※講演の内容に関しては、主な内容の抜粋となっております。また、用語に関しては担当者が適宜注釈を付けていることがあります。

第9回 講義概要

講師紹介

品川 惠保氏(株式会社ユーキャン代表取締役会長)

昭和46年3月 立教大学 経済学部 卒業

昭和44年4月 (株)日本通信教育連盟入社(現ユーキャン)

昭和55年6月 (株)国際文化カレッジ 理事長就任

昭和55年12月 (株)日本通信教育連盟 代表取締役就任

平成16年5月 (株)日本通信販売協会 会長就任

講義:「生涯学習とダイレクトマーケティング」

1.ユーキャンの事業展開

ユーキャンは「通信教育事業」「文化出版事業」「音楽出版事業」「コミュニケーション事業」の4つの事業を展開しています。「いつでも、どこでも、だれでも」をキーワードに、時間的・空間的に制約を受けずにだれでも学ぶことができる現代に合った学習方法として、160講座を開講し年間80万人が受講しています。通信販売と言うとカタログ通販やテレビ通販を思い浮かべる方も多いと思いますが、通信教育も通信販売に含まれます。雑誌や新聞、インターネット等で広告し、郵便や電話で申し込みを受けて販売するシステムです。

2.通信販売の売上推移

日本の通信販売の売り上げは統計を取り始めた1992年からおおむね右肩上がりが続き順調に推移しています。驚くべきことに「失われた10年」と言われるバブル崩壊後マイナス経済成長が続いた1992年から10年間をとっても年率で4.3%の成長を示しています。景気が回復した昨今、2004年には3兆400億円、2005年度は3兆3600億という売り上げを記録しました。なぜ通販がこれほど受け入れられているのでしょうか。その理由の1つは、サントリーや花王、味の素などの大手メーカーあるいは固有の商品を持った企業、例えば健康食品、化粧品、産地直送品などのあらゆる業種が通信販売を手がけるようになったことがあります。さらにそれらの商品を販売する手段としてのメディアが多様化したこと。テレビの多チャンネル化や、インターネットやモバイルといった今までは申し込みの手段でしかなかったものが媒体へと進化して情報発信の選択肢が広がりました。こういった情報メディアの発達あるいは交通網や運送手段の進展と同時に忘れてはならない要素が口コミです。口コミはインターネットの普及に伴い急速に広まりました。また、現在の社会は多価値化時代と言われ、個人のニーズの多様化が多商品化を招き、個人というものが非常に重要なターゲットとなっています。一人ひとりを丁寧に観察し、それぞれのニーズを察知する。この点においてもダイレクトマーケティングはもっとも適したビジネスではないかと思います。

3.ダイレクトマーケティングの定義とプロモーション方法

通信販売には「誰かに何かを直接売り込むこと(ワンステッププロモーション)」と「誰かに自分は興味を持っていることを名乗り出させること(ツーステッププロモーション)」という二つの定義があります。これに「ダイレクトメールによるプロモーション」を加えた3つの展開で私達はビジネスを行っています。ワンステップ型のプロモーション方法は、例えば当社が販売している音楽ソフト「JET STREAM」のカタログを新聞チラシに折り込み、テレビCMを折り込みの前日、当日、翌日と3日間放送します。メディアの多様化の中で逆に消費者の各メディアに接触する時間が減っていますので、心理的に「このようなものがあるのでぜひ新聞を見てください」と宣伝し折り込みへの関心を高めます。また新聞広告を使ったツーステップ型のプロモーションは、例えば読売新聞の1ページに通信教育の講座の案内を載せます。全国で1千万部を発行する読売新聞ですから1千万人に対して興味のある人に資料請求はがきを送ってもらうアプローチができます。この場合も広告を掲載する当日と前後の3日間、テレビCMを放映します。資料請求はがきを出した人に対してはその個人名を入れた資料を送るなどパーソナライズされたアプローチを行います。現在、資料請求の15%、講座の30%がホームページを通して申し込まれておりネット社会の広がりを実感しています。様々なタイプの商品を試作して商品力のあるものを選別したり、どういった商品が望まれているのかをマーケティングしながら開発・販売を行っています。私達ユーキャンの事業活動はこういったダイレクトマーケティングという営業手法により、文化・エンタテインメントの分野はもとより教育についてもよりよい教材内容、指導方法によって価値を見出すコンテンツビジネスそのものと言えるのではないかと思います。

関連情報

社団法人 日本通信販売協会

  

JASRAC寄附講座「コンテンツ産業論」(Home)