サービス・マネジメント論
−第4回 V.サービスの基本的特徴(つづき)
      W.サービス・マネジメントとは何か−
 
 
 
 
 
V.サービスの基本的特徴(つづき)
 
3.「もの」とサービスの関係(テキスト第5章
  形のある「もの」とサービスの関係では、次の点を理解しておく必要がある。
   @「もの」を媒介としたサービス活動がある
     例)レストランでは食べ物が出てくるが、単に食べたいだけなら中食でも家で作っても
       よい。つまり、調理自体がサービスである。
 
   A「もの」とサービスが相互に代替性がある場合がある
     例)大学へ行くために自転車を買うか、定期券を買うか
 
   B「もの」の機能を発揮するためにサービスが必要なことがある
     例)ユーザーサポートのないパソコンを買うと・・・
 
 
 
W.サービス・マネジメントとは何か
 
1.サービス・マネジメント論の系譜
(1)二つの源流
 @アメリカの「サービス・マーケティング」研究(1970年代後半〜)
    特徴:製品(goods)との対比でサービスの特徴を捉える
           「マーケティング」一般から「サービス・マーケティング」の自立へ
       具体的なサービス活動のいわば「やり方」の検討
       「顧客」への注目・・顧客満足論との関係
 A北欧の「サービス・マネジメント」研究(1970年代〜)
    特徴:全体的な戦略としてのサービス・マネジメントを重視する
       「関係」を重視する
 
 
(2)日本の独自の「サービス・マネジメント」論
  前田勇氏・・・「サービス向上」論としての「サービス・マネジメント」
    特徴:既存のサービス活動をどう具体的に改善するか、に焦点を当てる
 
 ※詳しくは、近藤宏一「サービス・マネジメント論の枠組みと課題」『立命館経営学』第35巻第  4号掲載、参照
 
 
2.サービス・マネジメントの基本的な考え方
(1)サービス・マネジメントとは
 サービス・マネジメントとは
  サービスを提供する組織のあり方と、その活動の指針を導く経営活動
   *もう少し簡単にいえば、
     「サービスの生産過程についての経営と管理」
 
 具体的には、
  @サービス活動全体(戦略、組織、現場)を貫く方向性を示すこと。
  Aそれに応じたサービス活動の仕組みをつくること。
  Bサービスを提供する側とうける側との相互作用を通じてサービスの品質を向上させること。
  C以上の活動が全体としてよい循環を作るようコーディネイトすること。
 
(2)サービス・マネジメント・システム(テキスト12章)
 サービス・マネジメントを実際に行っていく上での基本的な仕組みについての考え方
 以下の五つの要素によって構成される(テキストp216、図11参照)
  @マーケット・セグメンテーション
  Aサービス・コンセプト
    以上の二つは、マーケティングあるいは戦略の領域・・・(1)の@
  Bサービス・デリバリー・システム
    マーケティングをふまえた実際のサービス活動の仕組み・・・(1)のA、B
  Cイメージ
  D組織の理念と文化
    以上の二つは組織の内外における関係の構築・・・(1)のCにかかわる
 
(3)なぜ「システム」か
 @サービスにおける戦略と実際の活動
    戦略と活動との相互作用が直接的である
    「場当たり」にならないために
 A「システム」としてサービスを考えることの重要性
    「人」に問題が矮小化されがちであるというサービスの特殊性から
    「循環」を作ることの意味
 B発想としてはさまざまな応用が可能
   例)まちづくり、地域おこし  
      *参考:コトラー他著『地域のマーケティング』1994年、東洋経済新報社。
3.サービスの受け手(利用者、顧客)をどう理解するか
 
 サービス・マネジメントを考える上で、そもそもサービスの受け手がサービスをどのように捉えるのか、を理解しておく必要がある。
 
(1)サービスの受け手とは
   顧客
   利用者
 
(2)受け手が感じる「価値」がサービスの「価値」を決める
   @サービスは「顧客価値」によって評価される:テキストp163、図10参照
 
   Aサービスは組織全体としての活動が評価される:テキストp171〜
 
   Bサービスの品質に対する評価は、期待と実績の差から判断される:テキストp148,図8参照
 
 
サービス・マネジメント論 グループ・プレゼンテーションの準備について
 
 毎回の講義90分を、その回のプレゼンテーション担当班が協力してプロデュースしてもらいます。したがって、自分たちでプログラムを作り、受講生が勉強になるような充実した内容を準備してください。
 次の点に気をつけて準備を進めてください。
 
1.講義全体のプロデュースについて
@各グループの順番を単に並べるのではなく、どのようなつながりを作っていけばよいか考える。
A司会者とディレクターを配置し、時間を管理する。
B近藤がコメントする時間(個別なら各班2分程度、一括なら全体で10分程度)や、カード記入の時間も考えておく。
 
2.評価について
 内容とプレゼンテーションのよしあし両方をふまえた評価シートを、各回の代表者で協議して作成してください。また、プレゼンテーション、試験、出席の配点を考えて提案してください。
 
3.各班のプレゼンテーションについて
(1)内容について
@興味のあることだけを発表するのではありません。自分たちで決めたサービス業について、最初に配ったレジュメで指示したような点をきっちり調べて受講生に説明しなければなりません。
A具体的な例を示すのはよいですが、それぞれの分野のサービス業全体の状況を代表するか、あるいは特徴がよくわかるような例を示す必要があります。
 
(2)資料について
 一冊の本、一カ所のwebsiteだけにたよるのではなく、複数の情報源を使ってください。特に、次のようなものはぜひ参照してください。
 ・業界や企業の基礎データについて:各種政府統計、日経テレコン、就職ガイド本も役に立ちます。
 ・最近の状況について:雑誌(「ダイヤモンド」「日経ビジネス」)、新聞記事(「日経流通新聞」)等
 ・各企業や業界団体の公式ホームページ
    ※公式でないホームページにはたよらないこと
 なお、データの出所(参考資料リスト)は必ず明示してください。出所の不明瞭なデータや内容はまったく役にたちません。
 
(3)プレゼンの方法について
 ただレジュメを棒読みするだけではプレゼンテーションになりません。逆に、PowerPointなどでビジュアルに凝っても、中身がなければなんともなりません。
@図表を使う・・・グラフなどを使うと、状況が把握しやすくなる。
A対話的に進める・・・受講生にマイクをむけたり、手を挙げてもらって数を数えたりするとよい。
B重要なポイントを明確にする