RS学園通信「2022年度全学協議会に向けて」原稿 立命館大学の学部学生・大学院生のみなさんへ  立命館大学は、時代の変化や要請に向き合いながら教育・研究を高い水準で進めてきました。そのなかで、この間の新型コロナウイルス禍、環境問題や国際情勢などの急激な変化は、予測が困難な時代(VUCA(*)時代)への突入を実感させるものです。とりわけ、新型コロナウイルス禍は、これまでの、個人の生活、社会、政治、経済などのあらゆる面で、前提や常識の変化を迫りました。学部学生(以下、学生)・大学院生(以下、院生)のみなさんの学習・研究・生活にも大きな変化をもたらし、その影響は今も続いています。同時に大学にとっても、新型コロナウイルス禍への対応は重要な課題であり、大学の教育・研究のあり方そのものを改めて問い直す機会となりました。世界中の誰もが、従来の価値観や常識だけでは課題の発見ができず、解決への道筋が立てられない状況に、まさに直面したのです。このような、唯一の正解が無い不確実性の時代を生きていくために改めて重要と認識した点は、「よりよい自分、よりよい社会を探し求めて、学び、成長し続けることの大切さ」です。そして、自身の役割を自覚し、進路を開拓し、変化する社会のなかで役割を果たすことです。その意味において、学び、成長し続ける場と機会を提供する大学としての使命を、改めて捉え直す必要があります。 立命館大学は、その時代や来るべき未来の情勢と課題をふまえながら、学生・院生の主体性・能動性を育み、学びと成長の機会をさらに充実したものにするための営みを続けています。不確実性の時代にある現在、大学のあり方、教育・研究の将来像をどのように描き、実現していくのかという課題について、学生・院生のみなさんと向き合い、議論することがきわめて重要な局面を迎えています。 立命館大学には、学生・院生のみなさんと大学づくりについて議論する場として、全学協議会があり、2022年度は全学協議会を公開で開催する年です。立命館大学が普遍的な価値の創造と、人類的な諸課題の解明のため、持続的に教育・研究の水準や質を高め、より充実した学びと成長の場と機会を創出し続ける大学創造を継続するために、R2020で取り組んできた内容を総括し、R2030に向けての展望について、皆さんと旺盛に議論したいと考えています。 本文書の発行に先立って、6月3日(金)に、学長も出席する全学協議会代表者会議を開催し、学生・院生の代表である学友会、院生協議会連合会と、10月の全学協議会での議論の方向性について意見交換を行いました。そのなかで、学友会からは、「現在の学生と未来の学生」という2つの観点から議論を行うことが提案されました。この背景には、学友会が示した学友会・全学アンケートにおける厳しい意見にもあるように、新型コロナウイルス禍に伴う学習や大学生活の変化があるなかで、学生の学費に対する関心が高まっているという認識があります。学友会はそうした学生の声をふまえて、現在の教育や学生支援等の施策が学生の負担する学費に見合っているのかを議論するとともに、大学の学費や財務が、未来の学生に対する教学創造に繋がっているという理解から、大学の中期計画であるR2030に掲げる大学像の実現にむけた議論を行うことを提起しました。 学友会からの主張を受けて、この全学協議会代表者会議では、学費の使途としての教育や学生支援等の施策について、また大学での学びと成長のあり方について、10月の公開で開催する全学協議会で議論を行うことを確認しました。 *VUCA:《volatility(変動性)、uncertainty(不確実性)、complexity(複雑性)、ambiguity(曖昧性)の頭文字から。「ブカ」とも》変化が激しく複雑で、将来の予測が困難となった社会を表す語。 "ブーカ【VUCA】[volatility, uncertainty, complexity, ambiguity]", デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-06-10) 第Ⅰ章 これまでの全学協議会における議論経過と2022年度全学協議会の位置づけ 全学協議会とは 全学協議会は、立命館大学における「学びのコミュニティ」を構成する学生、院生、教職員および大学が、教育・研究、学生生活の諸条件の改革・改善に主体的に関わり、協議するために1948年に設置された協議機関です。全学協議会は、学生の自治組織である学友会、院生の自治組織である院生協議会連合会(以下、院生協議会)、教職員組合、大学(学部長が理事として参加する常任理事会)の4つのパートと、学生生活の福利厚生面を担う立命館生活協同組合(オブザーバー)で構成されており、大学を構成するすべての構成員が自治に参加する「全構成員自治」の考えをふまえています。 2022年度全学協議会の位置づけ 立命館大学は、2010年度に学園の中期計画であるR2020を策定し、2020年度のあるべき姿をめざし、教育・研究および学生生活のさらなる向上に取り組んできました。この2010年度以降、公開での全学協議会は、2011・2016・2018・2019年度に開催されました。これらの全学協議会では、学生の主体性・能動性を育む「学びと成長」を軸とした議論が展開されました。特に、学友会や院生協議会との協議のなかで出された指摘や課題を大学は真摯に受け止め、R2020の取り組みとして改善を進めてきました。また、2018年度には学園ビジョンR2030を策定、その後2020年度には新型コロナウイルス禍に直面するなかで、大学、教育、研究のあり方そのものをより根源的に問い直す視点から、2021年度以降の10年間の中期計画であるR2030チャレンジ・デザインを策定しました。 2022年度10月に開催される公開での全学協議会では、これまでの取り組みの到達点と課題についての総括をふまえ、2023年度以降の立命館大学における教育・研究および学生生活支援の今後の方向性を、学生・院生・教職員の各パートと大学とが協議したうえで確認することが求められます。その協議に至るまでの前提として、この間の取り組みの到達点および課題についてふまえる必要があります。その内容としては、①2011〜2020年度にR2020のもとで進められてきた諸政策を評価し、②R2020からR2030への移行期に、大学での学びのあり方に転換を迫った新型コロナウイルス禍での学びの取り組みについて振り返ること、になります。また、この新型コロナウイルス禍における学びの継続のための取り組みは、学びを継続し続けるための「緊急避難」的な対応と、将来の新たな展開に繋がる対応とがあり、切り分けて捉える必要があります。これらは、2020年度および2021年度に開催された全学協議会代表者会議でも議論がされています。改めてこの議論のなかで取り上げられた諸論点については、R2020の到達点と課題、およびR2030への取り組みの文脈のなかで振り返り、その位置づけを確認する必要があると大学は理解しています。 また、「今後の方向性」については、R2030チャレンジ・デザインの具体化と実現を見据え、今後さらなる議論が必要となります。 本文書は、この間の議論経過をふまえ、特にR2020の取り組み、および新型コロナウイルス禍での取り組みの両者の到達点と課題を明らかにし、R2030チャレンジ・デザインの具現化に向けた方向性を示すことで、2022年度の公開での全学協議会に向けた議論を提起するものです。 【2022年度全学協議会に向けたスケジュール】 ・学友会・院生協議連合会の主に全学協に向けた活動 5月~6月 自治委員選挙(学友会各学部自治会執行部交代、議論の到達点の確認など) 学友会代議員会 7月~ 院協総会五者懇談会 ・全学協議会のスケジュール 1月24日 2021年度代表者会議 3月~6月 各種懇談会 教学・学生生活・財政等関わる理解を深める機会 6月3日 代表者会議 10月の全学協議会での議論の方向性について意見交換 6月~9月 各種懇談会・代表者会議等 全学協議会に向けた論点整理 10月 全学協議会 第Ⅱ章R2020からR2030に向けた立命館大学の取り組みについて 1.R2020の取り組み 「Creating a Future Beyond Borders 自分を超える、未来をつくる」を掲げ、2010年度から開始されたR2020では、教育・研究および学生生活支援などの様々な分野において、2020年度の学園のあり方を展望した諸施策を進めました。その原点となる「立命館学園ビジョンR2020」は、「多様なコミュニティにおける主体的な学びの展開」、「人類・自然・社会に貢献する立命館らしい研究大学への挑戦」および「学ぶことの喜びを実感できる学園づくり」の3つの柱で構成されています。同ビジョンの具体化は、前半期(2010〜2015年度)と後半期(2016〜2020年度)とで推進してきましたが、R2020の計画期間(2011年度〜2020年度)を通じて、教育と学びの質転換、グローバル化を基軸とした各学部・研究科・教学機関における展開、大学院政策および研究高度化の取り組みを推進してきました。 まず、学びの立命館モデル「教育と学びの質転換」では、学習者中心の教育、学びのコミュニティの形成、生涯にわたって主体的に学び続ける学生育成のための教育の質向上に取り組んできました。多様な学習支援、履修指導、多様なコモンズをはじめとするピア・ラーニング支援、学生の主体的な学習を促進する特色ある授業の展開などにより、この間の全学協議会でもテーマになっている、大学での学びへの転換、大学での学びの質保証を進めてきました。「学びの立命館モデル」は、R2030においても立命館大学の教学の柱として位置づけられますが、学習指導要領の改訂を受けて、今後、社会で求められる問題解決能力や論理的思考力を身に付けていくためには、能動的な探求型の学びがより一層重要性を増します。探求型の学びは、これまでも一貫教育や大学において取り組んできましたが、変化の激しい社会においては、より高いレベルの問題解決力や思考力などの探究力の育成に取り組むことが求められます。そのためには、教育DXを通じ、学生ごとのニーズや特性に応じて教学エフォートを各自の能動的な学びに最適化し、包括的な学習支援と一体のシステムへとさらなる質転換を成し遂げる必要があります。 「国際社会と地域に貢献する開かれた学園−グローバル・イニシアティブの推進」を象徴する展開としては、SGU構想を具体化し、留学生の受入れや国内学生の海外派遣に取り組んだほか、国際関係学部グローバル・スタディーズ(GS)専攻、政策科学部CRPS専攻、情報理工学部ISSEコースを設置しました。現在、英語基準コースは、4学部4コース、大学院19コースが設置されており、大学全体のグローバル化への波及効果を生み出しています。また、文部科学省の世界展開力強化事業(文、政策、国際、経済、経営、理工、情報理工、生命)をはじめ、海外大学などとの連携した取り組みとして、情報理工学部の「大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部」や、国際関係学部の「アメリカン大学・立命館大学国際連携学科」、文学部の「キャンパスアジア・プログラム」などは高い注目と評価を得ています。さらに、世界有数の研究大学であるオーストラリア国立大学と連携した「グローバル教養学部」の開設は、立命館大学のグローバル教育の国内外のプレゼンスを飛躍的に高め、多文化コミュニティの形成に資するグローバル大学として発展を遂げる教学創造といえます。 また、「特色あふれるグローバル研究大学」として、研究高度化に取り組みました。R-GIROや、衣笠キャンパス(以下、衣笠C)、びわこ・くさつキャンパス(以下、BKC)・大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)の各キャンパスの特色を活かした研究拠点の創出、科研費の採択件数・補助金額の増大による基盤的研究の促進、産学連携の更なる推進に取り組んできました。特に科研費の採択件数はR2020の期間の10年間で約1.8倍に増加しています。研究高度化とも関連する大学院政策では、大学院における質的・量的拡充をめざし、課程博士100人輩出(18年度97人)という目標にも肉薄してきました。また、産業界も巻き込んだ大学院と研究機構などとの連携を強化し、次世代を担う若手研究者育成ならびに女性研究者支援と、若手研究者のキャリアパスの実現への寄与に取り組んできました。これらの取り組みは、文部科学省「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」に採択され、中間評価では唯一の「S」評価を得るなど、着実に高度化をしてきたと言えます。 これらの新しい教学創造や研究展開が、対内的にシナジーを生み、対外的に学園のブランド価値を向上させて、未来に貢献する教育・研究機関としての学園全体の力を高めてきました。 こうしたR2020の到達点をふまえ、2022年の全学協議会の議論との関係で特に重要な論点となる、「学びの立命館モデル」の構築、「教育と学びの質転換」、および「大学院改革の推進」を中心に、次に具体的な内容について記載していきます。 