サービス・マネジメント論
-第6回 サービス・マネジメント・システム(3)-
5.イメージ~顧客を引きつける「心理装置」
効果的なイメージづくりは、サービス・マネジメント・システムを構築する上でも(忘れられがちだが)重要な要素である。
(1)イメージというものの意味
・イメージは簡単に変化しないうえ、実態がなくても人はイメージに縛られる
例)贈答品におけるデパートのランク
・人はしばしばイメージを消費している
例)四駆(RV)の持つイメージと実態
(2)イメージは何によってつくりだされるか
*すでにあるイメージはその源泉がはっきりしないことも多いという面はあるが、分析は必要
a)サービスの特性で決まる 例)マクドナルド
b)従業員のありよう(組織風土や文化を含む)
c)市場セグメント 例)フィットネスクラブ~顧客を絞ることによるイメージ
d)その他
(3)イメージを作る
イメージは作り出しうるし、現につくられている
ただし、実態にそぐわないイメージを作ってもいずれ露呈する 例)カナダのある島
6.組織理念と文化~どんな目標へ向かうのか
(1)組織理念・文化とは
組織理念:その組織において構成員の判断の規範となるような明示的な価値観
例)リッツ・カールトン・ホテル
「ザ・リッツ・カールトン・ホテルは
お客様への心のこもったおもてなしと
快適なご滞在を提供することを
もっとも大切な使命とこころえています。」
組織文化:その組織において構成員の判断を深部で規定する非明示的な規範や価値観の総体 「文化」というからよいものとは限らない。官僚主義も組織文化の一形態である。
(2)サービス組織が持つべき理念とは
①品質と卓越性(excellence)への志向
「最高レベルを志向する」ことの意味
~この場合の「卓越性」とは、セグメントとコンセプトが前提されている。
例)マクドナルドがファストフード・チェーンのなかでどう「卓越している」か
②顧客志向
日常のサービス提供における意思決定が、「顧客価値」に基準をおいていること
*「お客様第一主義」ではない→「人材」の従業員の役割、参照
③人的資源への投資
単にいい人材を集めると言うことだけでなく、従業員の意欲・能力を高めるために
(3)理念・文化の持つ意味
①従業員に対して決定的な意味をもつ
・日常のサービス活動の規範
・従業員自身が内発的にサービス活動を積極的に展開していくための基盤
「どうがんばれば、組織において役割を果たしたことになるのか」
②イメージの源泉
7.ディズニーランドはなにがよいのか?~まとめにかえて
◎ディズニーランドの10の謎
①地下の迷路は何のため
②トイレに鏡がないのはなぜ
③従業員用のマニュアルはなぜ300冊もある
④アトラクションに入場する行列はなぜくねくね曲がっているのか
⑤雨でも野外のテーブルやイスを拭いているのはなぜ
⑥園内に入場すると外の建物が見えないのはなぜ
⑦エリアごとに地面の色が違うのはなぜ
⑧入り口はなぜ一つ
⑨従業員を「キャスト」とよぶわけ
⑩遊園地なのに大人の方が多いのはなぜ
(1)サービス・コンセプト
テーマパーク一般において「非日常的な経験」
ディズニーではさらに「ファンタジーとノスタルジー」「ファミリー・エンタテインメント」
(2)セグメンテーション
大人の鑑賞にたえる遊園地
(3)サービス・デリバリー・システム
①施設・技術:わくわく
「どこかヘン」・・・非日常への入り口
「裏方」をみせない。どうしても見えるところはそれもアトラクションにする
②従業員:「キャスト」=映画の「キャスト」とおなじ。
さまざまなパターンの接客のために膨大なマニュアルがある。
③顧客:顧客自身が参加している・・・アトラクション、「悲鳴」
口コミの役割の大きさ
(4)イメージ
これは、キャラクターがすでに浸透していることの効果を最大限利用している
(5)理念と文化
①理念:SCSE~safety,雨の日もちゃんとテーブルなどを拭いて、安全性に配慮
coutesy,自然、上品、簡素、清潔
show,ディズニーランド全体が舞台
efficiency 企業だけでなく入場者の効率も考える
ex)列を曲げる・・・曲がり角で達成感を感じてもらう
背後にある「卓越性」への志向
②文化:「キャスト」をあえていえばカルト的に動員する(つくられた「文化」)
(6)弱点はないのか
あまりに作られすぎている・・・顧客が常に「受け身」になってしまうことの是非