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私の専門分野である「近世」は一般に、織豊期(織田信長・豊臣秀吉の時代)と江戸時代を指します。ところが、自明に思えるこの考えにも、いくつかの問題点があります。 まずは、時代区分の問題です。近世は英語にすると「early modern」であることから分かるように、元々は近代の前史として位置づけられ、独立した時代とは捉えられていませんでした。よって、中世や近代との境目はいつか、そもそもそうした区分自体が適切なのかを考える必要があります。 また、ひとまず冒頭のように時代を区切ってみた場合でも、近世の特質は何か、というのが次の問題として立ち上がってきます。かつては兵農分離・石高制・鎖国などの構成要素が重視されていましたが、最近ではそうした見方への再検討が進められています。中世や近代との違いは何か、近世の中でもどこに画期を置くべきなのか、古今東西の研究者たちが喧々諤々の議論をしているのです。 私も統治者と被治者の距離感に焦点をあて、近世の国家や社会が形成されてくる過程と背景を探る道半ばの研究者の一人です。皆さんも一緒に、「近世とは何か」を考える旅をしてみませんか? |
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