神藤貴昭・研究領域について


●主要な研究テーマ

1.教育場面における相互行為

:初等・中等教育から高等教育までの教育場面における教員と児童・生徒・学生、教員同士、児童・生徒・学生同士の相互行為について、「フレーム」「ストレス」「体験」の観点から研究を行っている。
 たとえば、学生や教員にとって<大学授業>さらには<大学>とはいかなるものと考えられており、どのように社会的に構築されてゆくのか。各種プロジェクトをフィールドとして、教授者と学生の相互作用、授業枠の生成、学生主導型授業、遠隔教育、バーチャルユニバーシティの可能性、高校と大学の接続、教授者の意味世界の変容などについて研究をおこなっている。

これらの一部は、「大学授業における相互行為に関する研究-「大学授業フレーム」概念を用いて」(博士学位請求論文 )としてまとめている。さらに、これを修正して出版(『大学教育における相互行為の教育臨床心理学的研究−「フレーム」とその変容に着目して−』 学術出版会、全239頁、2011年.)。

 2.ストレス

     特に、学業ストレス研究(中等教育・高等教育段階)、職務ストレス研究(成人)

:我々は何らかの諸関係(背負わなければならない課題)の中に投げ込まれる。その多くはストレスフルな関係である。ストレスはない方がいい。しかし、そのような関係を拒否することは難しいし、拒否できたとしても、そこから新しく生まれてくるものは少ないであろう。我々が「嫌だ」と思うことがらの多くは、自分に「賭けられている」ことがらであり、「自分がそれをできるかもしれないしできないかもしれない」ことがら、言い換えれば「<自分>と<自分が及ばない外>の境界」にあることがらであることが多いのではないだろうか。同じ出来事を経験しても、ある人はまったくストレスに感じないにもかかわらず、別の人にとっては、大変ストレスに感じてしまうことは、この2人の「<自分>と<自分が及ばない外>の境界」が異なるからであろう。また、ストレスでないことがストレスに思えてきたということ、ストレスだったことがストレスに思えなくなったということ、このような経験は、何がどう変わったからなのだろうか。上で書いた「境界」が変化したからではないのだろうか。・・・このような関心で「課題ストレス」研究を進めている。

    :教師が認知する子どものストレスに関しても研究。

3.メンタリング

:メンタリングすること、メンタリングされること、それぞれの意味について研究。勤労者および大学生対象。

4.子どもの体験学習

:子ども歩き四国遍路における地域の人たちと子ども、子ども同士、スタッフと子どもの相互行為やソーシャル・サポートに関する質的研究もおこなっている。「鳴門教育大学 教育と学校を考える会」のみなさんとの共同研究。

5.FD(Faculty Development)

授業コンサルテーション、新任教員向けFDのあり方、全学FDのあるべき構造と機能に関する研究など。



●過去の研究プロジェクト・研究会

 KNVプロジェクト(京鳴バーチャル教育大学プロジェクト)(終了)

:京都大−鳴門教育大間の遠隔授業プロジェクト。平成15年度始動。テレビ会議システム、ビデオチャットおよびWeb(下写真参照)等によって、京大教育学部生、京大教官、鳴門教育大現職教員大学院生、鳴門教育大教官が集う場所を創出。多重的環境とあらたなる教育学教育の構築をめざす。  

KNV掲示板  

授業風景    

 

 GP(特色ある大学教育プログラム)・「相互研修型FDの組織化による教育改善」にかかわる研究

:京都大学工学部の卒業研究の意義に関する研究を担当。卒業研究にとりくむことにより学生はどう変わるのか、さらに卒業研究は企業などに勤めてからどのようなことに役立つのか。それらの結果に基づいてカリキュラムの改善がおこなわれる。

 京都大学公開実験授業をフィールドとした研究

:授業中の教授者の「ノリ」や「ストレス」について、量的および質的に分析。教授者の「ノリ」−学生の「顔上げ」行動−「授業内容」を要素とした教授者と学生の相互作用の様相や、授業中に、授業者が「いやだな」と感じることの意味、「いやだな」と感じる対象が、授業を重ねるごとに変化していくことの意味などを考えている。なお、教授者としても「学校における学び」などのテーマで1999、2000、2001年度とも授業をおこなう。

