サービスマネジメント論 第7回
質問への回答
・企業が消費者アンケートを行うのは、顧客価値をはかる方法といえるのでしょうか?また、その分析はどのように行われていますか?
アンケートは多様な目的で行われていますが、顧客価値をはかるようなアンケートを行うことは可能です。具体的にはそうしたアンケート設計のテキストを参照してください。
・セルフサービスはサービスになるのですか?
サービスです。サービスとは一言で言えばから考えてください。
・価格とサービスを受けるためのコストはどう違うのですか?具体的には?
単なるサービスの価格だけではなく、たとえばそのサービスを受けるために移動しなければならないとすればそのための交通手段の費用(運賃など)、さらにサービスをうけるための時間、手間などを全体としてとらえてコストと表現しています。
・「卓越」というのは品質を抜いてその他のものがとびぬけているというように考えてよいのですか?
品質が卓越しているということです。。
イメージ
・イメージを作り出す時に、サービス業と他の産業とでは何か違いありますか?
形のある製品では、実物やその映像などで具体的なイメージに影響を与えることができますが、サービスは視覚的な表現が困難であったり無意味な場合もあるので、間接的な方法(比喩的な映像を用いたり、イメージキャラクターを用いたりする)をとるなどがあります。これらの方法は製品でも用いられますが、サービスの場合より重要になります。
・イメージによって低いランクにとどまってしまった企業はどのような対策をとって経営を行うのでしょうか?また、何かの対策を行ったことでイメージを覆し、イメージのランクを上げた企業は存在しますか?
・1度ついてしまったイメージの根元を分析し、そこを改善するだけで以前のイメージは容易に払拭できるのでしょうか?
悪いイメージの源泉をとっぱらうことは大前提で、そのうえでその源泉との連続性を絶ったことを明確に示すことが必要です。メーカーではありますが、雪印を引き継いだ乳業会社は、「メグミルク」という新しいブランド名で、パッケージも斬新なカラーリングを導入して旧雪印のイメージを払拭することに成功し、売り上げを伸ばしています。
・イメージを植え付ける為に広告やCMなど出すことも重要な役割ですよね?USJがキャラクターを買い取って販売することについてどう考えられますか?
キャラクターのイメージと実際のサービスの内容とに乖離があるとかえって逆効果です。USJとスヌーピーはどうなんでしょうね。
・口コミで自社の良いイメージはもちろん、他社の悪いイメージを作り出すことも可能ですか?
できますが違法です。
・企業が自社のイメージを一新するというのは経営が危ない時が多いですか?
そんなことはありません。新たな事業分野に進出するときや、顧客の新たなニーズに対応するときなどいくらでもあります。日本通運が宅配便へ参入するときに、「クロネコヤマト」に対抗して「ペリカン便」のイメージを前面にだして企業全体のイメージを再構成しようとした例など。
・名古屋では三越は売上を下げ高島屋は上げている、イメージが変わってきているのか?
そんなに単純ではないでしょう。
・ローバのミニクーパーやクラシックカーは壊れやすいなどの多くの問題がありますが、一部では今でもすごい人気があったりします。このようなものもイメージづくりによる戦略ですか?
マニアックに消費されるものは一般論では切れません。
・マンション広告などで、付近の風景や施設の写真が写っています。しかし、中にはどう考えてもその売り出されたマンションから遠くには遠いものも写しています。これも実態にそぐわないイメージ作りの一部となるのでしょうか?
そうだといえます。いいことではないですが、買う方も賢くなる必要があるでしょう。
・良い商品を作ることもですが、それ以上にイメージ作りに力を入れないとならないということになりますか?
よい商品は前提ですが、イメージ作りに失敗するとせっかくよい商品でも消費者に受け止めてもらえないことになります。
組織理念・文化
・組織理念は企業イメージに通じるものなのですか?また、これは企業のキャッチコピーと考えて良いのですか?
たんなるキャッチコピーではありません。対外的な意味ももちろんですが、組織内部において構成員に対して組織の価値観を明示的に示し、行動や意志決定の判断基準を与えるものです。
・経営理念を実現できないのは良い組織文化を築けてない事が大きな原因でしょうか?
大きな原因の一つではあります。しかし、トップの姿勢に依存する部分も大きいといえます。立派な理念を公式には語っても、実際にその理念をトップが体現していなければ、組織の内部で建前と本音の乖離が進行します。
・大学を運営する組織理念はどんなものか?
