2002年1月16日
マーケティング論
−第14回 サービスのマーケティング −
マーケティングと消費者問題
補足
]V 小売業とサービス業のマーケティング(つづき)
3.小売業の業態(p232)
(1)業種と業態
・業種:食料品店、衣料品店など取り扱い品目による分類
・業態:品揃え、価格、販売方法、経営形態などを基準とした分類
(2)各種の業態(図]−8)
・百貨店
・スーパーマーケット:セルフ・サービスとワンストップ・ショッピング1)
総合スーパーを特にGMS(general merchandize store)とも呼ぶ3
・チェーンストア:複数店舗を統合的に運営するもの。
フランチャイズやボランタリーについてはVMSのところで説明した
ほかにコーポレート・チェーン2)(レギュラー・チェーン)がある
・ディスカウントストア
・コンビニエンスストア
・無店舗販売
通信販売
訪問販売
4.サービス業のマーケティング
(1)サービスの定義
「ある主体がほかの主体にとって有用な人、もの、およびシステムの機能および活動のみを提供すること」
(2)サービスの特徴
@基本的特徴としての「無形性」
形のあるものを媒介することはあっても、サービスそれ自身は無形である
A相互性
サービスは常に他への働きかけである(対象=相手がいなければ商売にならない)
B即時性
サービスは消費と生産が同時である。つまり在庫がきかない
C品質の不安定性
同じサービスが繰り返し行われる保証がない
(3)サービス業における4P
@product:かたちがない分、コンセプトが重要になる
提供プロセスが製品そのものの品質になる〜従業員政策の重要性
Aplace:立地が重要になる
Bprice:価格そのものが品質になる
Cpromotion:口コミなどの重要性
(4)リレーションシップ・マーケティング
顧客とのあいだに長期的な関係を取り結び、企業などの側と顧客側の双方がその関係から利益(メリット)を得られるようにすすマーケティングの発想。
一回きりの取引による利益の最大化でなく、長期的な関係を重視するため、「信頼」や「個別の顧客情報の把握」が重要なキーワードとなる〜「顧客から個客へ」
サービス業において、「リピーターが利益の源泉となる」という経験則から重視されるようになったが、今日ではあらゆる分野で重視されている。最近ではCRM(customer relationship marketing)という考え方が注目されている。
]W マーケティングと消費者問題
(テキスト第11章)
1.消費者問題とは
(1)消費者問題とは
生活のための消費にともなってうける何らかの被害全般をさす。
また、こうした被害をうけないための様々な活動(消費者運動)などによって、被害をうむ
危険性があるとしてとりあげられた課題も、消費者問題に含めることが多い。
(2)消費者問題を正確にとらえる
欠陥製品などはわかりやすいし、違法でもあるので告発されれば法的に対処できる。
しかし、違法でも不当でもないが、実際には消費者に被害をあたえたり、あたえかねない
ような企業の活動が実際には行われている
→これに対応するためにも、消費者運動が必要になる
2.消費者問題とマーケティング
(1)製品政策と消費者問題
@直接的な問題:欠陥製品など
A間接的な問題:計画的陳腐化など〜結果として不必要なものを買わせたり、ゴミを増やしたりする
(2)価格政策と消費者問題
なんらかの理由がある再販売価格維持制度などを除き、価格カルテルなどすべて違法であるので、これはわかりやすい。
(3)プロモーションと消費者問題
@直接的な問題:誇大広告、不当な勧誘(訪問販売やキャッチセールスなど)
A間接的な問題:広告費があまりに膨大で、それが価格にも転嫁されていること
過剰な広告によって不必要に欲望が喚起されていること、など
(4)チャネル政策と消費者問題
直接的な問題はあまりないが、大手スーパーなどの進出で商店街などがさびれ、商品の選択機会が減少したり、価格が高止まりしたりする(大手スーパーなどは、全体で見ると必ずしも価格が安いとは限らない)問題がある。
3.環境問題とマーケティング
(1)大量消費社会への反省
現瞬間の消費者の「ニーズ」を創出し、それを獲得することで利益を得る
→それはそれで間違っていないが、将来はそれでよいのか
→競争に打ち勝つために過剰な活動は行われていないのか
(2)グリーン・マーケティングの登場
「環境問題に対応したマーケティング」の二つの側面
@「環境対応」製品を販売する
A「デマーケティング」すなわち欲望を抑制するためのマーケティング活動
4.消費者運動とマーケティング
(1)消費者運動とは
消費者問題の増大に対し、消費者の側から対応しようとする運動。大きく二つの傾向
@狭義の消費者運動:消費者の側の主張を法・制度や企業の活動に反映させようとする
A消費生活協同組合(生協)などの運動:生産や流通の主導権を消費者自身がにぎること
で消費者問題を抑制し、望ましいあり方を追求
しようとするもの
ただし、厳密にわけられるものではない。
(2)消費者運動とマーケティング
@企業側の対応として:消費者の意識をいわば先端的に代表するといえ、無視できない。
社会的影響力も大きくなっている。
A消費者の対応として:一方的告発から「権利と責任」の自覚へ(p222)
1)ワンストップ・ショッピング:一カ所で全ての買い物を済ませられること。
2)コーポレート・チェーン:単一資本によって、多くの店舗について本部主導による統合的な経営が行われるもの。多店舗・大量販売・大量仕入れによって強力なバイイング・パワーを発揮する。