表1:学園ビジョンR2020期間における教学創造 年度 学部・研究科の教学創造 2011年 映像研究科を設置国際関係学部「グローバル・スタディーズ専攻」設置 2012年 情報理工学研究科を設置生命科学研究科を設置 理工学部電気電子工学科と電子光情報工学科を統合し電気電子工学科に再編、 電子情報デザイン学科を電子情報工学科に名称変更、 機械工学科とマイクロ機械システム工学科を統合し機械工学科に再編文学部の14専攻・プログラムを再編し、8学域、18専攻を設置 2013年 政策科学部に「Community and Regional Policy Studies専攻」を設置大連理工大学と共同で「大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部」を開設 2014年 薬学研究科を設置文学研究科に行動文化情報学専攻を設置し、2専攻15専修の体制に再編立命館中学校・高等学校が長岡京へ移転 2015年 大阪いばらきキャンパスを開設 経営学部・政策科学部が大阪いばらきキャンパスへ移転 2016年 総合心理学部を設置 2017年 教職研究科(教職大学院)を設置情報理工学部に情報理工学科を開設し、1学科7コース制に再編 経済学部を経済学科1学科2専攻に再編 2018年 食マネジメント学部を設置人間科学研究科を設置 理工学部の都市システム工学科と環境システム工学科を統合し環境都市工学科に再編国際関係学部にアメリカン大学・立命館大学国際連携学科を設置 2019年 グローバル教養学部を設置 2020年 薬学研究科に薬科学専攻修士課程を設置 食マネジメント研究科の設置認可(2021年) (1)多様な学生の多様な学びを実現するための取り組み(学生の学びの環境整備) 1)大学での学びの核となる学部での学習・教育環境の充実 R2020では、多様な学生一人ひとりが学部での学びを通じた成長の実感が大切であることを前提として、以下の取り組みを進めました。 ①正課を中心とした取り組み A)1回生初年次小集団クラスでの取り組み 初年次教育は、大学での「学び方を学び」、「生徒」から「学生」への「学びの転換」をはかるという重要な役割を担うため、初年次教育の改革は常に立命館大学の取り組みの重点といえます。なかでも、基礎演習などの初年次の専門小集団科目は、少人数でのきめ細かな指導や学生同士の学び合いの場という点で、初年次教育の要となっています。 そこで、2014年に、教学改革・改善の指針としての教学ガイドラインで、1回生専門小集団科目のクラス規模30名を基準とすることを定めました。2010年度から2020年度にかけて、13学部のうち(※2010年度時点で開設されていなかった総合心理学部、食マネジメント学部、グローバル教養学部をのぞく)10学部において1クラスあたりの専門小集団科目の受講者数は減少しました(表2・表3参照)。また2010年度の時点では、4学部において1クラスあたりの受講者数が35名以上であったのに対し、2020年度の各学部の専門小集団のクラス規模をみると、教学ガイドラインの定める30名という基準をほぼ満たすか、少なくとも30名をわずかに超える範囲になりました。 小集団という形態を活かした一層きめ細かな指導をし、学びと成長に資する学部教学の改革・改善への取り組みが、前提としては重要となりますが、その取り組みを支える環境の整備として、1クラスあたりの受講者数の適正化は、重要となります。 表2:小集団授業の1クラスあたりの受講者数の比較表(2010年度-2020年度)  2010年度と2020年度の受講登録者数を元に、各学部の1クラスの平均受講者数を算出したものです。  2020年度の列の赤数字は、2010年度比でクラス規模が小さくなったことを示します。 1回生小集団 3、4回生ゼミ 2010年度 2020年度 2010年度 2020年度 法 36.3 29.6 14.8 14.3 経済 経済学科:32.1 国際経済学科:23.9 経済専攻:31.3 国際専攻:29.6 21.3 19.8 経営 経営学科:29.2 国際経営学科:25.8 経営学科:26.2 国際経営学科:22.2 19.5 15.0 産社 31.3 28.2 13.3 13.9 国関 29.7 IR専攻:23.5/GS専攻:20 18.9 16.0 政策 35.0 31.6 12.8 11.8 文 30.8 26.3 18.0 18.3 映像 30.0 32.4 17.1 17.4 心理 − 35.0 − 10.9 ※2016年度開設 理工 31.2 32.9 8.9 8.1 情理 32.2 27.6 9.7 8.7 生命 36.5 33.8 73.2(10名〜15名程度の小グループに編成して指導を行う) 8.3 薬 35.5 30.0 92.8(10名〜15名程度の小グループに編成して指導を行う) 3.4 スポ健 25.4 25.4 − 11.9 ※2010年度開設 食 − 25.1 − 13.7 ※2018年度開設 GLA − 16.8 − − ※2019年度開設 ※学科単位で1クラスあたりの受講者数を変えている場合は分けて記載しています。 ※生命・薬の2010年度のカリキュラムでは、3・4回生小集団科目は一旦70〜100名のクラスに分け、さらにクラス内で10〜15名の小グループに分けて指導を行っていましたが、表中は小グループ化する前の数値で表示。 表3:2009年度~のカリキュラム改革の状況(表省略) B)3・4回生ゼミ(専門演習や卒業研究など)での取り組み 学生にとっては大学での学びの集大成あるいは卒業時の学びの質保証という観点から、一貫した専門小集団の学びにおいて重要な位置を占める「専門演習・卒業研究などの1クラスあたりの受講者数」について、2014年度に、教学ガイドラインで20名を基準とすることを定めました。2010年度では、ほぼすべての学部のクラス規模は教学ガイドラインの基準を実態として下回っていましたが、2020年度には、13学部中9学部において1クラスあたりの受講者数をさらに減少させました。1回生専門小集団科目の場合と同様、1クラスあたりの受講者数の規模の縮小は、学部の目指す教学改善の具体化とともに、卒業時の学びの質保証をより実質化するという点にも関わります。2010年度以降に開設された学部も含め、2020年度の時点では14学部において学びの集大成としての卒業論文を必修化してきています。他の2学部についても、1学部において2022年度入学生より必修化し、もう1学部において卒業研究の受講登録を必須化しています。 これらの取り組みの背景には、大学の教員数に関わる計画である教員組織整備計画に基づく教員体制の充実があります。教員数を増加させることで、教育・研究上の分野・テーマの幅が一層広がり、学生のゼミあるいは研究室の選択肢の増加に繋がった、という到達点があります。この点については、特に自然科学系学部において顕著な成果がみられます。 また、授業アンケートの結果では、このような小集団クラスによる授業形態は、「到達目標達成度」や「学び役立度」が講義の授業形態よりも相対的に高い傾向があります。さらに、2018年度の卒業生に対して実施したアンケートでは、文系学生にとって「自分の成長に最も貢献したもの」として、「卒論」および「ゼミ」が「課外活動」とほぼ並んで1位・2位を占めており、理系学部生では「卒論」が30%を超えて突出して多く、続く「課外活動」に「ゼミ」が次いでいます。この結果からも、3・4回生ゼミが学生の成長実感に大きな影響を与えたことが確認できます。 C)必修英語科目での取り組み 教学ガイドラインでは、外国語科目について1クラスあたりの受講者数の基準を35名としています。そのうえで、各学部の教学特性・科目特性(PBL型の授業、発信重視の授業など)をふまえ、1クラスあたりの受講者数の規模を改善してきています。(2010年度必修英語科目の「教員ひとりあたり学生数(以下、ST比)」31.72→2020年29.16) 加えて、政府の取り組みであるスーパーグローバル大学創成支援事業(*)(以下、SGU)との関係のもとで一層推進された教学の国際化の取り組みも進めてきました。そこでは、例えば英語基準専攻の充実、国際教養科目(教養科目B群)・学部英語開講科目の拡充、学部独自の海外留学プログラムの豊富化の取り組みを進めており、これらの取り組みの背景にもST比の改善が関係しています。こうした諸施策をうけて、2010年代から2021年度にかけ、英語教育における学びの成果が上がっています。SGUとの関連から、立命館大学では外国語力の到達度検証の基準をCEFR B1以上と設定しています。この基準を満たす立命館大学生の割合は、SGUの始まった2013年度には全体の23.5%(7,607名)であったのに対し、2021年度には45.6%(14,561名)まで上昇しています。 他方で、この間の全学協議会の議論では、学生の達成感や成長実感と到達度との間に乖離があると学友会から指摘があり、議論を継続しています。 なお、以上については、SGUとの関わりもあり、外国語のなかでも特に英語を取り上げて記述をしてきました。その一方で、世界の多様な文化をより詳細に理解し、国際的な諸課題をいっそう複眼的にとらえる力を身につけるために、英語以外の初修外国語を学ぶ意義が大きいということは、言うまでもありません。 *スーパーグローバル大学創成支援事業:日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化を牽引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせ重点支援を行う政府の事業です。立命館大学では立命館憲章の趣旨のもと、国際舞台で活躍する人材育成に努めており、こうした人材育成の趣旨と合致したため、これに参画し2014年に採択されました。 D)ライティング支援窓口などの学生支援の取り組み R2020の取り組みの途上で判断したこととして、ライティング支援窓口などの学生支援の取り組みがあります。これは、2019年度の全学協議会において、卒業論文執筆の土台となる文章作成能力を育てるための全学的なライティング支援の必要性が、課題として確認されたことによります。こうした課題を解決するため、協創施策(2019〜2022年)の取り組みを進めてきています。協創施策の議論と関わって、Student Success Program(以下、SSP)をはじめ、Beyond Borders Plaza(以下、BBP)の運営や衣笠キャンパスを拠点とする全学ライティング支援など、多様な学生支援の取り組みも行ってきています。このように、正課と正課外の取り組みの高次な連携が、学びの多様性や自立した学習の涵養に繋がってきています。 ②正課以外の取り組み A)多様な学生の自分らしい学び・学生生活を実現する取り組み 〇包括的学習者支援 包括的学習者支援の考え方のもと、2011年度に特別ニーズ学生支援室の設置(精神・発達での障害を持つ学生への支援)、2015年度に人事部から学生部への保健センターの移管、さらに2016年度に障害学生支援室(DRC)を教学部から学生部に移管し特別ニーズ学生支援室と統合、2017年度にSSPの設置、2019年度に学生相談の総合案内HPの公開、など、一貫した相談が可能な体制づくりを進めました。これらをふまえ、個々の「困りごと」を適切な支援を行うことで解決を図る専門家間・部課間連携の促進を進めています。このほか、性の多様性に関わる学生支援として、ダイバーシティ&インクルージョン推進室を設置し、関連部課と連携して性の多様性に関わる学生支援の対応ガイドラインの検討を行い、「性の多様性に関わる学生支援の対応ガイドライン」を制定し、HPなどでの周知を進めています。 ○留学生受入促進と支援の高度化 2018年度全学協議会において、留学生支援の一層の充実をめざした体制整備の必要性が確認され、2019年度より協創施策の一環として、衣笠C、BKC、OICの各キャンパスに、留学生の多様な支援ニーズに対して最初の相談窓口となる「留学生支援コーディネーター」を1名ずつ配置しました。「留学生支援コーディネーター」は、大学内の関連部課や行政とも連携・協働し、解決へと導く役割を担っています。留学生の就職支援に関しては、留学生の採用に関心のある企業を大学に招聘し、マッチングの機会を設けるとともに、就職活動で必要となる日本語力を向上させる支援を行っています。さらに、新型コロナウイルス禍で渡日できない留学生へ向けて、Zendeskを利用し、オンラインでの支援を実施しました。今後も対面での支援とオンラインでの支援の両者を積極的に活用した留学生支援を推進し、留学生の多様な悩みや困りごとに応えていきます。 B)学生交流の促進の取り組み 〇様々な学びのコミュニティでの活動の促進 立命館大学には、様々な「学びのコミュニティ」が存在しています。正課では、初年次小集団クラスや専門演習(ゼミ)といった小集団科目があります。また、正課外では、学友会所属の各クラブ・サークル団体、校友会未来人財育成奨励金など、成長支援型奨学金を受給して活動する団体、学部の支援を受けながら活動する学部プロジェクト団体・自主ゼミのほか、学部や各部門からのサポートを受けながら活動するピア・サポート団体、学生・卒業生が協力し合って進路を考えるスチューデンツ・ネットワークなど、多様なコミュニティが存在しています。学生がコミュニティでともに学ぶ機会は重要であると捉え、従来からある活動の枠組みにとどまらず、学生のニーズをふまえて、活動の領域を広げ、支援する取り組みを進めてきています。 