それぞれの大学により異なります。ただその基礎にあるのは「学問の自由」と「大学の自治」であるというのは国際的合意です。ただ大学においてもしばしば理念と実態の乖離がみられます。立命館大学の教学理念は「平和と民主主義、自由と清新」なのですが・・・。
顧客価値
・顧客価値の分母の満足度というのは、顧客がどれだけ満足したかっていうことですか?提供側の満足度ってことじゃないですよね?
そのとおりです。
・今日の講義の「サービス組織が持つべき理念とは」の所で「顧客価値」が出てきましたが、マーケティング論などで出てきた、「ニーズ」や「ウォンツ」が満たされたか、満たされなかったか?という解釈でよいのでしょうか?
客観的にはそうですが、それを顧客自身がどの程度の価値として認識しているのか、が「顧客価値」です。
・顧客価値の式は分数的になっていますが、具体的な数値はあるのでしょうか?
模式図です。
ディズニーランド
・ディズニーランドは日本で開園する際に、アメリカとほとんど同じスタイルで望んだのですが、それとも日本人向けにいろいろ手を加えたのですか?
日本人向けにいろいろ手を加えています。
・ディズニーランドのセグメンテーションは「大人」を基調としているみたいですが、ディズニシーも大人向けだと思います。「大人」向けだけでいいのでしょうか?
大人「も」というところがカギです。
・大人を対象にするとリアリティが求められると思いますが、リアリティを追求することはよくないことなんでしょうか?
テーマパークで求められるリアリティとは、「夢」としてのリアリティです。だから池の水に色をつけたりしているのです。
・ディズニ―ランドでは、USJでいう水道水のこととか、火薬の使い過ぎとか、ニュースになるようなことはなぜおこらないのか?
SCSEといわれる理念が徹底していると考えられるでしょう。
・TDLが顧客に対して「非日常な体験」を提供するのは徹底した従業員教育が必要と思いますが、他のサービス業と従業員教育の点で異なる点はありますか?
細かく述べませんがかなり異なります。調べてみませんか?
・ディズニーランドはなにがよいのか?という研究がこれほどなされているにもかかわらず、他のテーマパークが実践できないのはなぜですか?
結局、形をまねすることに汲々として、自分の頭で考えてディズニーの本質的なものをどのように応用するかということができていないからです。みなさんに期待します。
・ディズニーランドのところで言われた水に飛び込むアトラクションのことですが、見せることで顧客の期待を高めたりするのではなく遂に見せないことで期待を高める他の例はないですか?
あるでしょうね。自分で考えてみませんか。
・ディズニーランドの弱点として顧客が「受け身」になっていることがあるが、その具体的な弱点は?
行った人はわかると思いますが、各種のアトラクションで自分が操作可能なものはほとんどありません。ゴーカートのように見える子どもの乗り物もレールの上を動くだけです。つまり、サービス生産に顧客が主体的に参加する要素がほとんどないので、創造性がないことが気になるのです。
・TDL地下道でゴミ運搬と食材運搬という非衛生的なものでいいのでしょうか?
おおざっぱに説明しましたが、当然分離されていると思いますよ。
・パチンコを遊びと捉えた場合、ディズニーランドとの共通点はあるのでしょうか?
考えてみましょう。
・USJはどのような点に工夫してリピーター獲得に励んでいるのでしょうか?
・USJはこれからどの様なサービスを提出すればディズニーランドを超えるテーマパークを創れるのか?
・USJはTDLのような「非日常」を演出するため工夫していますか?
・USJはディズニーランドの関西バージョンと言われてますが、どのような工夫があってそのように言われ、またディズニーランドとの重大な違いは何ですが?
・USJのような日本でアメリカの映画のイメージを身近にもつことは無理な話ではないだろうか?
あえて述べません。ぜひみなさんで考えてみてください。
マクドナルド
・マクドナルドがファーストフードの中で卓越したことについて、昔さわがれた肉の生産の問題はどうなのでしょうか?
マクドナルド自体の問題ではありません。
・マクドナルドが朝の時間帯に、朝だけの商品しか提供しないのはサービス的にどうなのですか?
賛否あるでしょうね。ただ、そういうやり方で合理性と多様性の統一を図ろうとしているわけです。
・マクドナルドなどの多くのチェーン店は従業員が本店から派遣された正社員ではなく、アルバイト達で構成されていると思うのですが、アルバイトが多く占める店では正社員と同等のサービスが出来ず、遂に店に対するイメージを悪化させるのではないか?
そんなことはありません。
その他の質問
・「ホテル関係に興味のある方は是非読んで下さい」と言ったリッツカールトンの本の名前は。
『ダイヤモンド・ハーバードビジネス』2002年7月号。