立命館大学の学部生・大学院生のみなさんへ 2026年度の始まりにあたり、いま私たちが直面している現代の課題と、そこから描いていきたい未来についてお伝えします。 私たちを取り巻く社会の前提は、大きく変わりつつあります。国際社会では分断や対立が続き、これまで当たり前だと考えられてきた秩序や価値観は、必ずしも自明ではなくなっています。そして、このような世界的な状況を踏まえると、本学の教学理念である「平和と民主主義」が、今日どのような意味を持ち、どのように実質化されうるのかを、改めて問い直す必要があります。このことは、立命館大学の学生として、どのように考え、また行動していくのかが問われているとも言えます。同時に、気候変動に起因する世界的な異常気象や自然災害はすでに日常的な問題となっており、地域や暮らしのあり方と切り離せない課題になっています。 さらに、AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展は、学び方や働き方、将来の姿そのものを、非常に速いスピードで更新し続けています。こうした変化は、決して「遠い世界の出来事」にとどまるものではなく、みなさん一人ひとりの学び、研究、学生生活、将来の選択と、さまざまな形で関わり得るものです。 この時代をどう捉え、どのように関わっていくのかは、学生のみなさん一人ひとりが生きていく将来と関わることであり、未来を構想して実現しようとする取り組みそのものが重要となっています。私たちはいま、「どのように社会と関わり、どんな価値を生み出していくのか」を主体的に考えることが求められています。立命館憲章の改正のプロセスや、そこに掲げられた「自主・民主・公正・公開・非暴力」そして「世界の平和の実現」に向けた希求は、みなさん自身が日々の学びや対話の中で参照し、その意味を考え、実践していくための手がかりとなるものです。多様な他者と出会い、価値観の違いに向き合い、対話を通じて意思決定を経験すること。そのような学びの場として、大学生活を捉えてみてください。 このような変化の激しい時代において、大学での教育・研究の果たす役割も改めて問われています。大学は、知を蓄積して伝えていく場であると同時に、社会の課題と向き合い、新たな問いを立て、異なる立場や価値観が交わる中で考え続けていく場であると考えています。そのプロセスの中で重要な役割を担うのが、学生のみなさんです。 立命館大学では、学生のみなさんを、教育や研究の場において一方的に「教える側」「学ぶ側」といった一方向の関係で捉えるのではなく、それぞれが異なる立場と役割を担いながら、大学のあるべき姿をともに考え、ともに創っていく担い手として捉えてきました。本稿では、大学が学生との対話や協働を通じて、教育・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進めていく考え方を「学園共創」として整理します。なお、学友会が提起し展開してきた「学園共創活動」との関係については、第2章であらためて整理します。 本文書は、こうした学園共創の考え方のもとで、これからの立命館大学の姿や学びのあり方について、みなさんとともに考えていくための出発点です。ここで示す認識や方向性についても、学生のみなさんの実感や問題意識から見て、どこに共感できる点があり、どこに違和感や不足があるのかを、全学協議会に向けて対話を通じて理解を共有していきたいと考えています。それぞれの立場から受けとめ、考えるきっかけとしていただければ幸いです。 第Ⅰ章 2026年度全学協議会の意義と位置づけ ―これからの立命館大学を考えるために― 1.大学を取り巻く社会・高等教育環境の変化 現在、大学を取り巻く社会環境および高等教育環境は、学生一人ひとりの学び方や将来の生き方に直結するかたちで、大きく変化しています。この変化は、遠い話ではなく、「なぜ今この学びが求められているのか」「大学で身につけた力は、社会でどのように生かされるのか」という問いとして、すでに大学での学びや研究の中に入り込んでいます。 まず、少子化を背景とした人口減少社会の進行は、日本の大学全体に大きな影響を及ぼしています。18歳人口は今後も減少が続くと見込まれており、大学はこれまでのように18歳で大学に入学する学生を前提とした教育・研究モデルを維持することが難しくなっています。これは、大学同士の競争が厳しくなるという話にとどまらず、「大学で学ぶことの価値を、社会に対してどのように説明できるのか」「どのような学びが、今後の社会に本当に必要とされるのか」という根本的な問いを突きつけています。学生のみなさんにとっても、大学に入学すること自体をゴールとするのではなく、「大学で何を学び、どのような力を身につけるのか」を考えることの重要性が、これまで以上に高まっていると考えられます。 加えて、近年の国の高等教育政策は、科学技術・イノベーション政策とも連動しながら、大学の人材育成機能と研究機能を、社会の成長や新たな価値創出の中核として位置づける方向へ大きく動いています。そこでは、大学に対して、基礎研究の力を高めることに加え、その成果を社会課題の解決やイノベーション創出へとつなげていく機能が求められています。こうした政策動向は、大学を単に知識を教授する場としてではなく、社会の将来像を構想し、その実現に向けて人材育成・研究・社会連携を一体的に展開する場として捉え直す動きであると言えます。 次に、経済・産業構造の変化とデジタル技術の急速な進展は、社会で求められる能力のあり方を大きく変えています。大規模学習による生成AIの活用が急速に広がる中で、専門知識や知そのもののあり方が大きく変化し続けています。一方で、正解が一つに定まらない課題の解決すべき根本的な問いに向き合い、他者と創造的に協働しながら思索・行動する力が強く求められるようになっています。例えば、みなさんが授業で行うグループワークやプロジェクト型の学修、あるいはPBL型授業での試行錯誤は、こうした社会状況と深く結びついた学びだと言えます。 この変化は、大学教育だけでなく高校教育にも影響を及ぼしており、国の政策においても、これまでの「文系」「理系」を早い段階で分ける学び方から脱却し、AIやデータサイエンスの活用を前提に、文系・理系を問わず数学的・情報的素養を身につけることの重要性が議論されています。これは、単に理系人材を増やすということではなく、どの分野を学ぶ学生であっても、データや技術を理解し、社会課題を多面的に捉え、他者と協働しながら価値を生み出す力が求められていることを示しています。 また、世界的な環境問題や地域課題、社会的分断といった複雑な課題が顕在化する中で、一つの専門分野を極めるだけでは、その解決が図れない局面が増加しています。そこで、異なる分野の専門知識や立場をつなぎ合わせ、価値観の異なる他者と互いに尊重し合って対話を重ねながら合意を形成していく姿勢は、将来どのようなキャリアを歩むにしても必要なこととなっています。このことは、大学での学びが、専門性の深化と同時に、分野横断的な視点や他者と協働して行動するような社会との接点を持つことを求められていることを意味しています。 さらに、科学技術や研究をめぐる環境も大きく変化しています。科学技術は新しい製品やサービスを生み出すだけでなく、経済成長、社会課題の解決、さらには国家間の関係や安全保障にも影響を与える重要な要素として位置づけられています。このため、近年の日本では、基礎研究の重要性を再認識しつつ、社会や産業に直接役立つ研究に焦点が当たる傾向にありますが、大学として、基礎研究の重要性を改めて見つめ直し、評価していくことが必要になっています。また、学生にとっても、研究や学問は「大学の中だけで完結するもの」ではなく、社会との関係性の中で意味を持つものとして捉え直されつつあります。卒業研究や修士論文、博士論文に取り組む経験が、単なる課題提出ではなく、研究における問いそのものを見つめ直し、自分の視点を確立して取り組むべきものと言えます。そしてこの問い続ける力こそが、研究の社会における具体的な価値よりも重要だと言えます。 立命館大学は、こうした問いに対して安易な答えを用意し、それを学生に伝えるという姿勢ではありません。大学の役割そのものが問われている今だからこそ、学生一人ひとりとこれらの問いを共有し、共に考え、実践を通じて向き合い続ける立場にあると考えています。 変化の激しい社会の中で「真に活躍する人材」とは何か、そのために大学は何を提供し、何を支え、どこまでを学生自身の問いとして委ねるべきなのか。こうした問いには、あらかじめ用意された正解はありません。本学は、学部生・大学院生を単なる支援の対象としてではなく、大学の学びの意味を共に問い直す当事者として位置づけ、社会とも接続しながら、そのあり方を試行錯誤し続けていきます。 このような社会・高等教育環境の変化の中で、私学としての立命館大学は、何を守り、何を変え、どのような大学の役割を果たしていくのかが問われています。AIの急速な進展、人口動態の変化、国際社会の不安定化、価値観や社会構造の揺らぎは、大学に対して、従来の延長線上で制度や施策を改善するだけではなく、教学・研究のあり方そのものを問い直すことを求めています。 立命館大学がこれからどのような学びと研究の場であるべきか、学生一人ひとりがこれからの社会で学び続け、挑戦し、新たな価値を生み出していくことを、大学としてどのように支えていくのか。その答えは、あらかじめ一つに定まるものではありません。だからこそ、この問いを学生のみなさんと共有し、それぞれの実感や課題意識を持ち寄りながら、ともに考えていくことが、2026年度全学協議会の出発点となります。 2.社会・大学環境の変化が、学部生・大学院生の学びに問いかけるもの 前節で述べた社会および大学を取り巻く環境の変化は、大学の制度や運営のあり方だけでなく、学部生・大学院生一人ひとりの「学びの中身」や「学ぶ姿勢」そのものに、直接的な問いを投げかけています。大学での学修は、変化の激しい社会でキャリアを歩んでいくための土台を形成する重要な時間となっています。 第一に問われているのは、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」という点です。社会の変化が加速する中で、卒業後に直面する課題の多くは、在学中に学んだ知識をそのまま当てはめれば解決できるものではなくなっています。むしろ、課題そのものが明確に定義されていない状況の中で、自ら問いを立て、必要な知識や情報を取捨選択し、試行錯誤を重ねながら前に進んでいく力が、これまで以上に重要になっています。グループワークやプロジェクト型学修、実習やフィールドワークといった学びの形が重視されている背景には、こうした社会的要請があります。 とりわけ、文系・理系という区分を前提に、自分の専門の内側だけで学びを完結させることは、今後ますます難しくなっています。AIやデータサイエンスが社会のさまざまな場面で活用されるなかで、文系分野を学ぶ学生にも数理・情報に関する基礎的な理解が求められ、理系分野を学ぶ学生にも、人間や社会、倫理、制度、文化に関する理解が不可欠となっています。学部生・大学院生にとっては、自らの専門性を深めながらも、異なる分野の知や方法に開かれ、問いそのものを組み替えていく学び方が重要になっています。 第二に、学びを「個人の成長」と「社会との関係」の双方から捉える視点が、学部生・大学院生に求められるようになっています。大学での学修は、自身の専門性を深め、関心や強みを形成していくプロセスであると同時に、その学びが社会のどのような課題や価値と結び付くのかを考える機会でもあります。調査や分析を進める経験は、学術的に問いを深める営みであることに加え、その問いや成果を社会の中でどう生かし得るのかを考える役割が、これまで以上に強まっています。「この研究は誰の、どのような課題とつながるのか」「成果をどのように伝えればよいのか」といった視点が、学修や研究の過程の中で意識される場面が増えています。 第三に、学びの場が大学の教室の中に限られなくなっている点も重要な変化です。正課の授業だけでなく、課外活動、地域や企業との連携プロジェクト、国際交流、ボランティア活動、起業や社会実践など、学内外に広がる多様な経験が、学部生・大学院生の学びをかたちづくっています。これらの経験は、単なる「活動歴」ではなく、他者と協働しながら考え行動する力や、自分自身の価値観を問い直す契機として、学修の質そのものを高める役割を果たしています。大学には、こうした多様な学びを、学生自身が意味づけし、振り返り、次につなげていけるよう支える環境づくりが求められています。 また、大学における学びは、授業で得た知識を社会に応用するという一方向の関係にとどまらず、社会課題との接点の中で新たな問いを見出し、その問いを再び学修や研究へと持ち帰る往還的な営みとして捉える必要があります。文理横断型の教育やダブルメジャーの検討は、こうした学びの広がりを制度的に支える可能性を持つものです。学部生・大学院生が、自身の専門を軸にしながらも、異なる分野や社会の現場と接続し、複数の視点から課題を捉え直す経験を積むことは、今後の学びの質を高める重要な要素になります。 大学院生にとっては、研究を通じて専門性を高めることに加え、その研究成果を社会とどのようにつなげていくのか、研究者として、あるいは高度専門職業人としてどのような役割を果たすのかという問いが、これまで以上に重要になっています。研究の自由や自律性を尊重しながらも、研究が社会の中でどのような意味や価値を持ち得るのかを考える姿勢は、今後の進路選択やキャリア形成とも深く関わっています。 このように、社会・大学環境の変化は、学生が知識を修得するだけでなく、自ら問いを立て、学びを組み立て、社会との関係の中でその意味を考えていくことの重要性を浮かび上がらせています。同時に、そのような学びのあり方を、大学がどのように支え、学生自身の主体性とどのように結びつけていくのかも問われています。大学での学びは、用意された正解を効率よく得るための時間ではなく、迷いや試行錯誤を含みながら、自分なりの問いや方向性を形づくっていく時間へと変わりつつあります。 また、学びの中では、自分がどのように考え、行動していくのかのよりどころとなる価値や考え方を意識することも重要です。2025年度末に改正された立命館憲章は、学園全体の理念や将来に向けた方向性を示す指針であり、大学が何を大切にし、どこへ向かうのかを考える際の基盤となるものです。それは理念として掲げられるだけでは十分でなく、日々の学びや対話、学生生活の中で繰り返し参照され、その意味が広く共有されながら、自らの行動や実践へとつながっていくことが求められます。 そのため、学びや成長のあり方、研究環境の充実について学部生・大学院生と教職員が共に考え、共有していくことが大切です。大学は、いまの取り組みの改善に加え、次節以降で述べるR2030「チャレンジ・デザイン」で掲げる次世代研究大学や創発性人材の育成といった目標に向けた後半期の取り組みの実践やその具体化に向けた議論を通じて、それらを成し遂げたいと考えています。このプロセスとして、2026年度全学協議会は重要な位置づけにあります。 3.社会・大学環境の変化を踏まえた学部生・大学院生の育成像 以上のような社会および学びをめぐる変化を踏まえ、本学は、知識の修得にとどまらず、自ら問いを立て、多様な他者との関わりや研究・社会との接続の中で思索と実践を往還しながら、新たな価値を創発していく学生の成長を、一つの重要な方向性として考えています。みなさん自身の実感や将来像と照らし合わせながら、大学が支えるべき学びや成長のあり方について、全学協議会を通じて議論を深めたいと考えています。 その際に重視するのは、特定の分野に閉じた能力形成ではなく、専門性を深めながら、異なる分野の知や方法を理解し、社会の複雑な課題に対して複眼的に向き合う力です。国の政策においても、理工系・デジタル系人材の不足や文理分断型の学びからの脱却が課題として示されていますが、本学はこれを単なる分野別定員の調整としてではなく、総合大学としての幅広い学問領域を活かし、文理横断・学際融合・社会連携を通じて新たな価値を生み出す人材育成の課題として受け止めます。 この育成像は、創発性人材の育成を中核に据えつつ、一部の限られた学生のみを対象とするものではなく、学部生から大学院生までの多様な学生が、それぞれの関心や目的に応じてセルフ・オーサーシップを発揮し、自らの学びや経験を意味づけながら、自己の生き方やキャリアを主体的に形成していくことを基盤としています。そして、そのような多様な学びと成長の過程の中から、次世代の研究・イノベーションを担う高度な専門性と探究力を備えた人材が育まれていくことを、相互に関連するものとして捉えるものです。 大学は、このような多様な成長の可能性を前提に、研究と教育、学部と大学院、さまざまな学びの機会、を接続しながら、学部生・大学院生一人ひとりが、自らの問いを深め、社会との関わりの中で学び続けることのできる環境を整えていきます。 今次、全学協議会の議論を通じて、こうした学部生・大学院生像についても、学生のみなさんとともに考えを深める機会と捉えています。 4.R2030後半期に入る節目を迎えるにあたって 2026年度は、立命館大学が掲げてきた将来構想「R2030チャレンジ・デザイン」において、前半期の到達点と課題を踏まえ、後半期(2026〜2030年度)へと移行する節目の年度にあたります。これまでの前半期では、研究高度化、大学院教育の拡充、創発性人材育成、グローバル化、多様性の推進など、将来構想に基づくさまざまな取り組みが積み重ねられてきました。