例えば、成長支援型奨学金は、2011年度全学協議会の議論をふまえ、2012年度から①正課・正課外の枠を超えた総合的な学習者支援、②「個人」と「集団」の2つの側面からの支援、③結果への支援だけではなくこれからの目標、目的にむかうチャレンジのプロセスを応援する支援、とした3つの考え方に基づいた制度を整備し、2012年度より成長支援型奨学金制度の運用を開始しました。その後、2017年度には制度を再編し、学生にとってわかりやすい制度となる取り組みを続けています。 また、キャンパスを越えて正課外での活動を進める基盤として、キャンパス間シャトルバスを運行しています。OIC開設に伴い、2015年度からは3キャンパス間での運行を開始しました。2018年度からは、学生ニーズをふまえた柔軟な運行計画(ダイヤ、降車場所の設定)などを検討した運行を行っています。 さらに、2019年度には、立命館学園で行われている起業家育成プログラムや研究シーズを使った大学発ベンチャー支援プログラムなど、様々な「挑戦」を支援する取り組みについて、1つのプラットフォーム(RIMIX)として見える化を試みました。そこでは、学生・生徒・児童と研究者に挑戦の機会を提供し、課題の発見から起業まで一貫して取り組みを行うための支援の取り組みも進めています。 〇日本人学生と留学生の交流促進 立命館大学では、多様な学生がともに学び合う「共修」の取り組みを進めています。正課では、国際教養科目(教養科目B群)の英語開講科目について、2017年では40クラスだったものを、2021年では55クラス(819名から1,300名規模)に拡充しました。また、正課以外の取り組みでは、BBPで国際交流企画を各種実施し、2021年度には、企画参加者は延べ約2,000名、オンラインによる参加・視聴は延べ約60,000名に至っています。このほか、同じく2021年度には、協定校とのオンラインを活用した国際交流には226名が参加(2021年実績)、BBPスタッフとして延べ138名が活躍するなど、多様な学生がともに学び合う仕組みが広がってきています。 C)課外自主活動の高度化に向けた取り組み R2020での、学びの立命館モデルの具現化に向けた「課外自主活動支援を充実し、学生の自主性に基づく、“学びと成長”を支援し伸ばす仕組みづくり」を整備、構築するための一環として、重点強化クラブを指定し、サポートする制度を2012年度に開始しました。 この指定においては、①大学・学園の多くの構成員から支持と理解を得ることができる、②地域・社会の発展に貢献できるものである、③これまでの活動の到達点をふまえて、学生の学びと成長に寄与するものである、④他の学生に積極的かつ有益な影響を与えるものである、ことを視点としています。特に、スポーツ活動分野の課外自主活動においては、2014年4月には「立命館スポーツ宣言」を制定し、スポーツが、学園づくりの理念(未来を信じ、未来に生きる)を具現化し、学園の発展を促す原動力になることを宣言しました。この取り組みの成果として、各分野で活動成績を上げるだけなく、活動を通じて学び得た知識や自己の成長を、多様な場面で周囲の仲間に還元することで、学園アイデンティティ・文化の醸成に寄与しています。また、この過程で、課外活動における学びと成長を重視し、立命館が目指す人材育成像を実現することも目標の一つとして位置づけています。 〇重点強化クラブ <第1期>(2012〜2016年度) スポーツ:8団体、文芸11団体 <第2期>(2017〜2020年度) スポーツ:7団体、文芸10団体 <第3期>(2021〜2025年度) スポーツ:7団体、文芸10団体 また、「文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験」、「スポーツ能力に優れた者の特別選抜入学試験」、「特別奨学生」、「立命館大学アスリート・クリエーター育成奨学金」などの制度は、上記の取り組みの基盤として機能しています。 さらに、スポーツの課外自主活動分野では、①「アシックスジャパン株式会社との包括的連携交流協定(2017年度)」を締結し、人材育成・交流、社会貢献活動の促進、研究・開発の高度化の3つを柱として連携事業を推進、②「2020年東京オリンピック競技大会および東京パラリンピック競技大会活動費用助成金規程」を制定(2017年)し、学生・院生への代表合宿などへの旅費・遠征費などの支援を開始しました。そして、③「スポーツ能力に優れた能力を有する附属校生を対象とした予約採用型奨学金制度」を開始(2017年度)し、2020年度には「課外自主活動において優れた能力を有する附属校生を対象とした予約採用型奨学金制度」へ改編、④「(一社)大学スポーツコンソーシアムKANSAI」の運営を中心的事業として、スポーツ庁の『日本版NCAA創設事業(UNIVAS)』に選定(2019年度)、など立命館スポーツの高度化に向けた取り組みを進めています。 D)海外をフィールドにした学びの取り組み 立命館大学ではSGUの取り組みを背景に、先述の留学生支援と並び、海外で学ぶ取り組みを推進してきました。この取り組みは、「グローバル・アジア・コミュニティに貢献する多文化協働人材の育成」を目指し、「国際通用性・開放性・交流性」の3点で教育・研究、学生諸活動などの分野において、諸改革を実施してきたものです。この実施に向けて、学長・理事長のリーダーシップによる「立命館大学グローバル・イニシアティブ推進本部」のもと、立命館大学の全部門が関わる体制を構築し、進めてきました。 具体的な取り組みとして、2018年度から開始した短期体験型海外留学入門プログラム(Global Fieldwork Project (GFP))、各キャンパス国際教育センターでのきめ細やかな留学相談、国際交流と言語学習の拠点の一元化として開設したBBPの活用、海外留学プログラムホームページやZendeskを通じて留学関連の最新情報の発信、学内外の奨学制度の充実などがあります。こうした取り組みをふまえ、2019年度には、年間2,300名の派遣目標に対し1,941名(日本人学生1,623名、留学生318名)に海外で学ぶ機会を提供しました(新型コロナウイルス禍により2、3月は派遣できず)。 新型コロナウイルス禍の影響はあるものの、2021年度には派遣計画変更と対応を確認し、2022年度の目標を2,780名、2023年度は3,220名として、より多くの学生が海外で学ぶ機会を設けていきます。 E)各種学びを支える奨学金 立命館大学では、「経済支援型」と「成長支援型」の2つの枠組みの奨学金で学びと成長を支えています。経済支援型奨学金は、経済的な理由で学業をあきらめることなく、自らの意志と責任で夢を追い求められることを支援します。成長支援型奨学金では、先述のとおり正課での学びや正課外での活動を意欲的に取り組む個人・集団・団体を支援します。 経済支援型奨学金については、2012年度に拡充の判断をし、その規模は国内トップクラスの水準となりました。これにより、奨学金全体における経済支援型奨学金の比重を高め、経済支援型2:成長支援型8から、経済支援型5:成長支援型5に比率を変更しました。特に、修学奨励奨学金では、「給与収入400万円以下層」のうち、収入329万円以下の層を特に優先して採用する方針とし、前期学費の1/2または全額給付(単年度限り)とする内容にしました。また、入学試験受験前予約採用型奨学金の新設も行いました。 2017年度には、「入学試験受験前予約採用型奨学金」制度を、「近畿圏外からの進学者を支援する奨学金」に再編しました。加えて、「修学奨励奨学金」と「学内推薦入学者奨学金」および「社会人修学奨励金」を整理・統合し、「経済支援給付奨学金」を新設しました。その内容は、採用時から標準修業年限まで、半期授業料の半額相当額を減免するものです。採用人数を約400名規模とし、父母の年間収入400万円以下層を支援対象としつつ、採用の上限基準は、年間収入が給与収入で600万円以下、自営業その他の所得で197万円以下として設定しました。 さらに、2020年度には、国の修学支援新制度(給付・減免)を包括した「立命館学費減免」を新設し、「経済支援給付奨学金」を整理・再編しました。これは、国の給与収入380万円以下層に加え、立命館大学独自区分の400万円以下層を対象とした制度です。 このほか、家計急変や自然災害といった不測の事態によって、修学が困難となった受験生・学生を支援するために「家計急変学費減免」を新設しました。「非常災害による修学困難者に対する立命館大学学費減免」や「緊急入学時給付奨学金」を整理・統合してきています。 こうした経済支援奨学金を通じて、さまざまな事情を持つ学生が、安心して学修を継続できる制度充実を図ってきています。 また、成長支援型奨学金については、「学生交流の促進の取り組み」や「海外をフィールドにした学びの取り組み」の項でもふれているように、正課での学びや正課以外での活動(海外留学・資格取得・クラブ活動など)を意欲的に取り組む個人・集団・団体を支援するものとして、改善を進めながら運営をしています。 2)社会の要請に応え、希望する進路実現にむけて 学生のみなさんの希望する進路実現に向けて、雇用・採用情勢の変化や学生の活動動向の分析に基づき、進路・就職支援の仕組みの改善を進め、きめ細かな支援を行ってきました。その結果、民間企業への就職では、進路納得度、進路把握率、進路決定率、就職決定率など、R2020後半期の進路・就職に関わる基本指標で、大学が独自に設定した目標水準を達成しています。また、難関試験については、学部・研究科・関連部署と密接に連携しつつ支援を強化し、合格者数などが上昇しています。その結果として、難関試験合格を目指す学生が増加する好循環をもたらしつつあります。 2018年度に実施した卒業生・修了生アンケートでは、「学生生活に対する充実度」、「教育に対する満 足度」では95%がポジティブな評価を回答しています。また「自分の成長に貢献したもの」として卒業論文・修士論文、ゼミなどの正課活動、正課外活動および就職活動を挙げています。これらの結果から、学生生活の充実感・満足感と、進路・就職結果に対する納得感との正の相関が明らかとなっています。 また、進路・就職を直前にした学生を対象とするだけでなく、院生、留学生、学部低回生や障害学生などの学生の状況や、公務員・教員志望者、法曹・会計士志望者、U・I・Jターン就職希望者などの学生の希望進路に基づく個別の支援を強化してきました。さらに2014年度より、進路を「グローバル」という枠組みで捉えた、「グローバル×キャリア」支援を開始しました。具体的には、日本人学生、外国人留学生や英語基準学生を問わず、日本もしくは母国以外の国での就職・就労に興味を持つ学生を対象に、海外就職セミナー、国際機関や国際協力分野に関するキャリア情報提供などの支援企画を実施しました。 (2)大学院におけるより高度な研究やキャリア支援の取り組み 立命館大学大学院におけるキャリア形成支援・研究支援の発展において、これまで4期にわたって実施されてきたキャリアパス支援制度が、中心的な役割を果たしてきました。R2020以前の2007年度より、第1期(2007〜2009年度)を「後期課程キャリアパス形成支援制度」として開始し、R2020の前半期には第2期(2010〜2012年度)および第3期(2013〜2015年度)に移行しました。第3期には、「後期課程キャリアパス形成支援制度」を「大学院キャリアパス支援制度」に変更し、第2期(2010年度)に創設した「博士キャリアパス推進室」を「大学院キャリアパス推進室」(2013年度〜)として改組しました。これは、第2期までの支援制度が主として博士課程後期課程院生を中心としていたのに対し、第3期から、博士課程前期課程(修士課程)の院生も含めた総合的な支援として、その枠組みを拡大することが目的でした。加えて、教育・研究の垣根を越えて大学院キャリアパス推進室が、より包摂的な観点から支援策を実施・展開していることは、他の大学院などからも高い評価を得ています。 R2020前半期(〜第3期)には、現行も継続している、研究奨励奨学金S、研究奨励奨学金A、研究奨励奨学金B、国際的研究活動促進研究費、国内学会発表補助、国外学会発表補助、研究会活動支援制度などの研究支援制度を新設しました。 R2020の後半期での取り組みとなるキャリアパス支援制度は、第4期(2016〜2020年度)では、博士論文出版助成制度、国外共同研究奨学金、英語論文投稿支援制度(院生)(以上、2017年度より)を新設しました。同時に、大学院の量的・質的展開を図るための教学政策の一環として授業料の減額を行い、2017年度入学者および在学者から適用をはじめました。さらに、2018年度には教学RA、2019年度には初任研究員・初任助教の制度の運用を開始しました。同時に、国内研究活動補助や博士課程後期課程インターンシップ助成金制度などの諸制度も新設するとともに、奨学金や助成金だけでなく、キャリア形成支援・研究支援のための各種プログラムも本格的に導入しました。2018年度の卓越大学院プログラムへの申請を背景に2019年度から開始された「超創人財育成プログラム」は、その先駆けといえます。同じく2019年度から、北海道大学を代表機関とする諸大学による「イノベーション創出人材連携育成プログラム」(2022年度より「連携型博士研究人材総合育成システム」)が開始され、立命館大学もその取り組みに参加しています。 このようなR2020のもとでの諸改革を基礎とし、キャリア形成支援・研究支援をR2030へとさらに発展的に繋げていく取り組みとして、2021年度より、「立命館大学NEXT(New Educational Xross-Training)フェローシップ」も開始しています。