7月15日    反畑 誠一氏

トップ アイコントップページヘもどる

JASRAC寄付講座

コンテンツ産業論 I
直線上に配置
直線上に配置

第十三回目は、今年度コンテンツ産業論を担当されている反畑誠一氏より「コンテンツ産業論I〜学習成果とその活用〜」をテーマにこの講座の総括が行われた。(以下はその要約)

<コンテンツ産業論の概念>
 コンテンツ産業とは、米国では「エンタテイメント産業」、英国では「Creative Industry,そして日本では「コンテンツ(情報の中身)と知的創作物の折衷」と概念付けられる。

<デジタル技術と情報革命>
 1971年のインターネットの開発は、産業革命や鉄道革命、重工業革命、製造業革命と同じく「革命」に位置づけられる。この「情報革命」は、産業革命より重要な転換をもたらした。転換の代表例は、インターネット(ARPANET)が導入したコンピュータ・ネットワークや、マイクロソフトやインテルの登場である。また、今後もいくつかの転換が予測される。1点目に、21世紀の最初の2030年間に経済に深い変質が起きるであろう。2点目に、知的に交信が始まり、プリミティブだが経済の神経ができ始めるであろう。3点目に、想像もしなかったような新しい産業が勃興するであろう。4点目に、21世紀の最初は米国がリードするが、技術は世界に拡散するであろう。5点目に、情報革命は、筋肉もエネルギー(産業と鉄道革命)も供給せず、供給は神経系であろう。
 この重要な転換に最初に気づき、創業7年で大成功を収めたのがグーグル(Googl)という企業である。グーグルは、メディア産業においては、良質な研究材料である。今後の皆さんの研究テーマには、「相手に不足無し」と言える。

<国際条約締結状況(著作権)とアジア>
 著作権とは、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属する創作物(著作物)を、著作者が独占かつ排他的に支配し、さらに複製化(翻訳、映画化、放送、興行等を含む)する権利を言う。ベルヌ条約では、財産権と人格権も含む。
 著作権と共に重要なのは、著作隣接権である。著作隣接権とは、実演家(演奏者、歌唱者のほか漫才、落語、奇術等の演奏を含む)、レコード製作者、放送事業者等がその演技や製作物に対して有する権利を言う。1961年の隣接権条約(ローマ条約)で制定され、日本では1970年に著作権法の全面改訂で、著作隣接権が新たに認められた。実演家は録音権と録画権を、レコード会社は複製権を持つことになり、2次使用料請求権を認められた。放送事業者も放送の録音権・再放送権が認められた。保護期間は当初20年間だったが、その後30年に改定された。日本は、198910月に隣接権条約に加入した。
 現在著作権に比べて、著作隣接権はあまり知られていないのが現状である。しかし、携帯電話の普及やインターネットと通信の融合など、著作隣接権に関わった問題が多く出てきている。ゆえに、皆さんには著作隣接権について理解を深め、今後問題を解決に導かれることを期待している。