2026年度は、それらの取り組みが現在の教育・研究・学生支援の実践としてどのように具現化され、学部生・大学院生一人ひとりの学びや研究の実感とどのようにつながっているのかを、あらためて捉え直すことが求められる時期に位置づけられます。 R2030後半期計画では、「次世代研究大学」の実現と「イノベーション・創発性人材」の育成を大学像として掲げ、これを具体化するために五つの戦略目的と、それを支える主要政策・主要施策が整理されています。2026年度事業計画は、この後半期計画で定められた「主な事業戦略」を起点として策定される最初の年次計画であり、後半期に向けた方向性を実装段階へ移行させていく重要な役割を担っています。すなわち、後半期計画に示された政策や施策を、各部門・各現場の具体的な活動として着実に展開し、その進捗と成果を検証しながら次年度以降につなげていく出発点が2026年度であると言えます。 その具体化にあたっては、国の政策動向や各種公募事業を、単に外部資金を獲得するための機会として捉えるのではなく、本学がめざす教育・研究の方向性を点検し、加速させるための一つの政策手段として捉えることも重要です。 一方で、教育・研究・学生生活や課外活動などの学びの機会が多様化・高度化するなかで、その全体像や相互のつながりが学部生・大学院生にとって見えにくくなりつつあるという課題も顕在化しています。R2030後半期計画では、研究と教育、正課と正課外、学内と社会との接続を重視し、学部生・大学院生の挑戦や成長を支える環境を総合的にデザインすることが掲げられています。大学として、どのような学びを大切にし、どのような成長や将来像を支えようとしているのかを、事業計画に基づく具体的な取り組みを通じて、学生のみなさんとあらためて共有していくことが重要となります。 2026年度は、このようにR2030後半期計画と年次事業計画との連動を意識しながら、大学の将来構想と学部生・大学院生の学びとの関係を点検・再確認し、次の展開に向けた共通理解を育てていくための重要な年度です。この年度を、学びや研究、学生生活のあり方を大学と学生が共に考え、実践につなげていく機会として生かしていくことが、R2030後半期の取り組みを実質的に充実させていくことにつながっていきます。 5.2026年度の全学協議会が担う役割 2026年度に開催する公開での全学協議会は、学部生・大学院生を含む構成員との対話を通じて、大学として一定の考え方や方向性を確認するとともに、今後も継続して検討していくべき論点を共有する場として位置づけられます。公開での全学協議会は、大学のすべての構成員に開かれる形で様々な課題に向き合ってきました。この協議会では、すべての論点について直ちに結論を導くことを目的とするものではありませんが、一方で、議論を通じて浮かび上がった認識や合意を、全構成員が大学としての「いま」の姿として受け止め、次につなげていくことが求められるものです。 本協議会において確認される一定の結論とは、大学の構想や取り組みを一方的に示すものではなく、学部生・大学院生との対話を踏まえながら、現在の学びや研究の環境をどのように捉え、今後どの方向により良く向かわせていくのかについて、対話を通じて確認された点を可視化するものです。それは同時に、学部生・大学院生の学びの実感や課題意識に応答し、大学の「いま」と「これから」を結び直す営みでもあります。 その意味で、文理横断教育、成長分野への対応、次世代研究大学の実現に向けた大学院教育・研究環境の高度化、研究と社会実践の接続といった論点は、大学側の制度設計だけで完結するものではありません。これらは、学部生・大学院生が自らの学びや研究をどのように意味づけ、どのような学びの機会を必要としているのかという実感と結びつけて考える必要があります。2026年度の全学協議会では、R2030後半期におけるこうした教育・研究改革の方向性を、学部生・大学院生の視点からも確認し、今後の具体化に向けた共通理解を形成することが重要です。 また、2026年度の全学協議会は、この年度限りで議論を完結させる場ではなく、学園共創の一環として、ここで確認された論点や視点を出発点と捉え、学部生・大学院生との対話や検討を今後も継続していくことを大学として示す節目の機会でもあります。一定の結論と継続すべき問いとを併せ持つことで、R2030後半期に向けた取り組みの方向性と幅を、より確かなものとしていきます。 2026年度の全学協議会を通じて形成される認識や方向性は、大学が計画しているR2030後半期の取り組みを支える基盤となり、学部生・大学院生一人ひとりが自らの学びと成長を実感し、次の挑戦へ向かうことを支える大学の姿を、学部生・大学院生のみなさんと共に考え、形づくっていくことにつながります。 その意味で、2026年度全学協議会は、社会情勢の変化を踏まえ、立命館大学が次世代研究大学としてどのような価値を生み出し、AI時代において専門性と実践力を備えた人材、そしてイノベーション・創発性人材をどのように育成していくのかを、学部生・大学院生のみなさんとともに考える場でもあります。現在の学びや学生生活の課題を確認することと、これからの立命館大学がめざす姿を構想することを結びつけて議論していきます。 6.2026年度の主要テーマ一覧・年間スケジュール 2026年度の全学協議会では、以下のような流れを想定し議論を進める予定です。 教学・研究の環境の充実、学生生活、進路やキャリア、キャンパス環境等のテーマの議論を想定します。加えて、R2030後半期に向けた教育・研究改革の方向性として、文理横断的な学び、AI・データサイエンス時代に必要となる基礎的素養、専門性と社会課題との接続、大学院進学や高度専門人材育成のあり方などについても、必要に応じて論点化していきます。 年間スケジュールとしては、春学期中に全学協議会代表者会議や大学と学友会・院生協議会連合会との懇談を通じて論点整理と意見交換を行い、秋学期(10月)に公開での全学協議会を開催します。その後、協議内容を振り返りつつ、翌年1月までに今後の方向性や課題を共有していきます。こうした年間を通じた対話の積み重ねを通じて、学部生・大学院生が実感をもって参画できる大学づくりを進めていきます。 また、こうした教育・研究改革を支える学費・財政のあり方についても、「学費の重要性に応える教育」や「学費に見合う学びと成長の実感」という観点から、学部生・大学院生と共有しながら考えていく必要があります。学びの機会や研究環境の充実を、学部生・大学院生一人ひとりの実感につなげていくことは、全学協議会における重要な論点の一つです。 【2026年度全学協議会に向けたスケジュール】 ・学友会・院生協議会連合会の主に全学協に向けた活動 2月〜4月 体制整備や新歓活動等 5月〜6月 自治委員選挙 ※学友会各学部自治会執行部交代、議論の到達点の確認など 6月〜8月 院協総会 五者懇談会 9月 10月 ・全学協のスケジュール 1月29日 2025年度代表者会議 2月〜5月 各種懇談会 ※教学・学生生活・財政等に関わる理解を深める機会 5月27日 代表者会議 ※10月の全学協議会での議論の方向性について意見交換 6月〜9月 各種懇談会・拡大事務所折衝等 ※全学協議会に向けた論点整理 10月 全学協議会 第Ⅱ章 学園共創のプロセスとしての全学協議会のあり方 ―2022年度以降の議論の積み重ねを踏まえて― 第1章では、社会・大学環境の変化や学部生・大学院生の学びをめぐる状況、そしてR2030後半期という節目の中で、2026年度の全学協議会が持つ意義と位置づけを整理してきました。 本章では、2022年度の公開全学協議会以降に重ねられてきた議論を踏まえ、学園共創が、学生・大学院生と大学がそれぞれの立場や役割の違いを踏まえながらも、大学の「いま」と「これから」について対等な議論を志向し、教学づくり・大学づくりに関わっていく関係性としてどのように具体化されてきたのかを整理します。そのうえで、全学協議会、全学協議会代表者会議、五者懇談会、各種懇談等が、それぞれどのような役割を担い、相互にどのように連動してきたのかを確認します。 本章に入るにあたり、本稿で用いる「学園共創」と、学友会が提起し展開してきた「学園共創活動」との関係などを整理します。本稿で用いる「学園共創」は、大学が学生との対話や協働を通じて、教育・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進めていく考え方を指します。一方、学友会が提起し展開してきた「学園共創活動」は、学友会が主体的に学生の意見を集約し、大学との協議・懇談を通じて教学づくり・大学づくりに関わってきた活動です。以下では、2022年度以降の議論経過を踏まえながら、両者の関係を整理します。 2022年度の全学協議会では、学費・財政政策をめぐる議論を通じて、学生・大学院生が教学・大学づくりにどのように参画していくのかが重要な論点として確認されました。学友会は、学費額そのものの是非を問うことにとどまらず、学費使途としての教学や大学づくり等の政策・施策について、決定への同意ではなく、学友会の参画機会として双方の情報共有や議論を行う場を継続的に設置することを求めました。これを踏まえ、大学は、学費・財政政策に関わる学友会との議論の場を設けることに加え、学生・大学院生と教学や大学づくりに関わる多層的な議論の場を設けることを表明しました。 この議論は、学費を負担する学生の立場から大学に要求を届けるという従来の関係にとどまらず、その学費を原資としてどのような教学条件や学生生活環境を整え、現在および未来の学生にとってどのような大学をつくっていくのかを、学生自身も大学づくりの当事者として考える方向へと議論を展開させるものでした。大学があらかじめ答えを用意して提示し、その是非を問うのではなく、大学と学生がより対等な立場でアイデアや考えを交換し、施策の検討・具体化につなげていくプロセスの必要性が確認された点に、2022年度の議論の重要な到達点があります。 その到達点を踏まえ、2023年度第1回全学協議会代表者会議において、学友会は、従来の「要求実現運動」から「学園共創活動」へと活動の位置づけを転換し、学費額そのものの是非を問う議論にとどまらず、学費を原資としてどのような教学等が展開されるのか、教育や研究のあり方にどのように関わるのかを議論していく姿勢を表明しました。 ここでいう「学園共創活動」は、学友会が主体的に学生の意見を集約し、大学との協議・懇談を通じて、教学づくり・大学づくりに関わってきた活動です。そこでは、学生生活上の目前の課題に限らず、学びのあり方、学生生活、課外自主活動、キャンパス環境、さらには未来の学生を視野に入れた教学・大学づくりなど、学生が自らの問題意識に基づいてテーマを設定し、大学に意見を届け、協議を重ねてきた点に大きな意義があります。 2024年度には、学友会による学園共創活動が、各学部自治会による五者懇談会、キャンパス懇談会、教学部・学生部・財務部等との懇談を通じて展開され、個別具体的な課題と将来的な課題の双方を扱う活動として発展してきたことが確認されました。大学としても、こうした学友会の取り組みを高く評価するとともに、R2030チャレンジ・デザインの具体化にあたっては、初期段階から学友会・院生協議会連合会と連携し、学生が掲げる課題と大学の政策・計画との結びつきについて議論を行うことで、学園共創活動を含む学生参画のプロセスをより実質的なものにしていく必要があることを確認しています。 また、院生協議会連合会は、大学院生の研究・学修環境、経済的支援、修了後のキャリア形成などの課題について、大学院生の声を集約し、大学との協議を通じて改善につなげていく取り組みを進めてきました。2024年度以降は、組織体制の整備、各研究科院協との連携、キャンパス交流会の実施、全学的な大学院生アンケートなどを通じて、大学院生の実態や課題を把握し、大学とともに改善方策を検討する基盤を強化してきました。 こうした院生協議会連合会の取り組みは、学友会が展開してきた「学園共創活動」と同一のものではありませんが、大学が本稿でいう「学園共創」に通じる重要な実践です。特に、大学院生自身が研究環境やキャリア形成に関わる課題を可視化し、大学と協議しながら改善につなげようとしている点は、次世代研究大学の実現に向けた大学院生の参画として重要な意味を持ちます。 概念上、本稿でいう「学園共創」は、学友会が展開してきた「学園共創活動」に加え、院生協議会連合会が大学院生の声を集約し、研究環境、経済的支援、キャリア形成等の課題について大学と協議・改善を進めてきた取り組みも含みうる広い考え方です。それは、学友会や院生協議会連合会の主体的な活動を大学の施策の一部として位置づけるという意味ではありません。学友会の学園共創活動も、院生協議会連合会による院生自治・院生参画の取り組みも、それぞれの構成員の主体性に基づく独自の活動であり、大学としての学園共創とは相互に関係しながらも同一ではありません。 したがって、本章では、学友会が展開してきた「学園共創活動」と、院生協議会連合会が進めてきた大学院生の声の集約、研究環境・経済支援・キャリア形成に関する協議・改善提起の取り組みを、それぞれの主体性に基づくものとして区別しながら整理します。そのうえで、大学としては、これらの取り組みを、学生・大学院生との対話や協働を通じて教学・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進める「学園共創」の重要な基盤として受け止めます。 なお、「学園共創」や「学園共創活動」等の用語の使い方や、その共通理解については、学友会・院生協議会連合会・大学等の各パートでの議論や、今後の全学協議会における議論を通じて、引き続き確認し、更新していくべきものです。本稿での整理は、現時点での到達点を言語化するものとして位置づけます。 以上を踏まえ、本章では、大学の「いま」と「これから」を考える機会を、学生・大学院生と教職員がそれぞれの立場や経験を持ち寄りながら形づくっていく対話と協働のプロセスとして学園共創を捉えます。全学協議会、全学協議会代表者会議、五者懇談会、テーマ別懇談会、キャンパス懇談会、研究科単位での懇談等を通じて進められてきた経過を振り返りつつ、その到達点と課題を踏まえ、2026年度の全学協議会が果たすべき役割を整理します。 1.学園共創のこれまでの経過と重ねられてきた対話 2022年度の公開での全学協議会以降、全学協議会代表者会議に加え、各学部における五者懇談会、学友会・自治会が関わる部局・キャンパス単位での懇談、大学各部門とのテーマ別懇談、院生協議会連合会と大学との懇談など、多層的な対話の機会が積み重ねられてきました。 これらの枠組みにおいては、学友会・自治会が学生の意見を集約し、教学、学生生活、課外自主活動、キャンパス環境等に関わる課題を大学との協議・懇談の場に届けてきました。また、院生協議会連合会は、大学院生の研究・学修環境、経済的支援、キャリア形成等に関する課題を把握し、大学との協議を通じて改善につなげる取り組みを進めてきました。 こうした取り組みは、学生・大学院生が大学づくりに参画する機会を具体化し、大学としても、学生・大学院生の意見や実態を踏まえながら、学修環境や学生生活、研究環境に関わる改善や試行につなげていく基盤となってきました。 学園全体の理念と将来に向けた方向性を示し、日々の学びや学生生活とも関わりの深い立命館憲章の改正においても、多様で重層的な対話と協働のプロセスが重ねられてきました。検討の初期段階から学友会・院生協議会連合会との対話を重ね、改正案の作案や方針説明に関する懇談を実施いたしました。また改正案の答申後においても、改めて学友会・院生協議会連合会との懇談や説明(対面、動画配信)を行いました。そして、複数回の全学的な意見集約を踏まえながら協働して検討が進められました。これらの過程は、立命館憲章の内容だけでなく、その意義を学生・大学院生とともに問い直しながら進めていくプロセスとして位置づけられます。 一方で、こうした取り組みの成果や課題が、すべての学生・大学院生に十分に共有されているとは言い切れない側面もあります。どのような情報が届いておらず、どのような形で共有されれば自分ごととして受け止めやすいのかについても、学生・大学院生のみなさんと確認していく必要があります。 また、学部・研究科、キャンパスごとに、変化の実感や受け止め方に差が生じていることも事実です。学園共創の取り組みを実質化していくためには、議論の場を設けるだけでなく、そこで何が議論され、どのような課題が共有され、どのような改善や検討につながったのかを、より分かりやすく可視化していくことが重要です。 2.全学協議会と代表者会議の役割分担と相互連動 近年の全学協議会代表者会議は、全学協議会のもとに置かれた会議として、五者懇談会、部局・キャンパス懇談会、テーマ別懇談、各種アンケート(学友会主催、院生協議会連合会主催、大学主催等)、等を通じて共有されてきた学生・大学院生の意見や課題認識を踏まえながら、協議事項の整理や論点の明確化を行う役割を果たしてきました。 また、テーマによっては、大学としての意思形成に至る前段階として、前提や論点、検討の視点を共有・整理するための協議のプロセスとしても機能してきました。 2022年度の公開での全学協議会は、大学として共有すべき前提や論点、学生・大学院生の参画のあり方を全学で確認する節目の場として役割を果たしました。一方で、その後の代表者会議は、こうした論点を継続的に保持・拡充し、五者懇談会や各種懇談等で共有された課題を整理しながら、次の検討や実践へとつなげていく役割を担ってきました。 