障害学生のキャリアを考える Career Report on students with disabilities 立命館大学障害学生支援室 Disability Resoure Center of Ritsumeikan University P2 はじめに  2017年11月、就職活動を終えたある障害学生の発案により「障害学生のキャリアを考える会」が開催されました。その背景には自身が就職活動に苦労した実体験がありました。  障害のある人が就職することを考える時、障害ゆえに職業の選択肢が限られたり、更に就職先が決まった後も、適切な配慮が受けられるかどうか、不安に思うことでしょう。  今回の会ではそういった不安を少しでも解消できるよう、就職活動を終えた内定者、現在社会人として働いている先輩方に体験談を伺いました。  どの方も、自分が働きやすい職場環境を作るため、自分の障害、苦手なことやできないことを明文化するなどして周りに伝える工夫をされていました。こうした工夫には、在学中から様々な支援を活用していた経験も活きているようでした。  これから就職活動を始める方は、就職活動のノウハウを知るだけでなく、大学生活をいかに過ごすかが、就職活動の鍵になることを知って欲しいと思います。そして、障害者採用の求人を探すという発想ではなく、自分の強みを活かして、自分のやりたいことが実現できるキャリアを目指してください。  障害によって職業選択の自由が奪われることのないよう、この冊子が手助けになることを願ってやみません。 障害学生支援室 P3 ご挨拶  企画立案者 松波 実咲/理工学部4回生  今日、大学に進学する人が増えていることに伴い、障害学生の進学率も増加傾向にあります。どの学生にとっても、入学から3年後には自身の将来について考える時期が訪れます。就職活動で何をすればいいのか、先輩はどうしていたのか、そういった不安や悩みというのはどの学生にもあるものです。障害学生が悩まないはずがありません。もちろん、私もその一人でした。  就職活動は何から始めればいいのか、障害があることで何か特別なことをする必要があるのか、相談できる相手もあまりいなかったため、とても不安になりました。同じような理由でキャリアセンターの活用も遅れてしまい、後悔したこともあります。  実は私のように悩む障害学生は多いのではないかと感じ、少しでもこれから就職活動を行う障害学生の助けになればと思い、本企画を考案しました。  キャリアセンターによる障害学生の就職活動に関するガイダンスや、内定者及び卒業生の体験が、皆さんにとって有意義な情報になれば幸いです。  この企画を実施するにあたり、ご尽力、ご協力いただきました職員の皆様、卒業生・内定者の皆様並びにサポートスタッフの皆様に厚く御礼を申し上げます。 P4 内定者体験談 インターンシップ  木村 春香/国際関係学部4回生  私は、生まれつきの感音性難聴で、人工内耳を右耳にしています。2回生の春から冬にかけて(2015年3月~12月)、日本IBMが提供している障害を持った学生や社会人の方を対象にするインターンシップに参加しました。このインターンシップで、ビジネスの基礎を学び、アプリの開発などITの知識を身につけることができました。また、夏休みの間は1カ月間OJTでの就業体験、3回生の秋から冬にかけて1day型のインターンシップにも参加しました。  これらのインターンシップを通して考えたことは、自分の障害に対する向き合い方です。私は、このインターンシップに参加する前はアルバイトの経験がなかったので、働くということのイメージが全くついていませんでした。働くということを考えたときに、「聴覚障害だからこれはできない」というように、仕事に対する視野も狭かったと思います。でも、このインターンシップで実際の職場で働かせていただいたことで、「自分なりにできることを探してい 障害の伝え方  松波 実咲/理工学部4回生  私は弱視で、普段は板書を書き写す板書代筆というサポートを受けています。これは、一番前の席に座っても板書内容が見えづらいからです。私からは、障害の伝え方についてお話させていただきます。障害については、どんなやり方であれ伝える必要があります。私がその中で最も重要視していたのは、「できること・できないこと」を明確にすることです。実際に行ったのは、「できることリスト」を作成することです。これは名前のとおり、自分ができること・できないことを書いて、できないことに対してどういった配慮があればできるようになるのかということを記したリストになります。