顧客満足論 質問への回答
(第8回)
1. 顧客満足をこえて
● 顧客満足を追求しているといわれるDELLの評価が下がっている原因は何だと考えられますか。
この件については情報が乏しく、なんともいえません。
● 来店回数は多いが、安い商品しか買わない客は儲かる客ですか。
来店回数が多ければ購買機会が多いので、利益率の高い商品を購買する可能性も高いといえます。また、薄利多売というむかしながらの言葉もあります。
● 顧客の思いを理解するためには具体的にどんな手段がありますか。
多様な手法で顧客意識の調査を行うことと、実際に顧客に接している従業員からの情報を重視することがまずはあげられるでしょう。しかしこれだけでは潜在顧客の感覚は把握できませんから、もっと多様なアンテナの張り方が必要になることも多いと思います。たとえば日経流通新聞を丹念に読んでいれば、いろいろなビジネスチャンスが潜んでいます。
● 紹介利益というのは、どの程度、信用や活用できるものなのですか。
こうした口コミ効果はとうていコントロールできるモノではありません。したがって、具体的な期待を持つことは不可能です。しかし、ある程度仕掛けることはできます。また、無視していると思わぬ結果を招くこともあります。
● One to Oneになるにはどうするかを考えて戦略的に経営していくことが、経営者にとって不可欠であるということですか。
すべてのビジネスでそうだとはいいませんが、一般的に必要です。
● レジュメ図1-6の矢印の意味が理解しにくいです。また、図にあるSFAとは何ですか。
2. CRM戦略
● CRM戦略は、マーケティングにおける差別化の方法の一つとして考えられますか。
単純な差別化だけではないですね。
● CRM戦略において、買う気になっていない顧客を買う気にさせる戦略は立てないのですか。
そうした戦略をたてないとは言っていません。しかし、買う気になっている顧客をつかむ法が効率的でしょう。
● 顧客が曖昧化している場合、どういった戦略をとればいいのですか。
それはこの講義全体を通じて考えてみてください。
● 顧客セグメントが錯綜している理由とは何なのですか。
それは、なぜ関係性マーケティングが必要なのか、というところで述べたのと同じことです。つまり、顧客がただ漠然と多様化しているだけではなく、一人の顧客のなかでも並行して複数の指向性があり、また時間とともに指向性が変化してもいくという多様性があることから、特定のセグメントに一人の顧客をあてはめることが難しくなっていることがあります。
● カスタマイゼーションとメタプロダクトの明確な違いは何ですか。
厳格な定義がされているわけではありませんが、あえていえば、既存の製品やサービスの内容そのものを個々の顧客ごとにチューニングするプロセスを含む場合がカスタマイゼーションで、既存の製品やサービスを組み合わせることがメタプロダクトだといえるでしょう。
● 企業を「個客エージェント」型に変えるには、IT技術は不可欠なのですか。
小規模な企業、または一つ一つの単位を小規模にして顧客に対応する場合であれば不可能だとはいえないでしょう。
● メタプロダクトとは、クロス・セリングやアップ・セリングも含むのですか。
主にクロス・セリングを中心として考えることになるでしょう。
● プロファイリングのために得た個人情報の売買は犯罪にならないのですか。
事前に個々の顧客からの了解されていない限り違法です。
● 「顧客生産価値」の四つの軸で特に企業が重視しなければならないことはありますか。また職種によって重視する軸は変わりますか。
どれかが決定的に重要というわけではありません。また、当然比重は職種によって異なります。