このような役割分担のもと、公開全学協議会と代表者会議は、節目の協議と継続的な論点整理という異なる役割を担いながら相互に連動し、学園共創の考え方に基づく対話と協働のプロセスを支えてきました。 たとえば、2025年度以降の学年暦をめぐっては、学友会・自治会が学部生・大学院生の学修や学生生活への影響に関する意見を集約し、五者懇談会や教学部との懇談等を通じて大学と共有してきました。これらの論点は、2022年度の公開全学協議会において確認された学生参画の視点を踏まえ、2023年度以降の代表者会議や懇談会において継続的に整理・確認されてきました。 3.具体的事例に見る学園共創の広がりと変化 LMS(学習管理システム)の刷新や活用をめぐっては、学友会・自治会等が実施した各種アンケートや懇談で寄せられた学部生・大学院生の声をもとに、代表者会議や教学部との懇談等を通じた論点整理が行われ、大学としての検討や試行につながってきました。 また、大学院生の研究環境や経済的支援、キャリア形成に関しては、院生協議会連合会による意見集約やアンケート結果を踏まえ、代表者会議や研究部等との懇談において課題が共有されるなど、実態に即した検討が積み重ねられてきています。 近年では、五者懇談会や学部・研究科、キャンパス単位での懇談を通じて、さまざまな改善や施策の試行が進められ、その内容が関係する学部生・大学院生との間で共有されることで、学びや研究、学生生活の環境に変化が生まれてきました。学園共創の考え方において重要なのは、大学が一方的に「回答」や結論を示すことではなく、学生・大学院生が集約した意見や課題認識を踏まえ、大学と各パートがそれぞれの責任と役割を確認しながら、検討の過程や到達点、残された課題を共有し、次の試行や改善へとつなげていくことです。 このほか、大学としては、「衣笠アートヴィレッジフェスティバル」(立命館大学主催、2025年度新規開催)を、学生の主体的な活動と大学の支援・協働が交わる取り組みの一つとして受け止めています。こうした取り組みは、単なるイベントの実施にとどまらず、企画、調整、試行、改善のプロセスを通じて、学生が自らの関心や課題意識を形にしていく機会にもなり得ます。 また、「立命館大学大学院全キャンパス合同研究交流会」(立命館大学院生協議会連合会主催、2025年度新規開催)は、大学院生が研究科やキャンパスを越えて交流し、研究活動やキャリア形成に関わるネットワークを広げていく取り組みとして展開されました。 これらの取り組みは、大学としての「学園共創」の考え方にも通じるものですが、学友会が展開してきた「学園共創活動」との関係については、それぞれの主体や目的を踏まえながら、今後も対話を重ねて整理していく必要があります。 4.可視化されにくい課題と五者懇談会に期待される役割 こうした経過を踏まえると、2026年度は、2022年度の公開全学協議会を起点として積み重ねられてきた取り組みを、全学的な文脈の中であらためて可視化し、その実質を確認することから始める必要があります。全学的な議論とあわせて、各学部・研究科、キャンパス単位で生まれている論点を、学園共創の考え方の中でどのように位置づけるのかも重要です。 特に、各学部で行われている五者懇談会は、学部ごとの教学や学生生活に関わる具体的な課題を丁寧に議論する場として重要な役割を担っています。また、学部単位では解決しにくい課題を全学的な論点へと接続し、代表者会議やテーマ別懇談等につなげていくうえでも重要な機能を持っています。 大学院についても、研究科単位での懇談や院生協議会連合会との協議を通じて、研究環境、経済的支援、キャリア形成等に関わる課題を把握し、大学院生の多様な実態に応じた改善につなげていくことが求められます。 5.2026年度全学協議会に向けた位置づけの整理 2026年度の全学協議会は、2022年度以降に重ねられてきた学生・大学院生との議論と実践を前提としつつ、その到達点を全学で確認し、あわせて今後も継続して検討していく論点を整理するための節目の場として位置づきます。 ここで確認すべきことは、大学としての考え方や施策の方向性を一方的に示すことではありません。学友会が展開してきた学園共創活動、院生協議会連合会による大学院生の声の集約と改善提起、五者懇談会やテーマ別懇談、キャンパス懇談会等で共有されてきた課題を踏まえ、何を共通の到達点とし、何を今後も問い続けるのかを、学生・大学院生のみなさんと確認していくことが重要です。 また、学園共創の実質を高めるためには、議論の場を設けるだけでなく、議論された内容がどのように整理され、どのように施策や改善につながり、どのような課題が残されているのかを可視化することが求められます。2026年度全学協議会は、そのような対話と協働のプロセスを全学的に確認し、R2030後半期における教学・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革につなげていく機会です。 本章では、2022年度以降に積み重ねられてきた学生・大学院生との対話と協働の経過、学友会が展開してきた学園共創活動、院生協議会連合会による大学院生の声の集約と改善提起、そしてそれらを受け止めた大学としての学園共創の考え方を整理してきました。 以降の第3章では、こうした対話と協働の積み重ねを通じて具体化されてきた取り組みを含め、2022年度から2025年度における立命館大学の主な取り組みを整理します。また、第4章では、R2030後半期に向けて、学生・大学院生のみなさんとさらに協議を深めたい論点を提示します。これらは、どのような課題があるのか、どのように具体化を進めるのかを、学園共創の考え方に基づき、学生・大学院生のみなさんとの対話を通じて確認していくためのテーマです。 第Ⅲ章 2022年度から2025年度における立命館大学の取り組みについて ―学び・研究・学生生活の充実に向けたR2030前半期の歩み― 前回の公開全学協議会が開催された2022年度から2025年度までの4年間は、R2030チャレンジ・デザイン前半期計画のもと、本学が掲げる「次世代研究大学」および「イノベーション・創発性人材の育成」の実現に向けた取り組みを本格的に進めてきた期間です。 この間、本学では、教学改革、研究高度化、大学院教育の拡充、グローバル化、学生支援、キャリア形成支援、キャンパス整備などを、相互に関連する取り組みとして展開してきました。また、コロナ禍を経て、学び方、学生生活、他者との関わり方は大きく変化し、学部生・大学院生のみなさんの大学での経験も、従来以上に多様なものとなっています。 本章では、2022年度以降に進めてきた主な取り組みについて、学部生・大学院生の学び、研究、学生生活を支える環境がどのように整備されてきたのかという観点から、その到達点と課題を整理します。 なお、ここで取り上げる取り組みには、学友会が展開してきた学園共創活動、自治会による意見集約や五者懇談会での議論、院生協議会連合会による大学院生の声の集約と大学との協議などを通じて、具体化や改善につながってきたものも含まれます。これらは、大学としての「学園共創」の考え方、すなわち学生・大学院生との対話や協働を通じて教育・研究、学生生活、課外自主活動等の改善・改革を進めていく取り組みとも深く関わるものです。 そのため、本章での整理は、大学としての実績や到達点を確認することにとどまらず、それらが学部生・大学院生の日々の学び、研究、学生生活の実感にどのようにつながっているのか、また、どこに届いていない部分があるのかを確認し、今後の議論につなげるための前提として位置づけます。 1.学びの環境整備と教学改革の進展 R2030チャレンジ・デザインで掲げる「次世代研究大学」の実現と「イノベーション・創発性人材」の育成に向け、本学では、学友会・院生協議会連合会との懇談や、各学部・研究科での五者懇談会などを通じて、学部生・大学院生の声も踏まえながら教学改革と学びの環境整備を進めてきました。 まず、学びの環境整備として、2025年度から新たな学年暦を導入し、「95分×14週+20分 VOD等」を基本とする学期構成へ移行しました。これにより、土曜日授業を解消し、学事日程に一定のゆとりを生み出すことで、正課に加え、課外自主活動、留学、地域・社会連携活動など、多様な学びに取り組みやすい環境づくりを進めました。また、2026年度からは学生ポータルの導入とあわせて、国際標準のLearningManagement Systemである「moodle+R」を本格稼働させ、授業内外の学修を支える基盤を整備しました。 全学教育の改革としては、専門教育と往還する学びを重視し、「英語教育改革」と「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を推進してきました。英語教育改革では、2022年度全学協議会での議論も踏まえ、2030年に向けて研究・専門架橋型の英語教育を順次展開する方針を確認しました。2026年度のカリキュラム改革では、文学部、理工学部、食マネジメント学部、総合心理学部において専門科目との連携を強化し、高回生段階での英語教育を展開します。また、2026年度に開設したデザイン・アート学部でも、研究・専門架橋型の英語教育を実施します。こうした取り組みのもと、外国語基準であるCEFRB1以上を満たす学部生数は、2025年度に18,632人、54.2%となり、 教養教育では、2023年度に「データサイエンス+Rプログラム(基礎)」が、2024年度に「同(応用基礎)」が、文部科学省の数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度において文部科学大臣認定を取得しました。これらのプログラムでは、複数科目を遠隔授業として開講し、学生が学部やキャンパスを問わず学べる環境を整えています。1回生から履修でき、文理や事前知識の有無にかかわらず段階的に学べる体系とし、修了者にはマイクロクレデンシャルとしてオープンバッジを発行しています。さらに、2024年度秋学期には、教養ゼミナールにおいて「未来創造の探究×研究」をテーマとする探究科目を開講し、高校での探究学習を大学・大学院での研究へとつなぐ学びを展開しました。 これらの学士課程教育の取り組みとあわせて、次世代研究大学の実現に向け、大学院教育の質的・量的拡充も進めてきました。この8年間で大学院生は約1,000名増加し、2025年度の博士学位取得者は144名に達しています。前半期には、大学院生のキャリアパス支援を強化するとともに、研究所・研究センターのプロジェクトに多くの大学院生が参画するなど、研究組織と連携した教育・研究の機会を広げてきました。また、ティーチング・フェロー(TF)制度については、プレFDプログラムをより多くの大学院生が受講できるよう、2025年度から大学院の正課科目として開講しました。 2.研究高度化と大学院生・若手研究者支援の展開 次世代研究大学の実現に向け、立命館大学では、第4期研究高度化中期計画(2021年度から2025年度)を策定・実行し、「新たな社会共生価値と創発性人材を生み出す次世代研究大学の実現」を基本目標として掲げてきました。この目標のもと、①研究者のキャリアステージに応じた支援によって個の研究力量を高める大学、②グローバルな研究ネットワークの構築と研究成果の国際発信の強化により「知のノード」となる大学、③学際共創研究と社会実装を推進し「総合知」を創出・活用する大学、という三つの大学像を設定し、研究高度化に取り組んできました。 その具体化に向けて、立命館先進研究アカデミー(RARA)の設置、Ritsumeikan Knowledge Nodes(RKN)構想に基づく国際共同研究の推進、影響度の高いジャーナルへの投稿支援など、新たな研究支援施策を展開してきました。これらの取り組みの結果、研究成果は着実に進展しており、2024年の論文数は1,391報と10年前比で約1.5倍に増加しました。外部資金獲得額は2024年度に50億円規模に達し、科研費についても669件・16億円が採択され、全国20位、私立大学では4位という実績をあげています。さらに、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」やJAXA「宇宙戦略基金事業(SX研究開発拠点)」など、数十億円規模の競争的資金への複数採択を通じて、次世代研究大学に向けた取り組みは、学外からも評価されつつあります。 こうした研究高度化施策と連動し、博士課程学生を含む若手研究者のキャリアステージに応じた支援も進めてきました。大学院教育においては、2010年に設置した博士キャリアパス推進室を基盤に、2013年度から大学院キャリアパス推進室へ改組し、教学・研究・キャリアを一体的に支える体制を整えてきました。同室では、院生協議会との継続的な協議を通じて、当事者のニーズを踏まえた研究環境整備を進めています。 大学院生の研究力向上に向けては、博士学生をRARA学生フェローとして認定し、中核研究者であるRARAフェローによる指導体制を構築するとともに、学内の研究所・研究センターや国際共同研究に参画する仕組みを整えてきました。これにより、大学院生が国際水準の研究に挑戦し、多様な研究者と協働しながら専門性を深める環境が広がっています。 経済的支援については、学内独自の奨学金施策による学費減免や研究業績創出支援に加え、文部科学省「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の活用、学振特別研究員や民間財団等の外部資金獲得支援を強化してきました。大学院生が学内資金のみに依存せず、研究に集中できる基盤を広げることを重視しています。 キャリアパス支援においても、博士号取得者を専門研究員として雇用する「若手研究者育成プログラム」や、企業と連携した高度専門職インターンシップ等を通じて、多様な進路形成を後押ししてきました。その結果、理工系のみならず人文社会科学系においても博士人材の企業就職が進み、企業側で博士号の価値を反映した新たな処遇制度が導入される事例も生まれています。 さらに、本学では、研究を大学院や研究者だけのものとして閉じるのではなく、学部生や附属校との連携を通じて、小中高校段階から研究の魅力や可能性に触れる機会づくりにも取り組んできました。研究部で展開するライスボールセミナー等では、博士学生が自身の研究を分野の異なる学部生や附属校生徒に向けて発信する機会を設けています。こうした分野を越えた対話や協働の経験は、専門分野を軸としながら、他者や社会との関係の中で研究を問い直す力を育むものとなっています。 3.国際的な学びと多文化共修の広がり 2022年度以降、立命館大学のグローバル化は、新しい制度や取り組みを立ち上げる段階から、それらを学生のみなさん一人ひとりの学びや学生生活の中に広げていく段階へと移行してきました。コロナ禍によって制約を受けていた海外との往来や国際交流も回復し、現在では、多くの学生が海外での学びや多文化環境での学修に参加できるようになっています。 この間、本学では、留学、海外インターンシップ、PBL、フィールドワーク、多文化共修などの取り組みを発展させてきました。長期留学、交換留学等に加え、短期プログラムなど多様な選択肢が広がり、期間や内容に応じて、自分に合った形で海外での学びを経験できる環境が整ってきています。 キャンパス内でも、国際的な学びの機会は広がっています。グローバルコモンズであるBBP(Beyond Borders Plaza)を軸に、多文化共修の機会となるイベント等を実施し、日本人学生と留学生が日常的に出会い、交流し、ともに学ぶ機会を増やしてきました。授業の内外を問わず、異なる文化や価値観に触れながら学べる環境が整いつつあります。こうした日常的な交流は、相互理解を深めるだけでなく、自らの考えを見つめ直し、問いを深める学びにもつながっています。 また、学生が海外に挑戦できる支援の枠組みとして、海外拠点の整備を進めるとともに、学内では国際寮など、多文化交流を深められる環境づくりにも取り組んできました。これにより、海外で学ぶ機会と、キャンパスで世界と出会う機会の双方が広がり、キャンパスの国際化は着実に進展しています。 このように、本学のグローバル化は、「特別な機会としての国際経験」から、「日常の学びの中で世界と関わる経験」へと広がりつつあります。一方で、留学、授業、BBPでの交流、国際寮、多文化共修などの機会を、学生自身の学びや成長の中でどのようにつなげていくかについては、引き続き検討すべき課題です。 4.学生生活・課外自主活動を支える学生支援の充実 R2030前半期において、立命館大学の学生支援は、キャリア形成支援、国際交流・留学支援、課外自主活動支援等の各分野で、制度や機会の充実を図ってきました。これらを利用してさまざまな経験を重ね、学び・成長する学生が増えたことは、一定の到達点です。一方で、こうした取り組みが、学生自身の大学生活の経験としてどのような変化をもたらしたのかについては、必ずしも十分に示し切れていないという課題もあります。 その背景には、コロナ禍およびその後の社会変容を通じて、学生生活のあり方自体が大きく変化していることがあります。学修や課外自主活動への関わり方は多様化し、所属や継続参加を前提とする従来の学生生活モデルに加えて、テーマ単位・期間限定で活動に関わる形も広がっています。また、オンライン活用の定着により利便性が高まった一方で、学生同士や教職員との偶発的な出会いや関係形成の機会が減少し、大学への帰属やつながりを実感しにくい状況も生じています。 