児童虐待 −再統合を目的とした親子分離に向けて−

分科会の内容について

二〇〇二年十月十五日

大阪市立大学第一部社会保障ゼミ

 

市大二部:里親制度のこれからのあり方は?

市大一部:里親の人数を増やす事と平行して、里親の研修等を行うべき。

 

立命館:親子分離と再統合はどこで関係するのか?

市大一部:家庭でのあるべき姿を里親制度で体感し、家庭に戻ってもらいたい。専門里親などでケアをしてから親に戻す事が可能だから、再統合につながる。

 

静岡:イギリスと日本の制度の違いは?

市大一部:大きな違いは裁判所が絡んでくるかどうか。イギリスは児童相談所と裁判所が密接に絡んでくるし、親に対するカウンセリング命令に違反した場合の罰則規定もある。

 

市大一部:日本では児童福祉法28条があまり使われず、不分離という形をとっていた。イギリスでは分離を早い段階で行い、再統合が出来る分離がある。分離した後の子供には施設ではなく、里親制度がいいのではないか、というのが市大の見解です。

 

静岡:イギリスにおいても、法的分離は厳し過ぎると言う考えは存在する。また、アメリカにはボーイズタウンと言う、全ての親が里親であって、町全体で子供を育てている町も存在する。

市大二部:それは効果が上がっているのですか?

静岡:上がっているし、企業からの寄付などもけっこうな額になる。

市大二部:行政として行っているのですか?

静岡:民営です。ベースは宗教団体だが、教育などに宗教色は無いようです。

 

市大一部:親子分離を本当にすべきか?そして分離した後に子供は施設か里親かどちらに行くほうがいいのか?

市大一部:親子関係を維持して改善するのが一番だが、誰が見ても介入しなければならない場合には、もっと裁判所が介入していくべきだと思う。

 

市大一部:児童相談所は、「期間付きの親権停止」という考え方が無い、と言っていた。

立命館:それはどんな考えですか?

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市大一部:現在の日本では、親権喪失は凄く厳密な規定で余り使われていないが、「ある期間親権を停止する」というものであれば、一時的に停止した後に親権が復活するから使いやすい、というものです。

 

立命館:親子分離をしたときの子供にとってのメリットとは?

市大一部:子供のとってのメリットと言うよりも、自分は虐待を減らすと言う観点で見ていて、ケースによって子供にとってのメリットは変わると思う。

 ただ、イギリスでは、親子を分離するかどうかを議論する会議において専門家や親の弁護士、子供にとって最善の方法を提案する為のケアマネージャなどが参加して子供にとっての最善策を考える場がある。

 

立命館:再統合にこだわる必要は無いのではないかと思う。

市大一部:親の教育をすれば、再統合は可能だと思う。

金沢:私は再統合が中心でもいいと思う。実親によって暴行を受けた、嫌われたという傷は消えないから、やはり再統合して実親に嫌われたという感覚を無くしてもらいたい。

 

市大二部:カウンセリングは誰がするのか?

市大一部:専門家では?

市大一部:日本では、今はボランティアがやっている場合もある。

 

市大二部:虐待をしている人が地域にいたらどう思いますか?今のように地域関係が密接でないのに何か対処出来るのか?

金沢:地域関係が密接でないからと言って昔に戻る事は出来ないから、それを答えるのは難しいと思う。

 

以上