グローバル教養学部の人材育成目的、教育目標等について

(1)人材育成目的

  • グローバル教養学部は、人文学および社会諸科学の教育研究、また日本およびオーストラリアを含むアジアの諸社会における様々なボーダーを超える経験と主体的な学びを通じて、人間社会の多様性への洞察と人類史をグローバルに俯瞰する視点を具え、高い倫理観のもとに、新しい科学・技術の発展を踏まえた未来社会への革新的な構想力と豊かな表現力をもって、グローバル化する社会のなかで実践的に問題発見・問題解決をリードし、そのために学び続けることのできる人間を育成することを目的とする。

(2)教育目標

知識・理解

  • 人間社会の多様性と人類の歴史の多系性について幅広い知識を身につけ、人文学および社会科学の方法論を用いて理解することができる。
  • 特にアジアの諸社会を含む現代世界の多様性について経験的知識をもとに理解することができる。
  • 現代における新しい科学・技術の社会的意義についての知識を身につけ、人文学および社会科学の諸基礎理論に立ち返って理解することができる。

思考・判断

  • 論理的および批判的な思考力を通じて自らの見解を形成することができる。
  • 様々な社会的文脈において倫理的価値を評価し、倫理的な解釈の衝突においていかに異なる倫理的視座がとられうるかを考え、よりよい行動の選択肢を熟慮することができる。
  • 多元的な視点と知的な創造性をもって問題発見・解決を導くことができる。
  • 利害や立場の対立を乗り越えて協力を促進するために戦略的に判断を行うことができる。

関心・意欲・態度

  • 高い志やチャレンジ精神を持ち、困難を果敢に乗り越える強い意志と責任感をもって市民として主体的に社会的課題に取り組むことができる。
  • 異なる文化や価値観、立場の違いを互いに尊重し、協働することができる。
  • 知と社会のあいだの関係について実践的に統合された認識と十分な倫理を具えて、研究に取り組むことができる。
  • 問題解決にあたって必要なリーダーシップの感覚を具えて、協働して課題に取り組むことができる。

技能・表現

  • 読解、数量的リテラシー、および情報リテラシーなど、情報を適切に収集・分析するために必要な技法に広く習熟し、効果的に研究に活かすことができる。
  • 自らの知的活動を効果的に表現するために必要なコミュニケ―ションの技法として、言語運用能力、デザイン能力、マルチメディア運用能力をもち、文書および口頭において効果的に研究成果を発信することができる。

(3)アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)

立命館大学グローバル教養学部では、建学の精神の「自由と清新」及び教学理念の「平和と民主主義」のもとで、人材育成目的と教育目標に共感し、本学部で学ぼうとする強い意志を持った学生を日本全国および世界各地から求める。このため、入学に際して以下の素養と資質、学力、関心などを有することを求める。

①知識・理解

  • 高等学校などにおける教育を通じて、人文学および社会諸科学の幅広い教養を学ぶ上で必要な学力および英語力を有していること

②思考・判断

  • 学知の基礎となる論理的および批判的思考力を持ち、グローバル社会における倫理的判断力を持っていること

③関心・意欲・態度

  • 人間社会への多様性、グローバルな視点から俯瞰した歴史、科学・技術の進歩と社会の変容に関心を持っていること
  • 様々な境界を越えて、他者と協働し、リーダーシップを持って、問題発見・問題解決を目指す意欲・態度を持っていること

④技能・表現

  • 情報を適切に収集・分析する能力や自らの考えを明確に表現し、議論する能力を持っていること

グローバル教養学部では、上記能力を有する学生を選抜するために、書類審査、エッセイ、面接などによる多元的な評価尺度から志願者個別に対して総合的評価(Holistic Assessment)を実施する。

<求める学生像>

①知識・技能

  • 高等学校などにおける教科の学びを、実地に積極的に活かし身につけている学生
  • 幅広い分野とテーマの書物を多読し、論理的文章を書くことを身につけている学生

②思考・判断・表現

  • 異文化や異なる意見を尊重し、新たな発見に対して論理的・多面的に思考し、倫理的・道徳的な判断を行える学生
  • 共感と共有を求めて相手の話を傾聴し、自分の意見表明が積極的に的確にできる学生

③主体性・協働性

  • 自ら課題を発見し目標を定めて、他者と積極的に協働しながら、課題が解決するまでやり抜く実行力のある学生

(4)カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)