こうした変化は、具体的な行動指標にも表れています。2015年度から2019年度に60.70%台で推移していた課外自主活動参加率、クラブ・サークル、ピア・サポート等団体への所属率は、2020年度以降50%台に低下し、2025年度は55.4%となっています。特に3回生で参加率の低下が大きいことも見えてきました。一方で、RIMIXやSEEDSなど、従来の活動領域に限らない起業や社会共創といった新たな領域に挑戦する学生は年々増加しています。 このように、学生の活動形態はクラブ・サークル等の継続的な所属型活動に加え、起業、社会共創、プロジェクト型学習など、多様な活動へと広がっています。これらは対立するものではなく、学生の関心や発達段階、ライフスタイルに応じて併存している点に特徴があります。一方で、従来型活動と新領域活動の間には十分な接続があるとは言い難く、学生がそれぞれの活動をどのように関連づけて捉え、自身の学びとして意味づけていくのか、その先の展開について見通しを持ちにくい状況も生まれています。 一方、大学は課外自主活動が持つ教育的価値についても再整理を進めてきました。こうした課外自主活動の教育的価値を具体化する取り組みとして、重点強化クラブ政策を推進してきました。 重点強化クラブ政策は、「全国のトップ水準となる活動を行い、学園全体を励まし、アイデンティティの醸成に資する活動を行うクラブ」を重点強化クラブと位置づけた上で、スポーツや文化芸術活動を通じて学生の学びと成長に寄与し、本学が目指す人材育成像を具現化することを目的として取り組んできました。また、重点強化クラブ政策では、全国トップ水準の活動や世界大会での成果創出に加え、正課と課外の高い水準での両立、地域・社会貢献、一貫教育との接続、国際化、自立的な運営などを重点強化クラブに求めてきました。 こうした取り組みを通じて、重点強化クラブは競技・活動成果の創出にとどまらず、正課と課外の両立、附属校との連携、地域・社会との協働、国際的な交流・挑戦など、多様な価値を生み出してきました。また、学生が主体的に考え、仲間と協働しながら成長する機会を提供するとともに、研究や教育との連携を通じた新たな取り組みも広がりつつあります。これらの成果は、課外自主活動が学生の成長を支える重要な学びの場であることを示しています。 また、大学院生の研究活動と課外自主活動等が接続され、新たな学びの場が形成されつつあるなど、領域横断的な連携による活動も進みつつあります。こうした取り組みは、多様な立場や専門性を有する他者と関わりながら学びを深める機会となるとともに、課外自主活動を新たな知の創出や社会的価値の創出へと接続していく可能性を持つものです。 学生生活の変化と支援のあり方をめぐっては、2022年度の全学協議会において、学友会から、大学での学びや学生生活における「成長実感」の乏しさ、学生支援制度・仕組みの分かりにくさ、学びの価値と学費・財政との関係の見えにくさ、学生が大学づくりや学生支援の検討に十分に参画できていないことなどが指摘されました。 こうした問題意識を背景に、2023年度には、学生支援を担うキャリアセンター、国際部、学生部の3部が連携し、「学生支援業務改革プロジェクト」を立ち上げました。検討の中では、個別施策をさらに増やすだけではなく、学生の成長や発達のプロセス全体を見通す共通の視座が必要であるとの認識に至り、「セルフ・オーサーシップ」という概念に着目しました。 セルフ・オーサーシップとは、他者が示す正解や評価に従うだけでなく、「自分は何を大切にし、どう考え、どう行動するのか」を自らつくり続ける力です。この視点は、分野ごとに分かれがちな学生支援を、学生の成長プロセスに沿って再整理する軸となるものです。R2030チャレンジ・デザインで掲げる「創発性人材」の育成においても、その基盤として位置づけられます。 これまでの取り組みにより、学生支援に関する制度や機会は着実に整備され、学生が自らの状況に応じて利用できる選択肢は広がってきました。一方で、支援の存在を知り、実際に活用できている学生は一部にとどまっており、大学生活の初期段階にある学生や、自ら困りごとを表明しにくい学生層との接点をどのようにつくるかが課題として明らかになっています。こうした到達点と課題を踏まえ、第 4章では、学生の発達段階に応じて大学がどのように関わり、学生の成長を支えていくのかを示します。 5.主体的な進路選択を支えるキャリア形成支援 近年は、採用活動の早期化やインターンシップの拡大、学内外の就職支援サービスの充実により、学生が利用できる情報や機会が大きく広がっています。一方で、選択肢が増える中で、「何から始めればよいか分からない」「一人で進めることに不安がある」と感じる学生も少なくありません。こうした状況を踏まえ、本学では、学生が自分に合った支援を選び、次の行動につなげられるよう、支援のあり方を見直してきました。 具体的には、コロナ禍以降、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型の支援を基盤に、進路・就職ガイダンス、企業説明会、模擬面接、エントリーシート作成支援などを実施してきました。また、電話等による状況確認を通じて、学生一人ひとりの進路状況を把握し、必要なサポートにつなげる体制も整えています。全体ガイダンスでは就職活動の全体像を示し、その後の個別説明会や動画配信を通じて、学生が自分に必要な準備や次の行動に進めるよう支援しています。 就職活動に不安を抱える学生や、活動が思うように進んでいない学生に対しては、早い段階から状況を把握し、個別相談や学内外の関係機関への接続を行ってきました。また、低回生の段階からキャリアを考える機会を提供し、授業やガイダンスを通じて、社会との接点や多様な進路の可能性を示してきました。留学生、大学院生、個別の配慮を要する学生に対しても、それぞれの状況に応じた支援を行うとともに、卒業生や内定者が後輩を支える仕組みを活用し、実体験に基づく助言を得られる機会を広げています。 最近では、学生のニーズの多様化・個別化が一層進む中で、支援メニューを整理するとともに、「就活まるわかりポータル」の活用を通じて、学生が必要な情報や支援にアクセスしやすい環境を整備しました。あわせて、面接やエントリーシートなど、実際の選考に向けた支援も強化しています。 国家公務員総合職、公認会計士、司法試験などの難関分野を目指す学生に対しても、試験制度の変更や採用動向を的確に捉え、学生が目標に向けて準備を進められるよう支援を充実させてきました。結果として、国家公務員総合職、春試験では2024年度に84名が最終合格し全国3位、公認会計士試験でも2025年に55名が合格し全国6位となるなど、着実な成果につながっています。 これらの取り組みを通じて、学生が自分の状況に応じてガイダンスや個別相談などを活用し、納得感を持って進路選択を進められる環境を整えてきました。その結果、本学では就職決定率95%以上の水準を維持しています。キャリア形成支援は、就職先の決定を支えるだけでなく、学生が自ら将来を考え、選択し、行動する力を育む支援として展開してきました。 6.学びと成長の可視化を支える基盤整備 学びや学生生活の機会が多様化する中で、学部生・大学院生が自らの経験を振り返り、その意味を捉え直すことの重要性が高まっています。正課の授業、課外自主活動、留学、国際交流、地域・社会連携、研究活動、キャリア形成に関わる取り組みなど、大学での経験は一人ひとり異なります。これらを単なる活動歴としてではなく、自分自身の成長のプロセスとして捉え、次の学びや行動につなげていくためには、学びと成長を可視化する共通の枠組みが必要です。 こうした考えのもと、立命館学園では、児童・生徒・学生・大学院生が自己省察と主体的な学びを重ねながら「自分の価値」を見出せるよう、2023年にコンピテンシー・フレームワークを策定しました。このフレームワークは、コア・コンピテンシーと8つのコンピテンシーによって多様な成長を概念化し、学びの軌跡を可視化することで、学修者の自己省察と主体的な学びを促進することをめざすものです。立命館大学、APU、附属校が連携し、学園全体で取り組みを進めています。 この基盤は、学部生・大学院生が自身の学びや経験を言語化し、専門分野での学修、課外自主活動、国際的な経験、研究活動、進路選択などを相互に関連づけて捉えるための手がかりとなります。第3章で述べてきた教学改革、学生支援、キャリア形成支援、研究活動への参画、グローバル化の取り組みも、学部生・大学院生自身がその経験を振り返り、次の挑戦へつなげていくことで、より大きな成長につながります。 こうした基盤は、R2030後半期において、学生のライフデザイン、キャリア形成、教学DX、学修支援を検討する際の前提にもなります。 7.学び・研究・学生生活を支えるキャンパス整備と事業展開 2022年度から2025年度までのR2030チャレンジ・デザイン前半期においては、各キャンパスで、教学改革、研究高度化、社会共創、学生生活の充実と連動したキャンパス整備を進めてきました。キャンパスは、授業を受ける場所にとどまらず、学部生・大学院生が研究に取り組み、他者と出会い、課外自主活動や社会連携に挑戦し、日常生活を送る基盤でもあります。 本節では、OIC、衣笠、BKCの各キャンパスにおける特徴的な整備と、学生生活を支える共通基盤の整備について整理します。なお、2024年度から2025年度にかけては、資材価格や人件費の上昇、工期・納期の長期化などにより、キャンパス整備や施設・設備更新を進める前提条件が大きく変化しました。こうした不確実性の高い状況の中でも、各キャンパスの教学展開、研究高度化、学生生活上の必要性を踏まえ、整備内容や優先順位を工夫しながら、学び・研究・学生生活を支える環境整備を進めてきました。 (1)社会共創を軸にしたキャンパス展開(OIC) OICでは、2024年度の情報理工学部・研究科および映像学部・研究科の移転を契機に、教学改革と連動しながら、「次世代研究大学」や「イノベーション・創発性人材の育成」というR2030の目標を具体化するキャンパス整備と事業展開を進めてきました。 その中心となるのが、「社会共創」を軸にした「Try Field」としての環境整備です。Co-Creation Hub、SP Lab、KOBO、LIST、JIZAI HALL、TERRACE GATEなどを整備し、学部生・大学院生、教職員、企業・自治体等の学外の多様な人々が出会い、学び合い、挑戦できる場を広げてきました。 さらに、Microsoft Baseの設置によるDXやスタートアップ支援、Adobe Creative Campus加盟による創造的なスキル育成、社会共創デスクによる地域課題への対応、RINC会員制度を通じた企業・自治体と学生の協働なども段階的に展開してきました。これらの取り組みは、OICを起点としながら、衣笠、BKC、APU、附属校へと、キャンパスの枠を越えて広がりつつあります。 (2)人文・社会科学とクリエイティビティを結ぶ展開(衣笠) 衣笠キャンパスでは、本学の教学理念や人文・社会科学系の学びを基盤としながら、平和、文化、芸術、デザイン、社会共創を結びつける環境整備を進めてきました。 2023年度には、アカデメイア立命21を全面改修し、立命館大学国際平和ミュージアムをリニューアルしました。「戦争の記憶を共有する」「平和をつくる場とする」「平和創造を支える研究拠点となる」という考えのもと、常設展示や無言館京都館を刷新し、ピースコモンズを新設することで、本学の教学理念を学内外に発信する拠点としての機能を高めてきました。 また、衣笠キャンパスでは、映像学部設置以来となる新学部として、2026年4月にデザイン・アート学部・研究科を開設しました。これにあわせて、充光館を全面改修するとともに、2027年度には新棟の供用開始や、全学施設としてのファブラボ整備を予定しています。これらにより、人文・社会科学系の学びとクリエイティビティが刺激し合い、社会共創につながる環境づくりを進めています。 あわせて、以学館の全面改修計画を含め、衣笠キャンパス全体の学修環境の改善も進めてきました。 (3)先端研究と理工系教育を支える展開(BKC) びわこ・くさつキャンパスでは、理工系分野を中心とした教育研究の蓄積を基盤に、先端研究、異分野融合、アントレプレナーシップ、社会実装を支える環境整備を進めてきました。 2025年度には、立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(CVIC)およびグラスルーツイノベーションセンター(GIC)を開設し、ファブラボやアントレプレナーシップ関連施設を大きく強化しました。情報理工学部・研究科がOICへ移転した後も、BKCでは、次世代研究大学の実現に向けた取り組みを継続的に進めています。 具体的には、2028年度に設置を予定している宇宙地球フロンティア研究科(仮称)の新設、生命科学部・研究科および薬学部・研究科の教学改革に対応する教育研究環境整備、日本食に関する国内最大級の史資料群である「ケンショク・コレクション」を収蔵する施設の2026年度完成など、教育研究の高度化に向けた整備を進めてきました。 (4)学生生活を支える共通基盤の整備 これまで述べてきた各キャンパスの特徴的な整備に加え、学生の学び、研究、課外自主活動、日常生活を支える基盤整備も進めてきました。具体的には、トイレ改修、エントランスの自動ドア化、志学館改修、存心館地下食堂の拡充検討、ユニオンスクエア全面改修、グリーンフィールド人工芝更新、バイオフロンティア建設、太陽光設備導入などに取り組んできました。 これらのキャンパス整備のうち、OIC新展開、ユニオンスクエア改修、以学館改修、食環境の改善検討にあたっては、学生とのワークショップ等を重ねながら、学生の意見や利用実態を踏まえた検討を進めてきました。大学としては、こうしたプロセスを、学生の主体的な意見表明と大学の施設整備・環境改善が交わる取り組みとして受け止めています。施設や設備の整備は、単なるハード面の改善にとどまらず、学部生・大学院生がどのように学び、活動し、日常生活を送るのかに関わる重要な基盤です。また、キャンパスアクセスについても改善に向けた取り組みを進めてきました。特にBKCでは、大学が学部生・大学院生の通学課題を踏まえて行政への働きかけを重ねてきたことも受け、南草津駅周辺のバス待ち環境改善等を通じた通学利便性向上が進められています。 こうした取り組みは、学部生・大学院生の学びや研究、日常生活を支えるキャンパス環境を、学生の意見や利用実態を踏まえて整備してきた到達点として位置づけられます。 以上のように、2022年度から2025年度にかけて、本学では、教学改革、研究高度化、グローバル化、学生支援、キャリア形成支援、学びと成長の可視化、キャンパス整備を相互に関連づけながら進めてきました。これらの取り組みにより、学部生・大学院生の学びや研究、学生生活を支える制度や機会は広がってきたと考えています。 一方で、それらが学部生・大学院生一人ひとりにどのように届き、どのような学びや成長の実感、あるいは課題意識につながっているのかについては、なお丁寧に確認していく必要があります。また、正課・課外自主活動・研究・国際交流・キャリア形成などの多様な経験を、学部生・大学院生自身がどのように意味づけ、次の学びや行動につなげていけるのかについても、引き続き検討すべき課題です。 次章では、こうした到達点と課題を踏まえ、R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策と、学部生・大学院生のみなさんとともに議論を深めていきたい論点を示します。 各キャンパスの施設(写真で紹介) ①【衣笠C】 国際平和ミュージアム常設展示場(テーマ展示1) ②【衣笠C】 無言館京都館「いのちの画室(アトリエ)」 ③【BKC】 グラスルーツイノベーションセンター・立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ ④【BKC】 グラスルーツイノベーションセンター(通称:GIC)のStartup Lounge ⑤【BKC】 立命館先端クロスバースイノベーションコモンズ(通称:CVIC)のクロスバースアリーナ ⑥【OIC】 H棟 ⑦【OIC】 Co-Creation Hub(H棟) ⑧【OIC】 TERRACE GATE(H棟) ⑨【OIC】 自律移動型警備ロボット ⑩【OIC】 LIST(H棟) 第Ⅳ章 R2030後半期に向けた教学・研究・学生生活の重点施策 ―学部生・大学院生との対話を踏まえ、「いま」を充実させつつ「これから」の展開を構想する― 第3章では、2022年度から2025年度にかけて、教学改革、研究高度化、グローバル化、学生支援、キャリア形成支援、学びと成長の可視化、キャンパス整備などを進めてきた到達点と課題を整理しました。これらの取り組みにより、学部生・大学院生の学び、研究、学生生活を支える環境は広がってきましたが、整備された制度や機会を一人ひとりの成長実感にどのようにつなげるか、また、多様な経験をどのように接続していくかは、引き続き重要な課題です。 本章では、こうした到達点と課題を踏まえ、R2030後半期に向けて、教学・研究・学生生活に関わる重点的な方向性を示します。したがって、本章で示す方向性についても、みなさんの実感や課題意識と照らし合わせながら、全学協議会に向けて共に検討する素材として受け止めていただきたいと考えています。社会や高等教育をめぐる変化の中で、立命館大学が、どのような大学の役割を果たしていくのかを考えるうえでも、本章で示す方向性は、学部生・大学院生のみなさんとともに検討すべき論点です。 