バリアフリーの普及に向けて

立命館大学山本ゼミ・バリアフリー班

一,  総論「バリアフリー概念」

二,  個人住宅への「支援制度」

三,  《1》交通に関する「バリアフリー」

     《2》「交通バリアフリー法」

四,  「ハートビル法」

五, 「条例」 〜京都府のまちづくり条例について〜

六,  まとめ 〜分科会での討論報告〜

 

 

一、総論「バリアフリー概念」について

 

 はじめに、『バリアフリー』の概念、及び歴史的経緯について説明していきたいと思います。そもそも“バリア”は障害を、“フリー”は解放を意味し、社会生活における様々な建築的障害を除去しようという概念です。

 『バリアフリー』という概念は、1960年代アメリカでの社会運動をきっかけに生まれました。当時ベトナム戦争によって負傷した軍人が社会復帰をする際、様々な困難が生じたために、そうした障害を取り除こうという動きが始まりました。具体的に言えば、負傷した兵士たちが復員後に車椅子生活などを送るようになり、社会生活上における問題が表面化し、そこで障害をもった者でも快適に生活できる環境作りを要求する運動に由来しています。

 このような経緯を経て『バリアフリー』概念が生まれましたが近年、我が国でも高齢化問題という点から、住生活における『バリアフリー』への関心が高まりを見せてきています。

 建設省は長寿社会を踏まえ、1994年ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)を制定し、1995年には「長寿社会対応住宅設計指針」を都道府県に通知し、高齢化社会に対応し得る住宅設計への試みも成されています。また、2001年には交通バリアフリー法(高齢者等の交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)が制定され、バリアフリー基準適合義務を規定しています。

 2015年、我が国では国民4人に一人が65歳以上の高齢者となる高齢社会の到来に備えるべく高齢者、障害者はもとより、我々も含め、生活基盤である住宅において「快適」かつ「安心」して生活できる住宅設備を目指さなければなりません。

 「バリアフリーデザイン」の概念を受け継ぐ形で生まれたもので、「ユニバーサルデザイン」という概念があります。これは汎用性をもった空間設計、つまり「高齢者、障害者、健常者=誰にでも」使いやすい建築デザインという意味で、障害や高齢者を区別せず、健常者も対等な関係で生活できる環境を作っていこうという概念です。

 以上を踏まえ、本稿ではバリアフリーに関する一連の制度について列挙し、高齢者・障害者・妊婦・けが人等々のために普段我々が何気なく歩いている町中に存在する「障害=バリア」の「撤去=フリー」の必要性について理解していただきたいと思います。

 以下では、京都市を例に挙げ、住宅、交通、公共施設などにおける補助制度、現状について触れていきたいと思います。

 

二,個人住宅への「支援制度」について

 

 国が行っている個人住宅への支援制度には、@介護保険による給付、とA障害を持つ人々への日常生活用具の給付、の二種類がある。@の給付額の上限は20万円で、個人が1割を負担する。Aの給付額の上限も20万円で、対象者は「下肢または体幹の機能障害が1〜3級」に該当する者である。

 ここで注意すべき点は、@の給付を受けている人はAの給付が受けられず、@が優先されるということ。つまり「排他的な制度」なのである。

≪ここからがメインテーマ≫

 そして上記の二つの制度とは別に、全国の各自治体は独自の助成制度を持っている。今回は私たち立命館大学のホームグラウンドであり、筆者が愛してやまない日本人の心の故郷、京都の京都市が行っているB助成制度「いきいきハウジングリフォーム」(素晴らしいネーミング!!)(○○○○!!)【○には貴方のお好きな言葉をお入れ下さい】について報告する。 

 この制度は平成11年1月に開始された。給付額の上限は75万円であるが、@・Aの給付を受けている人はその分が減額される。例えば、@で20万円給付されている人は京都市からは55万円しか給付されず、結果的に給付額が75万円になる様になっている。しかし、住宅改修を行うにあたって、75万円では足りないことが多い。<因みに、住宅改修にかかる平均費用は100万円前後(老朽化の激しい家では200〜300万円かかる場合もある)といわれている>京都市の助成制度は全額補助ではなく、あくまでも一部補助という位置付けになっている。個人の所得によっては、50〜60万円しか給付されない場合もある。

 対象者は「身体障害(区分なし)1・2級または療育手帳A判定」に該当する者。手すりを取り付ける等の住宅改修費の他に、浴槽や湯沸し機、リフト等の移動補助具、盲人用補助具等には75万とは別に、更に補助金がプラスされる。

そして京都市の制度の最も大きな特徴は、ただ単にお金だけを「はい、どうぞ」と渡して「後はご自由にお使い下さい」というように放っておくのではなくて、『各分野の専門家と相談をして、プランを作成してから補助金を給付する』という点である。専門家の方々がチームを組んでアドバイスをしてくれるので、補助を受ける当事者の身体の状態に合った住宅改修が出来て、なおかつ補助金を無駄なく効果的に使えるという、とても大きなメリットがあると思われる。この、他の自治体の助成制度と大きく違う点については高く評価してよいと筆者は考えている。

