趣旨

 暴力の暗雲が世界を覆っている。20世紀は戦争の暴力が荒れ狂ったが、 21世紀もまた戦争の暴力によって幕を開けた。戦争は最大の暴力である。 だが、戦争が終わっても、問題は解決しないだろう。 暴力はすでに人間の生活全体のなかに深く住み着いているからである。 暴力が人間の存在規定と不可分であるという認識は、すでにわれわれの実感そのものとなっており、 これを疑う人はもはやいないだろう。そして、この認識が正しいものであるかぎり、 暴力現象の解明は、その深さにおいては、人間そのものの解明でもある。
 この暴力現象を人間存在の問題として多角的に研究していきたいと思う。  この研究のために、暴力論研究会を立ち上げる。


メンバー
谷 徹 (代表)
服部 健二

谷 徹

研究課題
 現象学・現代哲学

主要業績
 著書:『意識の自然』(勁草書房)
     『これが現象学だ』(講談社現代新書)
 訳書: マーティン・ジェイ『暴力の屈折』(共訳、岩波書店)

自己紹介
 暴力という、人間が無関係でいられない問題に対して、 冷静な分析を行ないたいと思っています。


服部 健二

研究課題
 歴史における自然や個人の問題の解明。 主としてドイツ観念論とヘーゲル左派、 京都学派、フランクフルト学派に興味。

主要業績
 著書:『歴史における自然概念』(新泉社)
     『西田哲学と左派の人たち』(こぶし書房)
 責任編集:『船山信一著作集』全十巻(こぶし書房)

自己紹介
 精神障害者を排除してきた近代法や その背後にある近代的理性主義の問題を考えたいと思います。