JASRAC寄附講座

コンテンツ産業論T

〜クリエイティブな現場からコンテンツのプロデュースを考える〜
立命館大学産業社会学部


7月3日

反畑 誠一 「東南アジア音楽産業の特性とJ-POP人気の現況」

アジア圏に海外旅行に行った際、必ずと言っていいほど目にするのがJ-POPのCDではないだろうか?その品揃えの豊富さと価格の安さに驚き、大量に買い込んで帰ってきた経験のある人も多いはず。この現象はアジアでのJ-POP人気の高さを物語っている。同時に、その異常な安さは、それが海賊版であったからかもしれない。東南アジアという地域で音楽ビジネスを展開するにはどんなことが問題であるのか、反畑氏は過去・現在・そして未来について語ってくれた。

まず本題に入る前に「エンターテイメントの市場を計る際、その国の面積・人口・文化・宗教などを見なければいけない」と説明し、東南アジア各国の基本情報を説明。

反畑氏が語った東南アジアでのJ-POPの現状は日本の常識とは大きく異なるものだった。韓国の音楽著作権協会であるKOMCAとJASRACとの相互管理契約ができておらず、2004年10月にようやく締結予定であること。中国ではつい最近になってようやく日本の音楽が解禁されつつあるが、コンサートの際観客は絶対立ってはいけないということ。芸能人の地位が低く、韓国の有名芸能人でも芸能活動をしながら大学や大学院で学んでいること。反畑氏はこうした現実を語った上で、「アジアのことを考える時、日本の尺度で物を考えると必ず実態が見えなくなる」とグローバルな視点が必要であることを学生に伝えた。

東南アジアにおける海賊盤と不正コピーの問題は深刻だ。中国の関係者が「1枚の正規盤のCDの裏には10枚の海賊盤がある」と語ったことや、台湾では日本盤・現地盤・海賊盤の3種類が同じCDショップに並んでいる。また超高速インターネットの普及とIT教育の発展が不正コピーの温床になっていることなど、アジアの実状を紹介した。その上で反畑氏は「不正コピーの問題に対応するため、アジアの国々が協力して研究機関を作るべきだ」との持論を展開した。

反畑誠一写真

「歴史・伝統文化・生活習慣などを多角的に捉えると、音楽文化の違いが明確に出てくる」

「取り締まるという考え方よりも、作ったものを聞かせてもらう、楽しませてもらうっていう考え方の中で使用料を発生していかないと産業は栄えない」




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