当事者を中心とし、そして限られたお金を無駄なく最大限に効果的に使う、という考え方は当たり前の考え方ではあると思うが、ここ日本(特に、日々日本の政治について真剣に取り組み努力されている方々)には何故か(?)この考え方が浸透していないようである。

給付額の上限である75万円という額は、助成制度を持っている全国の自治体の中では平均並であるが、京都市の財政を考えると苦しいことは確かである。しかし、福祉というものを考える上では、お金がどうとかという問題ではない。この点においても、こういった姿勢をとっている京都市を評価してよいと考える。

京都市が行っているこの制度についての情報を得る手段としては、手帳を交付された際に付属のしおりやパンフレットの他、市民新聞に載っていたり、福祉事務所等の関係機関で情報提供をしてもらう、民間の相談員の方々が行っている相談事業を利用する、といった手段がある。

実際に京都市から補助を受けた人々の反応は非常に良く、たいへん好評であったので、京都市職員の方々も自信をもっておられる様であった。アンケート調査によると、「住宅改修によって生きがいを持った」「生きる気力がわいた」といった声もあり、このことからも人々の満足度が高いことがうかがえる。

これから将来に向けては、今の状態に満足することなく更なるサービスの向上をはかり、当事者が自分たちの好きな業者を選べるように選択肢を増やすといったことが重要になってくるだろう。

最後に考えられる問題点をあげておくと、住宅改修をするためのお金が全くない人はどうすればよいのか?各自治体で助成制度に大きな差があるのはよいのか?そして、各自治体の助成制度が多くの人々に本当に認知されているのか?といったものが、これから取り組んでいかなければならない課題として存在するであろう。

 

三,《1》交通に関する「バリアフリー」について

 

1.     交通に関連するバリアフリーの実態

 今日、日本における65歳以上の人口の割合は、2005年に19.1%と予想されており、諸外国と比較してもトップクラスをマークする。また、肢体不自由、内部障害、聴覚・言語障害、視覚障害者を含めた1996年度における総身体障害者数は239万人に昇る(平成11年版『障害者白書』より)

 この様な統計を踏まえる一方で、公共交通機関に関するバリアフリー化への推進状態は目下、遅々としている。特に、鉄軌道駅におけるエレベーター(以下、EV)、エスカレーター(以下、ESCA)の設置施設率が低いのが現状である。

 

〔1〕           旅客施設、バス車両等の交通に関連するバリアフリー化の現状

@鉄軌道駅・バスターミナルについて

 平成12年3月現在の各旅客施設のバリアフリー化の現状は先に述べた様にとても遅れているのが現状である。鉄軌道駅(1日あたりの平均利用者の人数が5000人以上)におけるEV・ESCA設置率ははEVが29.5%、ESCAが48.1%である。又バスターミナル(1日あたりの平均利用者の人数が5000人以上)での設置率はEVが10.7%、ESCAが10.7%である。特にバスターミナルに至っては、すべてが2階建て以上であるのにも関わらずこの低い設置率になってしまっているのには大いに疑問が残るところである。

 又、鉄軌道駅に関しては駅によってEVのみ、ESCAのみのホームがあり、車椅子利用者にとってESCAのみは過酷であることは想像できるだろう。

 最近はESCAのみの場合、車椅子積載部をセットする場合も多い。これは駅員自らが車椅子を支えESCAを乗降するものである。しかしその乗降の速度は非常に遅く、車椅子利用者が実際に利用している時に、落ちるような感覚があり非常に怖いという声もある。我々の視点ではなく、実際に車椅子等の利用者の声、要求を第一線にバリアフリー化が急務であろう。加えて、一旦駅員等がESCAを停止させてから、車椅子積載部をセットすることは、「本当の意味で“抵抗無く”障害者が駅を利用できる訳ではない」との指摘もあり、出来る限りESCAのみの駅はEV設置も検討し、実現してもらいたいものである。

 

Aバス車両(乗合バス)のバリアフリー化について

 バス車両は、最近急速にバリアフリー使用の車両が増えている。しかしまだ全体のバス車両数から見た低床バスの割合は非常に低いのが現状である。

 低床バス(ここではワンステップレベルのスロープ付バスとノンステップバスの2つを指す)は平成5年の71両から平成11年には2115両にまで増えている。しかし平成11年現在2115両という数は、バス車両全体に占める割合では3.6%に過ぎず、まだ少ないという印象に変わる。

 又、これからどれぐらいのペースで低床バスが増えていくかということだが、すぐに増やせるものでもないそうだ。京都府長岡京市では20台ある市バスをバリアフリー使用のバスに更新していくのに、年に1台づつのペースであるという。もちろん各自治体ごとにこのペースというのは違うだろうが、早いペースでバリアフリー使用のバスを増やすというのはなかなか難しいというのが実情のようだ。

 

〔2〕           鉄軌道駅のバリアフリーの取り組みについて(京都府長岡京市・長岡天神駅)

 ここからは前述のバリアフリーの現状を踏まえた上でのバリアフリーの取り組みについて紹介する。

 ここで取り上げる阪急京都線長岡天神駅は、交通バリアフリー法(Uで後述)が平成12年に公布される以前からバリアフリーに対する取り組みを始めている鉄軌道駅の一つで、平成7年9月に長岡京市内にあるJR長岡京駅と共にエレベーター設置について市民団体から請願が提出されたことを受け、西日本旅客鉄道(JR西日本)及び阪急電鉄等と実現に向けた協議・調整を行い、平成12年度から事業着手並びに推進を図っているところである。