NEXTフェローシップは、文部科学省の「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」に採択された事業です。本プログラムのねらいは、立命館大学内の多様な学際融合型研究拠点から選定された「育成拠点」において、研究プロジェクトに参加するフェローシップ生(採用された後期課程院生)が、最先端で活躍する異分野の人財と協働しながら、深い専門性と学際的な視点を獲得し、社会実装能力を備えた高度専門人財へと成長する支援をすることです。この趣旨は、R2030チャレンジ・デザインの基本的な方向性と軌を一にするものであり、同チャレンジ・デザインの大学院政策分野における具体化・実施化の先駆けの位置づけにあるといえます。また、2021年度に立命館大学は、科学技術振興機構(JST)が公募した優秀な博士を次世代の研究者として支援を行う「次世代研究者挑戦的研究プログラム」に「立命館先進研究アカデミー(RARA/Ritsumeikan Advanced Research Academy)次世代研究者育成プログラム」として申請し、採択を受けました。本プログラムでは、選抜された優秀な博士後期課程学生をRARA学生フェローとして採用し、次世代を担う研究者となるための充実した研究支援を行います。 このような取り組みに加え、各種セミナー(キャリアマネジメントセミナー、博士と企業とのマッチングセミナーなど)や、英語運用能力の向上に関する支援策(ベーススキル向上支援補助金、英語団体受験補助制度、英文アカデミックライティング、オンライン英語論文個別指導など)など、幅広い分野で院生支援のための制度を整えてきています。また、院生の希望する進路実現に向けて、人文・社会・自然科学系の違いなどもふまえて支援対象を分け、支援を充実させる取り組みも進めています。 以上のように、院生に対する立命館大学のキャリア形成支援・研究支援は、R2020期間(一部、R2030への移行期含む)に飛躍的に進展しました。 (3)より豊かで快適な学習・学生生活を実現するためのキャンパス環境整備 1)施設・キャンパスアメニティなどの整備 施設・教室条件の確保が、学生のみなさんの学生生活を支え、新たな教育展開や、学びを充実させるためのカリキュラム・時間割編成を実現する大前提となります。OICの開設(2015年度)をはじめとしたR2020のもとで進められてきたキャンパス整備計画は、教育・研究および学生生活に関わる基本的な条件整備といえます。こうした観点から、R2020期間に、本格的にラーニング・コモンズが整備され、活用されてきました。教室での学びや授業時間内・正課内の学びにとどまらず、ラーニング・コモンズは多様なかたちで学生同士の学び合いの場を提供し、キャンパスにおける快適な「居場所」のひとつとなります。例えば、各キャンパス図書館内に配置している「ぴあら」、衣笠Cの学部施設を中心に当該施設の特性を活かしたコモンズ、BKCのスポーツ健康コモンズや屋外コモンズなどがあり、OICは「キャンパス全体をラーニング・プレイスに」という考え方のもとに、様々なコモンズが配置、などを進めました。 院生へは、研究室の充実と併せて、コモンズやミーティングルームなど、多様なニーズに応える環境整備という観点から、2015年度より新しい大学院施設の運用を衣笠Cの究論館およびOIC(A棟大学院エリア)で開始しました。 さらに、キャンパス内のエレベーターやスロープの設置、保育施設の開設など、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する観点からも環境整備を進めました。 R2020 の取り組みとして進めた主な施設・条件整備(写真で紹介) ①衣笠C 究論館(供用開始:2015年3月) ②衣笠C 平井嘉一郎記念図書館(供用開始:2016年4月) ③衣笠C・BKC 保育所整備:立命館みらい保育園きぬがさ(供用開始:2018年9月) ④BKC トリシア:理工系新棟Ⅱ(供用開始:2014年5月) ⑤BKC スポーツ健康コモンズ:BKCフロントゾーン再開発(供用開始:2016年8月) ⑥OIC OIC開設(供用開始:2015年4月) ⑦OIC OICフィールド・F棟(芝張替え:2017年3月) ⑧OIC G棟分林記念館(供用開始:2019年9月) ⑨衣笠C・BKC・OIC トイレリデザイン(順次実施) 2)安全・安心・快適に向けた学生生活の基盤的支援 安全・安心な学生生活の基盤を支えるため、各キャンパスには保健センターが配置されています。この保健センターを中心とした取り組みとして、2015年度にトラベルクリニック、2019年度にはピア・サポーターによる「+R留学ヘルスサポーター」、2017年度には父母教育後援会からの医療費補助、2018年度にヘルシーキャンパス立命館宣言・ヘルスプロモーション企画などを開始しました。また、新型コロナウイルス禍への対応として、発熱外来設置(2020年度)、PCR検査機器導入(2021年度)、キャンパス内でのワクチン職域接種(2021年度〜)を進めました。 このほか、キャンパス禁煙化に関する取り組みとして、2009年度にキャンパス禁煙化推進委員会を設置し、禁煙教育・巡回キャンペーンなどを実施しています。 また、快適な学生生活に向けて食環境の充実は欠かせません。ランチストリートを、BKC(2011年度〜)、OIC(2015年度〜)で開始しました。また、2017年度に衣笠C存心館食堂の改修・増席、2021年度に「Forest Dining nadeshico」(BKC)をオープンしました。さらに、2021年度から衣笠Cでもランチストリートの開始をし、様々な食環境の充実の取り組みを進めています。 2.新型コロナウイルス禍での緊急対応とその経験をふまえた将来への展望 これまで述べてきたR2020期間の様々な取り組みに加え、2020年度以降のいわゆる「新型コロナウイルス禍」のもと、学びを止めないために大学が取り組んできた諸点も重要です。これらの取り組みには「緊急避難」的な対応と、将来の新たな展開に繋がる対応とがあり、R2020の到達点と課題およびR2030への取り組みの文脈のなかで、振り返りつつ、課題を改めて確認する必要があります。こうした観点から、新型コロナウイルス禍の取り組みを以下のとおり記載します。 (1)授業に関わる取り組み 2020年度4月、新型コロナウイルス禍の影響を受けて、全学的・全面的な規模でのオンライン授業の導入という過去に例のない取り組みが必要となり、そのための実施体制の構築と学生への支援を緊急的に行いました。この初期段階での対応として、まずは、学園の「学びの緊急支援」のもとで、受講環境の整備のため一律3万円をすべての学生に給付するとともに、ノートパソコンや無線LANルーターの無料での貸し出しを行いました。家計急変やアルバイト収入の減少で困窮する学生には、9万円(月額3万円×3カ月)の緊急学生支援金を支給しました。加えて、オンライン学習環境を整えることができる「オンライン授業スタートパック(有償)」のサービスも導入しました。オンライン授業の受講や関連ツールの使い方、新型コロナウイルス感染症に関する情報などについても、立命館大学のウェブサイトやmanaba+Rなどを通じて学生にメッセージや情報を発信しました。 また、オンライン授業の全面展開により、受講生から多数のアクセスがあってもmanaba+Rなどのシステムが問題なく稼働するよう、サーバーの強化を行いました。加えて、教員のオンライン授業実施を支えるため、サポートデスクの開設、教務支援ページでの関連情報の発信やFD企画なども行いました。 2020年度の秋学期開始の時点では、オンラインでの授業をより効果的に実施しつつ、対面授業の一部再開にも対応するための環境を大規模に整備しました。ライブ配信で授業を提供するZoomのライセンス契約を大学全体として締結し、オンデマンドの動画配信のために、録画・共有・管理プラットフォームであるPanoptoも導入しました。教室の機器整備については、約600におよぶ立命館大学の教室すべてに授業のライブ配信用のカメラ・スピーカーシステムを設置しました。これによって、教室での対面授業とオンラインでのライブ授業とを同時に実施するいわゆる「ハイブリッド」型の授業の提供の環境が整いました。 新型コロナウイルスの感染状況が徐々に緩和され、オンライン授業をキャンパスで受講する学生が増加していくことを考慮し、2020年度の秋学期から2021年度開講期には、教室の無線LANのアクセスポイントの増強を進めました。また教室の換気設備の整備(機械換気システムの無い教室にはこれを導入)や小教室の長机を一人がけの個机に換装すること(衣笠C・BKC)など、直接的に感染防止対策に関わる施設整備も行いました。 これらの取り組みの多くは、短期的な視点でみると新型コロナウイルス禍への対応という文脈において実施され、効果を上げたといえます。また、これらのオンライン講義を可能とした基盤的な整備は、今後、デジタル・トランスフォーメーション(DX)に関して全学的な議論を深めた後、これを本格的に推進していくための教育手法開発の取り組みやインフラ整備の基礎にもなります。新型コロナウイルス禍が続く2021年度において、BCPレベル切り替えの際、特に低回生の小集団科目については、可能な限り対面での実施を進めてきました。これも、専門小集団科目は立命館大学の伝統であるピア・サポートが機能する場であり、学生のコミュニティ形成に寄与することをふまえた判断です。 (2)図書館の取り組み 図書館は、新型コロナウイルス禍においても開館し続け、学びの環境を維持に取り組んできました。図書館は、学生にとってリアルな場(居場所)としての役割についても、改めて問い直す必要性に迫られました。そこで、学生の「学問の自由」を守り、「知る権利」を保証するために、新型コロナウイルス禍という公衆衛生上の危機にあっても、利用上の制限を極力限定して適用するという基本的な考えに基づいて、開館を続けました。また、BCPレベルに対応して、貸出郵送サービスなどにより、利用上の制限を緩和する措置・施策を実施してきました。また、データベースや電子ジャーナルを十分に整備し、多くの電子資料を提供するオンラインサービスの継続をするとともに、オンラインで閲覧可能な書籍も充実させました。 (3)海外留学派遣や受け入れに関わる国際交流の取り組み 海外留学の派遣や留学生の受け入れについても、影響がありました。海外留学派遣は、2018年度は2,080名でした。しかし、新型コロナウイルス禍の影響により、2019年度には2、3月における約300名の短期派遣を中止せざるを得ず、年間2,300名の派遣目標に対して1,941名の派遣となりました。2020・2021年度は、出入国の制限により派遣が極めて厳しい見込みとなるなか、2021年7月にはオンラインでの代替プログラムを含む派遣計画へ変更し、新型コロナウイルス禍においても国際的な学びを期待して入学した学生の支援を続けました。 その結果、2021年度には、海外渡航19名、オンライン留学プログラムへの参加347名、協定校とのオンライン国際交流への参加226名、合計592名に国際教育プログラムを提供しました。 (4)包括的学習者支援に関わる取り組み 包括的学習者支援の取り組みとして、新型コロナウイルス禍の当初では、学生がキャンパスで対面でなくても支援できるよう、安全性や法的な問題を確認したうえで、他大学に先んじて、オンラインや電話などを活用した遠隔での相談・対応体制を整備しました。特に、サポートルーム(Student Support Room (SSR))の機能は体制を強化し、従来の第3次支援(カウンセリング、特別・個人のケア)に加え、第1次支援(セルフケアで対処が可能な学生層を対象とした支援)、第2次支援(セルフケアや集団でのケアで対応できる学生層を対象とした支援)の充実により、すべての学生を対象とした支援と繋がりづくりを促進してきました。 (5)課外自主活動に関わる取り組み 新型コロナウイルス禍は、学びのコミュニティとしての課外自主活動の位置づけや重要性を改めて認識する機会にもなりました。対面での課外自主活動の再開にむけ、「活動再開まで、活動再開後も安全・安心な活動が実施されるようなサポート」など、従来にない課外自主活動支援に取り組みました。2020年6月から対面活動再開にむけた申請を受け付け、クラブへのヒアリング、副部長面談などを経て、継続したコロナ対策が実施可能な団体から活動の再開を判断しました。2022年3月時点では、全団体数の約7割にあたる276団体が対面での活動を実施しています。また、2020年度からオンラインでの新入生とクラブの交流の場の提供を開始しました。2020年12月からはサイバーキャンパスを設置し、オンラインでの交流が可能な環境を整備し、2021年度はオンラインと対面での新入生歓迎、クラブ・サークル勧誘促進企画・学園祭を新入生や在学生を対象とした取り組みとして位置づけ支援をしました。 (6)コミュニティ形成に関わる取り組み 新型コロナウイルス禍においては、様々な繋がりが打撃を受けました。特に学生間のコミュニティ形成が大きな影響を受けました。このような状況を踏まえ、学びを止めないためにも、2020年度秋学期以降、大学が主催で、オンライン・オフラインの交流会・発表会などを断続的に実施しました。