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今月のことば

2017年8月 国際理論心理学会

 今年の夏は雨が多くて蒸し暑く、真夏の太陽がさんさんとかがやく晴天が少なかったようです。ベランダの日よけに植えたゴーヤもつると葉はぐんぐん伸ばしても、大きな実はあまり成りませんでした。
 例年の夏は、ヨーロッパなど海外の学会に出かけることも多く、お盆などいくつかの行事が重なって、あっという間に終わってしまうことも少なくありませんでした。
 今年は、いつもとは違いました。8月21日-25日に立教大学で開催された国際理論心理学会の基調講演を頼まれたこと、そして8月末から9月にかけて、日本質的心理学会や日本心理学会など学会が続けて開催されること、いくつかの原稿の締め切りに追われたこともあって、今年の夏は、あまり外出しないで、じっとがまんの子でした。
 国際理論心理学会(ISTP)では、初日の最初に1時間半の基調講演"Time and the Life Cycle: Visual narratives and cultural representations"をしました。以前にローザンヌで開催されたヨーロッパ心理学会の基調講演のときも、初頭講演を頼まれましたが、責任が重いと考えて別の日時に変更してもらったことがありました。今回はそのときの反省もあり、引き受けることにしました。
 初めてだったので学会の雰囲気もわからず緊張しましたが、そのおかげで、あとの懇親会などで海外から来た多様な分野の研究者から「おもしろかった」「感動した」と声をかけていただき、コメントも多くいただいたので、よかったと思いました。
 この学会では、きびきびと若い人たちが運営に携わっていました。何よりも印象的だったのは、若い日本の研究者たちが堂々と臆することなく、自分の意見を英語で主張し、海外の研究者と対等に対話している姿に出会ったことでした。
 特にうれしかったのは、西田幾多郎や和辻哲郎など、日本の思想や発想を日本語で読むよりもクリアーに英語にして、海外に向かって発信している哲学系の研究者に出会えたことでした。私も日本文化の核心にある思想を、自分たちのためにも説明し、本質的なところで海外に発信して、同じ基盤で交流できるといいと長年考えてきました。未来が明るいと感じました。次世代の若い力におおいに期待するところです。
 学会から帰ったら、ちょうど新しい雑誌「こころの科学とエピステモロジー」の創刊準備号が発刊されていました。これにも私は「ビジュアル・ナラティヴ-時間概念を問う」を掲載しています。「こころとは何か」「自己とは何か」「意識はいつ発生するのか」など、根底的な問いに対して、学際的に議論できる場ができたことをうれしく思っています。仕事三昧でしたが、充実した8月でした。

(写真)立教大学 国際理論心理学会(ISTP)のポスター



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