 長岡天神駅は先にも述べたように、先ずエレベーターの設置からバリアフリー化を進め、現在それは完成している。今は階段部分のエスカレーター設置工事をしている最中(平成14年8月中旬現在)で、他にも主要施設案内図の改良、公衆電話の改良、点字・音声誘導設備の改良、拡幅改札口の設置、改札口のIC化対応、路線図・料金表等の改良、券売機の点字表示・車椅子対応、言語・聴覚障害者への対応、エレベーター設置に合わせた2階コンコースの改良(以上、長岡京市交通バリアフリー基本構想より)といった以上のものの工事を進めていく予定である。

 長岡京市では2010年(平成22年)を整備目標年次とし、鉄軌道駅のバリアフリー化を進めている。さらに長岡京市では長期的ビジョンとして、駅員等へのバリアフリー教育の実態を図り、駅の施設等のハード面だけでなくソフト面でも誰もが使いやすい駅を目指していくとのことである。

 

〔3〕             交通バリアフリー関係の用語について

(1)バリアフリー

  障害のある人だけではなく、すべての人の社会参加を困難にしている以下に示すすべての障壁を除去すること。

@     物理的バリア:歩道の段差、車椅子使用者の通行を妨げる障害物、乗降口や出入り口の段差等

A     社会的バリア:声案内、点字、手話通訳、字幕放送、分かりやすい表示の欠如による文化・情報面での障壁

B     制度的バリア:障害があることを理由に資格・免許等の付与を制限されるなどの障壁

C     心理的バリア:心ない言葉や視線、障害者を庇護されるべき存在としてとらえる等の識上の障壁

 

(2)ノーマライゼーション

  デンマークのバンク・ミケルセンが知的障害者の処遇に関して唱えたもので、北欧から世界へ広まった障害者福祉の最も重要な概念であり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるという考え方。障害があっても社会の構成員として地域の中で共に生活が送れるようにライフステージの各段階で住まいや働く場ないし活動の場や必要な保険福祉サービスが的確に提供される体制を確立すること。

 

(3)ユニバーサルデザイン

  「全ての人のためのデザイン(構想、計画、設計)」という意味。年齢、性別、身体、言語等、人々が持つ様々な特性や違いを超えて、はじめから出来るだけ全ての人が利用しやすい、全ての人に配慮した環境、建物、製品等のデザインをしていこうという考え方。

 

(4)ポケットパーク

   街角広場の意味。都市空間の中で都市景観の向上、都市環境の改善を目的に整備される小さな公園で、主に休息や語らいの場として点的に設けられる広場空間。

   人や車の往来の激しい街中で、人と車の雑踏から離れることができる小さな広場として人々に親しまれている。ポケットパークとは、ちょうどチョッキのポケットのように小さな公園という意味から名付けられた。特にバリアフリー関連で出てくるポケットパークという場所は駅前広場などで、最近駅前に広いスペースを確保する駅が増えている。

 

(5)ノンステップバス、ワンステップバス

   ノンステップバスとは、その名の通りステップが無いバスのことで、床を極限まで低くして乗降口の段差をなくし、高齢者や車椅子の障害者等、誰もが楽に乗り降りできることを目指したバス。ワンステップバスとは、出入口の段が1段になっているバス。

   ちなみに日本のバスは、エンジンが下についているため車内が狭く感じることが多いようだが、ドイツのバスではエンジンを上につけることによってそれを解消している(日本ではまだそこまで技術が追いついていないとのことである)。

 

《2》「交通バリアフリー法」について

 

〔1〕概要

  「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」,通称「交通バリアフリー法」と呼ばれており、平成12年5月17日交付,同年11月15日施行され,旧運輸,建設,自治,警察の4省庁合同法案である。

  本法の概要は「 高齢者,身体障害者,その他妊産婦等,公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上を促進するため,駅,バス,旅客船,航空旅客等のターミナル,または鉄道車両,バス,旅客船,航空機などのバリアフリー化を促進する事、及び駅などの旅客施設を中心とした一定の地区において,市町村が作成する「基本構想」に基づいて,旅客施設,周辺道路,駅前広場,信号機等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進する事を目的としている。

  本法の内容には具体的二本柱として、(A)「交通事業者に対する@義務規定とA努力義務」(B)「地域のバリアフリー施策推進規定」とがある。

 

(A)「交通事業者に対する@義務規定とA努力義務」について

  まず、@における交通事業者に対する義務規定とは駅,バス,旅客船,航空旅客等のターミナルを新設及び大改良(注1)する場合及び、鉄道車両,バス,旅客船,航空機などを新しく導入する場合にはバリアフリー基準(移動円滑化基準)(注2)」への適合を義務化している。因みに、「バリアフリー基準」の他,交通バリアフリー法を補完する為,「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン(H13,8)」が策定されており、バリアフリー整備において望ましい内容を規定しているのであり、義務としての基準ではない。