これらの交流会などは、課外自主活動の勧誘に関わる企画、助成金を活用した成長支援に関わる企画、リラクゼーションなど心身のサポートに関わる企画(SSR主催)、学修のサポートに関わる企画(SSP主催)など、多岐にわたるものでした。2021年度は、年間80日以上で企画を実施し、延べ3,000名以上の学生が参加しました。また、特にSSPでは24本のオンデマンド講座を公開し、延べ8,903回の視聴がありました。このほか、学生・院生がオンラインを用いて、交流企画・交流するプラットフォーム「RI-sA(立命館大学オンライン交流促進プロジェクト)」などの取り組みも加速し、充実したものとなっています。 (7)進路・就職に関わる取り組み 新型コロナウイルス禍においても、学生が不安なく就職活動を続けられるように各種ガイダンス、セミナー、模擬面接などの支援企画はオンライン実施、オンデマンド配信として実施したほか、窓口での個別相談をオンライン相談に移行しました。学生の不安に寄り添うため、オンラインでの学生交流企画も実施しました。2021年度以降の個別相談は、学生のニーズに合わせて対面、オンライン、電話、メールといった様々なツールで対応できるようにしています。さらに、OB・OG訪問プラットフォームの導入、HPのリニューアル、デジタル書棚の導入、オンライン面接・選考に対応したプライベートブース設置など、新型コロナウイルス禍を契機に、進路・就職支援のあり方を多様なものとしました。 (8)新型コロナウイルス禍の取り組みをふまえて このように、新型コロナウイルス禍は、学生の学びと成長の機会確保に大きく影響を与えつつも、立命館大学は「学びを止めない」ために各種の取り組みを進めてきました。振り返ってみると、新型コロナウイルス禍で得られた知見は、「コロナ以前のキャンパスへの回帰」でも「対面/Webの単純な二元論」でもない、「学びの効果」と「学びへのアクセシビリティ」に基づく新しいキャンパスのあり方、新しい学びと成長の姿に接続されるものといえます。テクノロジーを活かした教育DXを視野に入れた取り組み、従来になかった支援の枠組みの拡充などは、R2030チャレンジ・デザインで構想していたものを先行的に取り組んできたものとも位置付けられます。また、この新型コロナウイルス禍のように、世界情勢を短期間に一変させる事象は、未来においても十分に起こり得ることを念頭に置く必要があります。そうしたなかでも「学びを止めない」環境をいかに構築できるかが求められ、かつそのなかで責任ある役割を果たしていくことが立命館大学の使命の一つであるといえます。 3.R2030チャレンジ・デザインの具体的な取り組みにむけて R2030チャレンジ・デザインの具体的な取り組みに向けて、改めて認識する必要がある観点を本文書冒頭でも触れましたが、改めてそれらを踏まえ、認識を共有したいと思います。立命館大学では、時代の変化も捉えながら、R2020を進めてきました。この計画を実施していくなかで、急激に変化する先行きの予測が困難な時代(VUCA時代)に突入したことを実感させられました。この象徴は、新型コロナウイルス禍の経験です。新型コロナウイルスによるパンデミックは、瞬時に世界共通の課題となり、これまでの、個人の生活、社会、政治や経済などのあらゆる面で、前提や常識に変化を迫りました。また、テクノロジーの進歩・進展によって、新型コロナウイルス禍の課題克服の取り組みも広がり、多くの恩恵を世の中に与えつつも、パンデミック前の日常から変わりました。この経験のなかで、人間性・倫理性の重要性が改めて問われ、その認識が一層高まったともいえます。唯一の正解が無い不確実性の時代を生き抜くために大切なことは、それぞれの人が、よりよい自分、よりよい社会を探し求めて、学び、成長し続けることでしょう。また、自身の役割を自覚し、進路を開拓し、変化する社会のなかで役割を果たすことが、その人らしく生きることや、より良い社会の創造に繋がる、ということを改めて認識する必要があります。 これまでも立命館大学は、その時代や来たるべき時代の状況・要請をふまえながら、学生の学びと成長にとってより良い大学のあり方を求めて、教育・研究および学生生活支援の改善・充実を図ってきました。そして、急激な変化が突如として訪れる時代的背景の変化をふまえると、立命館大学における教育・研究および学生生活支援のあり方も大きな転換期を迎えているといえます。これからも普遍的な価値の創造と人類的な諸課題の解明のため、持続的に研究・教育の水準や質を高め、学び、成長したい人が集う場であり続けるために、R2030では、以下のような取り組みを進めます。 (1)R2030チャレンジ・デザインの考え方 立命館学園は、R2020での取り組みをふまえ、2018年度に、R2030のビジョンとして「挑戦をもっと自由に」を策定しました。このビジョンに基づき、学生・生徒・児童はもとより、教職員や校友に至るまで、個々人がそれぞれの立場から社会のあり方を考え、平和な社会の実現に向けて、果敢に、自由に挑戦する人々が集う学園創造を進めるために、学園全体の学園像・人間像・政策目標を設定することにしました。 <学園像> 学び続ける社会の拠点としての学園 人類社会における様々な課題に挑む学園 ダイバーシティ&インクルージョンを実現する学園 <人間像> チャレンジ精神に満ちた人間 社会の変化に対応し、自ら考え、行動する人間 グローバル・シチズンシップを備えた人間 <政策目標> 新たな価値創造の実現 グローバル社会への主体的貢献 テクノロジーを活かした教育・研究の進化 未来社会を描くキャンパス創造 シームレスな学園展開 多様性を活かす学園創造 立命館大学は、2030年代のめざすべき姿として、社会共生価値の創出に向けて、①新たな価値を創造 する次世代研究大学、②イノベーション・創発性人材を生み出す大学、の2つの柱を掲げ、新たな価値や学びが生み出され続けることをめざします。この源泉となるのは、学生・院生・校友・教職員が生涯にわたって学び、探求・探究し続けることであり、そうした人たちが人生の節目で立命館大学に集い、学び合うことにあると考えています。立命館大学は、この生涯にわたる学びの旅路の主体者の母港(母校)のような存在であるといえます。 そしてR2030チャレンジ・デザインでは、次世代研究大学をめざすプロセスとして「研究と教育の拡大的再結合」という理念を掲げています。これは社会共生価値を生む知的創造としての研究の場が、他の大学や研究機関ばかりでなく、企業や政府・自治体、そして市民社会・地域社会と広く多様に接続する一方で、附属校から学部、大学院、そして社会人に至るまでの学びのタテの繋がりのなかで、学び手がそうした広い意味での開かれた研究へ参加することが、一貫した探求的・能動的学びそのものになることを意味しています。 また、このR2030の到達目標として、「学生の成長実現実感NO.1の大学」を目指します。このなかでは、「これまでのように、学生の学ぶ場を正課・課外といった二項対立の概念で括る考え方から脱却し、すべての学生が学生生活のなかで、個性を活かして多様な人々と協働して学ぶことを通じて成長実感を獲得し、他の誰でもない自分自身のパーソナルベストを更新し続けていくことが可能な環境を提供する」ことが求められていると考えます。 R2020や新型コロナウイルス禍の取り組みによる到達点としては、①多様な学生に対する学びと成長の機会の拡充、②それを支える学生交流の促進や交流拠点などの基盤的条件の整備、などを図ることができたといえます。その結果、豊かな学生生活を過ごした学生が、社会生活の様々な局面で、人間的な成長実感を持つことができるようになりました。これらの到達点を昇華し、さらなる学生の成長実感や満足度を高めるための取り組みが、R2030チャレンジ・デザインの具体施策には強く求められるといえます。 (2)研究と教育の拡大的再結合の意味−立命館大学の使命達成のために− 研究と教育の拡大的再結合を図るためには、研究に繋がる教育の姿を明らかにする必要があります。大学は「知の拠点」であり、研究活動を通じて、さらには教員が集中して研究に打ち込む姿を見せることを通じて、学生の「学びの意味」の理解を促し、「知を共有」する場であるといえます。また、初等中等教育の学習指導要領改訂により、2022年度より探究学習が必修化されたことを受けて、高校在学中から、大学における研究の一端にふれる機会も生まれています。立命館大学の若手研究者の研究発表を聞き、自由にディスカッションを楽しむセミナーである「ライスボールセミナー」などは、附属校・提携校の生徒が身近に大学の先端研究にふれることができる、好例といえます。しかし、そのような経験や獲得した知見は、大学入学後の学びにストレートには接続されておらず、入学後の大学での学びに不満を抱く原因となっている課題も存在しています。こうした状況への対応は必須であり、大学はこのような課題の解消も含めて、「探究力を育む教育改革」の必要性を認識しています。具体的には一貫教育を推進し、高大接続を進め、高校での大学科目の早期履修制度の導入も検討しています。また、附属校・提携校以外の高校との接続も含め、この間に各学部が独自に積み重ねてきた高大接続の成果や経験を共有し、そこから学んでいくことも重要です。そのうえで、大学院での学びの継続、展開を前提した学士課程教育のあり方を追究するものです。 (3)学生の学びと成長をさらに充実したものにするために 大学における学びというのは、それが現実の社会問題の解決や先端技術の開発などと深く関わっていることからわかるように、いまだ「答え」の定まっていない、あるいは暫定的な「答え」ですら日々変化していくような課題を扱うものです。こうした特性をもつ大学での学びは、本来、高度な探究活動にほかなりません。みなさんが大学で学び、自身の探究を追求していくことは、その先にある本格的な研究活動と切れ目無く繋がっているといってもよいでしょう。 R2030チャレンジ・デザインのもとで次世代研究大学を実現するために、以上の意味において学部(学士課程)教育が鍵を握っています。学部専門教育による学びの領域・学びの様式を軸としつつ、他の学問領域と交流し、教養も広く身につけながら、新たな社会的課題の解決・発見に繋がるような学びを広げ・深める「探究的学び」によって、学士課程教育と深く関わりその高度化に寄与する「研究と教育の拡大的再結合」の具体化に取り組む必要があります。 そこで、学生の学びと成長のさらなる推進にむけ、探究力を涵養していくために、これまでの正課・課外・国際交流といった取り組み自体のあり方を見直し、その転換を含めて相応しい探究学習の場を充実させること、およびそうした探究の学習の場を適切に選択し、サポートするコーディネートシステムの構築が重点的なテーマとなります。そして、「研究・教育が再結合して生み出される価値をリソースとして活用する」、「キャンパスにとどまらず、社会との切り結びのなかで自らが学ぶ場を設定する」といった考え方のなか、学生自身が成長を把握(可視化)できる仕組みの実現が重要となってきます。 ①探究力をより高めていくための学びのフィールドの発展 A)授業の進展 まず、今後、正課の授業において、いっそう効果的な探究学習の場をどのように創り出していくのかを議論するにあたっては、次のような論点をふまえる必要があります。 ・学生の意識の変化やそれをふまえた要望への対応(時間効果を高めるための在宅や遠隔での学びの実現など) ・学びの効果の向上に繋がる学習方法の調査・検討(例えば、VOD教材による繰り返し学習、スキップ学習による時間の有効活用などに対する効果検証) ・学習効果を高める工夫された授業実践(TAやESの有効活用、複数教員によるチームティーチング、チャット機能を活用した双方性の実現など)の共有 ・情報基盤環境の整備および高度化(Zoomライセンスの全学導入、全教室に動画撮影・配信用カメラの設置、動画プラットフォームPanoptoの導入、動画撮影スタジオ・撮影編集の支援など) これらの論点に関わる取り組みは、新型コロナウイルス禍で得られた知見の獲得をふまえ、対面授業の質的転換に繋がる取り組みとして位置づけられると考えています。 他方で、このような学習環境を担保するためには、教員へのサポートのみならず、DXの推進、TA・ESの資質向上、院生(博士課程後期課程)の教育参加、授業設計の支援をする高度専門職能人材の育成・配置の必要性などの課題も克服する必要があります。新型コロナウイルス禍において確認された、オンライン授業の可能性から得られた知見を最大限活かしつつ、対面授業の利点を改めて明確にする必要があります。 対面の機会を単なる場の共有のみとするのではなく、「研究と教育の拡大的再結合」を目指して、立命館大学の研究力向上に寄与する新たな価値を加えていくことで、学びの質を高める工夫を行うことが求められるといえます。そして、そのために必要な授業環境の条件整備を進めることにより、授業の質的転換を積極的に進めることが重要となります。この取り組みには、教員や学生の一方的負担によって実現するものではありません。教員の研究成果をスムーズに教育に還元するため、DXも活用することで、さらなる飛躍に繋がると考えます。 B)グローバル教育のさらなる充実 次に、グローバル教育についてです。R2030チャレンジ・デザインならびにポストSGU構想における主要テーマは、立命館大学がR2020を通して築き上げた、グローバル教育のさらなる推進と発展といえます。