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経済学研究科の教学理念

近代社会は、資本主義経済社会として200年を超える歴史の中で著しい発展を遂げてきました。特に、第二次世界大戦後の経済成長はめざましく、グローバル化、すなわち地球規模での経済圏が形作られてきました。しかしながら、現代社会が抱える問題はいっそう複雑化し、解決策を見つけることが容易ではない状況が続き、深刻さを増しています。しかも、地球そのものの存続を脅かす課題が、私たちに突きつけられています。 経済社会や人々の交流の地球大の枠組みへの変化によって文化や生活環境の違いが露わになり、これまでは技術革新や生産性の拡大で解決できてきた問題が多様化、複雑化しています。成長と利益のみの追求や、利害や思想の衝突が、問題の解決を暴力的な方法へと向かわせ、破滅的な帰結へと結びつける事態は今も無くなることはありません。 こうした時代にこそ、教養を伴った高度人材が必要とされています。本研究科は、本学園の「自由と清新」という建学の精神、そして「平和と民主主義」という教学理念に基づきながら、現代社会の諸課題を解決するリーダーとなる高度人材を育成していきます。自由で新しい発想と、平和的で民主的なプロセスを堅持ながら、社会科学の一分野である経済学の研究を追求することによって、人類の諸課題の解決策を提示できる能力を持つ人材の育成こそが、本研究科の教学理念です。 混沌とした状況の中で、国内外の企業や非営利団体で働き、ビジネスを営む人々、家計を切り盛りしていく人々、そして政府など公的部門を運営していく人々は、ともすれば世の中の動きに振り回され、場当たり的に対応していかざるを得ない状況にあります。個人や企業・団体や政府は、この複雑で変転極まりない社会環境をしっかりと見据え、確固とした長期的戦略のもとに、一貫性があって、しかも事態の変化に的確に対応できる柔軟性を持った行動をとっていかなければなりません。そのためには、この現実を客観的で正確に見通すためのしっかりした考え方の枠組みを持たなければなりません。 経済学は、経済社会の構造やそこでの人々や組織の営みを統一的・包括的に説明する理論体系を構築 し、人類が歩んできた歴史全体を、そして現実の経済社会や将来の行方を分析し解明してきました。ま た、そこでの知見は理論にフィードバックされ、経済理論の一層の洗練や再構築につながってきました。経済理論を根幹としつつ、理論―現状―歴史の総体を体系的に捉えようとする総合的な知の世界、それ が本研究科で学ぶ院生が極めようとする経済学研究の世界です。