 次に、A努力義務規定とは、既存の旅客施設,及び車両の大改良ではない場合はバリアフリー基準に適合するよう努力する義務を負うのである。

 

(B)「地域のバリアフリー施策推進規定」ついて

  市町村の主導による地域のバリアフリー施策の推進規定とは、各市町村は主務大臣が作成する「基本方針(注3)」に基づいて,一定規模の駅を特定旅客施設(注4)に指定し,当該駅を中心に500m〜1kmのエリア(地区)を重点整備地区として,駅周辺道路,駅前広場,信号機等のバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するため,当該重点整備地区におけるバリアフリー化の為の方針,実施する事業等を内容とする「基本構想(注5)」を作成する。(※詳細は下図の資料を参照)

 

〔2〕京都府庁,長岡京市役所でのお話を伺って… 

最後に,施行日からようやくまる二年を迎えようとしている「交通バリアフリー法」ですが,平成14年8月現在,交通バリアフリー法を適用している京都府長岡京市役所,及び京都府庁の方からお話を伺わせて頂きました。

  長岡京市役所の方のお話によると,“全てが手探り状態で高齢者,障害者の方からの意見だけでなく,本当は小学生やもっとたくさんの市民の意見を反映して各種の事業計画を勧めていきたかった”と,おっしゃっていました。その他,重点整備地区以外におけるバリアフリー化を思う一方,財源枠の限界とのジレンマがやはり大きなネックとなっているようです。加えて京都府庁の方のお話では,“交通バリアフリー法はまだまだ新しく,現に各自治体が基本構想を作成しているところで,これから様々な問題点が出てくるのは必須。その問題点を皆さんが見付けて提議してもらいたい。返ってこちらが聞きたいぐらいだ”との旨をおっしゃっています。

  因みに今回,伺ったお話の中にはEVの設置費用,障害者用トイレ一基設置するのにも莫大な費用がかかっている事を知りました。その例を挙げると,障害者用トイレを一基設置するには1000万円はかかるそうです。しかし,障害者用トイレを設置するために既存のトイレを取り壊す場合も出てくるため,実際は1000万円以上というのが現状です。加えて,EV一基の設置費用は最低 5000万から最高1億 5,6000万円。この高低差は設置する駅舎そのものの構造によって生じるもので,設置しやすいスペースが余っていれば低コストで済む一方,スペースが無ければまずは設置スペースの確保工事から着手する事になり,上記高額なお金がかかるそうです。これら高額の工事費用には我々の税金も投資されており,高額EVの設置に対しては疑問の声があるのも現状です。その理由にはわざわざ市民の税金を使って駅舎を橋上化し,EVの設置を余儀なくさせるより,スロープでホームに行ける方法もあるというものでした。この両者二点について,我々一般市民ではどちらの案が駅舎のバリアフリー費用について高額になるかは計り知れない点であり,そもそもEVにそれ程の費用がかけられている事自体に驚きました。今後,交通バリアフリー法が目的とする高齢者,障害者,我々をも含めたユニバーサルデザインに近づける様,公共交通機関を利用した移動の利便性,安全性を目指し,かつ我々の血税を投資している事を念頭に無駄のないバリアフリー化が行われる事に期待したいです。

 

*  注釈

(注1)大改良とは?

→高架化や地下化・駅移設などの全面的に従前と異なるホーム等旅客施設を整備               する事。単なる橋上化や駅リニューアルは含まない。

 

(注2)バリアフリー基準(移動円滑化基準)とは?

→省令「移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準」の通称です。

 

(注3)基本方針とは?

→主務大臣が,バリアフリー施策を総合的かつ計画的に推進するための方針を作成する。

  ・移動円滑化の意義及び目標

  ・移動円滑化のために公共交通事業者が講ずべき措置に関する基本的事項

  ・市町村が作成する基本構想の指針等規定                        

 

(注4)特定旅客施設とは?

→旅客施設(駅等)について,以下のいずれか条件を満たすと「特定旅客施設」に指定される。

特定旅客施設に指定されなければ,市町村は「基本構想」作成出来ない。

  (1)1日の利用者数が5000人以上の旅客施設。

  (2)当該市町村の高齢化率の状況から,高齢者,身体障害者の利用者数が1)の条件と同程度と認められる旅客施設。

  (3)旅客施設を中心とする徒歩圏内に,相当数の高齢者,身体障害者等が利用する施設(病院,図書館,公園等)が存在する事,及び当該旅客施設の利用状況から,移動円滑化事業を実施する必要が特に高いと認められる旅客施設。

 

(注5)基本構想とは?