特に、新型コロナウイルス禍をふまえた新たな状況に対応して、アフターコロナにおける世界拠点・オンライン活用など、従来とは異なるグローバル教育展開の推進が重要になります。本学と深い関係構築の歴史を積み重ねてきたパートナー校との間では、新型コロナウイルス禍においても質の高いオンライン留学の新たな学びを築くことができました。この実績を、その他の海外大学・機関に拡げ、グローバル教育研究拠点の形成に向けた展開を図り、新たな留学プログラムの開発を行います。さらに、長期留学(交換留学)では、学生の幅広い派遣校選択が可能になるよう、派遣先として希望の高い協定校を中心に、新たな派遣枠の確保に取り組んでいきます。 C)コミュニティ形成に関わる多様な取り組みの充実 続いて、学内外のコミュニティ形成についてです。学生・構成員の探究力を涵養する場として、重要な位置づけにあること変わりはなく、このようなコミュニティ形成のサポートを継続し、学生生活での諸活動の活性化を継続して図ります。また、このコミュニティ形成に向けては、RIMIX、RI-sAをはじめとして、R2020の取り組みのなかでも多様な活動が広がってきています。これらをふまえ新たなプログラムづくり、地域交流・社会貢献活動などを、さらに充実したものとしていきます。キャンパス間交流、地域交流や外部リソースの活用に加え、オンライン・コミュニケーションの手法なども用い、学生の主体的・能動的な学びを高めるための探究学習の場のさらなる拡大も重要となります。 D)立命館スポーツの新たな展開 スポーツ分野については、スポーツ基本法の制定や東京オリンピック・パラリンピック2020(+1)開催を契機に創設されたスポーツ庁の政策にも象徴されるように、スポーツの持つ価値や社会的役割が大きく期待されています。立命館大学では、これまで課外自主活動の一環としてスポーツ分野の活動の高度化に取り組んできていますが、このような背景をふまえ、その位置づけから改めて検討を進めます。そのためには、立命館スポーツ宣言を制定したR2020 のスタートから現在に至る社会的な動向などを踏まえたうえで、立命館スポーツ文化から社会共生価値を創出するためのスポーツプロモーション戦略の策定と新たな学園スポーツ政策の提起に基づく取り組みが鍵となります。スポーツのもつ教育的性格(加速度的に変化する現代社会を形成していくうえで必要な人間形成・道徳的発達)をはじめ、倫理的性格(平等な条件のもとでの、フェアプレイや相互尊敬などの黙示的な価値の尊重)や知的・技術的性格(身体的パワーを巧みにコントロールする技術・戦術や知略・戦略の重視)、および組織的性格(ゲームを組み立てるための集団化や組織編成・役割分担などを創意工夫する力)などを尊重し、「学生とスポーツとの望ましい関係づくり」という観点から、大学スポーツの本質的価値を捉えた取り組みが求められます。また併せて、学生・院生が大学スポーツの本質的価値を理解することにより、スポーツ分野の活動の高度化・強化にも繋がり、スポーツを通じた学園アイデンティティの形成にも繋がっていきます。これをスポーツプロモーション戦略として展開していくことで、次世代研究大学にふさわしい未来人財としての「探究心・探求力」をもった学生の育成にも寄与していきます。 さらに、学生生活の基盤をサポートする奨学金や安全・安心・健康の取り組み、学生・院生が大学づくりに参加・参画するに向けた取り組みも、再構築していく必要があります。 ②探究学習の場での学びをより充実したものにするために このような背景をふまえ、探究学習の場における「対面・オンライン・ハイブリッドのベストミックス」をどのようなものとしてとらえ、どのように実現していくのかについても、議論を始めるべきでしょう。新たな手法の開発と検証も重要です。遠くない将来に、リアルとバーチャルを融合した新たな大学のすがたとして、デジタルツインの進展やバーチャルキャンパスの創造も現実味を帯びています。例えば、①オンライン授業導入に伴い資格課程教育を拡大的に展開する、②チーム教育(教員・TA・ES・専門職能職員・外部人材による協業モデル)を確立する、③学生の学修データを「立命館データプラットフォーム」として統合し、一人ひとりの学生の意志を尊重しつつ、統合されたデータをふまえて「個別最適化」するような学修支援のあり方を検討する、といった課題が挙げられます。これらは、大学内の組織再編も必要となり、教員と職員の役割分担の見直しに併せて検討する必要があります。 このような点をふまえると、大学での学びを探究学習としての学びの場に転換しつつ、それらをどのように経験することが、一人ひとりの学生にとっての成長実感に繋がり、最適になるのか、という観点から、学びと成長の機会をコーディネートし、サポートするシステムが求められています。このような仕組みの積極的な展開によって、学びや成長を実感し、自らの次の学びに繋げ、またその学びを他者と共有することで、さらなる学びを喚起するといった学びと成長の好循環の創出を想定しています。結果として、それぞれの学生が希望する進路を開拓し、様々な課題を解決しつつ自分らしい生き方を実現する探究力を獲得できると考えています。 (4)院生に期待する役割(立命館大学の考える「院生像」) R2030チャレンジ・デザインでは、生涯にわたって学び続ける人材育成をめざします。この学び続ける場として、大学院への進学による学びや、卒業後の学び直しも重要であるといえます。また何より「次世代研究大学」を実現していくうえで、院生には中心的な役割が期待されています。これからの10年で、立命館大学大学院のあり方が抜本的に変化していくなかで、立命館大学が考える目指すべき「院生像」も大きく転換していきます。これからの「院生像」を議論するにあたっては、例えば各学問領域の特性、目指す進路、所属する課程、社会人・留学生といったバックグラウンドの違いなど、院生ごとの多様な属性を十分ふまえる必要もあります。また、高度な専門性が求められる職業に関わる専門職大学院の充実も不可欠です。そこで、立命館大学大学院では、院生を探究し続ける「自立した研究」の実施者と捉えたうえで、学術的な価値の創出をグローバルな次元で担いつつ、社会が必要とする新たな研究対象を開拓し、社会共生価値の創出に繋がる探究力を有した人材を輩出することが使命といえます。 (5)今後の大学院教学政策の展開に向けて 立命館大学では、数多くの研究組織、研究所や研究センターを各キャンパスに設置しています。R-GIROや立命館アジア・日本研究機構などの総長直轄の研究組織を有することも特色の一つです。2021年度より、立命館アジア・日本研究機構では、立命館大学の博士課程で学位を取得した者のみを対象に専門研究員として雇用し、若手研究者自らの探究力を涵養し、キャリア形成に資することを企図した「AJI大学院連携次世代研究者育成プログラム」を開始しています。このプログラムでは、研究と教育とが融合した育成環境を構築することをめざし、若手研究者を育成するためにシームレスな成長環境を整備しています。具体的には、①「AJI研究最前線セミナー」②「AJI研究高度化推進プログラム」③「英語論文サポートプログラム」などを実施しています。このことは、院生が研究に専念しつつ、組織的に人材育成を行う特徴的な仕組みを生み出すことに繋がります。また、この仕組みを他の研究拠点に応用することで多様な展開が可能になります。このようにR2030で掲げた「研究と教育の拡大的再結合」に向けた取り組みを、すでに先行的に進めてきています。これからも研究に参画した院生が、世界トップレベルの研究への繋がりを実感して成長できるよう、多様な研究機構・研究所・研究センターなどの研究拠点において、研究教育・人材育成環境の整備をしていきます。 研究組織では、若手研究者の育成が重要なミッションであり、2021年度末に策定した第4期研究高度化中期計画でも、院生の研究支援が重要な課題として据えられています。院生には、NEXTフェローシッププログラムやRARA学生フェローなどの奨学制度が拡充していくなかで、個々の専門性に立脚し、研究グループを組織し、リーダーシップを発揮することで、研究上の「node」(結節点)となることも期待しています。この実現に向けて、研究所・研究センターの活動が連携し、データサイエンスと既存研究分野の融合・超越や企業との共同研究と連動した育成などの取り組みをさらに進展させます。 このほかにも、院生が、海外研究機関などと連携して研究する機会の創出も重要です。院生の意欲や希望を丁寧に把握しながら、院生の研究機会の拡大に取り組みます。 また、日本で研究することへの関心や意欲の高い留学生を、これまで以上に受け入れていくための条件整備や、キャンパス内で学生や院生などとの共修の機会をさらに充実したものにする取り組みも進めます。 第Ⅲ章 R2020期間の財政運営と立命館大学の2023年度以降の学費・財政政策について R2020では、学習者中心の教育・包括的学習者支援などを目標として、教育・学びの質向上やグローバル化を推進するための基盤的条件整備を実施してきました。R2020での到達に立って、さらなる教育の質向上にむけた取り組みや、アフターコロナ時代を展望し策定されたR2030チャレンジ・デザインを着実に実施していくためには、財政の健全性・バランスを維持し続ける必要があります。 わが国の私立大学は、公財政支出の国際的に見た水準の低さと国立大学との格差という二重の構造的格差のなかに置かれています。日本は高等教育に対する公財政支出がOECD 加盟諸国のなかで最も低い国のひとつです。私立大学が支出する経常的な人件費や経費に対して国から配分される私立大学等経常費補助金の割合は10%に満たない水準にまで低下しています(私立大学等経常費補助金の根拠法である私立大学振興助成法は、この割合を50%とすることを付帯決議していますが、実際には、1980年度の29.5%をピークに下がり続けています。10%を下回るのはこの法律が制定される前の1971年度以来のことです)。 こうした背景から、日本の私立大学は、学納金(学費による収入)を主な原資としながら人件費や奨学金などの教育研究のために必要となる経費をまかなうとともに、将来の施設の取替・更新などに備えた資金を積み立てることで、永続的な教学運営・大学運営が可能になるという財務構造を持っています。私学の財政にとって学納金は不可欠な財源であり、学納金による財務基盤があるからこそ、教育・研究の質を保証し、持続的な展開・改善を実現することができます。 立命館大学では、学費・学費政策を、社会・家計の経済実態や他大学の状況などを背景として考慮しながら、教育の質的・量的条件と学園財政との総合的な接点として位置づけており、「学費の重みに応える教育」「学費に見合う学びと成長の実感」として表しています。全学協議会では、学園財政の現状と課題についての理解を深めるとともに、学納金を主な財源として実施・展開している教学の取り組みが、学生・院生のみなさんの学びと成長に寄与しているかどうか、学び、成長し続けようとする人たちにとって魅力のある大学づくりに繋がっているのかどうかについて協議していきたいと考えています。 R2030で示している大学像を展望すると、持続的な教育の質向上の営みや、それを支える財政運営の永続性は、学生・院生のみなさんが在学する今の教育条件の改善と同時に、卒業・修了後に、場合によっては社会人経験を経て、学び直しや大学院進学をする場としての母校(母港)の価値向上を実現・保証することでもあるという視点がいっそう重要になります。   1.R2020期間の財政運営と到達点 (1)学生の学びの環境整備 R2020では、教育の質向上、学習者が中心となる教育および包括的学習者支援という基本目標に基づいて、教学条件の拡充・整備を行ってきました。また、R2020からR2030を架橋する協創施策では、国際コーディネーターの配置やSSPの創設、経済支援型奨学金の拡充などを通じて、多様な学生の学習ニーズに応える取り組みを進展してきました。こうした取り組みは、新型コロナウイルス禍における学びの継続のための緊急支援策や、学部・研究科のアイデアやニーズを具体化する「アフターコロナを見据えた教学高度化予算」などによる教学改善に連続的に繋がっています。 ここでは、教育・研究活動の最も基盤的な条件である教員組織整備、施設整備の到達について紹介します。今後、R2030における諸施策において、これらの基盤的なリソースをどのように活用していくのかは、大学のあり方、教育・研究のあり方の転換にも密接に関わる重要な課題となります。R2020を通じた拡充・整備は、新型コロナウイルス禍を経ていっそう多様化した学習、学生生活、教育の形態のもとで、さらなる教学・学生生活支援の展開を図るための重要な土台になると考えています。 ①学習・教育環境の充実 R2020期間では、多様な学生の多様な学びを実現するため、教育環境基盤的な条件であるST比の改善に取り組みました。 ST比については、2010年度から2020年度にかけて、専任教員数を286人増員したことに加え、学部学生数が877人減少、大学院生数が73人増加し、全体の学生院生数では804人減少したことで、立命館大学における教員ひとりあたり学生数は32.4人から25.3人と7.1ポイント減少(改善)しました。このような、ST比の改善が教育の質保証や学びと成長実感を高めるうえでの前提となる条件整備になっています。 