龍谷大学脇田ゼミ分科会議事録 

テーマ:ホームレスをめぐる問題

 

<鈴木(静大)>ホームレス問題の論点とは?

<山本(龍大)>ホームレスの保護については、2001年3月2日厚生労働省社会・援護局保護課生活保護関係全国係長会議資料(資料7)にある方針が出されているが、私たちとしては生活保護をしてから自立支援センターなどで保護をしたほうがよいと考え、そのことを論点にしています。

<西山(市大)>自立支援センターに入所する前のホームレスに生活保護の適用は可能か。

<山本>生活保護の費用負担は自治体が1/4負担しているが、大阪市はホームレスが一番多いため金銭的に厳しいが適用すべきだと思います。

<北原(龍大)>ホームレスが増えている理由に、高齢での入居拒否や民間アパートで病気により立ち退きを求められるなどもあると思うが、それを防ぐ方法は?

<山本>病気で家から出されるというのはホームレス対策ではなく家主との契約の問題だと思います。

<北原>新しい仕事を始めるときに家がないとホームレスにならざるをえないのでは?また、収入が年金だけの人はホームレスになるのでは?

<山本>そういった人は福祉事務所に申請をして生活保護を受けるべきです。

<北原>そうなると生活保護受給者が増え、財源がさらに厳しくなるのでは?生活保護の前に何か処置できる制度はあるのか。

<濱畑(龍大)>公営住宅などでは優先枠があり、高齢者などが野宿生活にならないようにしている。

 

・各大学の近くでのホームレスの状況は?

<金大>駅で寝ているのは知っているが、実態があまりよくわからない。

<市大>人数は増えてきている。駅や道路、公園などにテントを張って住んでいる。冬場は寒いので夜中歩いて昼間に寝ている。仕事は、空き缶拾いをしたり支援センターで日雇いの仕事を探して、働いたお金でシェルターに泊まったりしている人もいる。

<立命>京都では河原町周辺で見る。店が閉まってからダンボールなどを持ち出している。増えているとは感じないが、実際は増えていると思う。

<静大>駅に近くなるほど整備されているので夜集まってくる。昼は近くの公園にいるようだ

<龍大(田中ゼミ)>瀬田や大津のあたりでは見たことがない。

 

<濱畑>全国的に広がっているが、昼間などの実態などは目にすることが少ない。どういう人がホームレスになっているのか。資料2・3にあるようにホームレスになる前は、簡易宿泊所に泊まっていた古典的な日雇い労働者や野宿者であったり、最近では正社員などが直にホームレスになることも増えています。

< (立命)>この状況は不況としかいいようがない。大きい会社の人も小さい会社の人も、野宿生活者になる可能性は誰にでもあるようになったと思う。

<山本>不況になって10年、ホームレスの人が増えているが、自立するにはどうしたらよくなるのか。

<林(静大)>報告では、現状の自立支援センターなどで保護したあと生活保護を支給するのではなく、生活保護をしてから自立支援センターなどで保護をしたほうがよいという意見だったが、生活保護を受けるのは難しいので先に施設などで保護したほうがよいのではないか。

<山本>支援センターには入所者数に限りがあるし、ホームレスの人の中には共同生活を嫌う人やプライバシーの問題などがあるため、そういう人たちも平等に保護するためには生活保護を早い段階で受けられるほうがよいと思います。

<濱畑>住所がないと生活保護が受けられないのか。

<林>現状を見ると生活保護が受けれたらいいが、住所がないため受けられないという問題もあり難しいと思う。

<山本>自治体で受給を制限していることが多く、これらの自治体は生活保護法の主旨に反しているので、これらを改善していかなければなりません。実際、住所がない人が保護を受けるのは難しい。生活保護法第19条1項により、生活保護を受けにくいという現状はあるが、受けられないということはない。

<濱畑>では、どうすればよいのか。

<山本>国と自治体に負担を求めたらよいのではないでしょうか。

<濱畑>現在地主義をとり、ホームレスに生活保護を適用させることはできないのか。もちろんそのことでも財源が必要になるが。

 

・自立支援事業について

< (龍大)>自立支援センターは6ヶ月で出なければならないのか。

<山本>原則としてはそうだが、仕事や住む場所がどうしても見つからない場合、入所したままという人もいます。

<鈴木>この支援の目的は就労を支援することなのに、なぜ決まらない人がいるのか。

<山本>就労が決まっても続かないという現状があるからです。

<高橋(立命)>平成12年度から順次開設とあるが、開設状況はどうなのか。

<山本>東京はわからないが、大阪は3ヶ所のまま増えていません。

<濱畑>施設には入れるのは、1万人のうち300人という定員とホームレスの数に大差があり入所を待っいてる人が多い。ホームレスの人が自立して安定した生活を送るためには就労が必要だが、病気や社会状況などの壁で対策がなされているが就労することが難しい。ホームレスに対して誤った認識があって、国もホームレスが人間らしい生活をするために施策を行っているが、効果的に機能していないのが現状です。

<国京先生>民間支援についてはどうなっているのか。民間支援団体のホームレス対策はかなり活躍している。炊き出しや夜間のパトロールと聞き取り調査などを行っている。これらの民間団体と行政との関係、あるいは有機的な取り組みについて具体的にどうなっているか。

<山本>大阪市では高齢者特別清掃事業という、市が民間に委託して高齢者などに清掃をしてもらい、賃金を支払うという事業があります。高齢者のために作られたものですが、毎年求人が増え1995年度に比べ30%増加しています。これはNPO釜ヶ崎が発案し、雇用を作り出したものです。

<国京先生>では雇用を作り出すしかないのか。

<山本>ホームレス問題は生活を保護するだけではなく、失業者対策も必要となっています。

<国京先生>ホームレスになったときの受け皿も作る必要があると思います。

<濱畑>新宿では同世代の子が野宿生活をしています。学生も就職が決まらず親の援助がなくなったら他人事ではなくなる。仕事を簡単に解雇させないとか、大阪市の特別清掃作業など雇用を創出する努力が必要である。どうやって仕事につくか、この状況を改善するかを自分の問題としてとらえていく必要がある。