→自治体が基本方針に基づいて作成する冊子の事です。

   ・特定旅客施設の指定,及びその周辺の地区を重点的に整備する重点整備地区の指定

   ・旅客施設,道路,駅前広場等について,移動円滑化のための事業に関する基本的事項等規  

 

※〔資料〕 交通バリアフリー法の流れ

基本方針作成(主務大臣)

基本構想(市町村)

事業計画作成(各事業者)

                                       

 

公共交通事業

交通事業者は基本構想に沿って「公共交通特定事業計画」を作成し,事業を実施する。

道路特定事業

同様に,道路管理者も「道路特定事業計画」を作成し,事業を実施する。

交通安全特定事業

都道府県公安委員会が「交通安全特定事業計画」を作成し,事業を実施する。

その他の事業

土地区画整理事業,市街地再開発事業における公共用施設の整備計画,事業の実施をする。

                                                               

駅等の特定旅客施設におけるEV,ESCAの

設置,バス車両の床面の低さを計画する。

 

歩道の拡幅,道路用EV,通行経路の案内標識等の整備を計画する。

 

高齢者,障害者等の安全な横断確保の為,音声機能付信号機,道路標識,横断歩道の設置,違法駐車,駐輪の取締強化。

駅前広場,通路等一般交通の用に供する施設について必要な措置を取る。駐車場,公園等の整備。

 

                             

              

補助制度あり

          

全額自治体,開発者等が負担する

 

四,「ハートビル法」について

 

 高齢化が進み、日本でもバリアフリー化への関心が高まり、ようやくバリアフリーが制度化されるようになった。日本の法律レベルで、初めてバリアフリーに関する規定が登場したのが平成六年九月に施行された、「高齢者、身体障害者などが円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(通称、ハートビル法)である。ハートのあるビルを作ろうということでハートビル法になった。

 

・ 概要

1)目的

本格的な高齢社会の到来を間近に控え、高齢者や障害者の自立と積極的な社会参加が望まれることから、不特定多数の人が利用する公共的な建築物に対して、高齢者や障害者が円滑に利用できるよう措置していく必要がある。このために、建築主に指導、誘導などの総合的な措置を講じて、良質な建築ストックの形成を図ることを目的としている。

 

2)内容

1.不特定多数の人が利用する建築物(これを特定建築物という)の建築主は、特定施設を高齢者や身体障害者などが円滑に利用できるようにするための措置を講じなければならないとされている。例えば病院やデパートや映画館やホテルの出入り口は車椅子でも通れるようにすることや、アプローチは出入り口までは段差がないかスロープ式にすることや、階段は手すりをつけて緩やかにするという措置をとることである。

特定建築物にあたるもの>

@病院・診察所、A劇場・観覧場・映画館・演芸場、B集会所・公会堂、C展示場、D百貨店・スーパーマーケット・その他の物品販売業を営む店舗、Eホテル・旅館、F老人福祉センター・児童厚生施設・身体障害者福祉センター・その他これに類するもの、G体育館・水泳場・ボーリング場・遊技場、H博物館・美術館・図書館、I公衆浴場、J飲食店、K理髪店・クリーニング取次店・質屋・貸衣装屋・銀行・その他これらに類するサービス業を営む店舗、L車両の停車場・船舶もしくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降または待ち合いの用に供するもの、M一般公共の用に供される自動車車庫、N公衆便所、O郵便局・保健所・税務署・その他これらに類する公益上必要な建築物

特定施設にあたるもの>

@出入り口、A廊下、B階段、C昇降機、D便所、E駐車場、F敷地内の通路

 

2.ハートビル法には基礎的基準と誘導的基準という二つの基準に合うことが求められている。

基礎的基準とは最低限のレベルとされていて、高齢者や身体障害者などの利用を不可能にしている、建築物の障壁を除去する基準となっており、比較的緩やかな基準である。例えば車椅子と人とがすれ違うことのできる廊下幅を確保していることや車椅子用のトイレがひとつはあることなどである。都道府県知事は特定建築主に対して、判断基準(基礎的基準)に照らし合わせて、必要な指導・助言などをすることができる。

誘導的基準とは望ましいレベルとされていて、高齢者や身体障害者などが特段の不自由なく建築物を利用できる基準となっており、基礎的基準より厳しい基準である。例えば車椅子同士がすれ違うことのできる廊下幅を確保していることや、車椅子用のトイレが必要な階にあることなどである。都道府県知事は判断基準(誘導的基準)に適合している場合、特定建築物の建築計画に対して認定することができる。認定された建築物に対しては、@廊下やエレベーターやトイレなどの整備費の一部を補助する予算補助や、A所得税や法人税の割増償却や事業所税(新増設分)の非課税という税制上の特例や、B日本開発銀行や北海道東北開発公庫などから低利の融資が受けられることや、Cトイレや廊下や階段などの床面積を高齢者や身体障害者などが円滑に利用できることを確保するために通常の床面積よりも大きくした部分について建築基準法の容積率算定の際の特例を設けているという四つのメリットがある。

 

・京都市の現状

  ハートビル法の現状について京都市を例に紹介していきます。京都市はハートビル法施

行以前から、バリアフリー政策に積極的な取り組みをしています。昭和51年には、『福祉

のまちづくり要綱』が制定されており、平成7年には、『京都市人にやさしいまちづくり

要綱』『京都府福祉のまちづくり条例』が制定されています。

 

