道 ↑△? 控訴
┌─────────┐
取消訴訟 │ 地方裁判所 │
→→→→→→└─────────┘
↑ ↑取消訴訟? ?取 ?司法救済
↑ ┌───────┐?消 ?<民事事件>
↑再審査│中央労働委員会│?訴行?=損害賠償
or→→→└───────┘?訟政? 仮処分
┌─┐特徴(ハ) 再審査?or? 事? 地位確認
│使│<・・・・・・・・・┌───────┐件?
│用│地労委命令│地方労働委員会│ ?
│者│ └───────┘ ?特徴(ロ)
└─┘ 行政救済 申立? and ?
┌────────────┐
│ 労働組合・労働者
│特徴(イ)
└────────────┘
(2) 不当労働行為
1)不利益取扱の禁止(労組法七条一号)
2)団交拒否の禁止(労組法七条二号)
3)支配介入の禁止(労組法七条三号)
4)申立てに対する不利益取扱の禁止(労組法七条四号)
A労働基準監督官
(1) 制度(労基法97条以下)
(2) 権限:行政上の強制力と司法警察職員としての権限をもつ
臨検・帳簿提出命令・尋問、
捜査・逮捕・送検(刑事訴訟法189条以下)
B女性労働
1.女性局
(1) 管轄:女性労働
(2) 権限:労基官と同等の監督権限を有する、ただし体制不足
2.女性少年室
(1) 制度:都道府県女性少年室
(2) 管轄:女性労働関係(実際には、労基官はこの問題を取り扱わない)
労働者は苦情の申立が可能
(3) 権限:助言・指導・援助・勧告。但し、立入調査権はなく、違反への罰則もない
3.機会均等調停委員会
(1) 制度:女性少年室に設置され、学識経験者三名によって構成される
(2) 権限:申し立て、女性少年室長の判断により調停開始
3.救済制度の運用実態
@救済制度全体
A労働基準監督(資料参照)
[参考文献]
片岡 ・萬井隆令・西谷敏『労使紛争と法』(1994年、有斐閣)
[自己点検項目]
1)講義を受講して、理解が進んだ点
2)講義でわかりにくかった点
3)講義に関する質問
4)その他(自由記述)
[出席者]
10/3 10 17 24
31 11/7 14 21 28 12/5 12
19 1/9
経済 61 54 53 50 47 46
49 48 49 48 54
経営 102 102 94 92
98 89 86 88 94 91
104
合計 163 156 147 142 145
135 135 136 143 139 158
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