サービスマネジメント論 質問への回答
6月11日分
 
 
サービス品質の評価〜主観的判断と客観的判断
顧客の主観的判断を知る手段としてどのようなものがありますか?
 直接的にはアンケートが一般的ですが、調査できる内容や正確さの点で限界があります。必要に応じてはモニターへのインタビューなど、多角的な手法をとることがあります。この場合、モニターの選定は慎重に行う必要があります。
 
客観的品質と主観的品質について、経験して信頼品質が主で消費者にとって重要なら経験・信頼を得るためには客観的品質の方が重要というわけではないのですか?
 客観的品質が一定の水準にあることはいわば前提なのです。
 
客観的品質と主観的品質とはコアサービスとサービスから発生するのでしょうか?‘客観的品質=コアサービスの品質‘と考えてはいけないのですか?
 よく似ていますが、必ずしも同じではありません。
 
品質と満足の話で品質は主観的ではあるが、合理的で「きっちり」と評価されているということでしたが、この評価とは主観的ではあるが、かなり客観的に見た評価と考えてもいいですか?
消費の客観的評価とは具体的にはどういう事があるのでしょうか?
 消費者自身は、自分の評価基準でよしあしを見分けているということです。音楽の話をしていて、「いい曲だけど、好きではない」ということはないですか? この場合、「いい曲」というのは主観的ではあっても合理的な判断基準(その聞き手がもっているよしあしの基準)に基づいており、おおむね説明可能です。しかし、「好きか嫌いか」はまったく好みの話で、基準の説明が不可能なことも多いのです。このたとえで理解できないでしょうか。
映画はサービスですか、モノですか?またDVDはモノですか?探求品質についてサービスと似通っていませんか?
 映画はそれ自体はモノです。パッケージされていて、編集や再生が可能であるという点で舞台で上演する演劇とは違います。映画の上映はサービスです。上映という活動が提供されているわけです。
 
品質
品質を事前に評価するのが難しいぶん製品に比べてサービス提供側から積極的に宣伝していく方法があるますか?
 ありますが、やり方はそのサービス内容によってだいぶ異なります。
 
探索品質とは製品を購入する前に評価できる品質とありますが、それは製品に対するイメージというものではないのですか?
 違います。たとえば、テレビの性能は画面の大きさとかブラウン管の性能とかで、調べればある程度事前に見当がつきます。これが探索品質です。
 
品質への評価が低いのに満足といいうことはあまりないそうですが、例えば野球やサッカーなどを観戦していて、ひどい試合内容であったがひいきのチームが勝ったから満足というケースはこれに当てはまりますか?
 それは確かにこうしたレアケースのよい例ですね。
 
口コミ
口コミで聞いたことが客観的ということですが?
 客観的だとは言っていません。ただ、口コミで聞いた人にとっては、判断材料になるわけです。
 
品質がいまいちなのにお金を使ったりして良い風に口コミをするといった事はやっぱりあるのですか?
 違法ですが、現実にはあるでしょうね。
 
口こみだけでは良いウワサ同様悪いウワサも流れ、キケンな面も多いと思うが、口コミ以外に良い方法はないのか?
 口コミは、たとえばチラシやCMといった宣伝の補強になる側面があります。
 
サービス品質は口コミが大切だと書いてあるが、企業はこの口コミを広げるための戦略などをしているのですか?
 口コミ自体を広げることは非常に困難ですが、たとえば新しい顧客を紹介してくれた人に報奨(プレゼントなど)を出しているケースは多いでしょうね。これなどは、間接的に口コミを組織しているわけです。
 
苦情をどれだけ迅速に改善し、苦情を言ってきた顧客に感謝し、それを広く示すことがサービスの品質を高めること、よい口コミを広めることにつながるのではないでしょうか?
 まったくそのとおりです。
 
