在学院生・修了生の声

大人が「自分の創造力」に気づく
ワークショップ

石川 紗季

創造力を養うためのあそびづくり

志望動機

立命館大学大学院・映像研究科に進学しようと思った動機は何ですか?

映像学部4回生の秋以降、必修科目「卒業研究」の完成に向けて研究を進めていくなかで、やり残したという思いが強くなり、進学という選択肢を考えるようになりました。他の大学院を考えなかったわけではないのですが、学部生の頃から映像研究科の先輩を身近に感じていたことや、同じ環境で研究を続けていったほうが自身の性格にも合っているし、設備や機材も整っていると思い、最終的に映像研究科への学内進学を選びました。指導教員の先生が、私の思いや研究についてよく理解してくださっているのも大きかったです。

研究内容

研究内容や、修士論文・制作の構想について教えてください。

研究の根本にある思いは学部生の頃から変わっていません。卒業研究からずっと、人の内側の世界を引き出したいと思っています。人の内側の世界というものについて、ある日本の心理学者が「子どもの宇宙」と表現されているのですが、私はそれを広い意味で創造力と捉えています。そして、この創造力というものが、決してアーティストなどの特権ではなくて、誰もが持っているもので、各自のオリジナルな世界観はひとつひとつが価値あるものであるということに気づいてもらえるような作品づくりや取り組みをしたいと思っています。

学部の卒業研究では、「ひみつの研究所」というインスタレーション作品を制作しました。 これは、体験者のなかにいるひみつのいきものを可視化する装置というコンセプトで、からだをスキャンしたり、息をプレパラートにのせてみたり、結晶化させたりするものでした。 「ひみつ」というのは、本当に人に言えない秘密に限らず、ちょっとした後悔だったり、悩みごとだったり、胸の中で「もやもや」していることをここでは指しています。それらは、本人にとっては、できればないほうがよいものかもしれませんが、その「もやもや」も愛おしいものだと私は思います。そうした、自分や友人、みんなの持っている「もやもや」=「ひみつ」もいいものだな、かわいいやつだなと思えるような作品を作りたいとの思いが「ひみつの研究所」という作品を生み出しました。

ただ、実際に制作してみて気づいたのですが、主体となった作品そのものよりも、作品をみて周りがどのように反応するかの方がおもしろく感じました。むしろ、体験した人から出てくる言葉やふるまい、反応のほうが作品といえるのではないかという思いから、大学院では、作品制作ではなくワークショップという形で研究を進めることにしました。

実際に行ったワークショップの代表例には以下のようなものがありあます。
・「みんなでつくろう!かみコップタウン」
→紙コップを家に見立て、たくさんの紙コップでできた街に家を引っ越す遊び。
・「となりのる~ぶる美術館」
→ダンボールの額縁を使って日常の風景を切り取ることで、作品にしてしまう遊び。
・「カタチハンティング」
→街中で指定された形の物を探す遊び。

こうしたワークショップは子どもが主な対象となりがちなのですが、私はむしろ大人の方にやっていただきたいと思っています。指導教員の先生がワークショップの経験が豊富な方なので、アドバイスを頂いたりしながら実践のなかで制作と研究を進めています。最終的には、これまでに実施してきたワークショップのデータを整理し、考察を深めたうえで、大人向けのワークブックと記録映像といった形にまとめて修士制作として提出する予定です。

研究を進めるうえで、映像研究科に進学して良かったと思う点は何ですか?

なにより、先生方がすごく親身になってくださる点ですね。映像研究科では、研究指導チームによる複数指導体制をとっているので、主たる指導教員以外の先生方とも距離が近いです。授業の際に研究の話をすると、別の専門分野の先生から先行研究に近い例を紹介いただいたことがありました。関連分野だけを研究していてはたどり着けないような場所で見つけた研究のヒントでした。また、専門の異なる先生に自身の研究内容について伝えることは、思考を整理する練習になりましたし、研究を深めつつ、いろいろな方向からの知識を得ることもできました。

将来

修了後は、どのような進路を考えていますか?

広告系の企業で働きたいと考えています。ワークショップの経験をいかして、ブース出展や体験型の広報などに関わりたいです。

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