京都市がハートビル法に認定している建物は現在7件あります。この認定に関して、平成11年段階で、全国で1068件、東京都では86件が認定されているので、7件というのは決して多いとはいえません。認定の効果としては、建築申請料が無料になる、事業所税減免措置などがありますが、建築主に直接大きなメリットになるほどの効果はありません。京都市が認定している7件いずれもスーパーやデパートなどの物品販売店舗で、建物宣伝効果をねらって、認定申請されているという側面もあるといえます。ハートビル法の基礎的基準(緩やかな基準)はあくまで努力規定であり、強制力はなく、市は指導・助言できるにとどまります。また、既存の建物に対する規定もありません。改修する場合も、建築確認申請が必要な、全面的もしくは大規模な改修に限り事前に協議されることになっています。ハートビル法が施行後7年以上たった現在も、認知度が低く、あまり効果を発揮していないのはこういった現状にあるといえます。実際京都市で最初に認定を受けた、スーパーを訪ねてみましてが、以下のような現状でした。

 

 

 コープ衣笠 (H6認定,京都で最初のハートビル認定建物)

     ハートビル認定を受けているという意識は低い。

     利用者の反応もうすい。

     時代に乗り遅れないように・・という意識は高まっているものの、ハートビルに対する認知度は低い。

     表示がされていない。

     部分的な改修にもコストがかかるので、改善しようという意識もない。

 

* ハートビル法以外のバリアフリー規定として、京都市では、ハートビル法よりも、より具体的に、細かな整備基準を設けています。それが、『京都市人にやさしいまちづくり要綱(H7,4)』です。この要綱には、対象施設や適用個所が列挙され、施設整備基準が建築物ごとに細かく規定されており、対象施設の、新築・増築・大規模な修繕や模様替えをしようとする際には、以下の@からFまでの手順をふむことになります。

 

@     事前協議 あらかじめ計画ついて、要綱の施設整備基準と照合させ市長と事前協議

     が必要です。協議審査の際、『京都府福祉のまちづくり条例』(注2)『京都市建築基準条例(福祉関係規定)』(注1)も同時に審査されます。

A     福祉の協議印押印

B     確認申請⇒工事着手 

C     工事完了報告

D     完了検査 要綱の施設整備基準に適合しているか検査されます。この際、『京都府

    福祉のまちづくり条例』整備基準適合証の交付の完了検査も同時に行い

     ます。

E 検査済み証発行 『建築基準条例』に該当する建物は福祉関係規定が整備されていることが発行の条件となります。

              

 Fシンボルマーク交付  交付基準が別に設けられており、施設整備基準の検査と連動していないため、Eまでは申請しても、Fまで申請する人は全体の6〜7割程度にとどまります。

(注1)

 

『京都市建築基準法施行条例(福祉関係規定)』概要

 「特別の配慮を要する特殊建築物」に対して・・(例)学校・病院・福祉施設・飲食店・

                        物販店・体育館・映画館・ホテル 等。

(検査済み証発行の絶対条件)         

     高齢者・障害者等に配慮を要する建築物の用途、規模を規定

     高齢者・障害者等に配慮した出入り口、廊下、階段、便所、エレベーターその他の施設の整備基準について規定

     既存の建築物等に対する制限の緩和

 

(注2)

 

『京都府福祉のまちづくり条例』関連部分の概要

 対象:まちづくり施設=不特定かつ多数の人が利用する建築物、道路、公園及び駐車場

 施設整備:規模の大小を問わず、すべての施設に対して、整備基準適合の努力規定。

 特定まちづくり施設:まちづくり施設のうち、社会生活を営む上で重要と認められる

施設(一定規模以上の施設)につき、事前協議等手続きを義務化。

 

   新設等 

・ 整備基準適合義務化

     計画の事前協議、工事完了の届け出、必要な報告

     処分あり(知事の勧告、氏名等の公表)

   既存施設

     整備基準適合の努力規定

     事業者が自主的に調査し、知事の要請あれば調査結果を報告

     処分なし

 

  ハートビル法の今後の展開(改正点)としては、基本的考え方として、対象とすべき建築物につき、現行の「不特定かつ多数の人が利用する建築物」の範囲を拡大するべきです。新築建築物については、バリアフリー対応の整備を行うよう法律で義務化していくことが必要(平成14年7月改正)、義務化する基準については、全国統一の基準を定める一方、各地域の特性に応じて必要となる付加基準を地方公共団体が定められるようするべきです。既存建築物については、 対象となる既存建築物につき、バリアフリー対応のための努力義務を課すべきであり、補助・融資等の支援措置を充実させるなど,促進させる為の対策が必要です。効果的な推進方策としては、技術開発や社会状況の変化等を踏まえて、絶えず基準を見直していくことが必要です。その際には、幅広く国民の意見を聴取することも必要であり、すべての国民の意識・知識の向上が不可欠といえます。情報提供等も重要です。

 

五,「条例」 〜京都府のまちづくり条例について〜

 

 ここまで、個人住宅、交通機関、大規模建築物について、バリアフリーに関する一連の制度を紹介してきましたが、いずれの制度もその歴史は浅く、これから迎える高齢社会に十分対応可能であるとは言い難いものです。今後バリアフリーを推進していくには、社会全体で高齢者・障害者等への配慮が当然に行われるよう、全国民を対象として、社会参加の機会を確保していかなくてはなりません。以下に、バリアフリーという考えを、“まちづくり”の中にとりいれた、『京都府福祉のまちづくり条例』を最後に紹介しています。

 

 

『京都府福祉のまちづくり条例』 (平成7314日公布、平成7101日施行)

