立命館大学 映像学部長 大島 登志一

 立命館大学映像学部は、2007年4月に設立されました。2007年は、スマートフォンが世に出た年でもあります。映像学部は、社会における「映像」の遍在化が加速度的に進む中で、常にその先を見通しながらクリエイティブに活躍できる人の育成を目指してきました。臨機応変に考え行動し、周囲とも連携しながら創造性を発揮する、そうした資質を私たちは「プロデューサー・マインド」と呼び、設立以来、今でも大切に考えています。設立から15年、第一期の卒業生を送り出して10年を越え、多くの卒業生がプロデューサー・マインドを胸に、社会の様々な領域でいかんなく力を活かしています。

 この間、デジタル技術を主に基盤として、様々な新しい技術が生み出され、それらがもたらす社会の変革が進んできています。映像が社会を動かしているともいえるくらいの状況があります。それだけに、これからの世界を担う学生のみなさんには、映像を適切な力として、社会を持続的に豊かにしていくことに活用できる、そのための実質的な知識とスキル、マインドを身に付けてほしいと考えています。私たち映像学部の教職員一同も、常に改善と研鑽を重ね、学生の皆さんの学びと成長を支えようと取り組んでいます。

 映画やドラマ、ゲーム、メディアアート、ドキュメンタリー映像などは、時代を通じて変わりなく私たちの生活を豊かにするものです。さらに、デジタル技術による社会変革、DXの一面では、映像がシステムと人とのインタフェースとして重要性を増していきます。積み重ねられてきた文化的なリソースや知識・技術は、VRなど新しい映像技術の普及やデジタルによる変革の下でも、色褪せるものではなく、新たな技術との融合により、さらに鮮明さや活用の幅を増すものでしょう。普遍的なものを軸にしながら、新しい技術や時代とともに変えるべきものは大胆に変えていくことが必要です。

 学生の皆さんに向けて、だけでなく、これから「映像」を学ぶ人や卒業生も含めて、継続的に映像の創作、社会実装・活用、調査・分析に関わる知識とスキルをしっかりと身に付けながらセンスを磨き、皆さんそれぞれの個性・クリエイティビティを鮮鋭化してほしいと思います。私たちは、教職員と学生という関係ではありますが、一方で、映像学部という新たなクリエイティブを追求する同じチームの構成員でもあります。映像時代の先端を共に歩んでまいりましょう。