ST比改善の取り組み (単位:人、%)     2010年度 2015年度 2020年度 2010→2020年度(増減|増減率) 学部学生数 33,120 32,301 32,243 (△877|△2.6%) 大学院生数 3,456 2,819 3,529 (+73|+2.1%) 学生数計 36,576 35,120 35,772 (△804|△2.2%) 専任教員数 1,129 1,288 1,415 (+286|+25.3%) 学生数計÷教員数 32.4 27.3 25.3 (△7.1) また、R2020における奨学金の拡充によって、正課・正課外における学びの多様化、グローバル化を推進するとともに、経済支援型奨学金については、2020年度に国による修学支援制度が開始されたことを契機としてさらなる拡充を図り、2010年度1,582人(7億円)から2020年度には2,576人(15億円)と、994人(8億円)増加しています。これらの取り組みは、多様な学びの支援・実現と、安心して学修を継続できる環境整備として重要な役割を担っています。 ②キャンパス環境整備 R2020期間中、快適な学習・学生生活を実現するために様々なキャンパス整備を行ってきました。 2015年度のOICの開設や各キャンパスにおける図書館、BBPなどのラーニング・コモンズ整備により、学生1人あたりの施設面積は2010年度からの10年間で5.2㎡増加し、学び、交流、諸活動の環境・条件が大きく改善しました。 キャンパス整備 (単位:人、㎡) 2010年度 2015年度 2020年度 2010→2020年度(増減|増減率) 学生数(学部+大学院) 大学全体 36,576 35,120 35,772 (△804|△2.2%) うち、KIC 18,195 15,820 13,725 (△4,470|△24.6%) うち、BKC 17,804 13,596 15,007 (△2,797|△15.7%) うち、OIC − 5,536 6,892 (+6,892|−) 建物面積 大学全体 427,628 572,773 592,491 (+164,863|+38.6%) うち、KIC 163,459 183,677 191,652 (+28,193|+17.2%) うち、BKC 237,044 256,050 260,877 (+23,833|+10.1%) うち、OIC − 105,908 112,823 (+112,823|−) 学生ひとりあたり面積 大学全体 11.7 16.3 16.6 4.9 うち、KIC 9 11.6 14 5 うち、BKC 13.3 18.8 17.4 4.1 うち、OIC − 19.1 16.4 16.4 (2)収入多様化と経費節減の取り組み R2020においては、学納金以外の収入強化政策、業務合理化・経費節減政策を財政上の最重要課題に設定し、学納金への依存度をできる限り高めずに、教育条件の維持・向上を図るための財政運営上の取り組みを継続的に進めてきました。 ①学納金以外の収入強化 学納金以外の収入強化政策として、寄付金募集政策と資金運用政策に重点的に取り組みました。寄付金政策では、校友からの大型寄付金により、衣笠C平井嘉一郎記念図書館(2015年度)やOIC分林記念館(国際寮・国際交流施設、2019年度)の建設を実現しました。また、校友会と連携した「未来人財育成基金」の募集活動などによって、卒業生を中心とした個人からの恒常的な寄付金が拡大しました。資金運用においても、他大学と比べても高い水準の収入を確保しています。また、産官学地の連携・協力によって競争的な補助金や受託研究などの多様な外部資金を獲得するとともに、OIC開設にあたっては自治体からの財政的支援を実現しました。 その結果として、収入に占める学納金収入の割合(学納金比率)は、2010年度の75.9%から2020年度には73.1%へ低減してきています。 -学納金比率推移グラフ、寄付金推移グラフ、受取利息・配当金推移グラフ(省略) ②経費節減・支出見直し 「学費の重みに応える」財政運営上のもうひとつの課題が経費節減の取り組みです。経費節減の取り組みでは、経常的な物件費支出のなかで大きな割合を占めている業務委託費を中心に、契約単価や内容、契約方法の見直しを積み重ねてきました。その結果、キャンパス管理経費や光熱水費について、約19億円の支出抑制効果を生み出すことができ、R2020期間におけるキャンパス・施設整備に伴う支出増加を吸収することができました。 その一方で、R2020期間には、二度にわたる消費税増税、グローバルでのエネルギーコストや資材費の高騰、為替の変動などがあり、これらは学園財政にとっても強力な支出増の圧力となりました。経費節減の取り組みは、期限を定めて取り組むものではなく、恒常的な運営努力として今後も継続していきますが、こうした社会情勢に伴う学園財政に対する影響については、基盤的な財務状況にインパクトを与えるものとして留意しておかなければならない重要な点となります。 -経費節減・支出見直しグラフ(省略) (3)R2020財政運営の到達点 教学条件の充実には、そのための支出増加を伴いますが、R2020期間の学習環境整備、包括的学習者支援の拡充などについては、授業料改定を行わず(授業料の変動は物価指数および入学金減額との連動のみ)、遂行してきました。 一方で、文部科学省の方針に基づく定員管理厳格化への対応による学納金の減少、消費税増税やエネルギーコストの増加、社会保険料改定による人件費の増加など、個別大学の努力ではいかんともしがたい社会情勢・政策動向の変化によっても、学園財政は大きな影響を受けています。 こうしたことを背景に、経年の推移でみると、学納金や補助金などの教育活動収入から人件費や教育研究経費などの教育活動支出を差し引いた、いわゆる本業での収支状況を示す、教育活動収支差額は大きく低下してきています。 R2020後半期の財政運営方針では、教育活動収支差額に、資金運用による収入などを加えた経常収支差額のプラスを維持・確保することを目標としています。2020年度は新型コロナウイルス禍への対応として緊急的に大規模な支出を行いつつ、一定程度の資金運用収入を確保することで、かろうじてこの目標を達成することができていますが、学納金以外の収入多様化や経費節減に取り組みながら、ギリギリの厳しい財政運営を行っている状態にあります。 現在の教学条件を維持・保証しながら、R2030チャレンジ・デザインを遂行していくことが財政運営の最も本質的な目的です。そうした教学展開の持続性を支える財務的な基盤となるのが教育活動収支のバランスであり、社会的な変動があるなかでもそのバランスを悪化させずに健全に保つことがR2030における財政運営上の最も重要な課題となっています。 2.新型コロナウイルス禍における学びの継続 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、日常生活、社会・経済活動などに甚大な影響をもたらし、立命館大学においても、2020年度春学期においては、授業開始の延期、キャンパスへの入構制限などの判断が余儀なくされました。 このような未曾有の社会情勢のなかにおいても、教育・研究を継続できる基盤をつくり、学生の学び、成長、交流の機会を提供し続けることが大学の使命・責任です。このような認識から、相応の深慮を加えたうえで、新型コロナウイルス禍に対応する施策を迅速に判断し(2020年4月)、2020年度には約47億円の支出を行いました。単年度の収入を超える支出を行う、このような判断は、長期的視点での安定した財政基盤があるからこそ可能になります。 また、新型コロナウイルス禍における財政支援などのうち、DX化を視野に入れたテクノロジーを活かした教育環境整備などは、R2030チャレンジ・デザイン構想の先行的な実践として位置づけられると考えています。 <立命館大学独自の新型コロナウイルス禍対策(2020年度分)> (対応策)学生、教員・教学機関等への緊急支援・緊急対応 (概要等)学びの緊急支援奨学金(オンライン授業受講環境整備支援、経済支援)、Wi-Fiルータ・PC無償貸出、図書郵送サービス、海外派遣PG・学外研究等入国・キャンセル料支援、構内事業者支援等 (主な科目)奨学金、賃借料、委託費、消耗品費、通信費等 (支出額)22.8億円 (対応策)オンライン・ハイブリッド授業等実施に関わる学内環境整備 (概要等)ハイブリット授業等環境整備(教室映像・音響機器、ZOOM他ライセンス・ソフトウェア等)、BYOD環境整備(キャンパス無線LAN拡張、教室等のコンセント・電源増設)、テレワーク環境整備等 (主な科目)機器備品支出、消耗品費、委託費、支払修繕料、通信費、建物支出等 (支出額)8.6億円 (対応策)感染防止対策に関わる環境整備 (概要等)教室・食堂等への防疫コーティング、換気設備増設、発熱外来設置、教室什器入替(個人机化)、その他感染防止対策(サーマルカメラ設置、ドア・手洗い非接触化、地方入試会場増設、アクリル板設置等) (主な科目)建物支出、機器備品支出、消耗品費、委託費、支払修繕料等 (支出額)15.0億円 (対応策)教員・学生への情報提供、意識啓発等 (概要等)ウェブ授業のための特別サイト、オンラインサポートサイト導入、啓蒙動画・配付物作成等 (主な科目)委託費、その他雑費等 (支出額)0.4億円 3.2023年度以降の学費・財政政策について (1)私学の財政構造と学費について 学校法人の財政運営では、過去・現在・未来にわたる長期的視点をもって財務構造を形成する必要があります。教育・研究や学生・院生の学びの環境として、校舎、図書館などの施設や教室・実験室における機器などの設備を整備することが求められます。そのためには、施設・設備の取得時に必要な資金に加え、将来における老朽化、教育研究の高度化や学びのスタイルの変化などに即した更新のための資金が必要です。 学校法人は、こうした資金について、取得・更新を行う年度に在籍する特定の学生のみが負担するのではなく、長期的な視点、全学的な視点で平準化しながら必要な自己資金の積み立てを行う構造を持っています。例えば、立命館大学はR2020期間において、衣笠C存心館や清心館の大規模改修、BKCにおけるスポーツ健康コモンズの新設、OIC開設による教学条件改善を行いました。これらの施設整備を行った年度の支出は大きくなりますが、過去・現在・未来の長期的な時間軸での財政運営・資金形成を行い、その資金を整備費に充てることで、整備を行ったその時の学生に負担を集中させずに実施することが可能となります。2020年度以降の新型コロナウイルス禍への対応についても、財務上は、自己資金による積立の一部を緊急的に取り崩すことで機を逃さずに実施することができています。 昨今、自然災害、パンデミック、サイバー攻撃、地政学的緊張など、教育・研究活動を継続するうえでの不確実性が高まっています。今後も教育条件を維持・改善し続け、より多様で魅力のある学びの機会を創出していくためには、教学面においても財政運営面においても、社会の変化に対応できる機動性を備え持つことが求められます。こうした柔軟性や教学展開の持続性は、長期的な視点で収支のバランスを健全に保つことによって担保されています。 また、学費は、それぞれの学部・研究科における教学内容をふまえるとともに、奨学金や包括的学習者支援、課外自主活動支援、進路・就職支援、情報・通信環境、図書館など全学の教学条件にも関連しており、すべての学生に共通する全学的な学習・学生生活の環境・条件整備を通じても還元されています。 (2)R2030の財政運営について R2030チャレンジ・デザインでは、新たな価値を創造する次世代研究大学とイノベーション・創発性人材を生み出す大学を掲げ、立命館大学から新たな価値や学びが生み出されることをめざしています。R2030前半期の財政運営では、R2030チャレンジ・デザインの推進など、教学の質向上・改善を財政的に支えることを第一の目的にしており、中長期的な視点では、このような教育・研究の成果の社会実装を通じて価値提供・価値創出することで、その価値に照らした収入構造の再構築をめざすことを方針としています。そのため、チャレンジ・デザインの機動的な推進をめざし、受取利息・配当金収入などの教育活動外収入を財源とする新たな予算を設定し、効果検証を行いながら実施することとします。 また、R2030前半期の財政運営基本方針では、経常的な収入に占める学納金の比率が75%を上回らないことを新たな指標として設けています。この指標を設けることで、過度な学納金への依存の抑制を図るとともに、支出については学園が学内外に有するリソース(ネットワークやデータなど)およびデジタル技術などのより積極的な利活用によって、事業の質や業務効率の向上を図るDXを推進することとします。 (3)2023〜2026年度の学費政策 立命館大学では、入学時に在学期間の授業料を明示しており、在学期間中の授業料は基本的に変更することはありません。全学協議会で提起するのは、2023〜2026年度に入学する学生に適用する学費政策になります。 この間、学友会などと、私学の財政構造や学園財政運営の到達点と課題、学費について継続的に意見交換を重ねてきました。学友会は、2021年度第1回全学協議会代表者会議で、2023年度以降の学費政策について、その決定までのプロセスに参加できる機会の担保を要望しました。これを受け、継続して学友会との懇談を続けてきました。 