 

≪前文より≫

 私たちは、心身に障害があっても,高齢になっても、地域社会を構成する一員として、安心して生活を営むことができ、自らの意思で自由に移動でき、社会に参加することのできるまちに暮らし続けたいと願っている。そうしたまちの創出には、施設や交通機関等の整備を進めるとともに、多様な人が互いを理解し、日常的に交流し得る地域社会づくりを進めるという両面からの生活環境の整備が必要である。・・・

 

≪各主体の責務を規定≫

 ・府の責務⇒総合的施策の実施

 ・市町村の責務⇒地域の実情に即した施策の実施

 ・事業者の責務⇒まちづくり施設を、すべての人が安全かつ快適に利用できるようにする。

・府民の責務⇒共に生き、共に支えあう社会連帯の心を持って、推進に協力

 

≪施策の推進に関して≫

 *府の施策として・・

@     府民の理解を深める為の必要な広報・情報提供

A     府民の学習機会の充実

B     まちづくり推進の為に必要な調査及び研究  ・・等

*府は、市町村・事業者及び府民と密接に連帯して、推進体制を整備する。

*府は必要な財政上の措置を講じるように努める。

 

≪車両・住宅等の整備≫

  鉄道の車両、バス、タクシー、船舶等を所有し、又は管理する者は、すべての人が安全かつ快適に利用できるよう環境の整備に努めなければならない。

  個人住宅に関して・・

@  すべての府民は、居住する住宅について安全・快適に暮らせるような環境づくりに心がける。

A  住宅供給事業者は、安全・快適に利用できるよう整備された住宅を供給するよう努めなければならない。

 

  このような制度が、より実行力のあるものになれば、バリアフリーの普及も期待できるのではないでしょうか。実際、「バリアフリーのまちづくり」というのは、コストがかかり過ぎてしまい、まち全体をバリアフリー化するというのは、容易ではありません。我々一人一人が障害者と同等な視点を有する事,かつ必然的に高齢者となる立場である事を考え,街全体及び個人住宅でさえも,各種法制度を皮切りに「バリアフリー」が普及されるのを熱望したいものです。

 

六,まとめ 〜分科会での討論報告〜

はじめに、分科会についての個人的感想ですが、二名の教授を含め、各大学ゼミ生には積極的に話し合ってもらい「バリアフリー」についてよく考えてもらったのではないだろうかと思っています。客に井上先生、脇田先生から鋭いご質問には報告者側が言葉に窮し、話し合いの場としては決して納得のいくものではなかったと反省しております。

さて、分科会での進行方針としては、少人数の班を4つ作り、報告者側が提示した質問、論点について各班毎に話し合う時間を設け発表してもらいました。提示した質問、論点は以下の通りです。

〔1〕各大学でのバリアフリー状況について

〔2〕バリアフリー化を阻む要因に対する解決策、アイディアについて

 

〔1〕について

本問に対しては、各大学共に総体して「バリアフリー整備は一部的である」という意見で共通していました。実際、龍谷・金沢・大阪大学共、一応の障害者トイレは設置しているものの、「徹底されていない」、「三階建てだが一階にしか障害者用トイレがない」、加えて具体的な話をしてくれた金沢大学のゼミ生からは「障害者用トイレを設置しているが、そこに行くまでに観音開きのドアがあるため結局は開ける事が出来ない状態だ。キャンパスが山手にあるため坂も多い」との発表でした。

確かに、障害者用トイレを設置しても根本的にそのドアが開けられなくては本末転倒である。

以上、〔1〕の質問では皆さんの身近にあるバリアを思い出してもらい、これを踏まえた上で〔2〕の論点を考えてもらいました。因みに、〔2〕の論点を考えるにあたり、報告者側が考えた4つの要因を列挙しています。

 

〔2〕について

*バリアフリーが普及しない要因

@バリアフリー化への費用面,及び各種法制度における補助費の限界(注1)。

A法律や制度も含め,バリアフリーに対する認知度の低さ。

Bバリアフリーに対して強制力がなく,支援・措置が乏しい。

C障害・高齢者に対する配慮が希薄であり,バリアフリーの必要性という意識が低い。

(注1)   について

個人住宅

一部補助が限界。介護保険給付内であれば,一割負担で収まるが,バリアフリー改修費に20万円以上かかるのは不可避か。

ハートビル法

実際,実例件数も少なく,認知度も低い様に思われる。宣伝効果として捉えられている感がある。

交通バリアフリー法

交通事業者に対しては国,自治体による補助がある。

 重点整備地区内における特定旅客施設に指定された駅の改札内では通常,国,自治体,鉄道会社が3分1ずつ負担するが,改札外では全額自治体,開発者等負担を基本とする。

《発表された意見・提案》

グループ@

・「法律や制度も含め,バリアフリーに対する認知度の低さ」について、制度策定段階から身体障害者、高齢者等の意見を積極的に取入れていく姿勢がいる。

・メディアを活用した広報活動。

・自己の障害、高齢期に伴う支障を自分たちで言うのは困難・・・そこで周囲の者の協力が不可欠である。例えば、自己の障害に対して、どの様なトイレ・浴室等に改修または、選択すれば良いのか分からない場合、他の協力(相談)を得て自分に合ったバリアフリーを目指せられる様働きかける。

