在学院生・修了生の声

大学院進学は
とある先生のひとことがきっかけ

中島 理紗

不満吸収Webシステム「TOTOL」の開発

志望動機

立命館大学大学院・映像研究科に進学しようと思った動機は何ですか?

 実はすごく遅いタイミングで受験を決めました。4回生で就職活動はしていました。でも、今思うと「定まっていなかった」ですね。どうなりたいか、どこへ進みたいか、まだ自分自身の方向性が定まっていない状態だったと思います。半ば現実逃避のような形で、卒業研究に没頭しました。それはすごくおもしろくて。いつの間にか12月になり、成果物も提出。「さぁ、じゃあどうする?」と。また悩み始めました。
 そんな私に、当時卒業研究の主査をしてくださっていた斎藤進也先生が、「大学院って選択肢もあるんじゃない?」と言ってくださって。誰にでも実は当てはまることかもしれませんが、私の卒業研究が大学院で更に研究する価値があると励ましてくださり、初めてそんな選択があるということに気付き、そこからは不思議なくらい気持ちが大学院進学に一直線で、親を説得して、卒業制作展の準備もしながら受験対策もしました。
 縁というのはあると思います。就職活動するには「定まっていなかった」ということ、自分の主査が斎藤先生だったということ、卒業制作、すべての要素があわさって、結果大学院進学に向けて一気に動いたという感じでした。

研究内容

研究内容を教えてください。

 学部で、不満を吐き出すトイレ型のwebシステム「TOTOL」というのを制作しました。これは、就職活動も始まり、卒業制作でも自分が何をしたいのか、どこへ向かいたいのかがわからなくなっていた時に、飯田和敏先生に相談をしたことがあって。すると、先生から「最近の自分の不満」「自分のインターネットのログ(何を見ていたかの履歴)」「今まで読んできた本」を書き出してみたら?と言われたんです。最初はなんでこんなことするのかわからなかったのですが、つまり、自分自身を知るための手段だったんですね。これをすることで段々と自分がわかってきました。人付き合いが苦手なんですけど、実はすごく人とのつながりに興味があって、かつ不満などの「負の感情」もためこむのではなく、どうにかよい方法で処理できないかと思っていて。そこから、「不満を吐き出すシステム」を思いつきました。
 ユーザーは「TOTOL」に不満を声に出して吐き出します。すると、それが文字化されてトイレの中に流れていく。その吐き出したものはオンライン上で共有されるのです。不満に限らず、「負(マイナス)の感情」を相手に直接言うと角が立ったりしますが、トイレに吐き出すという一種の「遊び」として捉えることで感情を「正(プラス)」に変えることができると思いました。このために「便の流れ方」や「下水道までの道のり」など細部まで調べました。
 学部では、「声に出した不満を投稿出来て、その投稿を閲覧し共有できる」というシステム構築が主眼にありましたが、大学院ではシステムを発展させた上で「人の負の感情を和らげ、その負の感情を自分や他人が受け入れやすいものに出来るようなユーザーインターフェイスのデザインを考案する」というようにデザイン設計に重きをおいて研究をしています。

研究を進めるうえで、映像研究科に進学して良かったと思う点は何ですか?

 映像研究科に進学して本当によかったと思っています。院生一人一人の研究テーマをもとに1回生後期演習科目「プロジェクト演習」でのチームが編成され、自分だけでなく複数の先生も加わって遂行する形で研究が進められていき、先生方からはいろんな角度から知識や意見をいただくことができます。また、私は学内進学ですが、学部時代の卒業研究を知っている先生方に研究科でも引き続き指導いただくこともできるので、その場合は相談もしやすく、より深く掘り下げるための的確なアドバイスもスムースにいただけます。
 自分の研究テーマがなければ「プロジェクト演習」が進まないので、もちろん責任は重大ですが、指導がとにかく手厚く、先生との距離も近いです。「研究」として真正面からテーマと向き合う必要があり、根気は要りますが、今は学部時代のような「定まらない」感じは払拭されたように思います。仲のいい同期とも励まし合って頑張って悔いのない研究をしたいです。

将来

修了後は、どのような進路を考えていますか?

 修了後の進路は、できればWebデザインに関係する仕事に就きたいと考えています。また、今回取り上げている「トイレ」に関係する仕事にも興味があるので、幅広く就職活動を行っていきたいです。

メッセージ

受験生へのメッセージをお願いします。

 大学院進学を考えた時、いろんな人から「大学院に進学する意味があるのか。」という言葉をもらいました。最初は自分自身もどこか半信半疑でした。ですが、今大学院で一年を過ごしてみて、胸を張って「大学院に進学して良かった。」と言えます。研究する環境が整っており、思う存分自分の研究に打ち込めますし、自分の好きなことなのでモチベーションも上げて取り組めます。
 学部時代と違って、「研究する」ということが難しく大変なこともありますが、先生方の手厚いサポートがあるので乗り越えていけると思います。まだ研究がしたいと思っていたり、少しでも大学院に興味があったりするなら、進学という選択肢を考えても良いのではないかなと思います。

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