教員紹介
HOSHINO Yuji
星野 祐司

- 所属領域
- 心理学領域(博士前期・後期担当)
- 職位
- 教授
- 専門
- 認知心理学
- 主な担当科目
- 演習、人間科学プロジェクト演習
- おすすめの書籍
- Human MemoryG. A. Radvansky 2017年
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
人が世の中をどのように認識するのか、そのようなことに興味を持ったのが心理学への関心の始まりであったと思います。認識といっても多様ですが、認識の基盤と考えられる記憶、そして記憶に基づく判断に関する研究を実験心理学の立場から行っています。これまで検討してきたテーマを列挙すれば、確率的判断における基準の設定、再認記憶における虚報率と適中率の関係、長期記憶からの検索と手がかり負荷、展望的記憶における意図優位性効果、提示順序の直後記憶,画像記憶における誤誘導情報の影響、単語リストが誘発する虚記憶、モーツァルト効果と作動記憶などです。これら以外にも記憶のはたらきと関連する興味深い現象は数多くありますので、それらについても認知心理学的な観点から実験を行い検討してみたいと考えています。そのような研究を通して、人間の認識について総合的な理解に近づくことができればと思います。
研究の社会的意義について、教えてください。
記憶の利用、あるいは記憶のはたらきに基づく判断に関する研究を行っています。記憶のはたらきは、まさに日常的な現象であり、そのような判断の積み重ねが経験であり、学習であり、人生であるといえるでしょう。私自身は応用的な側面を特に意識した研究を行っていませんが、記憶に関する研究は社会の様々な場面とつながりがあります。記憶に関する実証的研究によって見出された結果と知見は、社会の中での人間の活動や行動の理解につながると考えます。実験によって見出された結果と理論的な背景について平明な言葉で説明することが、重要ではないかなと最近思うようになりました。
この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。
今から思うと、私は卒業研究にどこか物足りなさを感じて大学院へ進学したように思います。大学院に進んで、国内外の研究論文を調べて思いがけない研究に出会ったり、優れた研究から影響を受けたりしながら、少しずつ現在の研究スタイルになったといえます。結果として、これまでの研究テーマは必ずしも一貫しているわけではありませんが、大きな枠組みを考えると記憶のはたらきと判断に関する研究といえます。院生の皆さんが、研究上の悩みを抱えながらも、人間科学研究科において十分に能力を発揮して新たな研究を展開して行くことを切に願っています。