障害があるからできる、できないというのは、経験から言えることです。例えば、授業のときにレジュメの文字が小さくて見えないから拡大してもらったこと、資料を事前にメールで送ってもらったこと、そのような配慮を具体的にリストにして、それを元に直接企業の方と面談を繰り返しました。リストがあることで私自身がどういった配慮を求めているのか、企業としてどういうことができるのかということも明確にすることができました。障害があるからといって、できることまで奪われる必要はないと思っています。まだ1・2回生の方もいらっしゃると思いますが、自分の障害を知り、できること・できないことを整理してみてください。 学外機関の利用  大場 千裕/文学部4回生  私は補聴器を耳につけています。音や声が出ているというのはわかりますが、フィルターがかかったように聞こえます。そのため、授業ではパソコンテイクをお願いしています。私からは、就職活動で利用した学外機関についてお伝えします。  就職活動について意識し始めたのは、3回生の冬でした。まずは学内説明会を探しましたが、障害者採用の説明会がなかったため、学外に目を向けました。学外機関については、ネットで調べたところたくさんありましたが、どの団体がいいか、何から始めればいいのか全くわかりませんでした。そんなときに、内部障害のある友人が、学外の就職支援団体を紹介してくれました。それが、株式会社ゼネラルパートナーズ(アットジーピー)です。アットジーピーの方は、会社がしている就業支援内容などを、私がわかるようにパソコンのメモに打ちながら説明してくださいました。そして、履歴書を書くために必要な自己分析も一緒に考えてくださいました。アットジーピー以外にも、オムロンとウェブ・サーナが開く障害者採用の説明会にも積極的に参加しました。  これから就職活動を始める皆さんに伝えたいことがあります。それは、「自分の障害を言い訳にしないこと」。面接でもそうですが、「自分の障害はこうだから、○○ができない」とばかり言わないことです。障害者採用でエントリーした場合、企業は、応募者が何か障害を持っているとわかっています。その上でどのような熱意を持ってエントリーし、また面接に来たかを、企業は知りたいのです。 障害者手帳の取得  溝田 晴矢/産業社会学部4回生  私は視覚障害があります。錐体ジストロフィーといい、自然光がある環境だと目が見えづらいという状態です。私は、障害者手帳の取得と就職活動を並行して行いました。その経験についてお伝えします。  私は、大学入試では配慮してもらいましたが、入学後は特に配慮を受けず、障害者手帳を取得しておりませんでした。就職活動を始めるまで、障害者手帳を取得しようか悩み続けていました。その理由は、これまで一番前の席で黒板が見えないことがあったり、信号機の色などが見えなくても、健常者と同じ環境でやってきたという自負や、障害者に区分されるという恐怖感のようなものを覚えていたからです。しかし、社会人として責任を負って働くことを考えてみると、自分の障害についてきちんと企業側に理解を得なければ、迷惑をかけることになるのではないかと考えました。このように考えたことがきっかけで、手帳の取得を前向きに考え始め、障害者手帳の申請手続と就職活動を並行して行いました。  障害者手帳は必ずしも取らなければならないわけではないと思います。手帳を持つことで得られる権利を行使するのもしないのも、自分次第だと思います。私の場合は、手帳がないために遠慮することがいろいろな場面でありましたが、取得後には授業などで配慮が必要なときに相談がしやすくなったように思います。 P5 卒業生体験談 支援の活用と働く上での心構え  森田 裕己彦/2015年度政策科学部卒  私は、発達障害の中の自閉症スペクトラム障害と診断を受けています。現在、大阪に本社がある生命保険会社の特例子会社(注釈1)で勤務しています。その中でも、生命保険の契約管理に関わる仕事をしています。  私は、この特例子会社の実習を経て入社しました。入社前は、実習の経験も通じて、この仕事だったらできるだろうという印象を受けていましたが、入社後はとにかく大変でした。ミスの発生とその防止に対する緊張がありました。そのため、仕事をする上での工夫として文書のチェックリストを作成し、誤字・脱字などがないか確認をしています。  大学時代の支援で役立ったことは、京都市の発達障害者支援センター(注釈2)を紹介してもらえたことです。