 

グループA

・「バリアフリー化への費用面,及び各種法制度における補助費の限界」について、個人住宅のバリアフリーを改修するには、やはり介護保険給付内では限界があるはず。そもそも、個人が抱える支障はひとりひとり異なり、各々のニーズに合うバリアフリー改修をする為にはもう少し補助がいるのではないか。

 

グループB

・自分の住みやすい町、住みよい町にする為には、我々自身が町のバリアフリー化政策に積極的に参加し発言していく。国・自治体と市民が一緒になって作りあげていく事が必要である。

 

グループC

・長岡京市ではバリアフリーに対して着手しているとあるが、実際はどうなのか。基本構想を策定する段階において、障害者・高齢者等のきちんと意見を多く取入れたのか。駅のバリアフリー改修に伴って改札が2階になり、高額なEVを設置する必要性が出てきてしまった。このバリアフリーが利用者にとって十分なものなのかを第一義に考えるべきだ。

・莫大な改修工事費には我々の血税が投資されているのであるから、自治体はもっと市民の意見を取入れなければならない!等

 

「バリアフリー」は誰の為のものか、根本的視点に立ち返り、障害をもつ本人が参加、決定する。

この人こそが一番の専門家だ!!という事を忘れてはいけない!!!!!!!!!

 

以上が分科会での発表を要約したものです。★尽きの括弧枠が本討論において大きな結論であったと思います。

報告班内での話し合いでは、発表された意見の他、「心のバリアフリー」の必要性が焦点となりました。補助制度について我々の手で財源枠を拡大する事は不可能であるが故、バリアフリーに対して市民の意識やモラルの向上を図る事によって認知率を高める。

この「心のバリアフリー」を醸成するには、学校教育の場で「バリアフリー」しいては「ユニバーサルデザイン」の重要性を教える。モラルについても、違法駐車、駐輪の規制を公安委員会に任せるのではなく、「自己規制」によって無くしていく。その「自己規制」を行う為にもやはり「心のバリアフリー」啓発が重要ではないだろうか。

人の人に対する“思いやり”や“優しさ”が,現実には物質的バリアが撤去されていない状態であっても,高齢者,障害者,その他移動に際して不自由を強いられる者、加えて今は元気な我々も含め,些細な事が「バリアフリー」への介助となる。

 

最後に私的見解ですが、この度「バリアフリー」について調べ、以前では気にもしない事が目に付くようになりました。京都府庁や市役所で伺った際には耳が痛くなる話もあり、自分もバリアを作っていた一人である事にショックを感じました。日頃、何気なく歩いている街中には多くのバリアが存在し、そのバリアの為に苦労している人がいる事を改めて感じ、この事を他の人にも分かってもらい、「皆のためのバリアフリー」について少しでも気に止めてもらいたいと願います。

以上

 

*参考文献 / HP

 ・http://www.jaeic.or.jp/hyk/ 人にやさしい建築・住宅推進協議会

 ・『社会福祉に関する法とその展開』 片居木英人,長野典右,福原英起,1999・一橋出版

 ・『バリアフリー住宅[居心地の良い家]のつくり方』 大滝雅寛,岩崎みどり,2002・ばる出版
 ・『バリアフリー入門』 もりすぐる 1999・緑風出版
 ・『ユニバーサルデザイン、バリアフリーへの問いかけ』 川内美彦,2001・学芸出版社
 ・資料「福祉のまちづくりマニュアル」京都府福祉のまち推進室,京都府土木建築部
                                    建築指導課 平成7年.6月発刊
・資料「京都市人にやさしいまちづくり要綱(建築物編)」京都市都市計画局建築
                                     指導部指導課 平成7年4月(平成13年一部改正)
・資料「京都府福祉のまちづくり条例」京都府保健福祉部保健福祉総務課、京都府
                                        土木建築部建築指導課 平成7年6月発刊

・資料「ハートのあるビルをつくろう」 1999 人にやさしい建築・住宅推進協議会

・「バリアフリーからユニバーサルデザインへ」 古瀬敏 えぴすとら第19号 建設省建築研究会

・「地域福祉と住まい・まちづくり」 上田耕蔵 2000・学芸出版社

・ハートビル・ハンドブック‘96「ハートのあるビルをつくろう」 

編集:人にやさしい建築・住宅推進協議会/(社)日本建築家協会

・ハートビル・ガイドブック 実務に役立つ人にやさしい建築支援情報資料集

編集:人にやさしい建築・住宅推進協議会/(社)日本建築士事務所協会連合会

・安心して移動できる社会を目指して〜交通バリアフリー法の解説〜 

 発行:交通エコロジー・モビリティ財団,監修:国土交通省

・長岡京市交通バリアフリー 基本構想   発行:長岡京市

・国土交通省HP  http://www.mlit.go.jp

http://www.net-kaigo.com

 

**Special  Thanks**

*京都府庁交通対策課

*長岡京市建設部都市計画課 

*京都市保健福祉局福祉部障害福祉課

*(有)地域にねざす設計舎TAPROOT

*京都市都市計画局建築指導部指導課

 

以上