本学部では、上記の人材育成目的と教育目標を実現するために、学部・学科の特色を具体化して、以下の五つの原則のもとに教育課程を編成する。

  1. グローバル化した世界にふさわしいリベラル・アーツの学びを総合的に学ぶ
    本学部が提供するグローバル教養学の教育課程は、人文学および社会諸科学に根差した教養の涵養が、異なる国・地域、性、世代、言語、宗教、価値観などの「異文化」との相互交流を通じて、a) 自分と異なる人や社会、文化との共生・協働を可能とする寛容の美徳をはぐくむ点で、リベラル・アーツの本質を引き継ぐものであると同時に、b) 従来のリベラル・アーツが前提としてきた世界認識や歴史認識を、より広く、より深い文脈で再審に付して、学ぶ者をオルタナティブな視点にひらきつつ、c) 新しい科学・技術の発展を含む諸学知と社会とのあいだの相互作用の洞察を通じて、現代社会の様々な課題に対して実践的・創造的に問題解決にあたらしめるものである。上記a-cの力点は、多様な学術領域における段階的学びを通してバランスよく学ぶ要卒構造が設定されている。くわえてAdvanced Coursesの科目群において、それらの学びは実践的・応用的に総合される。
  2. 問題発見・問題解決の土台となる論理的・批判的思考力、倫理的判断力、アカデミック・スキルを修得する
    リベラル・アーツの学びは、プロフェッショナルな分野からアカデミックな分野まで広範な大学院教育に接続して、より専門的な問題発見・問題解決型の人材を育成する。特にIntroductory Coursesの諸科目を通じて、論理的・批判的思考力、倫理的判断力を涵養するとともに、人文学および社会諸科学を中心に幅広く、段階的に研究技法・方法論を学び、最終的にAdvanced Coursesにおいて、実践的・総合的にそうしたスキルを用いる能力を高める。
  3. 多文化社会における協働の能力を高める
    本学部は、日本、豪州、およびアジアの諸地域を中心に様々な文化的背景を持つ学生を受け入れ、大多数の科目を英語で実施するとともに、正課から課外にわたってトータルに多文化的な学びのコミュニティを形成し、多文化協働の能力育成を行う。また、オーストラリア国立大学との提携により、人材育成目的に謳う「アジアの諸社会における様々なボーダーを越える経験」を積み、「特にアジアの諸社会を含む現代世界の多様性について経験的知識をもとに理解することができる」という教育目標をより深く確かに実現させるカリキュラム構成を具える。
  4. 創造性をもって主体的に課題を設定するとともに、研究成果を効果的に発信する能力を獲得する
    本学部では、反転学習型のセミナー科目と講義とチュートリアルを組み合わせる科目を基本形態とし、セミナーやチュートリアルの上限を25名程度に制限して、少人数・アクティブ・ラーニング型の学びを追求する。また、Advanced Coursesを頂点として、学びの各段階に、情報発信力を育成する機会(PBL型授業の展開やプロジェクト型の正課外活動機会の提供)を多様に設ける。
  5. 世界/アジアのなかの日本で学ぶことの意義を追求する
    グローバル教養学部では、四年間の学びのうち少なくとも二年ないし三年を日本で学ぶ。国際学生に日本語の学習機会を提供するだけでなく、グローバル教養学の枠組みのなかに日本研究関連科目を展開して、グローバルな文脈において日本の歴史、文化および社会について理解を深め、日本出身の学生、国際学生それぞれの立場において、日本から、あるいは日本を経由して、世界へ発信する力を支える教養を身につけるとともに、キャリア形成の資産として日本での学びの経験が生きるカリキュラムを追求する。また「アジアのゲートウェイ」をキャンパス・コンセプトとする大阪いばらきキャンパス(OIC)の立地と優れた設備を上記の目的に活かす。

(5)ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)

グローバル教養学部は、その人材育成目的を達成するために、上述の教育目標に基づいて、卒業時において学生が身につけるべき能力を以下のように設定する。科目区分ごとの所定単位の修得と合計単位(124単位)の修得をもって、系統的な履修にもとづく人材育成目的の達成とみなし、学士(グローバル教養学)の学位を授与する。

知識・理解
  • 人間社会の多様性と人類の歴史の多系性について幅広い知識を身につけ、人文学および社会科学の方法論を用いて理解することができる。
  • 特にアジアの諸社会を含む現代世界の多様性について経験的知識をもとに理解することができる。
  • 現代における新しい科学・技術の社会的意義についての知識を身につけ、人文学および社会科学の諸基礎理論に立ち返って理解することができる。
思考・判断
  • 論理的および批判的な思考力を通じて自らの見解を形成することができる。
  • 様々な社会的文脈において倫理的価値を評価し、倫理的な評価の衝突においていかに異なる倫理的視座がとられうるかを考え、よりよい行動の選択肢を熟慮することができる。
  • 多元的な視点と知的な創造性をもって問題発見・解決を導くことができる。
  • 利害や立場の対立を乗り越えて協力を促進するために戦略的に判断を行うことができる。
関心・意欲・態度
  • 高い志やチャレンジ精神を持ち、困難を果敢に乗り越える強い意志と責任感をもって市民として主体的に社会的課題に取り組むことができる。
  • 異なる文化や価値観、立場の違いを互いに尊重し、協働することができる。
  • 知と社会のあいだの関係について実践的に統合された認識と十分な倫理を具えて、研究に取り組むことができる。
技能・表現
  • 読解、数量的リテラシー、および情報リテラシーなど、情報を適切に収集・分析するために必要な技法に広く習熟し、効果的に研究に活かすことができる。
  • 自らの知的活動を効果的に表現するために必要なコミュニケ―ションの技法として、言語運用能力、デザイン能力、マルチメディア運用能力をもち、文書および口頭において効果的に研究成果を発信することができる。