R2030チャレンジ・デザインの実現に向けては、恒常的・基盤的な事業による財政の健全性・バランスを確保することが前提となります。引き続き学納金以外の収入の多様化や経費削減にも努めていきますが、前述したとおり、私学財政の現実として、学びの環境・機会を保障し、将来にわたり持続的に教育研究の質向上を行うためには、学納金による収入基盤の維持・構築が不可欠です。R2030以降の教学展開、大学の価値創造を持続的・連続的に進めていくための財政基盤を維持・構築する重要な方策のひとつとして、2023〜2026年度の入学者に適用する立命館大学の学費政策を提起します。 今次の授業料改定方式には、教育活動に伴う収支状況をふまえて適用する「教学維持改善費」を設定しています。大学としても、さまざまな意見・指摘を加えながら、時間をかけて厳しい議論・検討を重ねましたが、社会の変化に対応しながら、持続的に教学条件を維持・改善するため、またその実現を財務的に支える収支バランスを健全に保つためにどうしても必要な方針・考え方として提起することにしました。「教学維持改善費」を適用する場合は、常任理事会で検討し、学生・院生のみなさんに説明することとします。 1) 入学金 入学金は、次の通りとします(現行通り)。 区分 金額 入学、編入学、転入学、学士入学 200,000円 再入学 10,000円 ただし、次の場合は入学金を徴収しません。 ① 国際関係学部アメリカン大学・立命館大学国際連携学科の入学者でアメリカン大学で学習を開始する者およびグローバル教養学部の入学者でオーストラリア国立大学で学習を開始する者 ② 本大学またはAPU の学部を卒業した者が、本大学院に入学する場合 ③ 本大学またはAPU の学部から引き続き本大学院に入学する場合 ④ 本大学またはAPU の大学院を修了した者または博士課程に標準修業年限以上在学し、学則に定める履修要件を満たした者で博士学位を取得せずに退学した者が本大学院に入学する場合 2) 2023〜2026年度の入学者に適用する授業料改定方式 〇学部入学者に適用する授業料改定方式 新年度授業料=基本授業料×(1+物価指数アップ率)+教学維持改善費(※) ・「基本授業料」は2022年度入学者の授業料(年額)とする。 ・「物価指数アップ率」は消費者物価指数(全国総合)の2020年度平均値を基準として、直近年度平均値における上昇率を用いる。ただし、上昇率が1.0ポイント未満の場合は適用しない。 ・算出された新年度授業料が前年度授業料を下回る場合は、前年度授業料と同額とする。 ・新年度授業料の1/2(百円単位で四捨五入)を学期授業料とする。 ※「教学維持改善費」について ・持続的に教学条件を維持・改善するため、教育活動に伴う収支状況をふまえて「教学維持改善費」を適用することがあります。 ・「教学維持改善費」を適用する場合は、5万円を超えないものとし、2023〜2026年度において、初めに適用した年度以降の入学者に適用する「教学維持改善費」は同額とします。 2023年度入学者の授業料については、新型コロナウイルス禍における社会情勢を勘案し、収支状況に関わらず、教学維持改善費は適用しません。 2023年度入学者の授業料は上記に基づく計算の結果、2022年度入学者の授業料と同額とします。 〇博士前期課程、修士課程、一貫制博士課程(1・2年次)および専門職学位課程入学者に適用する授業料改定方式 新年度授業料=基本授業料×(1+物価指数アップ率) 「基本授業料」は2022年度入学者の授業料(年額)とする。 「物価指数アップ率」は消費者物価指数(全国総合)の2020年度平均値を基準として、直近年度平均値における上昇率を用いる。ただし、上昇率が1.0ポイント未満の場合は適用しない。 算出された新年度授業料が前年度授業料を下回る場合は、前年度授業料と同額とする。 新年度授業料の1/2(百円単位で四捨五入)を学期授業料とする。 大学院の学費については、R2020において大学院政策の一環として学費減額の判断をしました。R2030チャレンジ・デザインでは、次世代研究大学の実現に向け大学院生を探究し続ける自立した研究の実施者と考え、研究と教育の拡大的再結合に向けた政策を促進することから、現行の授業料改定方式を継続します。 2023年度入学者の授業料は上記に基づく計算の結果、2022年度入学者の授業料と同額とします。 また、博士後期課程、博士課程および一貫制博士課程(3年次以上)の授業料についても現行の考え方を継続し、授業料50万円(年額)を継続します。 3) 新設学部・研究科等の授業料 学部等の新設・再編や大幅なカリキュラム改革等にあたっては、教員体制や学部等固有の施設・設備整備計画等をふまえて授業料を決定します。 4) 在学期間の授業料明示 入学時に在学期間の授業料を明示する方式とします。 ただし、社会的要因による急激で大幅な物価上昇等があり、その影響への対処として在学生を含む学費改定が余儀なくされた場合には、緊急的な措置として学費改定を提起します。 5) 2022年度以前の入学者に適用する授業料(学部・研究科) 2022年度以前の入学者には、すでに入学時に明示している授業料を適用します。 【立命館大学学部・大学院2023年度入学者学費】 ・入学金 (単位:円) 区分 金額 入学、転入学、編入学、学士入学 200,000 再入学 10,000 ただし、次の場合は入学金を徴収しません。 ①国際関係学部アメリカン大学・立命館大学国際連携学科の入学者でアメリカン大学で学習を開始する者およびグローバル教養学部の入学者でオーストラリア国立大学で学習を開始する者。 ②立命館大学またはAPUの学部を卒業した者が、立命館大学大学院に入学する場合。 ③立命館大学またはAPUの学部から引き続き立命館大学大学院に入学する場合。 ④立命館大学又はAPUの大学院を修了した者または博士課程に標準修業年限以上在籍し、学則に定める履修要件を満たした者で博士学位を取得せずに退学した者が立命館大学大学院に入学する場合。 ・2023年度入学者授業料(学部) (単位:円) 学部等 1年次 2年次以降 4月入学者/9月入学者 4月入学者/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 春学期/秋学期 秋学期/春学期 法学部 法学科 487,300 487,300 487,300 487,300 経済学部 経済学科 504,500 504,500 504,500 504,500 経営学部 経営学科 487,300 487,300 487,300 487,300 国際経営学科 550,500 550,500 550,500 550,500 産業社会学部 現代社会学科 現代社会専攻、メディア社会専攻、スポーツ社会専攻、人間福祉専攻 575,300 575,300 575,300 575,300 子ども社会専攻 609,500 609,500 609,500 609,500 文学部 人文学科 地域研究学域 571,700 571,700 571,700 571,700 人間研究学域教育人間学専攻、日本史研究学域考古学・文化遺産専攻 560,900 560,900 571,700 571,700 人間研究学域哲学・倫理学専攻、日本文学研究学域、日本史研究学域日本史学専攻、東アジア研究学域、国際文化学域、国際コミュニケーション学域、言語コミュニケーション学域 560,900 560,900 560,900 560,900 理工学部 数理科学科 757,000 757,000 757,000 757,000 物理科学科、電気電子工学科、電子情報工学科、機械工学科、ロボティクス学科、環境都市工学科、建築都市デザイン学科 785,400 785,400 785,400 785,400 国際関係学部 国際関係学科、アメリカン大学・立命館大学国際連携学科 633,800 633,800 633,800 633,800 政策科学部 政策科学科 584,700 584,700 584,700 584,700 情報理工学部 情報理工学科 785,400 785,400 785,400 785,400 映像学部 映像学科 930,800 930,800 930,800 930,800 生命科学部 応用化学科、生物工学科、生命情報学科、生命医科学科 800,900 800,900 800,900 800,900 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 609,500 609,500 609,500 609,500 薬学部 創薬科学科 905,400 905,400 905,400 905,400 薬学科 1,123,400 1,173,400 1,173,400 1,173,400 総合心理学部 総合心理学科 603,300 603,300 603,300 603,300 食マネジメント学部 食マネジメント学科 608,200 608,200 608,200 608,200 グローバル教養学部 グローバル教養学科 1,150,000 1,150,000 1,150,000 1,150,000 ・2023年度入学者授業料(大学院) 【博士課程前期課程・修士課程】(単位:円) 研究科等 1年次以降 4月入学者/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 法学研究科 381,400 381,400 経済学研究科 Master's Program in Economic Developmentを除く 381,400 381,400 Master's Program in Economic Development 457,700 457,700 経営学研究科 381,400 381,400 社会学研究科 381,400 381,400 文学研究科 人文学専攻 381,400 381,400 行動文化情報学専攻 392,200 392,200 理工学研究科 数理科学コースを除く 584,800 584,800 数理科学コース 546,600 546,600 国際関係研究科 国際関係学プログラム 381,400 381,400 Global International Relations Program(GIRP) 457,700 457,700 政策科学研究科 381,400 381,400 言語教育情報研究科 406,800 406,800 テクノロジー・マネジメント研究科 592,900 592,900 スポーツ健康科学研究科 432,200 432,200 映像研究科 612,600 612,600 情報理工学研究科 578,300 578,300 生命科学研究科 578,300 578,300 人間科学研究科 432,200 432,200 薬学研究科 578,300 578,300 食マネジメント研究科 401,800 401,800 ※ 在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 【一貫制博士課程】(単位:円) 研究科 1・2年次 3年次以降 4月/9月入学者 4月/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 春学期/秋学期 秋学期/春学期 先端総合学術研究科 406,800 406,800 250,000 250,000 ※1 在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 ※2 ※1に関わらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。 【専門職学位課程】(単位:円) 研究科 1年次以降 4月/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 法務研究科 664,800 664,800 経営管理研究科 634,300 634,300 教職研究科 457,700 457,700 ※1 法務研究科の在学期間が標準修業年限(2年修了課程においては2年、3年修了課程においては3年)を超えた者の授業料は上記の半額。 ※2 経営管理研究科の在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 ※3 教職研究科の在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 【博士課程後期課程】(単位:円) 研究科 1年次以降 4月/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 全研究科 250,000 250,000 ※1 在学期間が標準修業年限を超えた者の学費は上記の半額。 ※2 ※1に関わらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める各研究科の修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。 【4年制博士課程】(単位:円) 研究科 1年次以降 4月/9月入学者 春学期/秋学期 秋学期/春学期 薬学研究科 250,000 250,000 ※1 在学期間が標準修業年限を超えた者の学費は上記の半額。 ※2 ※1に関わらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。