この支援センターに紹介していただいたおかげで、障害者手帳の取得や、現在の通院先を知りました。もう一つは、京都市内にある就労移行支援事業所(注釈3)が主催している学生向けの就職支援プログラムに参加したことです。このプログラムを通じて、就労支援事業所に行くことができ、卒業後も半年ほどそちらに通所した結果、今の就職先につながりました。  皆さんへのメッセージということで、仕事をする上で自分が大切にしている心構えについてお伝えしたいと思います。「組織の一員であることの意識を持つ」、「他者の存在を理解する」、「自分も組織の意思決定に関わる存在であると知る」ことです。  皆さんと一緒に仕事をする方は、多様な背景を持った方がたくさんいます。皆さんと同じように大学を卒業した方ばかりではありません。高校や特別支援学校の高等部を卒業されて就職される方もいます。皆さんよりすごく年上で初めて就職される方もいます。  そして、同じ大学生といっても4年で卒業している人ばかりではありません。また同じ障害といっても、多様な障害があります。そうした多様な存在を理解するということは大事です。  そして、自分も組織の意思決定に関わる存在であると意識することも大切です。仕事というのは、若手のうちであれば、上司の方から仕事を割り振られて、それをこなしていくことが中心になるかもしれません。けれども、自分の意見や考えを求められる機会もあります。そうしたときに、ちゃんと自分の意見が組織の意思決定にも関わってくるということを意識していただければと思います。  最後に皆さんの大学生活に関わることですが、単位をしっかりと取ってください。単位を取ること、専攻する学問をしっかり勉強することが大学生活の基盤になります。  注釈 (1)特例子会社 障害者の雇用の促進等に関する法律における「障害者雇用率制度」において、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、その子会社に雇用されている障害のある労働者を親会社に雇用されているものと見なすことができる。 (2)発達障害者支援センター 各都道府県、指定都市に設置された発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門機関。発達障害者やその家族等に対し、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供を行っている。 (3)就労移行支援事業所 就労を希望する65歳未満の障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む))、難病者に、一定期間、求職活動に関する支援、職場の開拓、就職後における職場への定着のための相談など、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う。 (参照:厚生労働省ホームページ) 働く環境を整えるには  波多野 愛/2015年度産業社会学部卒  私は在学中、主に障害者福祉のことについて学んでいました。その障害についての理解をみんなに広めるため、障害学生も一緒になって活動するような団体も立ち上げて活動していました。  今は証券会社の事務職をやっています。私は脳性麻痺の障害があり、足が不自由で手先が不器用です。車椅子は使ったり使わなかったりという状態で、就職活動をするにあたっても、一般枠の採用過程で自分の障害について話すなど、いろんなパターンで就職活動を経験しました。結果的には、学外の障害学生の就職支援を通じて就職するに至りました。  就職活動をする中で私が思ったのは、「自分ができること、できないこと」を伝える勇気が必要だということです。また、「もうだめ、できない」と言うだけではなくどうしたらいいのか、何をしてもらえたらできるようになるのかを伝える必要があります。例えば「足が悪くて長く歩けません」と私が伝えるとき、長く歩くというのはどれぐらいの時間を歩くことなのか、人によって感覚が違うと思います。  私の場合は、「外での営業活動をするのは厳しいです」、「店頭に立って10分、20分接客するとなるとちょっとしんどいです」と具体的に伝えます。  仕事を決めるにあたり、自分の経験を活かせるような仕事につきたいと思っている方もいらっしゃると思います。私の場合、証券会社で働いていますが、大学時代は全く金融の知識などなく真っさらな状態でした。