大学での学びや学生生活のあり方は、一人ひとり異なります。入学直後の学生、専門性を深める高回生、研究に取り組む大学院生、仕事や家庭と学業を両立する社会人院生など、それぞれが異なる課題や展望を持っています。本章では、こうした多様な状況を前提に、大学としてどのような環境を整え、どのような対話を重ねていくのかを示します。 なお、本章で示す重点施策は、個別の制度や事業を並べることを目的とするものではありません。次世代研究大学への接続、AI時代における専門性と実践力の育成、イノベーション・創発性人材の育成、教学のグローバル化、海外へ挑戦する学生の増加、マルチパーパスな学びの場の形成、課外自主活動を含む正課以外の活動の再定義などを通じて、立命館大学がこれからどのような大学像を描くのかを、学部生・大学院生のみなさんとともに考えるための論点として提示するものです。 1.R2030後半期に向けた教学改革の方向性 R2030チャレンジ・デザインが掲げる「次世代研究大学」の実現と「イノベーション・創発性人材」の育成に向け、後半期の教学改革では、学部生・大学院生が自ら問いを立て、専門性を深めながら、異なる分野や社会との接点を通じて学びを広げていくことを重視します。 そのために、初等・中等教育から大学、大学院、社会へとつながる一貫した学びの接続、文理横断・学際融合・社会連携を含む全学教育の展開、教育の国際化、そして学びの可視化や個別的な学修支援を支える教育DXを、相互に関連する取り組みとして進めていきます。 これらは、大学が一方的に制度を整えるだけで完結するものではありません。学部生・大学院生が実際にどのような学びを必要とし、どのような経験を通じて成長を実感できるのかを確認しながら、学園共創のプロセスを通じて具体化していくことが重要です。 (1)一貫教育連携と探究から研究への接続 R2030後半期においては、小学校から大学院までを貫く一貫教育の枠組みを活かし、探究的な学びを大学・大学院での専門的な学修や研究へと接続していくことが重要です。高校段階で広がっている探究学習を、大学入学後の学びと切り離すのではなく、自ら問いを立て、資料やデータに基づいて考え、多様な他者と対話しながら深めていく学びとして連続的に捉える必要があります。 そのため、立命館学園のコンピテンシー・フレームワークを活用し、児童・生徒・学生・大学院生が自らの学びや成長を長期的に振り返る仕組みとして、Life & Career Reviewの導入を検討します。また、研究所・研究センターと連携した教育プログラムを充実させ、学部生が早い段階から研究の魅力や方法に触れ、大学院での研究活動を具体的に展望できる機会を広げていきます。 この取り組みを通じて、一貫教育の強みを、単なる学校段階の接続にとどめず、探究から研究へ、学びからキャリアへとつながる成長のプロセスとして具体化していきます。 (2)全学教育改革と社会と往還する学びの展開 R2030後半期の教学改革では、専門教育だけでなく、学部や分野を越えて学生の学びを支える全学教育の役割がいっそう重要になります。社会課題が複雑化し、AIやデータサイエンスの活用が広がる中で、学生には、自らの専門性を深めると同時に、異なる分野の知や方法に触れ、社会との接点の中で問いを捉え直す力が求められています。 このため、「教養教育改革2028」に向けて、学士課程における教養教育を刷新し、サービスラーニング、キャリア教育、国際教学、企業協働型・国際協働型PBLなど、社会と往還しながら学ぶプログラムを充実させていきます。これらの学びは、単に知識を広げるだけでなく、学生が自らの専門分野を相対化し、他者と協働しながら課題に向き合う経験として位置づけられます。 また、学士課程で培われる問いを立てる力、論理的に考える力、他者と協働する力は、大学院での研究や、卒業後の多様な進路にもつながる基盤です。大学院課程におけるトランスファラブルスキルの育成については、大学院政策とあわせて検討を深めます。 (3)教育の国際化と多文化共修の展開 教育の国際化については、海外に行く学生だけを対象とするものではなく、すべての学生が専門分野の学びや日常的な学生生活の中で、多様な言語、文化、価値観に触れる機会を持つことが重要です。第3章で述べたように、留学、BBP、多文化共修、国際寮などの機会は広がってきましたが、後半期においては、それらを教育課程や専門的な学びとどのように接続するかが課題となります。 各学部・研究科のカリキュラム改革にあわせて、研究・専門架橋型英語教育プログラムのさらなる展開を進め、英語で専門を深く学べる環境の整備を検討します。また、新たな英語基準の学位プログラム構想を具体化し、国内外の学生がともに学び、議論し、協働する機会を広げていきます。 あわせて、BBPの新展開や国際共同コミュニティ拠点の形成を通じて、授業内外の学びを接続し、国際的な経験を一過性のものに終わらせず、学生自身の専門性や進路形成に結びつけていくことが重要です。 (4)教育DXと学びの可視化 学びの機会が多様化する中で、学部生・大学院生が自らの学修状況や成長の過程を把握し、必要な支援や次の学びにつながる情報にアクセスしやすくすることが重要です。教育DXは、単に手続きをデジタル化するものではなく、学生の学びを可視化し、教学改善や学修支援につなげるための基盤として位置づけられます。 そのため、AIを活用した学習支援・教学IRの展開、デジタル学生証、学修パスウェイ・マネジメント(LPM)の整備、LinkedInラーニングやVRを活用した授業開発など、「Education AI Platform」を中核とした教育DXを総合的に推進します。学修データを統合的に蓄積・可視化することで、学部生・大学院生が自らの学びを振り返り、必要な学修機会や支援につながる環境を整えていきます。 一方、学修データやAIの活用にあたっては、学生にとっての利便性だけでなく、データの取り扱い、説明責任、安心して利用できる仕組みも重要です。どのような情報を、どのような目的で活用し、学生の学びにどう還元していくのかについては、学部生・大学院生との対話を通じて丁寧に検討していく必要があります。 以上の教学改革は、学士課程の学びを充実させるだけでなく、大学院での研究や高度専門職業人としての成長にもつながるものです。次節では、R2030後半期における大学院教育、研究環境、キャリアパス、経済的支援の方向性について整理します。 2.大学院教育・研究環境・キャリア支援の充実 R2030チャレンジ・デザインで掲げる「次世代研究大学」の実現に向けて、大学院教育の充実、研究環境の高度化、大学院生のキャリア形成支援、経済的支援を一体的に進めていくことが重要です。これは、大学院のみを独立して強化するということではなく、学部での学び、大学院での研究、社会での実践を接続し、研究と教育の高度な再結合を通じて、学部生・大学院生一人ひとりの成長と社会への貢献を支える取り組みです。 本節では、学部から大学院への接続、博士人材のキャリアパスの多様化、研究環境の整備、経済的支援と研究活動支援の充実という四つの観点から、大学院政策の方向性を整理します。 これらの取り組みを、個別の支援施策として並列的に捉えるのではなく、大学院での学びと研究をより豊かなものにしていくための相互に関連する条件として捉えられるのではないか、という点も、R2030後半期に向けて学部生・大学院生のみなさんと議論したい論点です。たとえば、研究環境の整備は研究の質を高めることにつながり、経済的支援は研究に専念できる時間と条件を支えます。また、研究コミュニティや交流の場は、自らの研究の意味づけや視野を広げる機会となり、キャリア形成支援は、研究を通じて獲得された力を、アカデミア、企業、行政、地域、国際社会など多様な場面へ接続していく役割を持ちます。 こうした観点から、研究環境、経済的支援、研究コミュニティ、キャリア形成支援が相互に結びつくことによって、次世代研究大学としての研究力と、学部生・大学院生が研究を通じて成長し、その力を社会の多様な場面で発揮していくための基盤をどのように高めていけるのかも、全学協議会に向けた論点の一つとして確認していきたいと考えています。 (1)学部から大学院への接続を強める 大学院進学を検討するうえでは、学部での学びが大学院での研究にどのようにつながるのか、進学によってどのような専門性やキャリアの可能性が広がるのかを、早い段階から具体的に理解できることが重要です。そのため、学部段階から大学院での研究活動に触れる機会や、学部生と大学院生が交流する機会を広げ、大学院進学を具体的に検討できる環境を整えていきます。 学部から大学院への進学をより円滑に接続する仕組みとして、学士課程と大学院教育を一体的に設計する「4+1プログラム」や「3+2プログラム」の導入を検討します。これは、学部4年間と修士課程1年間、または学部3年間と修士課程2年間を組み合わせ、学部での学びを途切れさせることなく大学院での研究へとつなげる仕組みです。研究をさらに深めたい学生や、専門性を高めたい学生にとって、時間・費用の両面でメリットを持つ可能性があります。 また、各研究科の将来構想に応じて、研究科等連携課程を活用した新たな学環、すなわち研究科の枠を越えた学際的な博士後期課程の学位プログラムの設置も構想されています。これにより、従来の研究科単位では扱いにくかった新しい研究領域においても、学位取得や研究活動を展開できる可能性が広がります。 (2)博士人材のキャリアパスを広げる 大学院に進学し、修士号や博士号を取得した後に、どのようなキャリアを描くことができるのかを具体的に示すことは、大学院進学を考える学生にとっても、現在研究に取り組む大学院生にとっても重要です。博士人材の活躍の場は、大学や研究機関に限られず、企業、行政、国際機関、地域社会などへ広がっています。後半期においては、こうした多様な進路を学部生・大学院生が具体的に理解し、自らの研究や専門性を社会の中でどう活かすかを考えられる支援が求められます。 本学の大学院キャリアパス推進室では、大学院修了者のキャリアパス多様化に向けた取り組みを進めています。国内外を代表する企業や、産業技術総合研究所などの国の研究機関への個別訪問・交流を重ね、産業界・社会が求める人材像の把握に努めてきました。なかでも、かんぽ生命保険との「企業寄付型博士インターンシップ」は先進的な事例であり、本学の提言により、同社では博士課程修了者のための給与体系も新たに整備されました。 行政との連携では、2025年度に経済産業省近畿経済産業局の協力のもと、京阪神の企業を招いた座談会を開催し、博士人材の活躍を後押しする機運が高まっています。また、京都を代表する企業と大学で構成する「京都クオリアフォーラム(KQF)」では、博士学生と企業の人事担当者や研究開発担当者が交流する「博士キャリアメッセ」が年2回開催され、2025年度には本学の博士学生が「堀場賞」を受賞するなど、具体的な成果も生まれています。 さらに、博士号を持つ企業研究者と博士学生が合宿形式で議論を交わす「KQFドクタートレーニングキャンプ」なども、企業の研修センターで実施されています。こうした企業・行政・研究機関との接点を拡大し、大学院入学時点からキャリアを意識できる個別面談の制度化や、企業との交流機会の拡充を進めることで、博士人材の多様な進路形成を支えていきます。 (3)大学院生が研究に集中できる環境を整える 大学院で質の高い研究を行うためには、研究時間、研究費、研究スペース、指導体制、研究者同士の交流機会など、複数の条件が整っていることが不可欠です。とりわけ、学際的な視点や社会課題との接続が求められる現在においては、大学院生が所属研究科の枠を越えて、多様な研究者や院生と出会い、議論できる環境が重要になります。 研究コミュニティや交流の場は、単に人と人が出会う機会にとどまりません。異なる研究分野や研究方法に触れ、自らの研究の位置づけを相対化し、研究成果をどのように発信し、社会や他分野と接続し得るのかを考える機会でもあります。大学院生が所属研究科の枠を越えて多様な研究者や院生と議論することは、研究の質を高めるとともに、研究を通じて獲得される力をより広い文脈で意味づけることにつながります。 本学では、大学院生が学内の研究所・研究センターのプロジェクトに積極的に参画できる機会を拡充しており、2023年度には約260名の博士課程院生がさまざまな研究プロジェクトに携わりました。共同研究室や研究拠点は、異なる研究科・専攻の大学院生が集まり、分野を越えた知見や国際的なネットワークが育まれる場でもあります。 後半期においては、こうした研究環境をさらに実質化するため、RA(リサーチアシスタント)の雇用拡大や博士助手制度の検討などを、施設整備とあわせて進めていきます。大学院生が研究に集中し、専門性を深めるとともに、異分野の知や社会との接点を通じて研究の可能性を広げられる環境づくりが重要です。 (4)経済的支援と研究活動支援を充実させる 大学院での研究生活には、長期にわたる集中と継続的な努力が必要です。そのため、経済的な不安を軽減し、研究に必要な費用や発表機会を支える仕組みは、大学院生が研究を深めるうえで重要な基盤となります。 本学では、文部科学省の補助事業「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」に基づく本学独自の「立命館先進研究アカデミー学生フェローシッププログラム(RARA×SPRING)」を通じて、博士後期課程院生を対象に月額18万5千円の研究奨励費、生活費相当額に加え、年間34万円の研究費を支援しています。 また、次世代AI分野の研究に取り組む博士後期課程院生向けには、「立命館先進研究アカデミー学生フェローシップ/次世代AI分野プログラム(RARA×BOOST)」として、月額20万円の研究奨励費、年間150万円の研究費を支援しており、2025年度には125名の博士後期課程院生が、両プログラムによる支援を活用しました。その他、企業との産学連携による資金や民間財団からの資金による支援も導入し、今後はこうした外部資金を活用した経済支援の充実により、大学院生が研究に集中できる環境を広げていきます。 さらに、「博士課程院生研究支援奨学金」は、優れた研究計画を持つ博士後期課程院生の経済的負担を軽減し、博士論文の早期完成を後押しする制度です。学会発表支援としては、博士課程・修士課程の院生を対象に国内外の学会発表奨励制度が設けられており、研究成果の積極的な発信を経済面から支えています。外国語論文の投稿支援や研究会活動支援制度もあわせて活用することで、国際的な研究活動をより充実させることができます。 これらの支援制度については、大学院キャリアパス推進室のウェブサイト等を通じて年間計画とともに一覧化し、大学院生が必要な時期に必要な支援へアクセスしやすい情報提供を進めます。 このように、大学院教育・研究環境・キャリア支援の充実は、研究環境、経済的支援、研究コミュニティ、キャリア形成支援を相互に結びつけながら進めることが重要です。これらの連関を強めることで、大学院生数の拡大を単なる量的拡大にとどめず、次世代研究大学としての研究力と、学部生・大学院生が研究を通じて成長し、その力を社会の多様な場面で発揮していくための基盤を高めていきます。 大学院教育・研究環境・キャリア支援の充実は、大学院生だけでなく、学部生が将来の学びや研究を具体的に展望するうえでも重要です。次節では、学部生・大学院生を含む学生生活全体に視野を広げ、入学初期からの経験、課外自主活動、国際的な学び、安心して挑戦できる基盤について整理します。 3.学生生活・課外自主活動・国際的な学びを支える環境づくり 学部生・大学院生の学びや成長は、授業や研究だけでなく、課外自主活動、国際交流、地域・社会連携、ピア・サポート、起業・社会共創など、多様な経験の中で形づくられます。第 3章で述べたように、R2030前半期には、学生支援、課外自主活動、国際的な学び、キャリア形成支援に関する制度や機会が広がってきました。一方で、それらの機会をどの学生が、どの段階で知り、どのように参加し、自らの学びに結びつけていくのかについては、なお課題があります。 R2030後半期においては、入学初期から学生が多様な経験に触れ、自らの関心や問題意識に応じて挑戦できる環境を整えることが重要です。同時に、安心して学び、活動し、失敗や試行錯誤を経験できる基盤を整えることも欠かせません。本節では、入学初期からの大学生活の見通し、安心して挑戦できる学生生活基盤、課外自主活動・社会共創・国際的な学びの接続という観点から、後半期に向けた方向性を整理します。 (1)入学初期から大学生活を描く支援 入学初期は、学生が大学生活をどのように捉え、どのような姿勢で学修や活動に向き合うかの基礎が形成される重要な段階です。これまでの入学初期支援は、大学制度や履修方法への理解を促す「導入」や「適応」を中心としてきましたが、今後はそれに加え、学生が「大学で何を経験し、どのように学び、将来にどうつなげていくのか」を考え始める起点として位置づけることが重要です。 そのため、新入生オリエンテーションや初年次教育の機会において、大学での学び、課外自主活動、人との出会い、地域・社会連携、留学・国際交流などが、将来の生き方や社会での役割とどのようにつながりうるのかを考えるセッションの導入を検討します。あわせて、学生が自身の関心や価値観を言語化し、大学生活で何に取り組みたいのかを整理するための簡易な内省の機会を設けることも考えられます。 