5月13日    白井 勝也氏

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JASRAC寄付講座

コンテンツ産業論 I
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第四回目は、株式会社小学館専務取締役の白井勝也氏より「コミック・ビジネスーまんが・漫画・MANGA−」をテーマに講義が行われた。(以下はその要約)


<映画・アニメ・ドラマに原作使用される「コミック」>

 ここ数年、『海猿』や『NANA』など「コミック」を原作とした映画やアニメの人気が出ている。この「コミック」を原作として使用するメリットは、人気のあるコミックは魅力のあるキャラクター、ストーリー、世界観が出来上がっている、また、すでに数百万人の固定ファンがいる、商品企画が立てやすい点などがあげられる。そして『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』を始めとするテレビアニメ視聴率TOP15のうち、10番組がコミック原作作品であることからわるように、質量ともに日本のテレビアニメを支えているのは「コミック」と言える。また、ドラマ化する際に役者の役作りにも大きく貢献している。原作が小説の場合、すべて読む為には時間がかかるが、マンガであれば読みやすいうえにイメージも沸きやすい。

<ヒットアニメをつくるための重要ポイント>

代表的なアニメのキャラクターと言えば「ドラえもん」が上げられ、「ドラえもん」と言えば2005年の大幅リニューアルが記憶に新しい。1979年から26年間にわたり同じ声優で放送され、リニューアルによって人気が落ちるのではないかと心配されたが、初回視聴率は16%を獲得し「ドラえもん」のパーマネントキャラクター(時代に左右されず、永遠に生き続けるキャラクター)は不動のものとなった。
 ヒットキャラクターの見極め方については、キャラクターを塗りつぶして影絵のようにしても判別できるか、キャラクターを判定できるポーズや音があるか、グッズを集めてみたくなるか、簡単に画けるかといった点があげられる。

<日本のアニメーションの概況>

 日本の「コミック」文化は、1959年に『少年サンデー』『少年マガジン』が刊行され、1963年にテレビアニメ(『鉄腕アトム』)が本格的にスタートし、現在では約7万タイトルのコミック作品があり、毎月1億2千万部のコミック雑誌や単行本が発売されている。世界的に見ても、日本製アニメ―ションが65%のシェアを保持している。
 一方、海外展開において日本アニメの課題も見えてきている。一つ目に、2Dは時代遅れで3Dへと展開しなければならない。二つ目に、海外では著作権法の違いにより、メディアミックスの成立が難しい。三つ目に、文化・宗教の違いにより、作品内容に修正が必要である。四つ目に大きなライバル国(フランス・韓国のプロダクション)の出現である。日本としてはこの四点を踏まえつつ、日本アニメの長所を生かして海外展開を考えていく必要がある。