ですが、企業説明会の中で、業界の立ち位置も含め、お客様との関わり方や社内の中での役割を聞いて、いいなと思いました。自分が全く目を向けていなかったような企業とも、そのような出会い方があるので、是非いろんな手段で就職活動をしてください。  入社前は、人事の方に説明をして、配慮していただけるかの確認をしますが、入社後になると、実際配属になる部署の方にも自分の障害を理解してもらう必要があります。入社後、「私はこういう作業ができません」という実例を挙げながら、自分の手助けをしていただけるような立場の方にも直接話すことが必要になります。内定をもらったら就活終わり、という意識があるかもしれませんが、仕事はその後何十年も続いていく可能性があります。私は周囲の方々に自分の障害について伝えて、「疑問に思うことがあれば聞いてください」と声をかけています。  日常的に配慮が欲しいところなど、具体的に例を挙げて話をするようにしています。企業に自分の不安だと思うところをお話する機会を設けていただいたり、自分が働く可能性のある部署を見せていただく機会をつくってもらえるといいのではと思います。他部署への異動希望を出したり、違う職種にキャリアアップをしたり、そのような手段も障害者採用だから無いというわけではなく、キャリアアップも目指していける働き方があると思います。皆さんには、自分に合う会社を見つけていただけたらなと思います。 P6 質問会  当日、会場にお越しいただいた在学生・教職員の皆様から様々なご質問をお寄せいただきました。そのご質問の中から、障害のある学生の就職活動について、また実際に就労している方の体験談を、内定者・OB・OGの皆さんにお答えいただきました。 司会:岩井 栄一郎/障害学生支援室コーディネーター 回答者:   柴田 勇人/2013年度文学部卒 聴覚障害  森田 裕己彦/2015年度政策科学部卒 発達障害  波多野 愛/2015年度産業社会学部卒 肢体不自由  福富 史帆/2016年度文学部卒 内部障害  松波 実咲/理工学部4回生 視覚障害  木村 春香/国際関係学部4回生 聴覚障害   大菅 千晶/キャリアセンター職員(2017年11月時点の所属) 司会  OB・OGの方に質問です。仕事をするにあたって、コミュニケーションの面で、苦労したことや、その対処方法を教えてください。 柴田  コミュニケーションといっても、いろんな場面があると思います。私の場合、電話ができません。今、人事課で働いていますけれども、電話での問い合わせがあった場合、他の方に代わってもらっています。窓口の対応については、2人で対応するようにしています。それから、上司に対する報告、連絡、相談をする前に、近くにいる先輩から話を整理してもらうなど、コミュニケーションの足りない部分を周りの方に補ってもらっています。 福富  「報・連・相」はもちろん大事です。それと、新入社員になったばかりだとわからないことがたくさんあります。先輩社員にいろいろ質問したりすると思いますが、繁忙期で相手に余裕がない時もあります。なので、相手の状態を見て簡潔に結論から話すことが大事かなと思います。 森田  まず、自分が「何に困っているのか」、「どうしてほしいのか」ということを整理した上で、上司や先輩、同僚の方に質問をする、相談をするといったことが大切だと思います。 波多野  同じ部署の方には日常的にコミュニケーションを取って、自分の障害について説明して理解してもらうことも大事ですが、一時的に研修などで一緒になる方に対しても簡潔に自分の障害について、ある程度しゃべり方を決めておくと楽なのかなと思います。 司会  皆さんのお話を伺っていると、ご自身の特性について、自分である程度まとめて話したり、自分がどういう場面でうまくいかないのか、逆にうまくいっているところはどこなのかということを、整理していくことが大事なのかなと思いました。 司会  内定者の方に質問です。会社説明会等で配慮が必要な場面が出てきた時に、どうされていましたか。 松波  15社ぐらい説明会に行きましたが、資料があるところが少なくて、パワーポイントでの説明が多かったです。私は視覚障害なので、スライドは全く見えていなくて、耳からの情報だけで何とかしようとひたすらメモを取りました。一番困ったのは、映像資料の時で、最後「就活生の皆さんへメッセージの映像を流します」というのが幾つかあったんですが、バックミュージックが聞こえるだけで何も見えず、率直に「映像資料が見えませんでした」とアンケートに書いたこともあります。