また、正課、準正課、課外自主活動、留学、ピア・サポート、起業・社会共創など、学内に存在する多様な成長機会を俯瞰的に把握できる情報提供のあり方を整理します。これは新たな特別プログラムを限定的に導入するというよりも、既存の初年次機会を活用しながら、「まずは大学に慣れる」段階から、「自分なりの大学生活を描き始める」段階へと、入学初期支援の重心を広げていく取り組みです。 (2)安心して学び、挑戦できる基盤 学生が主体的に学び、課外自主活動や国際的な学び、社会共創などに挑戦していくためには、心理的・生活的に安心できる学生生活の基盤が不可欠です。困難や不安を抱えた際に必要な支援へアクセスできることはもちろん、日常的な学生生活の中で、学生同士や教職員との関係を通じて、困りごとや不安を早い段階で共有できる環境づくりが重要です。 そのため、学生相談、学生支援窓口、居場所機能など、既存の支援資源が学生にとって分かりやすく接続されているかを点検し、必要な情報や相談先にたどり着きやすい仕組みを整えていきます。あわせて、特定の学生のみを対象とする支援にとどまらず、誰もが安心感を持って学修や活動に向き合えるキャンパス環境を形成していくことが求められます。 これは、「困ったときに支援する」だけでなく、「安心があるからこそ失敗を恐れず挑戦できる」環境をつくるという考え方への転換でもあります。第3章で確認したように、支援の制度や機会は広がってきましたが、今後は、大学生活の初期段階にある学生や、自ら困りごとを表明しにくい学生との接点をどのようにつくるかが重要な論点となります。 (3)課外自主活動・社会共創・国際的な学びの接続 学生生活における経験は、クラブ・サークル、ピア・サポートなどの継続的な所属型活動だけでなく、起業、社会共創、プロジェクト型学習、地域連携、留学、多文化共修などへ広がっています。R2030後半期においては、これらを別々の機会として並べるだけでなく、学生が自らの関心や成長段階に応じて行き来し、経験を重ねられる環境を整えることが重要です。 課外自主活動については、クラブ・サークル等が培ってきた自治的・継続的な活動の価値を大切にしながら、より多くの学生が自らの関心に応じて出会い、参加し、挑戦できる機会として、どのように広げていけるのかを検討します。その際、従来からの課外自主活動が持ってきた自主性、継承性、仲間づくりの価値と、新たな社会共創やプロジェクト型活動の広がりをどのように結びつけるのかも、学部生・大学院生のみなさんと考えていきたい論点です。RIMIXやSEEDSに代表される起業・社会共創の取り組み、地域・企業との連携、大学院生の研究活動、学部生の自主的な活動などが接続することで、学生の経験の幅はさらに広がります。 R2030後半期においては、課外自主活動を、学生の主体性や仲間づくりを支える場としてだけでなく、正課での学び、研究、地域・社会連携、国際的な経験と結びつく学びの場として再定義していくことが求められます。第4期重点強化クラブ政策では、重点強化クラブに対して、正課と課外の高い水準での両立、応援し応援される団体づくり、地域・社会貢献、一貫教育の促進、国際化、自立的な運営とインテグリティ、成果や知見の社会・学園への還元が求められています。こうした視点は、重点強化クラブに限らず、課外自主活動全体を学びと成長の機会として捉え直すうえで重要な手がかりになります。 また、スポーツ分野では、より高い成長ポテンシャルを有するクラブを公募・審査により選定し、重点的に支援する「HIGH-PERFORMANCE CORE制度(仮称)」の検討も進められています。この制度についても、競技成績の向上のみを目的とするものではなく、学生の成長、クラブの運営体制、研究との連携、多様性の推進、活動成果の発信などを含めて、課外自主活動が持つ教育的価値や社会的価値をさらに高めていくための新たな支援のあり方として、今後の議論の中で具体化していきます。 国際的な学びについても、留学に参加する学生だけのものではなく、キャンパス内での多文化共修、BBPでの交流、国際寮、国際協働型PBLなどを通じて、日常的に異なる文化や価値観に触れる機会として捉える必要があります。今後は、課外自主活動、社会共創、国際的な学びを相互に接続し、学生が自らの関心に応じて多様な経験へ踏み出せる環境を整えていきます。 4.経験の意味づけと進路・キャリア形成への接続 学部生・大学院生が大学で得る経験は、参加した活動や取得した単位、就職活動の結果だけで測られるものではありません。授業、研究、課外自主活動、国際交流、地域・社会連携、ピア・サポート、アルバイト、インターンシップなどの経験をどのように振り返り、自分自身の関心や価値観、将来の選択と結びつけるかが重要です。 第3章で述べたセルフ・オーサーシップの視点を踏まえると、大学の支援は、特定の正解や進路へ導くものではなく、学部生・大学院生が自ら考え、選び、行動する力を育むためのものとして位置づけられます。本節では、多様な経験の振り返りと可視化、キャリア形成支援の再整理、学部生・大学院生との協議論点について整理します。 (1)多様な経験を振り返り、言語化する支援 多様な経験は、それだけで自動的に成長につながるわけではありません。学部生・大学院生自身が、その経験を振り返り、何を学び、どのような力や関心が育ったのかを言語化することで、次の学びや行動につながります。 第3章で述べたコンピテンシー・フレームワークは、こうした振り返りを支える共通基盤となります。正課、課外自主活動、国際的な学び、研究活動、キャリア形成に関わる経験を、学生自身が相互に関連づけて捉えられるよう、学びと成長の可視化を進めることが重要です。 今後は、初年次教育、ゼミ、キャリア教育、課外自主活動、留学・国際交流、研究活動などの場面で、経験を振り返り、言語化し、次の挑戦へつなげる機会をどのように組み込むかを検討します。これにより、学部生・大学院生が自らの学びの軌跡を理解し、将来の進路や生き方を主体的に考える支援につなげていきます。 (2)キャリア形成支援の再整理 第3章で述べたように、本学では、進路・就職ガイダンス、個別相談、就活まるわかりポータル、難関分野支援などを通じて、学生の進路選択を支える環境を整えてきました。後半期においては、こうした支援を、就職活動の時期に限定したものとしてではなく、入学初期からの学びや経験、大学院進学、留学、課外自主活動、社会共創、研究活動と接続したキャリア形成支援として再整理することが重要です。 低回生の段階から社会との接点や多様な進路の可能性に触れること、大学院生が研究とキャリアを往還しながら将来像を描くこと、留学生や個別の配慮を要する学生が自らの状況に応じた支援を受けられることなど、学部生・大学院生の状況に応じた支援のあり方を検討していきます。 キャリア形成支援は、就職先の決定を支えるだけでなく、学部生・大学院生が自らの経験を意味づけ、自分にとって納得できる進路や生き方を選び取っていく過程を支えるものです。そのため、キャリアセンター、教学部門、学生支援部門、国際部門、研究科・学部などが連携し、学生生活全体を通じた支援として展開することが求められます。 (3)学部生・大学院生との協議論点 以上の方向性を具体化していくためには、大学が制度や支援を整えるだけでなく、学部生・大学院生のみなさんが、どのような場面で支援や情報を必要としているのか、どのような経験が成長実感につながっているのか、また、どのような障壁によって挑戦や参加をためらっているのかを共有することが不可欠です。 2026年度全学協議会に向けては、特に次の点について、学部生・大学院生のみなさんとの議論を深めていきたいと考えています。これらの論点は、大学があらかじめ答えを用意しているものではありません。学部生・大学院生のみなさんの経験や実感から見て、何が課題であり、どのような方向が望ましいのかを共に確認していくためのものです。 ●初年次からのライフデザイン形成 入学初期の段階で、大学生活全体の見通しを持ち、自らの学びや経験を意味づけながら、卒業・修了後の進路や将来の在り方を主体的に考えていくために、大学はどのような機会や環境を整えるべきか。 ●挑戦を支える伴走・相談支援 学生が安心して学び、挑戦できるよう、必要な支援や伴走を適切に受けられる環境をどのように実現するか。 ●学生の挑戦を広げる多様な学びの接続 正課、課外自主活動、社会共創活動、国際交流・留学、研究活動などを、それぞれ独立した経験ではなく、成長につながる学びのプロセスとしてどのように接続するか。 ●多文化共生と相互成長の推進 留学生と国内学生がともに学び、対話し、協働する経験を通じて、多文化共生社会を担う力をどのように育むか。 ●国際交流・多文化共生を支える環境づくり BBP、国際寮、多文化共修、留学等を通じて、学生が日常的に国際交流や異文化理解に触れながら学び、成長できる環境をどのように構築するか。 ●課外自主活動を支える環境整備 クラブ・サークル活動、ピア・サポート、地域・社会連携、起業・社会共創など、多様な課外自主活動を支える施設・設備や活動環境をどのように充実させるか。 ●リフレクションと成長の可視化 学生が多様な経験を振り返り、意味づけ、自らの成長や次の挑戦につなげていく仕組みをどのように構築するか。 これらの論点は、学生生活やキャリア形成に限られるものではなく、教学改革、大学院教育、国際化、教育DXとも深く関わります。学部生・大学院生の実感を出発点に、R2030後半期に向けた取り組みを学園共創のプロセスとして具体化していきます。 第Ⅴ章 R2030期間の財政運営と立命館大学の2027年度以降の学費・財政政策について 1.私立大学の財政構造と立命館大学の基本的な考え方 日本の私立大学は、高等教育に対する公財政支出が国際的に見て低い水準にあるうえに、国からの財政支援も国立大学に比して僅少であるという二重の構造的格差の中に置かれています。高等教育に対する公財政支出はOECD加盟諸国平均が1.3%(対GDP比)である中、日本は0.7%にとどまっており、さらに、学生一人当たりの公財政支出額を比較すると、国立大学生に対しては211万円が投じられているのに対し、私立大学生では19万円と約11倍の格差が存在しています。こうした背景から、学納金を主な財源として、教員や職員の人件費、授業や研究を行うための経費、奨学金など多様な学びを促進するための経費を賄うとともに、将来の施設の取替・更新などに備えた資金を積み立てることで、永続的な教学運営、財政運営が可能となるという基本構造を持っています。 立命館大学もこうした基本構造の中で大学・財務運営を行っています。そのため立命館大学では、学費・学費政策を「学びの条件と学園財政との総合的な接点」として位置づけ、「学費の重みに応える教育」「学費に見合う学びと成長の実感」という考え方を重視してきました。全学協議会では、学園財政の現状と課題について理解を深めるとともに、学納金を主な財源として実施・展開している教学の取り組みが、学生や院生のみなさんの学びや成長につながっているのかという視点から、継続的に議論を重ねてきました。特にR2030前半期以降は、大学・学友会・院生協議会連合会との間で、より日常的に懇談や協議が積み重ねられ、教学課題や財政運営に関する相互理解が深まってきました。学年暦や教育改革、研究交流、学費・財政などをめぐる議論を通じて、学園共創や学園共創活動は広がりを見せています。今後は、こうした取り組みをさらに実質化するとともに、その内容や成果を可視化し、事業計画や制度・政策形成とより明確に結び付けていくことが重要となります。立命館大学は、R2020以降、事業計画を前半期・後半期の各5年間に分けて策定する方式が定着しています。これに対応して、財政運営についても、事業計画の期間に合わせた5年間の財政運営基本方針を定め、その方針のもとで運営を行ってきました。こうした枠組みは、中期的な視点から教学と財政の両立を図るうえで重要な役割を果たしています。近年は、社会情勢の先行きに不透明性が増しています。学園の諸活動の持続性を確保するためには、R2030後半期の事業計画および財政運営基本方針の着実な遂行を通じて、立命館大学の教育研究事業が創出する価値の向上と、その社会的意味の発信強化が不可欠であり、また、それらを具体化する主要な制度・政策との連関をいっそう高めることが重要になります。 2.R2020からR2030前半期までの財政運営と到達点 (1)R2020期間における取り組み R2020期間(2011~2020年度)において、立命館大学は、教育の質および学習環境の向上を基本目標に掲げ、教学条件の計画的な整備に取り組んできました。具体的には、専任教員数の着実な増加による教育体制の充実、キャンパスや教育研究施設の整備・更新、奨学金制度や学習支援制度の拡充などを通じて、学生一人ひとりの学びの環境改善を進めてきました。この期間においては、基準授業料の改定を行わず、学習者中心の教育やグローバル化を推進してきた点に大きな特徴があります。 一方で、定員管理の厳格化に伴う学生数の減少、消費税率の引き上げ、社会保険料負担の増加など、大学の努力だけでは対応が困難な外部環境の変化が重なりました。さらに、2020年度には新型コロナウイルス禍の深刻化に伴い、学生の学びと生活を継続するための緊急的な対応の必要性が生じました。立命館大学では、これまでに形成してきた一定の財政基盤のもと、非常時においても教育活動を継続するための対応を迅速に行うことができましたが、これら複数の要因が重なり、2020年度に教育活動収支差額がマイナスに転じました。この経験を通じて、長期的視点に立った安定的な財政運営の必要性が、あらためて強く認識されることとなりました。 (2)R2030前半期における取り組みと到達点 R2030前半期(2021~2025年度)においては、R2020期間の課題認識を踏まえ、「R2030チャレンジ・デザイン」のもとで、将来に向けた挑戦的な教学・研究施策の推進と、財政基盤の健全化を並行して進めることを基本方針として取り組んできました。次世代研究大学としての発展を目指し、重点的な研究推進を行うRARA構想の具体化や、教職員が職種や組織の枠を超えて自発的な共創に取り組むグラスルーツ実践支援制度を継続的に実施しています。これらの施策については、学納金ではなく、受取利息・配当金を財源とする予算を活用することで、学費への依存を高めない形で実行してきました。 また、R2030前半期においては、社会および地域との関係性を広げる取り組みとして、大阪・関西万博への参画をはじめ、「衣笠アートヴィレッジフェスティバル」、「BKC健幸フェスタ」、「いばりつ(いばらき×立命館DAY)」などを実施してきました。これらは、地域住民や自治体等との交流を通じて、学生が学びを深める機会を創出するものであるとともに、大学の教育・研究活動や学生の取り組みを社会に発信する機会でもあります。これらの実践は、大学と地域・社会との相互理解を促進し、信頼関係を基盤とした連携を強化する取り組みとして、R2030前半期における重要な到達点の一つと位置づけられます。 あわせて、基盤的な収支バランスの改善に向けては、常任理事会において複数回にわたる厳しい議論を重ねた上で、教学条件を持続的に維持・改善することを目的とした教学維持改善費を組み込んだ授業料改定方式を提起しました。この方式のもと、学生数の回復と授業料改定により学納金収入が増加したことは、財政収支の健全化に重要な役割を果たしています。さらに、資金運用の強化による受取利息・配当金の安定化を図るほか、寄付金政策の強化、また、「次世代研究大学」のメルクマールとなる「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」、「宇宙戦略基金事業(SX)」のような大型の外部研究資金を獲得することによって、学費への過度な依存を抑えつつ、持続可能な教学・財政運営の基盤を段階的に構築してきています。 支出面では、教職員の処遇改善、インフレや原料費の高騰、円安の進行、高度化するIT環境への対応等、増加圧力が強い状況が続いている中、業務見直しやDX推進による経費節減にも不断に取り組んでいます。 ・学生一人当たりのキャンパス面積の変化 建物面積グラフ、学生一人あたりの建物面積(建物面積÷学生)グラフ(省略) ・教員一人あたりの学生数の推移 学生数グラフ、教員数グラフ、教員一人あたりの学生数(学生数÷教員数)グラフ(省略) ・学納金比率の推移 学納金比率の推移グラフ(省略) ・寄付金推移 寄付金推移グラフ(省略) ・受取利息・配当金推移 受取利息・配当金推移グラフ(省略) ・経費節減の取り組み:社会情勢変化等による強力な支出圧力のなか、コスト削減努力を経年で積み重ね 経費節減の取り組み:社会情勢変化等による強力な支出圧力のなか、コスト削減努力を経年で積み重ねグラフ(省略) 2020年度以降も、DX等を活用した省人化、無人化の議論や業務自体の見直しを行うことで、継続した経費削減の取り組みを行っています。 2021年度:△2.7億円/2022年度:△0.6億円/2023年度:△0.5億円/2024年度:△1.5億円/2025年度:△2.0億円 (1)コスト削減の主な対象としている委託費、光熱水費の推移。2010年度および2019年度は決算数値。 (2)労務費は最低賃金(全国加重平均)による(https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20250912_3929.html)。 (3)電気料金は産業用平均単価による(https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2025/03.html#section2)。 