2004年1月8日
 
マーケティング論
−第14回 市場への対応(4)競争対応(12章)−
 
 
Q&A
 
第12回、コミュニケーション対応
0.プロモーションとコミュニケーション
プロモーションからコミュニケーションに使われ方が変わると言われていますが、全く意味が違うように思われますが、マーケティングでは同じように使われるのでしょうか。違うとすれば、どう違うのですか。
コミュニケーションは、企業から消費者へ、という方が多いのですか。消費者が企業に働きかけることはあまりないと思うのですが。
 レジュメに示したように、「情報の共有」がマーケティングで重視されるようになったことから「コミュニケーション」が用いられるようになったのです。その意味では、消費者からの情報発信を企業がどう受け止めるかも重要になっています。消費者は企業に向けて直接働きかけることはなくても、たとえばインターネットの掲示板などで典型的にみられるように、製品やサービスに対して様々な意思表示をします。これを情報として企業が把握することが重要なのです。
 
1.マーケティングにおけるコミュニケーション
マーケティングプロモーションを全く行わないほうが利益が上がる製品は存在するのでしょうか。どのような製品も何らかのマーケティングプロモーションを行わなければいけないでしょうか。
 プロモーションを「広告」や「販売促進」とだけとらえると見えてこないときがありますが、実際には消費者に対して製品の存在を伝えないということはあり得ないでしょう。
 
2.マーケティング・コミュニケーションの領域
コミュニケーションの中で、口コミの話が出ていましたが、私はよくネットで口コミランキングを見ています。そのランキングを会社が操作してランキングを上げたりして人的コミュニケーションをとることも可能だと思いましたが、それは合法的なのでしょうか。
 厳密な意味では違法です。
 
口コミで製品情報が広がることは間接的なコミュニケーションと言えるのですか。
人的コミュニケーションについて、口コミはやはり、消費者の相互作用によって作られるものなのですか。
 口コミは重要なコミュニケーションの媒介手段であり、消費者の相互作用によって働きます。
 
パブリシティの説明の中で、あるある大辞典や思いっきりテレビのことが出てきました。放送された翌日、取り上げられた商品が売れることは想像できます。ひとつ疑問に思ったのは放送後、しばらくたった後、飽きられて、再び売り上げが落ち込むことはないのでしょうか。
 それはしょっちゅうです。
 
パブリシティに関して企業側からTVや雑誌などにお願いしてやってもらっている人ですか。それともTV、雑誌側が勝手に取り上げているのですか。
 両方あります。
 
金融商品の場合のパブリシティはどのようなものが具体的な例として挙げられるのでしょうか。
 お金を作ること、ためることについてのテレビ番組(たとえば株価情報番組)のなかで紹介してもらうなどが考えられます。
 
インターネット広告にもパブリシティ効果はあると思いますが、どうも信用できません。その原因はインターネットは匿名性に特徴があるという思い込みもありますし、何より記憶し続けることが困難であるためだと考えられます。インターネット広告のパブリシティの将来性についてどう思われますか。
 パブリシティ効果のみならず、インターネット広告自体が期待されているほどの効果はないと私は考えています。ただし効果が皆無ではありません。googleの手法は参考になるでしょう。
 
ポケットティッシュを配ることは、人的・非人的コミュニケーションの両方の特性を持っているのでしょうか。
 これは単なる広告の一手段です。
 
3.コミュニケーション・ミックス
プッシュ戦略とプル戦略を同時に採用することは可能でしょうか。
 それは当然あります。テキストに書いてあるとおりです。
 
プッシュ戦略とプル戦略のデメリットはあるのですか。
 あります。プッシュ戦略は押しつけになる危険、プル戦略は広告効果の不透明さです。
 
プル戦略によってコミュニケーション・ミックスをする方法があまりイメージできません。どのような例があるのでしょうか。
 たとえば、ある病気への不安を強調するような広告やパブリシティを展開しておいて、その病気に効果のある薬を発売するなどがありえるでしょう。
 
売れる、と確信があるものは「プッシュ戦略」で、売れるかどうか確信できないようなものは「プル戦略」をするということですか。
 違います。
 
プル戦略が使えるのは新商品の時だけですか。
成熟市場ではプル戦略は有効だと思うのですが、成熟してない市場ではプル戦略はあまり効果がないのでしょうか。
 いずれも、そんなことはありません。
 
プル戦略はプッシュ戦略と違ってリスクが大きいと思うのですが、プル戦略をとっている企業は多いのですか。
 リスクが大きいとは必ずしもいえません。
 
4.広告対応
広告戦略の失敗によって製品があまり売られないような場合もあるのでしょうか。
 それは当然あります。
 
TVCMを見ていても高級ブランドのCMはあまり見えない、これは「CMをしなくても売れる」というような考えがあるのでしょうか。また、それ以外にどのような理由があれば教えてください。
 テレビ広告はマス媒体で広く多くの人に訴えるものですが、高級ブランド品はターゲットをそんなに広く考えていないので、そうした手段を用いないわけです。
 
テレビの間に放送される広告は局に広告料を支払っているが、果たしてその広告料で局は番組作成ができるのでしょうか。
 現にそうなっています。広告料がいかに莫大なものになるか多少わかるでしょう?
 