映像があるかもしれないとわかっているのであれば、自分から説明会の前に企業に対して伝えておいたほうがいいのかなと思っています。 木村  私は、会社説明会の時に、FMマイクの使用をいつもお願いしているんですけれども、事前にそういうお願いができなかった場合は、パワーポイントを参考にして、それらをメモしたり、ちょっと聞きながらで何とか頑張りました。 司会  会社説明会等で情報が収集できないのはとても残念なことなので、時間も労力もかかりますが、事前に企業とやりとりすることが大事ですね。 司会  3月卒業ではなく9月卒業などの時間的なタイムラグがある就職に対して、キャリアセンターでしている支援を教えてください。 大菅  9月卒の場合も、入社のタイミングとしては、企業が想定しているのはあくまで4月入社ということが多いです。ただ、「10月から働いてください」と言われる場合もありますが、企業によって異なります。最近の日本の企業では、「新卒扱い」、「第2新卒」という言い方で、卒業後3年以内の求職者を新卒と同じように扱う企業もあります。ただ、キャリアセンターの支援を受けるには、卒業してしまったら利用できなくなってしまうことがあります。まずは、ご自身が今どういう状況なのかをキャリアセンターに相談をしていただければと思います。 司会  OB・OGの方にお聞きします。自分の体調管理や、時にはストレスマネジメントも大事だと思います。仕事をしていく上で、社内や社外で誰かに相談できるところを利用されているのであれば、教えていただきたいです。 柴田  自分の仕事の中で、何か相談したいこと、あるいはストレスマネジメントをしなければいけない状況になった時、上司に相談するというのはもちろん、周りの先輩に話をできるようにしておくといいと思います。普段からご飯を一緒に食べに行ったり、LINEなどの連絡先を交換しておくと、ちょっとしたことも相談できると思います。 福富  私の職場では、年に2回、課長と相談する機会が設けられていますが、普段困った時は、周りの先輩方に相談するようにしています。職員相談室というところも設けられているので、そこを利用することもできます。 森田  私の会社の場合、障害者職業生活相談員という資格を持った上司の方がいます。なので、仕事上の相談は、同僚や先輩の方だけでなく、その資格を持った上司の方と話すこともあります。また、社外でしたら、通所していた就労移行支援事業所や京都市の発達障害者支援センターの方にも相談します。 P7 波多野  私の場合、普段の仕事の中で困ったことは、周りの先輩や自分の部署の部長に相談します。ただ、逆に同じ部署の人に相談しづらいこともあるので、そういう場合は、会社の中で、相談に乗ってもらえるホットラインに相談します。そういった悩み相談をできるところは知っておいて、適宜使っていますね。 司会  相談するためのいろんなチャンネルを持っておくことが大切、ということですね。身近だから良いということと、身近だから逆に相談しにくいということもあります。仕事とプライベートを明確に分けた方が良いという方もおられるので、自分なりのいい方法を見つけるのが、仕事を継続していく上で大事なのかなと、皆さんのコメントをお伺いして感じました。 司会  ストレスとのつき合い方や、仕事以外に大切にしていることがあれば教えてください。 柴田  余暇は、ジョギングをしています。週に3回ぐらい、1時間ぐらい走るようになりました。それから、もう一つは、本を読むことですね。通勤時間中に本を持ち歩いて、2冊ぐらい持ち歩いているんですけれども、その時の気分によって読む本を変えています。 福富  歌をうたったり、漫画やアニメを見たりするのが好きなので、そういった時間を楽しんだり、あと、同期の人と飲みに行ったりしています。 森田  週末とか土日であれば、近場に出かけたり、長い休暇の時は、旅行に出たりしています。 波多野  私は週末、結構疲れているので、とりあえず寝て、リフレッシュして、まだ連休があるようなら、数日車で旅行に出たりします。 司会  内定者の皆さんも、働き出してからチャレンジしてみたいことも含め、コメントをお願いします。 松波  この間も好きなアーティストのライブに行ってはじけてきました。カラオケに行ったり、友人とご飯に行ったりとか。 木村  私は、1人で過ごす時間が好きなので、どちらかというと、読書したり、家の中でゆっくりするという時間がストレス発散になっているのかなと思います。 