5月27日    須藤 晃氏

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JASRAC寄付講座

コンテンツ産業論 I
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第六回目は、有限会社カリントファクトリー代表の須藤晃氏より「デジタル時代の音楽ソフトの創作とアーティストの存在」をテーマに講義が行われた。(以下はその要約)

<エンタテイメント>

 エンタテイメントには、“娯楽・もてなす”という意味があり、今エンタテイメント事業が流行っているのは大衆が“もてなされたい”と思っているからである。“もてなす”とは“求めていることが得られること”であり、クリエイターにはこのエンタテイメントが要求される。
 手塚治を例に挙げると、手塚治と言えば「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」が有名で清く平和なイメージが強いが、実は手塚治が本当に書きたかった作風はシリアスなものであり、他の手塚作品は暗くシリアスな作品ばかりである。しかし、手塚治には大衆のエンタテイメントに答えなければならないという宿命があり、うさんくさいヒューマニズムを書かざるを得なかったのだ。
 また、尾崎豊においても尾崎豊があれほどまでにブレイクしたのは、尾崎豊の“自分の人生観を歌うシンガーソングライター”というスタイルがその時代に求められていたものだったからだ。ゆえに、今の時代に尾崎豊が生きていたとしてもきっと流行らなかったかもしれない。それは今の時代が“人生観を歌うシンガーソングライター”を求めていないからだ。ブレイクするのはその時代の風潮や色々なものが合わさった奇跡のようなものなのだ。

<音楽コミュニティサイト>

以前はストリートやライブハウスで名詞を渡したり、多大なお金をかけてオーディションを行って人気アーティストを見つけ出したが、近頃は“音楽コミュニティサイト”という媒体が出現した。“音楽コミュニティサイト”とは、誰でも自由に自分の作品(曲)をアップロードできて、聴衆に無料で聞いてもらえるというサイトだ。今まで多大なお金をかけて行っていたことがパソコンを使うだけで無料で出来てしまうのだ。さらに“音楽コミュニティサイト”は、アップロードされた作品に賞を与えたり、プロのコメントを載せたり、楽器・音楽学校の紹介などをして、どんどんと大きなサイトに成長している。
 今までの決められたルールが破られているのではなく、新しいルールが決められているという感覚だ。

<プロデューサーになる為に>

 プロデューサーになる為には、人が何を求めているのかを感じとる力が必要だ。その人の特別なところを探すのでは無く、その人が他の人と共通しているところを探し磨くことが重要で、つまりは平凡な人が売れるということだ。プロデューサーはイメージビジネスで、虚像・イメージを売る仕事だ。先の話と合わせると、人の一般性を売るのが仕事だ。盲点なのだが、自分だけが好きなものではなく、みんなが好きなものだから売れるのである。
 変化の激しいデジタル時代の中で、あなた達がどのように働いていくのか期待している。