合同ゼミ報告                               平成14年9月15日

大阪市立大学法学部2部

〈介護保険の要介護認定システムを考える〜一次判定を中心に

 

1,要介護認定のしくみ

 @一次判定用コンピュータソフト(85項目の調査事項)

 A一次判定と二次判定(介護認定審査会)の関係は、、、

 

2,一次判定の問題点−一律化された判定結果をどのように考えるか

 @一次判定の問題と意味

  ・調査結果の地域格差

  ・調査中の家族の意見との関係(調査員 対 被保険者)

  ・認定の際の家族(介護者)の有無

・多方面からの判断材料が必要(身体的障害に偏っている)

・独居老人からの聞き取り

・痴呆老人などに対する調査時間

・判定の精度を上げるには

A医師の意見書・特記事項の活用

 

3,訪問調査

@  調査状況

   正確な聞き取りと適切な調査が行われているか?

A  調査員は市町村職員と介護支援専門員(ケアマネージャー)のどちらが適任か

B  調査員に求められる資質

  経験、スキル、理解力など。また資格基準は必要か?

 

4,一次判定用コンピュータソフト

@  痴呆における逆転判定痴呆老人の要介護の現実との不一致

   独居老人と家族同居の老人/日差・時間差で現れる痴呆/徘徊と独立歩行

 *逆転判定‐「自立度」の低い人が、介護時間が短くなること

  ・限定的な調査・評価による認定基準 

   −高齢者を一義的に捉えている

 −痴呆症状について十分な調査が行われていない

A  コンピュータソフトの中身

 (@)要介護認定モデル事業

 (A)要介護認定の基準は介護にかかる時間

 (B)要介護時間の長さの「ものさし」は分かりにくい

   〈樹形図〉〈中間評価項目〉

 

5,これからの要介護認定

今後、一次判定と二次判定はどうあるべきか

 @一次判定廃止

  ・現在の二次判定で個別判定のみによる介護認定をする。

  ・認定審査員の問題(報酬・育成など)

 A一次判定存続

 ・コンピュータソフトの見直し(データの拡充と強化)

  ・訪問調査の均一化と時間延長

  ・痴呆老人用の新判定基準(新ソフトの開発など)

 B二次判定の重視

  一次判定に牛耳られる二次判定を重視し、審査・認定を的確に、個別化させる

  (現状としって、一次判定の結果は、各市町村自治体が独自に利用できるようになっ

   ているが、多くの場合、二次判定は一次判定結果をそのまま認定結果としている。)

 

 要介護保険制度の存在自体に多くの疑問と問題はあるが、すでに日本がかかえる「高齢化社会問題」に今後も取り組んでいくなかで、現在の要介護認定制度をまず見直してみることは重要であると考える。しかし、現在の制度は問題とのバランスがあまりにも不均衡である。この問題は今後も常に変化していくもので、なおかつ社会生活に促したものであるため的確で迅速な対応が求められる。国民の「高齢化社会問題」への認識と、問題に適した制度との理想的なバランスをまず考えることが必要ではないだろうか。