司会  好きなことをやってエネルギーを溜めてから仕事を頑張るという、そのサイクルがいいですね。この視点はとても大事だと思います。自分が大事にしていることやホッとできる時間を大切にできるといいなと思いました。 P8 障害学生の就職活動について キャリアセンターガイダンス 障害者採用においては、一般就活で求められる「仕事理解」や「業界・企業研究」、「自己理解」とともに、特有の要素があります。 自身に適した「就職活動の進め方」を決定するために、障害者採用におけるポイントを理解しましょう。 (以下、P8、9の図の内容を箇条書きにて表す) 『障害者採用』の心構え ①その企業で「働く」上で  仕事理解 「社会人として働く」具体的なイメージ  業界・企業研究 自分の「実現したいこと」「夢」がどの業界・企業で実現できるのか ②企業において最大限の力を発揮できるようにするために  自己PR 働く中で活かせる(結果成果を生み出す)/自身の強み(思考・行動特性等) ①②は一般就活と共通 (その上で)必要となる配慮について伝える…障害者採用特有の+αの要素 障害学生の就職活動 STEP1「一般就活」と同様に求められることを理解する キャリアセンター実施の『進路・就職ガイダンス』※学校推薦ガイダンス含む ・文系:全3回 ・理系:全4回 STEP2「障害者採用」特有の+αの要素を理解する 障害学生向けガイダンス STEP3「就職活動の進め方」を決める 【パターン】 ①一般就活のみ ②一般+障害者枠 ③障害者枠のみ キャリアセンター窓口相談を活用 STEP4就職活動に必要な事前準備・対策をする キャリアセンター実施の支援企画を活用 キャリアセンター窓口相談を活用 『障害』についての自己分析→必要な配慮 自己分析 学生生活・日常生活 ・どんな場面で、「できないこと」があるか ・その「できないこと」は、どんなサポートがあれば「できること」になるか 主治医からの説明 ・障害の現状について、医学的にどのような状況であると説明できるか ・障害に変化がある場合、今後の変化の可能性はあるか 必要な配慮 採用選考過程における配慮 ・試験日程や時間 ・説明会や面接での会場内での対応 ・筆記試験やエントリーシート提出等 ・仕事理解のための対応(職場見学、社員訪問等) 就労後の配慮 ・通勤時間、通勤方法 ・勤務時間(残業時間) ・休日 ・転勤(勤務地) ・通院配慮 ・施設設備(健康管理室、職業相談員、バリアフリー等) ・その他対応(筆談対応、車椅子、拡大読書器等) 伝える優先度 ・配慮が絶対に必要 ・配慮があった方が良い 『障害』について伝えるポイント ① 自身の「障害」について誰もがわかるように伝えること ②「障害の現状」と「就労後の進行の可能性」がわかるように伝えること ③「説明」「相談」するスタンスで伝えること(≠要求) [伝える手段] ・書類(履歴書・エントリーシート等) 障害内容・等級/状況/職場で必要な配慮を端的に伝える ・口頭(説明会・面接等) 上記について具体的エピソードで根拠を補足しながら伝える P9 新卒採用における『障害者採用』 新卒採用における「障害者採用」とは、入社時に 障害者手帳を有する者を採用すること ・就職活動時点で「取得予定」の者を含む ・身体障害者手帳/療育手帳/精神障害者保健福祉手帳 企業は、「障害者採用」で採用するにあたり障害の状況を踏まえ、「必要となる配慮」を行う ①採用選考過程における配慮  ②就労後の配慮 企業によって異なる『障害者採用』 ○障害者採用体制 ・障害者枠はなく、一般採用と同一の採用体制・選考フローで採用活動を行っている ・人事部門内に障害者採用担当者が別途配置されており、障害者枠での採用活動を行っている ・障害者の雇用定着含めた別部門があり、その部門が障害者枠での採用活動を行っている ○障害者向け求人の出し方 ・一般求人 個別学生からの相談・問い合わせに応じ、可能な範囲で対応 ・障害者枠求人有 ①ハローワークで求人公開  ②特定の大学に求人公開 ③障害者枠求人専用の就職情報サイトに掲載 等 *必ずしも『障害者枠』を設けているわけではないため、自身の興味のある企業の障害者採用の仕方を把握する必要があります。 