自社製品同士(以前のものと改良されたもの等)の比較も比較型広告に含まれますが。
 いちおう含まれると見てよいでしょう。
 
広告代理店の役割は何ですか。
 基本的には、広告媒体(メディアなど)と広告を出そうとする企業などを仲介する仕事です。
 
5.セールス・プロモーション対応
ポイントカードというのもセールスプロモーションの一部でしょうか。
 そのとおりです。
 
6.その他
昔auに成り立ての頃に「2位がんばれ」というセリフをCMで流していましたが、2位であることをあえてさらすことにどんな効果があるのでしょうか。
 docomoへの不満を持つユーザーを吸収しようとするなど、いくつかの理由が考えられます。
 
マーケティング・コミュニケーションの組み合わせの際に、カルチャーが非常に重要なファクターになってくると思います。例えば、アメリカと日本ではメディアに対する意識、セールス・プロモーション、広告等、カルチャーの違いがあるますよね。今までに、日本の企業が海外でのコミュニケーションミックスを誤り、失敗してしまった例えはありますか。
 あるメーカーで、製品に欠陥があった際に新聞に全面広告で謝罪文を載せたのですが、単なる謝罪だけで内容(原因の説明や責任の所在、今後の対策など)がなかったためにかえって不信をかったという例があります。
 
先日、ロフトでランコムの香水を販売しているのを見ました。対面販売でもありませんでした。やはりランコムでも商品によってチャネル価格設定の方法は変わってくるのでしょうか。
 並行輸入品(日本の代理店を通していないもの)かもしれません。
 
第13回 21世紀のマーケティング
1.サービス・マーケティング
口コミ的情報を自社のいいように企業が情報操作することはあるのですか。
口コミは、信憑性が高く、宣伝効果も大きいとおっしゃっていましたが、企業が自ら、口コミを作ろうとしたりすることはあるのですか。そして過去にそんな例はありましたが。
口コミで伝わる情報は、プロモーションなのですか。口コミは消費者の中から自然にわいているものではないのですか。企業が口コミを促したりすることがあるということですか。
 口コミは、企業が仕掛ける場合もないとはいえませんが、基本的には消費者のあいだで自然にゆきわたるものです。従って、口コミでどのような情報が流れているかを把握し、不適切な情報があれば広告などを使って修正するといった取り組みが必要になります。
 
サービスでは価格自体が品質を示す傾向が強いということですが、ではその傾向が弱い、もしくは全く無いサービスはあるのですか。
 たとえば価格が統制されているサービス(医療など)がそうです。
 
サービスは目に見えないので、価格で自由に決めることができると思います。製品と違って価格競争をする必要があまりないと思うんですが、それでも競争するのでしょうか。
 価格設定の自由度が高いからこそより価格競争が激しくなります。
 
外部化の生活のところで、例えとして「中食」ブームが挙げられていました。健康ブームの21世紀には反していると思いますが、そうでしょうか。
 「中食」ブームの一つの傾向としてお手軽健康食があります。低カロリー、低塩などが売り物になっているケースは少なくありません。
 
サービス業において、時にはサービスが必要ではない時などがある。アクセサリー店で品を選んでいる時などは、値段の高いものをできるだけ買ってもらうために高い品ばかりを持ってきてお客側の感性などが軽視されてしまう。これはサービス業においてだめな例になるのでしょうか。
 そういえるでしょう。
 
商品を買う時、自分はその商品がほしくて買うのに、無用なサービスがついていて、サービスなしでいいから安くしてくれと思うことがあります。サービスがついていることによって売れ行きが落ちることもあるでしょうか。
 商品に付随するサービスが過剰かどうかは、商品自身の機能が過剰かどうかと同じく、顧客によって評価が異なります。自動車に5連装CDチェンジャー付きカーステレオが必須だと思う人と、ラジオがあれば十分と思う人がいます。サービスの場合も同じでしょう。
 
2.ソーシャル・マーケティング
環境に対する企業の意識や内心の強まりの中で、具体的に何をすればようのですか。
 これは今後環境経営に関する講義をうけて考えて下さい。
 
ソーシャル・マーケティングに関して、コンシューマーリズムが叫ばれていたわけですが、日本の事例としてはどのようなものがあるのですか。
 たとえば、多くの生協は長らく森永製品を取り扱いませんでした。これは、いわゆるヒ素ミルク事件への抗議だったわけです。70年代以降、日本でもこうした消費者が企業を社会的な視点から選別する動きが強まりました。
 
