労働者1万人あたりの労働監督官数
労働者1万人あたりの労働監督者数
出典:ILO STAT(2022年7月18日作成)

<解説>
 ILOは、先進国においては労働監督官1人あたり労働者は最大で1万人とするべきとしています((2006年11月ILO理事会「Strategies and practice for labour inspection」)。しかし、日本は必要な労働監督官の半分しかおらず、別言すると、労働基準監督官は国際基準の2倍の数の労働者の労働条件を監督 していることになります。現在の数では、単純計算すると100年に1度しか事業所への監督に入れないことになり、監督の実効性に大きく影響しています。ま た、厚生労働省は「労働基準監督官1人当たりの労働者数は米国よりは少ないが、欧州諸国よりは多い 」と分析しているが、表からわかるように、米国は例外的な存在ですので、米国を基準とすること自体が誤りです。
 刑罰法規ではない、労働契約法、雇用機会均等法、パートタイム・有期雇用労働法、ハラスメント防止法などは、労働基準監督官の管轄ではなく、都道府県労 働局の雇用環境・均等室(部)の管轄です。雇用環境・均等室(部)の人員は、増大している管轄法規に比して少なく、労働基準監督官の有している司法警察員 としての権限も一部の者を除いて付与されていないため権限も弱いなどの問題を有している。重要なものとして近年になって立法されている法律は軒並みその履 行確保に大きな問題を抱えていると言わざるを得ない状況です。

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