企業の『障害者採用』について調べてみよう! □ 採用活動体制(障害者枠の有無、採用担当者) □ 障害者の採用実績 ※在籍社員の障害の種類 ※中途採用か新卒採用か □ 勤務予定地/転勤の有無 ※転勤有の場合は転勤の可能性がある勤務地 □ 配属可能性のある部署・仕事内容 □ 職種(総合職・エリア総合職・一般職等) □ キャリアアップ(昇進等) □ 採用選考時に可能な配慮 □ 就労後に可能な配慮 □ 施設・設備 ※自身が働く上で必要となる施設・設備はあるか (参考)障碍者枠求人の探し方 ■就職情報サイトへの登録 ■就職情報サイト主催の説明会への参加  例) ウェブ・サーナ、クローバーナビ、アットジーピー、オムロン パーソネル ■興味のある企業の説明会への参加  ※興味のある企業で障害者枠求人が見つからない場合でも   人事担当者に直接相談すると個別対応してくれることもあります。 ■大学到着の障害者枠求人  ※就職情報サイトに掲載されているものと重複している   ことが多いため、まずは「就職情報サイト」を活用してみましょう! キャリアセンターの活用方法 1.キャリアセンター実施企画を活用しよう! ガイダンス…就活情勢について、就活スケジュールについて、キャリアセンター支援企画紹介 支援企画…準備・対策内容に合わせた企画← 『必要な時期に、必要な支援を』実施 説 明 会…企業の採用広報解禁以降(3回生3月以降)キャリアセンター主催の企業説明会を実施 →企画への参加にあたり、必要な配慮があれば、実施2週間前までにキャリアセンターに一度相談を!(活用の仕方含めアドバイスします) 2.キャリアセンター窓口相談を活用しよう! キャンパス…衣笠・BKC・OIC(いずれのキャンパスでも相談可) 形式…予約・指名なしの自由来談方式 相談時間…1回につき30分 相談内容…「就活」に関わること全般 相談方法(フロー)…キャリアセンター窓口の受付スタッフに相談希望であることを伝え、「相談カード」に必要事項を記入 相談体制…各キャンパスに「障害学生支援担当者」を配置しています。※障害者枠採用に関わる相談については、担当者との面談が可能です。 →「就活」の進め方は希望進路によっても異なるため自身の「就活」についてじっくり相談に来てください! P10 総括 長澤 克重/障害学生支援室室長・学生部長 今回、学生の視点・立場からの発案で、初めて「障害学生のキャリアを考える会」が実現したことは、大変心強く、嬉しく思います。このようなガイダンスは今まで行われていなかったようなので、その点では障害学生支援室とキャリアセンターが遅きに失していたのかなと反省しています。 就職活動が終わった内定者の皆さん、OB・OGの方より、非常に具体的な体験談があったので、キャリアセンターが通常行うガイダンスだけではカバーできない話もたくさん聞くことができました。 ダイバーシティとよく言いますが、今回の会で障害による困り事は多様であるというのがよくわかりました。今回のガイダンスの中には盛り込めなかったものがもっとたくさんあると思いますので、それを来年以降の企画の中で実施していけたらと思います。 今後も、障害学生支援室・キャリアセンターで全面的に障害学生の就職活動をバックアップしていきたいと思います。 (障害学生のキャリアを考える会「総括」より) P11 障害学生支援室沿革 2006年度…障害学生支援室設置。さぽーと.netの協力を得て、サポート学生を組織。 2007年度…授業担当教員への配慮依頼文配布開始。びわこ・くさつキャンパス(BKC)にサポート学生を組織。 2008年度…大学院生への支援ルールの整備。 2010年度…図書館における視覚障害者支援開始。 2011年度…東北地方の大学に在籍する聴覚障害学生の遠隔支援を実施。発達障害やその可能性がある学生を含む包括的な学生支援として、特別ニーズ学生支援室を開設。 2012年度…全盲学生の入学を受け、学生による衣笠キャンパスのバリアフリーチェック、産業社会学部教員によるガイドヘルプ体験を実施。 2014年度…学生によるパソコンテイク、ノートテイクマニュアルの作成。 2015年度…「立命館大学障害学生支援方針」の策定。障害学生支援室にかかわる学生たちによるFD冊子「大学と障害学生」刊行。 2016年度…障害学生支援室と特別ニーズ学生支援室が組織統合し、新体制へ移行。障害学生支援室10周年記念シンポジウム実施。冊子「大学と障害学生‐障害学生への合理的配慮ってなに?‐」刊行。 2017年度…学生企画による「障害学生のキャリアを考える会」実施。冊子「障害学生のキャリアを考える」刊行。 2018年3月発行 発行 立命館大学障害学生支援室 http://www.ritsumei.ac.jp/drc