顧客満足論 質問への回答
(第4回)
Ⅰ. サービス業における顧客満足マーケティングの展開
● 実際に人間的運営法から科学的運営法に転換した企業の成功例があれば教えてください。
たとえばスギ薬局などはそうではないかと思われます。
● 疑似独占とはどういった状態のことをいうのですか。
市場の中で、ある特定のニーズやウォンツを持った顧客層だけが存在するニッチ(隙間)の消費をすべて独占してしまうと、市場全体ではわずかな部分ですが、確実に存在する消費を独占してしまっているという点では疑似独占といえます。
● すかいらーくグループは科学的運営方法を導入していると言えますか。中間型も含まれますか。
基本的には科学的運営方法でしょう。
● 人間的運営法と科学的運営法の両方のバランスが大切ということなのでしょうか。
単なるバランスではなくて、どちらに基礎をおくのか明確にしておく必要があるといえます。
● 人間的運営法は、働いている人達が会社に対して帰属意識があまりない場合、有効に機能するのでしょうか。
人間的運営法では、多くの場合従業員が、所属する企業に対する帰属意識や仕事に対するやりがいをもっていないと有効に機能しないでしょう。
● これからのサービス業は中間型が求められるのではないでしょうか。
そう申し上げました。
● 人間的運営法では顧客満足度が低くなるのが普通ですが、スターバックスは例外ですか。
単純にそうはいっていません。スターバックスは科学的運営法を基礎にした中間型といえるでしょう。
● 科学的運営法が愚か者の方法とはどういうことなのでしょうか。
「誰でも一定の水準のサービスができる」ということをやや極端に述べた言葉です。あまりよいたとえではなかったですね。
● どうすれば自社の企業規模から「科学的」又は「人間的」のどちらを重視すべきと判断できるのか。
企業規模からだけではなく、目指す方向性(規模拡大中しか利益率重視か)や事業の性格(科学的運営では困難な要素が大きいか否か)によっても変わってきます。
● 小規模での科学的運営方法は効果がないのでしょうか。
そんなことはありませんが、科学的運営法を導入する場合システムについて投資が必要になることが多いので、それを回収する上でも規模が必要になることが多いといえるでしょう。
● 大企業によって独占・寡占されている市場において新しく参入する企業としての戦略は人間的運営法ですか。
かならずそうだとはいえませんが、それが一つの重要な戦略であるのは確かです。
Ⅱ. ソリューション満足のマーケティング
● ソリューション満足は顧客満足を考える際に必須のものですか。
そうです。
● 二つの運営スキルとソリューション満足のつながりは何ですか。
単純にはつながっていません。それぞれ別な側面と考えてください。
● マーケティング類型における奉仕型とは具体的にどういったものなのかイメージできません。
顧客は問題の所在や解決の道筋はわかっている。提供する側は解決をどのようにすれば具体的に提供できるのかわかっていない、という状態です。ガン患者にとってはガン細胞(問題の所在)を安全に破壊できればよい(解決の道筋)ことはわかっていますが、医薬品メーカーや医師はその解決をどうすれば提示できるかわからないので、研究をしているわけです。これが奉仕型といえます。「奉仕」という言葉の日常的なイメージで考えないでください。
プレゼンについて
●顧客満足サービスの優れた企業の具体例を示す際、一番優れている企業を取り上げなければいけないのでしょうか。
「いちばん」でなくてもよいですが、できるだけ典型的な例をとりだしてください。単に眼についた事例というのではなく、普遍化できる可能性がある事例が望ましいです。