在学院生・修了生の声

「何時にかけてきても出るから、
いつでも電話してこい!お前が心配で眠れないよ…」

郡 航

ドキュメンタリー映画『石碑に学ぶ~丹後震災86年目の現状~』の企画、構成、撮影、編集について

志望動機

総合大学ということもあり
教員や教育体制が幅広い

大学院に進学しようと思った動機は何ですか。

高校生の頃から映像を学びたいと思っていたのですが、どこかに焦点を絞るよりまずは「映像」を「情報」という広い枠組みで捉えて学ぶところから始めたいと思い、大学は静岡大学の情報社会学部を選びました。映像を学ぶための基礎として、「情報とは何だ」ということを幅広く知るためです。そこでは情報に関わる様々なことを学びましたが、やはり映像を極めたいという思いは4年たっても変わらなかったので、大学院に進学し映像を専攻することにしました。

立命館大学大学院・映像研究科を選んだ理由を教えてください。

映像が学べる大学院をピックアップし、情報社会学部で学んだことが活かせないと意味がないので芸術系の大学院はリストからはずして候補を2校に絞りました。実際にどんな研究ができるのかをそれぞれの大学院の先生に伺ってみると、1つ目の候補校は技術者寄りのカリキュラムで自分のやりたいこととズレがあるなと感じました。一方、立命館は「昔の情報を扱ったドキュメンタリーを制作したい」という私の希望に対し、「ぜひここで挑戦してみてください!」と言っていただけ、大学のカラーに縛られることなくやりたいことを自由に研究できそうだと思い進学先に決めました。また、総合大学ということもあり教員や教育体制が幅広いという点も選んだ理由の1つです。自分の専門外の先生にも相談できるので研究にも厚みが出ますから、これは大きなポイントになりました。

研究フロー

困った時にいつでも相談に乗ってくださった
先生のおかげ

入学当初、どのような研究構想をもっていましたか?

学部生の時に地震を扱ったドキュメンタリーを自主制作した経験から、大学院でも「地震や防災に関するドキュメンタリーを作りたい」と考えていました。とはいえ、入学当初はまだ明確なビジョンはなく、いろいろな研究や映像を見ながら具体的な部分を決めていこうと思っていました。ただ、目指す研究と同じジャンルの映像をいくつか見ても防災方法を伝授する教科書的なものだったので、「自分の研究の方向性とは違う、どうしたらいいのだろう」と頭を抱えたのを覚えています。

では何がきっかけで、研究構想を深めることができましたか?

道を照らしてくれるような先行研究が見つからなかったことも含め、研究方法については先生に随時相談していました。その中で「震災の記憶や教訓を後世に伝える活動をしている人を追いかけてみて、その人を通して見えてくるものをまとめてみてはどうか」というアドバイスをいただきました。そのためには関係する地震をどれか1つ抽出する必要があるので、京都で起こった地震で、写真や映像がたくさん残っている丹後震災を軸に研究することにしました。しかし調べていくと、誰か1人を追うだけでは研究内容としてもドキュメンタリーとしても素材が不十分だということが見えてきて、ここでまた先生に相談。「それならば、関西に範囲を広げ、阪神大震災と南海地震も加え3つの地震で調査してみるのはどうだろうか」と。すると、3つともに共通する事項が出てきました。どの地震にも石碑が多く登場したのです。「石碑に想いを込める人、その石碑が人々に語るもの」をテーマに約35分の作品を完成させました。漠然としたスタートで軌道に乗るまで右往左往しましたが、最終的には納得のいく修士制作ができました。それはやはり、困った時にいつでも相談に乗ってくださった先生のおかげだと思います。少人数教育で先生方も指導する院生が1人ずつだったので、相談のスケジュールが組みやすかったということもこの研究科ならではのメリットでしょう。でもそれ以上に、「何時にかけてきても出るから、いつでも電話してこい!」「お前が心配で眠れないよ…」とまで言ってくださった先生の存在は本当に大きなものでした。これほど親身になって1人の学生を指導していただけるところはなかなかないと思います。

修士制作・論文

「論理を順序立ててまとめる力」を
つけておきたかった

映像研究科では、「修士論文・修士制作」のどちらかを選択できます。
どちらを選びましたか?

修士制作です。大学院に進学することを決めた時から、修士制作しか考えていませんでした。その中でドキュメンタリーにまとめるかドラマを作るかという選択肢になったのですが、就職する上で「論理を順序立ててまとめる力」をつけておきたかったのでドキュメンタリーを選びました。

修士制作を行う中で、立命館の環境はどのような影響をもたらしましたか?

機材や設備の充実度はかなり高いですね。映像を撮影するにしても、機材はすべて揃っているので自費で手配する必要はありませんでした。それに、太秦の松竹撮影所内に立命館松竹スタジオを持っているため、撮影のセットも利用でき撮りたいイメージカットを撮影することも可能でした。また、立命館の映像研究科では、研究室はゼミごとではなく研究科全体で大きな1つの部屋を使用します。学生は少人数ですし、1人で使えるスペースもかなり広くて研究しやすかったです。それに別のサブジェクトの学生も同じ部屋でそれぞれの研究を進めていますから、お互いに状況報告をしあったり手伝いあったり、いろいろな視点が研究に付加されていきます。自分の研究にも集中でき、同時に、自分とはまた少し違う考え方をもった学生と交流できるのはすごく良かったです。学習環境としてとても良いと思います。

将来

東京オリンピックまでに
何か1つ大きな番組を作りたい

卒業後の進路を教えてください。また、映像研究科での学びと繋がりはありますか?

大学院卒業後は、株式会社千代田ラフトという東京のTV番組制作会社に就職します。「サイエンスZERO」「すイエんサー」(NHKEテレ)や「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」(NHK総合)などの科学系の教育番組を主に制作している会社です。様々な角度から情報を精査し、論理を組み立ててわかりやすく伝えるための映像制作は、私が修士制作で取り組んだドキュメンタリーの要素と共通する点が多く、大学院で学んだことが存分に活かせるのでこの会社で何ができるか今からとても楽しみです。入社したら普通はまず3年ほどADを経験するものですが、大学院卒ということで私の場合は1年間。この1年の間に人一倍吸収し、現場力を発揮できるようになることが求められています。そんなふうに求められるのも、映像研究科時代にやってきた研究の過程や成果を評価していただけたからで、学びのすべてが自分のやりたいことへ続いていっていると感じます。まだ具体的なことは決まっていませんが、東京オリンピックまでに何か1つ大きな番組を作りたい。これが社会人1つ目の目標です。

メッセージ

自分の夢を実現できる会社に
就職できる可能性が高い

受験生へのメッセージをお願いします。

大学院への進学は、一般的にはまだまだ抵抗があるものかもしれません。学部卒で就職する人の方が圧倒的に多いですから、こうしてこのメッセージを読んでいる方の中にも就職か進学かで迷っている方もいることでしょう。でも私は、大学院への進学は近い将来当たり前になってくるのでないかと思っています。大学院で学ぶということは、専門分野を決めてじっくり研究し、その道で力をつけながら自分が本当にやりたいことを見出し磨き上げていくということ。当然、研究の成果とともに自己PRできますから、志望している企業にも現場で活きる力をもっているかという具体的な視点で見てもらうことができます。受ける会社の数をかなり絞っても、自分の夢を実現できる会社に就職できる可能性が高いです。だから、自分のやりたいことや就きたい仕事から逆算して、それを叶えるために大学院をうまく利用してほしいと思います。

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