6月24日    柳珍 桓

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JASRAC寄付講座

コンテンツ産業論 I
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 第十回目は、駐日韓国大使館韓国文化院院長の柳珍桓氏より「韓国の文化コンテンツ産業政策―韓国政府の支援体制及び内容―」をテーマに講義が行われた。(以下はその要約)

<韓国の文化コンテンツ産業政策のはじまりと発展>

 文化コンテンツ産業は、「文化コンテンツの開発、政策、清算、流通、消費及びこれらのサービスと関連する産業」と概念付けられる。21世紀は、文化産業から各国の成敗が決定し、最後の勝負どころが文化コンテンンツ産業であると言われており、文化コンテンツ時代が到来したと言える。
 韓国コンテンツ産業政策は、1994年に文化産業局が新設されたのが始まりで、それまでの韓国政府は「文化コンテンツ産業規制政策」をとっていたが、新しい文化コンテンツ産業ジャンルの浮き沈みとの連関や、著作権関連政策へ重い比重がかかっていることなどから、「文化コンテンツ産業支援政策」をとるようになった。そして現在特に力を入れているのが「専門マンパワーの養成」で、映画アカデミー、ゲームアカデミーなどの専門機関や、韓国科学技術学院(KAIST)文化技術大学院、ソウル大学校経営大学‘文化コンテンツグローバルリーダー‘過程などの専門教育機関が設立された。

<新しい文化コンテンツ産業政策領域の拡大及び支援>

 韓国の文化コンテンツ産業政策では、過去には注目されなかった分野が新しい文化コンテンツ産業のジャンルとして定着するように積極的に支援されている。そしてその成果物が、ゲーム産業・キャラクター産業・漫画産業・公演産業である。特にゲーム産業は、以前は「青少年層の娯楽・遊び」という消極的なイメージであったが、現在では新コンテンツと先端技術が結合し、“先端産業”として位置付けされるまでになった。

 <韓国の文化コンテンツ産業の現況とビジョン>

 2004年の韓国の文化コンテンツ産業は、総売上規模が500,599億ウォン(前年比11.3%増)、輸出規模が939百万ドル、輸入規模が1,634百万ドルであり、輸出を上回っている。それぞれの比重を見ると、輸出は出版社・キャラクター産業、輸入は広告・出版となっている。今後の目標は、文化コンテンツ産業の世界市場占有率を2010年までに45%に上げることである(2003年度1.5%)。目標を達成するために、「コンテンツ創作の活性化」や「文化コンテンツ産業のインフラを拡充」などの育成戦略が考えられている。

 <韓国と日本の文化コンテンツ産業の協力の方向>

 最近の日韓文化交流の活性化により両国の国民の間の価値観と情緒、美的感覚における共感領域が拡大している。今後も日韓両国がお互いに長所を積極的に活かしながら、文化コンテンツ産業における実質的な協力をより拡大していく必要がある。そして、このような日韓両国間の多様な文化交流・協力の努力がなされ、またその成果が積み上げられていく時、日韓関係の未来は明るく切り開かれてゆくであろう。