   KKJ(Kyoto-Keio Joint Seminar)をフィールドとした研究(終了) 

:慶應義塾大学総合政策学部井下理ゼミと京大本センターとの合同ゼミ(1999、2000、2001年度に実施)。これは、各大学での授業、電子掲示板、合同合宿というように、オンライン・オフラインを組み合わせた遠隔ゼミの実践である。神藤は「授業枠がない」というストレス場面からの生成について、質的に分析。また、高等教育におけるメディア利用について研究。さらに、KKJを「学生も含めたFDとしての異大学間共同遠隔授業」としても位置づけ研究中。科研「バーチャルユニバーシティ構築の基礎づけに関する研究」ではKKJの分析を担当。なお、センターで大学における遠隔教育に関する本の出版も計画中。

 高校と大学の接続に関する研究

:学生が大学に入学したときの、大学の学業文化に関する驚きやストレスの観点から高校・大学接続を分析。学習方略の変容についても検討。

   大学教育学のテキストづくり

:従来のマクロ優位ではない大学教育論のテキスト「大学教育学」(培風館)をセンターで出版。メディア論について分担。

   マレーシア(MMU:マレーシアマルチメディア大学)との遠隔授業プロジェクト(終了)

:学術情報メディアセンターとの共同研究。遠隔オンデマンド授業の教育評価についてなど。アジアe-Learning構想の一環。

 

●助成金

 

文部科学省科学研究費補助金

文部省科学研究費補助金(基盤研究C(2)) 「児童・生徒に対する阪神・淡路大震災の心理的影響に関する縦断的研究」(代表:齊藤誠一),平成8〜9年度,研究協力者

文部科学省科学研究費補助金(基盤研究B(2)) 「バーチャルユニバーシティ構築の基礎づけに関する総合的研究」(代表:田中毎実),平成13〜15年度,研究分担者

文部科学省科学研究費補助金(若手研究B) 「「大学授業」の異化−大学教育学の構築と対話的FDの開発に向けて」(代表:神藤貴昭),平成15〜16年度,研究代表者

文部科学省科学研究費補助金(基盤研究B(2)) 「大学授業実践の質的研究にもとづく電子メディア化とFDネットワークの構築」(代表:田中毎実),平成16〜18年度,研究分担者

文部科学省科学研究費補助金(基盤研究C(2)) 「マルチリンガルCALLにおけるティームティーチングと教材作成に関する実証的研究」(代表:小野隆啓),平成16〜18年度,研究分担者

文部科学省科学研究費補助金(若手研究B) 「大学教員初任者のためのサポーティブなFDプログラムの開発研究」(代表:神藤貴昭),平成17〜18年度,研究代表者

文部科学省科学研究費補助金(若手研究B) 「日常性・個別性を重視した大学教員初任者向けFDプログラムの開発と評価」(代表:神藤貴昭),平成19〜20年度,研究代表者

 

企業助成金

松下視聴覚教育研究財団研究開発助成(新しいメディア活用による高等教育の改革)「メーリングリストによる共同授業構築と教員の日常的相互研修−インターネットを用いた遠隔大学間合同ゼミ実践を通して」(代表:田中毎実),平成13年度,研究分担者

カシオ科学振興財団研究助成「コラボレーション型遠隔授業システムの開発研究-大学における教育学教育の改善に向けて-」(代表:神藤貴昭),平成15年度,研究代表者

第22回(2006年度)マツダ研究助成 −青少年健全育成関係−「お遍路参加による小中学生の心理的変容−ストレス耐性に着目して−」 研究代表者

 

●学会

 

日本教育心理学会、日本発達心理学会、日本心理学会、日本教育方法学会、

日本教育工学会、大学教育学会、関西心理学会、

日本カウンセリング学会、日本健康心理学会、神戸大学教育学会

 

 


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