昔、母親が冷凍食品を食べていたら使用済みのバンドエイドが出てきたそうです。その製造会社に電話をしたところ上役の人が家に誤りに来たと言っていました。食品に不衛生な物が入っているなってとんでもないことだと思うのですが、PL法に基づくと誤るだけで済むのでしょうか。PL法でいう賠償責任とは具体的にどのようなことをするのですか。
 PL法は具体的な被害に対する保障を定めていますが、今のところ被害者が告発して初めて事件になります。
 
PL法についてですが、フリーマーケットや支店などとの軽い契約などで済ませる売買でも適用されるのですか。
 事例によります。
 
PL法について、以前スキー板をビクトリアで購入した時に、PL法の済みで「購入したスキー板でケガをしても賠償請求しません」というような誓約書を書かされました。と言うよりもPL法に関連する書類ということだけで書面をしっかり読んでいませんし、サインをしただけです。私が思うのは、PL法はマーケティングでの社会志向というよりも契約志向、言い換えれると「契約社会におけるマーケティング」という要素が強いように感じますが、どうでしょうか。
 現在のPL法には確かにこうした側面があり、それが企業側の責任逃れに使われている場合があるのは確かです。ます。ただし、当然のことですが板自体に欠陥があれば、仮にこうした誓約書があっても無効です。
 
JTなどのCM広告などもソーシャル・マーケティングになると思うのですが、どうでしょうか。
 いちおうそのつもりなのでしょうね。タバコ嫌いの私にしてみればいいわけにしか思えませんが。
 
3.関係性マーケティング
会員になるといろいろな特典がついてくるのは、顧客を常連化させて利益を上げようとしているからですか。
会員特典やポイント制度などは顧客を得るための一つの手段ですか。
関係性マーケティングについてですが、美容室からシーズンごとにしかも「一言メッセージ」をそえてハガキが送られてくるのは「長期取引」と考えてようのですか。常連からの利益の法が大きいという法則を取り込んでいると考えていいのでしょうか。
 これらはいずれも、ロイヤリティの高い顧客を獲得するためのよくある手段です。
 
 
 
 
1.競争対応の枠組み
 マーケティングの4Pの前提となるのが、競争戦略である。
  @三つの基本戦略のどれを選択するのか
  A製品のライフサイクルに応じてどのようにマーケティング・ミックスを展開するか
  B製品の競争上の地位に応じてどのようなターゲットを設定し、マーケティングミックス
   を展開するか
 
2.三つの基本戦略(p1258,図12-1)
(1)コスト・リーダーシップ
競争他社よりも低コストで生産することで、優位性を確保する。
価格競争があれば低価格に耐えられる。価格競争がなければ高い利益率が可能になる。
 
(2)差別化
他社と異なった「何か」を消費者に提供できる。
消費者にとってコストが低いか、またはパフォーマンスが高いかどちらかが必要。
注:「コスト」は単に価格だけではない
  「パフォーマンス」には客観的に判断できないものも含まれる
 
(3)集中
限定した特定のターゲットの範囲内でコスト・リーダーシップまたは差別化を実現する。
例)スポーツカー専門自動車メーカー
買い手の対象で限定するか、製品で限定するか。
 
3.製品ライフサイクル別戦略(p265,表12-1)
(1)製品(プロダクト)ライフサイクル
導入期、成長期、成熟期、衰退期それぞれに応じた戦略が必要。
製品をどのレベルで捉えるのかによっても違ってくる。〜製品クラス、製品形態、ブランド
 
(2)ライフサイクル別の戦略特徴
導入期:知名とトライアルが重要〜広告・販促に重点。
成長期:競争激化への対応、シェア最大化が必要〜低価格化、チャネルの拡大
成熟期:成長率鈍化、利益最大化とシェア維持が必要〜多様化、ブランドロイヤリティ向上
衰退期:支出削減とブランド収穫が課題〜コスト削減
 
(3)デファクト・スタンダードの重要性
「事実上の標準」・・・ビデオのVHS、OSのWindowsなど。これを抑えれば天下。
 
4.競争地位別戦略(p269、表12-2)
(1)リーダー
市場トップ企業。現状の維持が重要。全方位型戦略が多い。ただし弱点もある
周辺需要拡大
非価格競争
同質化対応
 
(2)チャレンジャー
2番手企業。リーダーに追いつくことをめざす
主には徹底した差別化。特に同質化できないことが重要 例)モスバーガー
 
(3)フォロワー
3番手以下。着実に利潤をあげることが重要。例:ロッテリア
主にはリーダーの模倣でコストを下げる
 
(4)ニッチャー
徹底した集中戦略で、小さな市場を確実に抑える(見にリーダーになる)
 例)ハーゲンダッツ