2002年10月16日
 
マーケティング論
−第3回 マーケティングの歴史(続き)
    経営戦略とマーケティング−
 
 
連絡
 過去のレジュメについては、当面下記のホームページに掲載します。
  http://www.ritsumei.ac.jp/ba/~kondok/marketing/02/m_index02.htm
 
5.アメリカのマーケティング史A 大恐慌期から現代
(1)1930年代
  @マーチャンダイジング〜理念と実態
    ・「マーチャンダイジング」(p43)=「作ったものを売る」から「売れるものを作る」へ
    ・実態は「計画的陳腐化」
  A「チャネル問題」の発生
    ・「チャネル(channel)」=一言で言えば流通*1ルート
    ・製造業と小売業の相克
 
(2)第二次世界大戦後〜マネジリアル・マーケティングの確立
  @「トップ・マネジメントのマーケティング」
    ・できるだけ迅速に商品を売り尽くし、早期に投資した資金を回収する必要が発生する
    ・企業経営の理念としてのマーケティング〜すべてはマーケティングから
 
  Aコンシューマリズムの高揚
    ・コンシューマリズム(消費者主義)による企業告発が、マーケティングにも衝撃を与える。
       ex)レイチェル・カーソン『沈黙の春』
 
(3)マーケティングの今日的展開
  ・コトラー*2によるマーケティング概念の拡張
1967「マーケティングとは、選定された顧客集団のニーズとウォンツ*3を利潤を得て満足させるために、顧客に向けられた企業の諸資源、諸政策、諸活動を分析し、組織し、計画し、統制することである」
1997「マーケティングとは、個人や集団が、価値のある製品を創造し、提供し、交換することによって、各々のニーズやウォンツを満たす社会的、管理的プロセスである」
  ・非営利組織とマーケティング
6.日本におけるマーケティングの導入と展開
(1)戦前の日本にマーケティングは存在したか
 
 
(2)戦後日本におけるマーケティングの導入
   ・最初はアメリカからの勉強だった
 
(3)戦後日本のマーケティングの展開
   @独自展開は高度成長期から
 
   A日本でも消費者運動の相互関係がある
 
   B石油ショック後は大きく変化
     ・国内市場から海外市場へ
     ・多様化が進む
     ・商業企業が活発化
     ・生協の成長など
 
(4)バブル以後は?
 
 
 
 
7.インターネットの普及とマーケティング(省略)
 
 
8.まとめ
  マーケティングはなにを契機に発展してきたのか
     ・生産力の増大と市場の拡大の相互関係
     ・マーケティング手法の発達と消費者運動との相互関係
 
 
U 経営戦略とマーケティング
 
1.経営戦略とマーケティング
(1)経営戦略とは
 ・経営戦略とは
「環境適応のパターンを将来試行的に示す構想であり、企業内の人々の意思決定の指針となるもの」(加護野忠男)
 @激しく変動する経営環境*1のもとでも、それに振り回されないよう企業(組織)の活動に方向性やあり方に一定の指針を示す
 A企業(組織)がその環境とどのような形で関係を持つのかを示す
 B企業(組織)における意思決定の規範を示す
 ・経営戦略はなぜ必要か
    常に変動し続ける「環境」へ適応し続けるためには、場当たりではダメ。
 ・戦略と戦術(p87)
    目的−戦略−戦術、の階層性
 
(2)戦略的意思決定
 ・H.I.アンソフの戦略論〜戦略的に物事を決めるのはトップ・マネジメント(最高経営者)
    ではその戦略的意思決定の内容とは
      @製品−市場範囲:自社の扱う事業を明確化する
      A成長ベクトル:事業展開方向の明確化
      Bシナジー:相互作用によって積極的な効果を生む(2+2=5のようなもの)
 
(3)経営戦略の展開
   H.I.アンゾフとP.コトラーの経営戦略論を基礎に考えると・・・
 @事業の範囲を明確にすることで、その事業の方向にそって組織を統合していく
     要するに、「うちは何をする会社なのか」をはっきりさせて、全体を統合していく。
 A成長戦略としてどのような方向を選択するのか、決める
     アンゾフの成長ベクトルの図(テキストp91)
 B多角化*1企業であれば、どのように自社の経営資源*2を配分し、どこを重点化するのかを決める。
     例)「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」
         (ボストン・コンサルティング・グループ。p92の図)
            ※ただし、どうしてもこうした理解の仕方は過度の単純化をうむ
 

*1流通:一般には製品を製造者から消費者まで届けるプロセスをいう。流通業といえば小売業や卸売業をさす。ただし、単にモノを右から左へ動かすことだけを指すわけではない。
*2コトラー(Philip Kotler):アメリカにおけるマーケティング論の大家。『マーケティング原理』『マーケティング・マネジメント』など文献多数。
*3ニーズとウォンツ:後述
*1:経営環境:企業などの組織が、その活動を行う上で関係してくるが自分自身ではコントロールできない組織内外の諸条件(影響を与えることは不可能ではないことが多い)。一般に外部環境と内部環境にわけられ、外部環境は法律、市場、文化などであり、内部環境とは組織構成員の価値観や組織の風土(組織文化)など。
*1多角化:一つの企業(または企業グループ)がいろいろな事業を展開すること。たとえば、私鉄企業は不動産、百貨店、遊園地など、沿線の住民を対象としたものを中心にさまざまな事業を行っている。こうした企業を多角化しているという。
*2経営資源:企業などの経営に必要なものの総称。俗に「ヒト・モノ・カネ」と言われるとおり、人材(管理者、労働者)、設備や原材料、資金がその基本である。情報を含める場合もある。