価格
数日前、マクドナルドのハンバーガーの価格がいままでの最も安い価格だった59円から80円に値上げをするという記事を見ましたが。この値上げの背景には業績悪化というものがあるみたいですが、価格の持つ複数の機能にあるような消費者が持つイメージみたいなものが、変わったといえますか?
 即断はできませんが、変わる可能性は大きいでしょう。
 
お店によって価格競争は年々増してきているように最近うかがえるのですが、原価よりプラスに持っていくにはどんなことが必要だと思いますか?
 一言で言えば付加価値です。つまり、高くても買ってもらえる、あるいは価格を気にせず買ってもらえる何か、が必要です。
 
サービスの価格設定は例えば航空産業のように外部環境によって変化せざるを得ない状況があるが、そのような場合どのように価格設定を行うのか?
 短期的な外部環境への変化はもりこんだ原価設定が必要でしょう。つまり、短期的にマイナスになっても企業そのものの存続に影響が出ないように、安定的な時期に一定の収益をきちんと確保すると言うことです。
 
価格が高いほうが良い商品というイメージがあるが、安いほうが売れるのでその価格設定が難しいのでは?
 もはや「高ければよい」というイメージは薄れてきていると思いますが。
 
サービスリカバリー
個人的には悪いサービスを受けたら苦情をいわず2度とこのサービスを受けないこととを選択することがほとんどです。私のような人は多いと思うのですが、そのような潜在型目に見えない苦情を広いあげてリカバリーする方法、例はあるのでしょうか?
 苦情を顕在化させるための方法はテキストにいくつか例示してあるので、参照してください。
 
その他
自分がバイトしているところでもサービスの悪さに対して文句を言う人が多い。相手が間違っていても素直にあやまり満足させるべきでしょうか?
 ただ謝ればよいというものではありませんが、たとえ顧客の側に責任があっても、顧客の側を責めたり、顧客の自尊心を傷つけてはいけないということです。文句を言ってくる以上は相手は自分に正当性があると思っているわけですから、まずは相手の話を丁寧に聞くことから始めなければなりません。
 
苦情対応はアルバイトの人が苦情対応していいと思いますか?できるとこまでしたほうがいいと思いますか?
 業種と職種次第です。しかし、一般的に言ってアルバイトだからできないということはありません。
 
サービスの品質や顧客満足に関連するのだと思うのですが、先生が講義中に言われた寿司屋の例や、音楽の例で自分の好きなものが食べられない聴かれないとありました。今、どちらの立場にもつかない方向から見ていると、客が目的を達成して満足を得るためには客自身も選択の努力が必要なのだと思うのですが。例えば寿司なら単品で音楽も狙いを定めるなどのことです。どうなのでしょうか?やはりサービスを提供する側としては口に出してはいけないことなのでしょうか?
 顧客自身が適切な選択ができるようにしむけることも企業の戦略的な顧客獲得活動ということになります。したがって、ミスマッチが起こっていると言うことは、それのどこかに間違いがあるというシグナルなのです。
 
先日ある雑誌で学習塾の経営者が相談を寄せていました。提供しているサービスは優れていると自負しているし、実際に塾に来ている子供やその親も満足している。しかし、新規顧客が増えなくて困っているというものでした。サービス業は良い品質のサービス提供によりいい顧客が満足し、リピーターになって口コミで顧客が増えるという図式がなりたっていると思いますが、必ずしも顧客満足→リピーター→口コミというパターンを作らないサービス業もあると思います。例えば、上に書いた学習塾ですがどこに通っているのかを大っぴらに言いふらしたくないとか、良いところほど内緒にしておきたいという心理が働く業種が当てはまります。(塾以外にも結婚相談所?などもそう考えられます。)そのような業種の新規顧客獲得のためには広告などに頼るしかないのでしょうか?
 いちがいにいえませんが、同じ広告にしても業種によって媒体の選択など工夫が必要です。口コミが全てではないですから、他のマーケティング手段と組みあわせて効果的な口コミの普及を促進すると言うことになるでしょう。