3.R2030後半期に向けた財政運営について 現在、日本社会・国際社会全体が大きな転換期を迎えています。人口減少が加速する一方で、国の大学政策では研究力強化や成長分野への重点投資が進められ、大学間の競争環境が急速に厳しくなっています。将来を見通すことが難しい不確実な時代において、大学が果たすべき役割も問われています。このような状況の中で、立命館大学が将来にわたって社会から信頼され、知的創造の拠点、多くの人たちの学びの場であり続けるためには、教育や研究の質を高め続けることと、それを支える財政基盤を安定的に維持することの両立が不可欠です。R2030後半期の事業計画では、産官学地との連携の深化、研究成果の社会への還元、大学院教育の拡充などを通じて、大学の価値を社会に広げていくことを目指しています。 その一方で、新しい挑戦を可能にするためには、日常的な教育研究活動を支える「基盤的な収支」が健全であることが前提となります。基盤が不安定なままでは、持続的な学びや研究を保障することはできません。一方で、学納金に依拠する現在の財務構造からいかに転換することができるのかをより深いレベルで模索することが中期的な重要課題となります。R2030後半期において、事業戦略等の遂行、立命館大学、各学部・研究科の教育・研究諸事業が持つ価値のいっそうの向上と可視化、また、それらの社会的な意義を発信することによる寄付金等の抜本的な強化に、大学(常任理事会)および学部・研究科が責任をもって一体的に取り組むとともに、学納金への依存(学生の教育費負担)のさらなる低減を見通すことを可能とする学費政策、財務・収支構造のあり方や条件、財政運営の考え方等について検討を進めることとします。 4.2027年度以降の学費政策および2027年度授業料等について 留意事項 ●2027年度以降の学費政策については以下に示すとおりとします。 ●他方で、文部科学省から各私立大学に対して、学生の経済的な負担軽減を図る視点で、入学金の扱い等についての検討が要請されており、現在、本学においても、入学金の意義や私学である学園財政における学納金の重要性、総合的な学生の学費負担等を考慮しながら、鋭意検討を進めている過程にあります。 ●今次提案する学費政策の期間中に、入学金の扱い等の見直しやそのことに伴う授業料の変更の必要が生じた場合は、その内容についてあらためて提案を行い、以降の学費に反映することとします。 学費政策の策定にあたっては、学友会からの要望を受け、2023年度以降の学費政策より、その決定に至るまでのプロセスに学友会や院協が参加できる機会を担保してきました。今回の学費政策の策定においても、学園財政の考え方や現状の課題などについて理解を深め、学生の立場からの意見や問題提起を踏まえた議論を重ね、全学協議会代表者会議を経ていることは、本学の学費政策を検討するうえでの重要な前提となっています。 今回提案する学費政策は、R2030後半期の事業計画および財政運営基本方針と連動させ、5年間(2027〜2031年度入学者に適用)とし、基本的に現行の学費政策を継続します。また、大学院(修士課程、博士前期課程等)の授業料については、全学的な制度等の維持・充実のために、基準授業料について40,000円の改定を行います。 物価指数の変動に連動する授業料改定方式を継続することなど、今回の学費政策は、現在の学びの環境・機会を保証し、将来にわたり持続的に教育研究の質向上を図るうえで不可欠となる健全な財務基盤を保持し続けるうえでの重要な前提となるものです。 その一方で、この数年の授業料改定の状況などに対して真摯に向き合う必要があると認識しています。また、不確実性、変動性が高まる情勢の中で、授業料改定方式に用いる物価指数が年度間で大きく上下することも想定されますが、立命館大学の教学・財政運営においては、過去、現在、未来にわたる永続性を重視しており、その点から、入学年度間での学生の学費負担の平準化に留意することが求められます。このような観点から、授業料改定方式の運用において、改定方式に基づく物価指数アップ率による改定額については、前年度入学者の授業料に対して上限(キャップ額=30,000円)を新たに設けることとします。 また、授業料改定方式を継続適用するにあたっては、R2030前半期財政運営の課題であった教育活動収支差額の改善が進捗したことをふまえて、キャリアパス形成支援制度の拡充や、特別予算として時限的措置としていた海外派遣プログラムの参加支援の恒常化をはじめ、教学・研究、学生生活の課題を着実に遂行・実現していくことが重要となります。具体の内容等については、今後、学友会や院協等との協議、懇談も含めて、関係各部と連携して検討を行い、R2030後半期の財政運営基本方針における課題(寄付金等の収入強化等)や財務指標等を勘案しながら、2027年度以降の予算において対応を図ることとします。 今次提案においては、現行の学費政策を継続しつつ、それを恒久的なものとせず、社会情勢が変化する中で、持続的な教学の充実、質向上を可能にする財務の安定性、柔軟性を損なうことなく、一方で、学納金に依拠する現在の財務構造からいかに転換することができるのかをより深いレベルで模索することが重要な課題となります。R2030後半期における中期的な課題として、学園・立命館大学の事業戦略等の遂行と合わせて、学納金への依存をいっそう低減することが可能となる学費政策、財務・収支構造のあり方や条件、財政運営の考え方等について検討を進めていきます。 [1]入学金 入学金は次の通りとします(現行通り)。 区分 金額 入学、編入学、転入学、学士入学 200,000円 再入学 10,000円 ただし、次の場合は入学金を徴収しません。 ①国際関係学部アメリカン大学・立命館大学国際連携学科の入学者でアメリカン大学で学習を開始する者およびグローバル教養学部の入学者でオーストラリア国立大学で学習を開始する者 ②本大学またはAPUの学部を卒業した者が、本大学院に入学する場合 ③本大学またはAPUの学部から引き続き本大学院に入学する場合 ④本大学またはAPUの大学院を修了した者、あるいは博士課程に標準修業年限以上在学し、学則に定める履修要件を満たした者で博士学位を取得せずに退学した者が本大学院に入学する場合 [2]2027年度〜2031年度の入学者に適用する授業料改定方式 ①学部入学者に適用する授業料改定方式 新年度授業料=基本授業料×(1+物価指数アップ率)+教学維持改善費(※) ●「基準授業料」は2026年度⼊学者の授業料とします。薬学部薬学科は、新⼊⽣特別減免を除く授業料とします。 ●「物価指数アップ率」は、消費者物価指数(全国総合)の2024年度平均値を基準として、直近年度平均値における上昇率を⽤います。ただし、上昇率が1.0ポイント未満の場合は適⽤しません。また、物価指数アップ率による改定額については、前年度入学者の授業料に対して30,000円を超えないものとします。 ●算出された新年度授業料が前年度授業料を下回る場合は、前年度授業料と同額とします。 ●算出された新年度授業料の1/2(百円単位で四捨五⼊)を学期授業料として当該年度⼊学者に適⽤します。 ※「教学維持改善費」について 社会の変化に対応しながら、持続的に教学条件を維持・改善するため、教育活動に伴う収⽀状況をふまえて適⽤することがあリます。 「教学維持改善費」を適⽤する場合には、50,000円を超えないものとし、2027〜2031年度において、初めに適⽤した年度以降の「教学維持改善費」は同額とします。 ◯特定の学部等に関する個別の扱いについては次のとおりとします(現行どおり)。 ・薬学部薬学科については、学科設置当時の検討状況および他大学の学費状況を勘案し、授業料改定方式のうち、物価指数アップ率は適用せず、新入生特別減免を200,000円とします。 ・グローバル教養学部については、ANU(オーストラリア国立大学)との協定に基づく授業料とします。 ②修士課程、博士課程前期課程、一貫制博士課程(1年次、2年次)および専門職学位課程の入学者に適用する授業料改定方式 新年度授業料=基準授業料×(1+物価指数アップ率) ●修士課程、博士課程前期課程、一貫制博士課程(1年次、2年次)の「基準授業料」は、2026年度入学者の授業料+40,000円とします。 ●専門職学位課程の「基準授業料」は2026年度入学者の授業料とします。 ●「物価指数アップ率」は、消費者物価指数(全国総合)の2024年度平均値を基準として、直近年度平均値における上昇率を⽤います。ただし、上昇率が1.0ポイント未満の場合は適⽤しません。また、物価指数アップ率による改定額については、前年度入学者の授業料に対して30,000円を超えないものとします(ただし、デザイン・アート学研究科(1年制)は適用の対象外)。 ●算出された新年度授業料が前年度授業料を下回る場合は、前年度授業料と同額とします。 ●算出された新年度授業料の1/2(百円単位で四捨五⼊)を学期授業料として当該年度⼊学者に適⽤します。 ③博士課程後期課程、一貫制博士課程(3年次以上)、4年制博士課程、については、現行の授業料(学期額250,000円)を継続して適用します。 [3]大学院生(修士課程等)に対する経済支援奨学金 学部生や博士課程後期課程の大学院生と比べ、国による給付型の奨学金が脆弱である修士課程等の大学院生に対し、制度上のギャップを埋め、大学院への進学・修学をいっそう促進する観点から、全学的な制度を新たに設け、修士課程等の大学院生に対する経済支援の拡充を図ります。新たな制度の詳細については別途提案を行います。 [4]学部・研究科の新設、将来構想の具体化等に伴う授業料設定(2028年度以降) ○学部等の新設、再編やカリキュラム改革等にあたっては、教員体制や学部等固有の施設設備整備等をふまえて授業料を決定します。○大学院拡充を進めるうえでは、全学的な制度・政策とともに、各研究科の個別性(現状課題や将来構想の方向性、その具体化の時期)に対応することが重要となります。今後、各研究科の将来構想の具体化に伴い、内容や必要性等について慎重に検討したうえで、個別に授業料を設定することを可能とします。 [5]2027年度入学者に適用する授業料 ○授業料改定方式における、2027年度入学者の授業料に適用する「物価指数アップ率」は2.6%となります。 ○直近年度(2025年度)決算において、時限的な予算を除く教育活動収支差額はプラスであるため、2027年度入学者(学部生)には「教学維持改善費」を適用しません。 ○授業料改定方式による計算およびキャップ額を適用し、2027年度入学者の授業料は別表のとおりとします。 [6]在学期間の授業料明示 入学時に在学期間の授業料を明示する方式とします。ただし、社会的要因による急激で大幅な物価上昇等があり、その影響への対処として在学生を含む学費改定が余儀なくされた場合には、緊急的な措置として学費改定を提起します。 [7]2026年度以前の入学者(学部生および大学院生)に適用する授業料 2026年度以前の入学者には、すでに入学時に明示している授業料を適用します。 ■2027年度入学者授業料(学部) (単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 3回生 4回生 法学部 法学科 春学期 573,600 573,600 573,600 573,600 秋学期 573,600 573,600 573,600 573,600 計 1,147,200 1,147,200 1,147,200 1,147,200 経済学部 経済学科 春学期 592,900 592,900 592,900 592,900 秋学期 592,900 592,900 592,900 592,900 計 1,185,800 1,185,800 1,185,800 1,185,800 経営学部 経営学科 春学期 573,600 573,600 573,600 573,600 秋学期 573,600 573,600 573,600 573,600 計 1,147,200 1,147,200 1,147,200 1,147,200 国際経営学科 春学期 643,300 643,300 643,300 643,300 秋学期 643,300 643,300 643,300 643,300 計 1,286,600 1,286,600 1,286,600 1,286,600 産業社会学部 現代社会学科 現代社会専攻、メディア社会専攻、スポーツ社会専攻、人間福祉専攻 春学期 670,500 670,500 670,500 670,500 秋学期 670,500 670,500 670,500 670,500 計 1,341,000 1,341,000 1,341,000 1,341,000 子ども社会専攻 春学期 708,000 708,000 708,000 708,000 秋学期 708,000 708,000 708,000 708,000 計 1,416,000 1,416,000 1,416,000 1,416,000 文学部 人文学科 地域研究学域 春学期 666,600 666,600 666,600 666,600 秋学期 666,600 666,600 666,600 666,600 計 1,333,200 1,333,200 1,333,200 1,333,200 人間研究学域教育人間学専攻、日本史研究学域考古学・文化遺産専攻 春学期 654,700 666,600 666,600 666,600 秋学期 654,700 666,600 666,600 666,600 計 1,309,400 1,333,200 1,333,200 1,333,200 人間研究学域哲学・倫理学専攻、日本文学研究学域、日本史研究学域日本史学専攻、東アジア研究学域、国際文化学域、国際コミュニケーション学域、言語コミュニケーション学域 春学期 654,700 654,700 654,700 654,700 秋学期 654,700 654,700 654,700 654,700 計 1,309,400 1,309,400 1,309,400 1,309,400 理工学部 数理科学科 春学期 869,700 869,700 869,700 869,700 秋学期 869,700 869,700 869,700 869,700 計 1,739,400 1,739,400 1,739,400 1,739,400 物理科学科、電気電子工学科、電子情報工学科、機械工学科、ロボティクス学科、環境都市工学科、建築都市デザイン学科 春学期 900,800 900,800 900,800 900,800 秋学期 900,800 900,800 900,800 900,800 計 1,801,600 1,801,600 1,801,600 1,801,600 国際関係学部 国際関係学科、アメリカン大学・立命館大学国際連携学科 春学期 734,600 734,600 734,600 734,600 秋学期 734,600 734,600 734,600 734,600 計 1,469,200 1,469,200 1,469,200 1,469,200 政策科学部 政策科学科 春学期 680,800 680,800 680,800 680,800 秋学期 680,800 680,800 680,800 680,800 計 1,361,600 1,361,600 1,361,600 1,361,600 情報理工学部 情報理工学科 春学期 900,800 900,800 900,800 900,800 秋学期 900,800 900,800 900,800 900,800 計 1,801,600 1,801,600 1,801,600 1,801,600 映像学部 映像学科 春学期 1,060,200 1,060,200 1,060,200 1,060,200 秋学期 1,060,200 1,060,200 1,060,200 1,060,200 計 2,120,400 2,120,400 2,120,400 2,120,400 生命科学部 応用化学科、生物工学科、生命情報学科、生命医科学科 春学期 917,800 917,800 917,800 917,800 秋学期 917,800 917,800 917,800 917,800 計 1,835,600 1,835,600 1,835,600 1,835,600 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 春学期 723,000 723,000 723,000 723,000 秋学期 723,000 723,000 723,000 723,000 計 1,446,000 1,446,000 1,446,000 1,446,000 総合心理学部 総合心理学科 春学期 701,200 701,200 701,200 701,200 秋学期 701,200 701,200 701,200 701,200 計 1,402,400 1,402,400 1,402,400 1,402,400 食マネジメント学部 食マネジメント学科 春学期 706,600 706,600 706,600 706,600 秋学期 706,600 706,600 706,600 706,600 計 1,413,200 1,413,200 1,413,200 1,413,200 グローバル教養学部 U-ANU専攻 春学期 1,200,000 1,434,000 1,434,000 1,434,000 秋学期 1,200,000 1,434,000 1,434,000 1,434,000 計 2,400,000 2,868,000 2,868,000 2,868,000 RU専攻 春学期 ― 1,200,000 1,200,000 1,200,000 秋学期 ― 1,200,000 1,200,000 1,200,000 計 ― 2,400,000 2,400,000 2,400,000 デザイン・アート学部 デザイン・アート学科 春学期 865,000 865,000 865,000 865,000 秋学期 865,000 865,000 865,000 865,000 計 1,730,000 1,730,000 1,730,000 1,730,000 薬学部 創薬科学科 春学期 1,032,300 1,032,300 1,032,300 1,032,300 秋学期 1,032,300 1,032,300 1,032,300 1,032,300 計 2,064,600 2,064,600 2,064,600 2,064,600 薬学科 春学期 998,400 1,198,400 1,198,400 1,198,400 秋学期 1,198,400 1,198,400 1,198,400 1,198,400 計 2,196,800 2,396,800 2,396,800 2,396,800 区分 5回生 6回生 春学期 1,198,400 1,198,400 秋学期 1,198,400 1,198,400 計 2,396,800 2,396,800 ※1 5回生(薬学部薬学科は7回生)以降は、4回生(薬学部薬学科は6回生)の授業料と同額。 ※2 国際関係学部アメリカン大学・立命館大学国際連携学科において、2回生以降、立命館大学で学修する期間(2回生春学期および4回生秋学期)は、国際関係学科と同額の学費が適用される。アメリカン大学で学修する期間(2回生秋学期~4回生春学期)は、アメリカン大学が設定する所定の学費をアメリカン大学に納入する。 アメリカン大学の学費は毎年変動する。詳細は、入学試験要項にて確認。 ※3 グローバル教養学部において、入学時はすべてRU-ANU専攻に所属し、入学後、学生本人の希望またはオーストラリア国立大学(ANU)の英語・成績出願要件および入学審査結果により、RU専攻への所属変更が生じることがある。 ※4 ※1にかかわらず、在学期間が修業年限を超える者において当該学期に成績評価する授業科目の受講登録単位数および立命館大学学則第37条第2項にもとづき卒業に必要な単位として認定する単位数の合計が8単位以下である学期の授業料は、上記の半額。 ■2027年度入学者授業料(大学院) [立命館大学大学院博士課程前期課程・修士課程](単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 法学研究科 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 経済学研究科 Master’s Program in Economic Developmentを除く 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 Master’s Program in Economic Development 春学期 535,200 535,200 秋学期 535,200 535,200 計 1,070,400 1,070,400 経営学研究科 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 社会学研究科 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 文学研究科 人文学専攻 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 行動文化情報学専攻 春学期 461,600 461,600 秋学期 461,600 461,600 計 923,200 923,200 理工学研究科 数理科学コースを除く 春学期 675,900 675,900 秋学期 675,900 675,900 計 1,351,800 1,351,800 数理科学コース 春学期 634,100 634,100 秋学期 634,100 634,100 計 1,268,200 1,268,200 国際関係研究科 国際関係学プログラム 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 Global International Relations Program 春学期 535,200 535,200 秋学期 535,200 535,200 計 1,070,400 1,070,400 政策科学研究科 春学期 449,400 449,400 秋学期 449,400 449,400 計 898,800 898,800 言語教育情報研究科 春学期 478,000 478,000 秋学期 478,000 478,000 計 956,000 956,000 テクノロジー・マネジメント研究科 春学期 684,800 684,800 秋学期 684,800 684,800 計 1,369,600 1,369,600 スポーツ健康科学研究科 春学期 521,900 521,900 秋学期 521,900 521,900 計 1,043,800 1,043,800 映像研究科 春学期 706,400 706,400 秋学期 706,400 706,400 計 1,412,800 1,412,800 情報理工学研究科 春学期 668,800 668,800 秋学期 668,800 668,800 計 1,337,600 1,337,600 生命科学研究科 春学期 668,800 668,800 秋学期 668,800 668,800 計 1,337,600 1,337,600 人間科学研究科 春学期 506,500 506,500 秋学期 506,500 506,500 計 1,013,000 1,013,000 薬学研究科 春学期 668,800 668,800 秋学期 668,800 668,800 計 1,337,600 1,337,600 食マネジメント研究科 春学期 472,400 472,400 秋学期 472,400 472,400 計 944,800 944,800 デザイン・アート学研究科 デザイン・アート学専攻1年制を除く 春学期 500,700 500,700 秋学期 500,700 500,700 計 1,001,400 1,001,400 デザイン・アート学専攻1年制 春学期 950,100 ― 秋学期 950,100 ― 計 1,900,200 ― ※1 3回生以降は2回生の授業料と同額。 ※2 ※1にかかわらず、在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は該当する回生の半額。 ただし、デザイン・アート学研究科(デザイン・アート学専攻修士課程1年制)において、在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は、デザイン・アート学研究科(デザイン・アート学専攻修士課程1年制を除く)の2年次における授業料の額の半額。 立命館大学大学院博士課程後期課程](単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 3回生 全研究科 春学期 250,000 250,000 250,000 秋学期 250,000 250,000 250,000 計 500,000 500,000 500,000 ※1 4回生以降は3回生の授業料と同額。 ※2 ※1にかからわず、在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 ※3 ※2にかかわらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める各研究科の修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。 [立命館大学大学院 4年制博士課程](単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 3回生 4回生 薬学研究科 春学期 250,000 250,000 250,000 250,000 秋学期 250,000 250,000 250,000 250,000 計 500,000 500,000 500,000 500,000 ※1 5回生以降は4回生の授業料と同額。 ※2 ※1にかからわず、在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は上記の半額。 ※3 ※2にかかわらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める各研究科の修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。 [立命館大学大学院一貫制博士課程](単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 3回生 4回生 5回生 先端総合学術研究科 春学期 478,000 478,000 250,000 250,000 250,000 秋学期 478,000 478,000 250,000 250,000 250,000 計 956,000 956,000 500,000 500,000 500,000 ※1 6回生以降は5回生の授業料と同額。 ※2 ※1にかかわらず、在学期間が標準修業年限を超えた者の授業料は該当する回生の半額。 ※3 ※2にかかわらず、在学期間が標準修業年限を超え、大学院学則に定める各研究科の修了要件のうち、博士論文以外の要件を満たした者の授業料は学期につき100,000円。 [立命館大学大学院専門職学位課程](単位:円) 所属 区分 1回生 2回生 法務研究科 春学期 743,600 743,600 743,600 秋学期 743,600 743,600 743,600 計 1,487,200 1,487,200 1,487,200 経営管理研究科 春学期 710,200 710,200 秋学期 710,200 710,200 計 1,420,400 1,420,400 教職研究科 春学期 514,600 514,600 秋学期 514,600 514,600 計 1,029,200 1,029,200 ※1 在学期間が標準修業年限(法務研究科においては2年修了課程は2年、3年修了課程は3年)を超えた者の授業料は上記の半額。 [長期履修生の学期ごとの授業料](単位:円) 所属 長期履修が許可された学期数 授業料 経済学研究科 5学期 359,600(1学期につき) 6学期 299,600(1学期につき) 7学期 256,800(1学期につき) 8学期 224,700(1学期につき) 文学研究科 人文学専攻 5学期 359,600(1学期につき) 6学期 299,600(1学期につき) 7学期 256,800(1学期につき) 8学期 224,700(1学期につき) 行動文化情報学専攻 5学期 369,300(1学期につき) 6学期 307,800(1学期につき) 7学期 263,800(1学期につき) 8学期 230,800(1学期につき) 政策科学研究科 5学期 359,600(1学期につき) 6学期 299,600(1学期につき) 7学期 256,800(1学期につき) 8学期 224,700(1学期につき) 言語教育情報研究科 5学期 382,400(1学期につき) 6学期 318,700(1学期につき) 7学期 273,200(1学期につき) 8学期 239,000(1学期につき) スポーツ健康科学研究科 5学期 417,600(1学期につき) 6学期 348,000(1学期につき) 7学期 298,300(1学期につき) 8学期 261,000(1学期につき) 教職研究科 5学期 411,700(1学期につき) 6学期 343,100(1学期につき) 7学期 294,100(1学期につき) 8学期 257,300(1学期につき) 人間科学研究科 5学期 405,200(1学期につき) 6学期 337,700(1学期につき) 7学期 289,500(1学期につき) 8学期 253,300(1学期につき) 食マネジメント研究科 5学期 378,000(1学期につき) 6学期 315,000(1学期につき) 7学期 270,000(1学期につき) 8学期 236,200(1学期につき) 経営管理研究科 5学期 568,200(1学期につき) 6学期 473,500(1学期につき) 7学期 405,900(1学期につき) 8学期 355,100(1学期につき) デザイン・アート学研究科(1年制を除く) 5学期 400,600(1学期につき) 6学期 333,800(1学期につき) 7学期 286,200(1学期につき) 8学期 250,400(1学期につき) おわりに 2026年10月に開催される公開での全学協議会に向けて 2026年5月27日(水)に、2026年度第1回全学協議会代表者会議が開催されました。全学協議会代表者会議は、10月に予定する公開での全学協議会に向けて、学友会、院生協議会連合会、教職員組合、大学(常任理事会)、生活協同組合(オブザーバー)の各パートが、今後協議すべき論点や前提となる認識を共有する場です。今回の会議では、R2030前半期における教学・研究・学生生活・学園共創の到達点を整理し、R2030後半期に向けて今後深めるべき論点を共有しました。 開会にあたっては、社会や産業構造の変化、少子高齢化、AIをはじめとする技術革新などを踏まえ、これからの社会において立命館大学がどのような教育・研究機関として役割を果たすのか、また学部生・大学院生が自ら問いを立て、探究し、挑戦できる環境をどのように整えていくのかが提起されました。議論では、教学・研究・学生生活・大学院教育・財政基盤を、それぞれ別々の課題としてではなく、学部生・大学院生の学びと成長を支える一体的な論点として捉えることの重要性について認識を共有しました。 1.学園共創の到達点と今後の進め方 学園共創については、行事運営等における実務的な協力にとどめるのではなく、学園の根幹に関わる意思決定や施策形成の過程に、学部生・大学院生が主体として関わる営みとして位置づけることの重要性を共有しました。あわせて、施策の背景や必要性を学部生・大学院生にどのように届け、学園共創の取り組みを全学的な理解と実感につなげていくかも、今後の課題として整理しました。 2.正課・課外自主活動・キャリア形成をつなぐ学び 正課の学び、課外自主活動、就職活動やキャリア形成を分断せず、大学生活全体を通じた学びと成長の機会として捉える必要性が共有されました。課外自主活動については、学生が主体性や協働性を育み、課題発見と課題解決を往還する重要な学びの場として、活動場所や居場所、キャンパスアメニティを含む環境整備に加え、支援の枠組みそのものを今後の協議論点として位置づけました。 3.留学生・社会人院生等を含む学び合いの充実 留学生や社会人院生をはじめ、文化的背景、学修経験、生活状況、関心や個性の異なる学部生・大学院生が、大学生活の中でどのように出会い、互いに学び合えているのかについても、今後の重要な論点として共有しました。授業内外での交流、多文化共修、BBP、研究活動、課外自主活動などを、学部生・大学院生一人ひとりの学びや成長につながる経験としてどう結びつけていくか、今後の議論の中で実感を確認していきます。 4.大学院充実に向けた教育・研究環境の整備 大学院充実に向けた取り組みについては、学部から大学院への学びと研究の接続を強めるとともに、研究環境、経済的支援、キャリア支援を一体的に整え、院生が安心して研究に取り組める環境をつくる必要性について認識を共有しました。大学院での学びや研究の価値を、院生の実感と結びつけながら学部生や社会に伝えていくことも、今後の協議課題として整理しました。 5.学費・財政と、学部生・大学院生が実感できる還元 これらの取り組みを持続的に支える基盤として、財政運営と学費の位置づけについても議論しました。学費・財政の議論は、負担や金額のみをめぐるものではなく、私学として学費の重みを踏まえた上で、学部生・大学院生の学び、研究、学生生活の価値をどのように高め、実感できる形で還元していくかという議論と一体であるとの認識を共有しました。今後も、代表者会議、五者懇談会・研究科懇談会、各種懇談等を通じて、学費の重みに応える教育・研究・学生支援のあり方を、学部生・大学院生のみなさんとともに考えていきます。 今後は、本会議で共有された論点を、代表者会議、五者懇談会、各種懇談等を通じてさらに整理し、2026年度公開全学協議会に向けた協議論点として深めていきます。学部生・大学院生のみなさんにも、それぞれの立場から受けとめ、考え、対話に参画いただくことを期待しています。 RS学園通信特別号 2026年度全学協議会に向けて 〒604-8520京都市中京区西ノ京朱雀町1電話075-813-8146 発行:立命館大学広報課(2026年6月18日発行)