暴力の暗雲が世界を覆っている。20世紀は戦争の暴力が荒れ狂ったが、
21世紀もまた戦争の暴力によって幕を開けた。戦争は最大の暴力である。
だが、戦争が終わっても、問題は解決しないだろう。
暴力はすでに人間の生活全体のなかに深く住み着いているからである。
暴力が人間の存在規定と不可分であるという認識は、すでにわれわれの実感そのものとなっており、
これを疑う人はもはやいないだろう。そして、この認識が正しいものであるかぎり、
暴力現象の解明は、その深さにおいては、人間そのものの解明でもある。
この暴力現象を人間存在の問題として多角的に研究していきたいと思う。
この研究のために、暴力論研究会を立ち上げる。