※講演の内容に関しては、主な内容の抜粋となっております。また、用語に関しては担当者が適宜注釈を付けていることがあります。
亀田 誠治氏(音楽プロデューサ)
1964年 6月3日 ニューヨーク生まれ
椎名林檎、平井堅、スピッツをはじめ、Do As Infinity、SOPHIA、YUKI、スガシカオ、平原綾香、175R、Puffy、山嵐、松千などのプロデュース&アレンジを手がけている。
2002年からオリコン誌に「ヒットの理由〜神のみぞ知る」を連載中。
2004年夏より、椎名林檎らと東京事変を結成。
小学生の頃から音楽に親しみ、ラジオのヒットチャート番組が大好きでした。作曲をしたり、作詞家を選んだり、歌入れをしたり、PVの監督選びをする。アーティストのレコーディングの1つ1つの作業に深く関わっていくうちに「プロデュースしてもらいたい」と依頼される事が増えてきました。プロデュースという仕事はレコーディングに関わるすべての事を扱う仕事です。今日は音楽が作られている最前線の現場でどのようなことが行われていて、作品がどのようにヒットしていくのかをお話していきたいと思います。
年間CDシングルチャート1位の売り上げ枚数の推移を見てみましょう。
この年19枚のミリオンセラーが出る。
売り上げ枚数は96年度に比べ減少したが、この年は「最もCDが売れた時代」と言われる。1996年度あたりのブームの余波で音楽業界全体が底上げされたため。
さらにCDの売り上げ数は減少。ただしこの売り上げにはダウンロード配信は含まれていない。ダウンロード配信は急速に伸びているが、音楽を聞く人の数、音楽の需要に変化はない。
ヒット曲とは「ある特定の時期に他の作品よりも(相対的に)売れている曲」と定義できます。ではどのようにしてヒット曲は生まれるのでしょうか。
(1)フレッシュネス
(2)リアリティ
しかしこの二つを満たすアーティストに出会えるのは非常に稀ですので、ここで“プロデュースをする人”が必要になってきます。不完全ではあるが何らかの可能性が感じられアーティスト、将来輝くであろう原石を見つけ、楽曲のパワーや宣伝など様々な手法で総合力を上げていくのがプロデューサーの仕事です。
(1)メロディーコードのツボ
特にJ-POPの中では“泣き”や“切なさ”を感じさせるコード進行が好まれる。(例)「瞳をとじて」平井堅
(2)歌詞のツボ
上記(1)と(2)を兼ね備え安定して売れ続けているアーティストは、CDショップもリスクが少ないので積極的に店頭で売り出す。それがまた売り上げにつながる。(例)サザンオールスターズ・スピッツ・B'z
最近ではコミックや小説などの原作から多方面に広げるという方法が主流。10年程前のCMタイアップ主義とは違い、様々な形での情報の刷り込み回数を増やし作品の印象をインプットしていく。(例)「NANA」・「ハチミツとクローバー」・「タイヨウのうた」
現在音楽業界は過渡期にあり、CDからダウンロード配信へと人々が音楽を手に入れるメディアは急速に移行しています。楽曲をみなさんに提供する側として、注意深くその方法を組み立てないとみなさんのもとにいい音楽が届いていかないという状況が生まれてしまいます。今後も自分の音楽性の高さを信じ、より多くの人が感動できる楽曲を作り、届けていきたいと考えています。
『誠屋』(亀田氏の詳しいプロフィール、ディスコグラフィなど)
「SHORT CUT AUDITION」ポッドキャスティング(東芝EMIによる次世代アーティストの発掘・育成を行うオーディションの選考過程のポッドキャスト。注意:インストールされている場合、iTunesが起動します。)