3-1 犯罪家系の研究 における「カリカク家」についての記述(第3版では40頁上段)を次のように訂正します。


 「アメリカ独立戦争に15歳で参加したKallikak(仮名)が酒場で知り合った精神薄弱の女性との間にもうけた子供の子孫と,帰郷後に正式に結婚したクエーカー教徒の女性との間に生まれた子供の子孫との対比研究。」


 この点についてのこれまでの説明は,わが国のいくつかの出版物に依拠したものでしたが,今回,Henry H. Goddard の原著を参照したところかなりの齟齬を見つけたため,訂正するものです。

 オリジナルなテキストでは概略次のとおり説明されています。
 15歳で民兵組織に参加したMartin Kallikakが,酒場の精神薄弱の接客婦との間に男の子をもうけたが,この同じく精神薄弱の男性をルーツとしDeborah(Goddardの研究の端緒となった女性までの5世代480人のグループを確定した。資料に基づき,そのうち143人が精神薄弱であり,46人のみ正常であったが,残りのものについては確認できなかった。この480人は多彩であり,36人は私生児,33人の性的逸脱者(大部分は売春婦),24人のアルコール中毒者,3人の癲癇患者,82人は幼児期に死亡,3人が犯罪者,8人は娼家を経営していた。

 一方, Martin Kallikakは戦争終結とともに軍隊を辞め,まともな生活に戻って良家の娘と結婚,ここに前述とはまったく異なる流れが生まれた。こちらには496人の直系の子孫が確認されたが,そのうち多少問題があった3――アルコール中毒2人と性的に放恣な1――を除けばすべてが正常であり,子供たちはアメリカの最初の入植者たちの子孫を含む立派な家柄の子供たちと結婚し,勤勉で尊敬される市民として生きた。