在学院生・修了生の声

心理学を4年間学んできたことが
ゲーム研究におけるアドバンテージに

川本 公亮

プレイヤーに非意識的目標を構築させるゲーム難易度構造の実証実験

志望動機

立命館大学大学院・映像研究科に進学しようと思った動機は何ですか?

 映像研究科に進学しようと思ったのは、僕が研究したかった内容と、先生が研究なさっていた内容が合致したからです。
 僕は他大学の心理学部出身で、そこでは心理学の観点からゲームを研究していましたが、心理学部でゲームを研究しているのでは、心理学には詳しいのですが、ゲームに対する詳しさや知識は趣味の範囲を出ませんので、これではまずいだろうと思い、ゲームを専門的に研究されている先生方がおられる、大学院を目指すことにしました。
 その時は進学先の候補として、映像研究科以外もあったのですが、ちょうど僕が大学院を受験する年に、今、僕の研究指導の主査を担当していただいている渡辺修司先生が本を書かれていて、その本(『なぜ人はゲームにハマるのか 開発現場から得た「ゲーム性」の本質』/渡辺修司、中村彰憲著/SBクリエイティブ)の内容が、僕が研究したいことにピッタリだったので、映像研究科への進学を目指しました。

研究内容

研究内容や、修士論文・制作の構想について教えてください。

 新しいゲームデザインのために、ゲームデザインの分析手法確立のお手伝いをしています。
 ゲームデザインの向上は、ゲーム業界発展のためにゲーム業界からも望まれていると言われているのですが、そのゲームデザインを分析するための方法、ゲームデザインについて温故知新するための方法がまだ確立されていません。
 そこで、ゲームの難易度というものに着目してゲームデザインの分析を行ってみようというのが僕の研究です。ゲームの難易度に着目してゲームデザインの分析を行うというのは、主査を担当していただいている渡辺先生のお考えでして、先生のお考えを実証的データに基づいて証明するというのが僕の役割だと思っています。
 ゲームプレイ中、プレイヤーのスキルに合う難易度が注目され(難易度の階層化)、下の階層の難易度はより上の階層の難易度を攻略するための手段となり、下の階層の難易度の意味や性質が変化する(難易度の構造化)ということが生じていると考えています。例えば、実験ではパックマンを用いるのですが、パックマンでは、初心者の内は敵から逃げることが目的で、それをクリアする手段として操作を覚えます。そこから上手くなってくると、敵から逃げるというのはステージクリアのための手段となる、こんな感じのことが生じていると考えています。どんな難易度を最初の目的にして、その難易度が今度は手段となるように、難易度をその上の層に入れて取りまとめるかによって、ゲームデザインが変わってくるというのが仮説です。
 この仮説を証明するための第一歩として、まず、今上述したようなことが生じているというのを、心理学的手法を用いた実験データから示すのが僕の研究です。

研究を進めるうえで、映像研究科に進学して良かったと思う点は何ですか?

 ゲームデザインやプログラミング、ゲームアーカイブなど、ゲームに関する多様な分野を研究されている先生方がおられて、そんな先生方から、ゲームに関するあれこれをたくさん学べることです。
 心理学部から来た僕は、プログラミングは素人同然でしたが、この1年でそれなりにプログラミングができるようになりまして、実験に刺激として用いるゲームは自前のものを使っています。

将来

修了後は、どのような進路を考えていますか?

 後期博士課程に進んで、更に研究を深めてみたいです。もう一度心理学を研究しているところに戻って、今度は心理学方面からさらに今の研究を深堀りするのも面白いかもしれません。と、思っているのですが、実際問題としてお金が無いので、一旦は就職するのかなと思っています。就職するなら、ゲーム企業、あるいは玩具メーカーに企画として就職したいです。とにかく遊びに関わっていたいです。

メッセージ

受験生へのメッセージをお願いします。

 映像学部以外の方も、興味があるのなら是非受験してみて下さい。僕は、心理学部という畑違いの学部から映像研究科に入りました。入学当初は「他の学部から来たし、スタートラインが周りと違うわ、絶対落ちこぼれるわ」とか思っていましたが、それはむしろ逆で、他の学部で4年間学んできたということは大きなアドバンテージです。これを読んでいるあなたが何学部から来られるのか分かりませんが、あなたが学んできた知見や視座というあなたの色が付いた、オンリーワンの研究がきっとできると思います。自分にしかできない研究をしながら過ごす毎日は、今が最高!と言っても過言ではないくらい楽しい日々です。
 映像学部の方も、そうでない方もあなたの色が付いたオンリーワンの研究をするために、受験勉強も良いのですが、今の学部の卒業研究や授業、レポートなどにも真剣に取り組んで下さい。きっと大学院に入ってから、勉強してきて良かったと思える、その日が絶対来ます。小さな努力が明日を作るんだと思っています。

在学院生・修了生の声