JASRAC寄附講座

コンテンツ産業論T

〜クリエイティブな現場からコンテンツのプロデュースを考える〜
立命館大学産業社会学部

4月10日

「開講オリエンテーション」

堀之内部長 写真
堀之内部長

まず最初に、JASRAC文化事業部部長の堀之内清彦氏よりあいさつがあり、JASRACが著作権思想の普及を行なったり、無料のコンサートを開いて音楽文化の振興を行なっていること、また音楽療法の開発などの社会貢献事業を行なっていることの紹介があった。こうした事業の一環として、立命館大学への寄附講座設置が行なわれたことを説明された。
 そして、日本の知的財産戦略やコンテンツ産業を取り巻く社会の動きについて話があり、「学生は卒業後必ず著作権に関する問題に巻き込まれる」と本講座を受講する意義を語った。

続いて「最初に貸しレコードビジネスを始めたのは学生だった」という話題から立命館大学功刀教授の講義が始まった。(以下、講義の要約) 

レンタルCDの普及やそれに対する音楽業界の反発という歴史があり、結局両者の間を取って「貸与権」という法律ができた。そこで問題になるのが新古本やマンガ喫茶、図書館など、「本」についてはどうなのかということだ。「ある図書館が『ハリーポッターと賢者の石』を80冊そろえた。そこに貸し出しを希望すると、『6ヶ月後になります』と言われる。計算してみると2000人の読者に貸し出されたことになる。その何割かであっても本来売れるはずであったものが売れなかった。さらに、新古本やマンガ喫茶なども新書の販売に影響を与えている。これらは著作権の侵害ではないか」との指摘があった。こうした事例を通じて身近にある著作権の問題状況について概観された。

功刀教授写真
功刀教授

また、愛知万博のポスターは米国アーティストの模倣ではないかという新聞記事(2004年2月16日朝日新聞)や女子十二学坊がシンガポール人作曲家の曲を無断使用という新聞記事(2004年2月26日)と、後に訂正した記事(2004年3月31日)を紹介、最近の音楽著作権の問題を考察した。さらにディズニーが所有するミッキーマウスなどの著作権が2003年に切れるはずだったにもかかわらず、法律が変わって2023年まで権利が延長された例などを挙げ、著作権をめぐる法的問題を解説した。
 そして、著作権を保護することにより著作者の権利が守られるが、一方で著作権を早く解放することによって文化が盛り上がるという側面があることが指摘された。

現在、音楽産業はどんどんその規模が小さくなっている。これまであったレンタルの問題に加え、ダウンロードによる音楽配信が広がることで、さらにCDの売り上げが落ちることが懸念されている。しかし、携帯電話の着メロ著作権料が増加していることを挙げ、インタラクティブ配信というコンテンツ産業が発達してきている現状の紹介もあった。そして、 「音楽産業の全体が落ち込んでいる今こそ、何ができるか考えて音楽産業を盛り上げてほしい」と学生に期待を語った。


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