参加学生によるプログラム・レポート

アクティビティレポート⑤(2016年派遣:インドネシア大学)

Indonesia  | 2017年01月26日

政策科学部 髙池 遼さん(2回生)

デポックという町で暮らし始めてすぐに気付いた異変は、道行く人がマスクを着用していたことです。ジャカルタと同程度のひどい渋滞のせいもあり、日本と比べると大気汚染は深刻です。このような大気汚染の問題と同様に衝撃を受けたことは綺麗な川が全く無かったことで、水質汚濁も深刻化していました。道路にも無造作に捨てられたゴミが目立ち、早朝ネズミがゴミ袋を漁っている光景も見ました。私はこのような清潔とは言えない環境の中で生活していく中で、次第に現状の生活環境を少しでも改善したいと考えるようになり、Jakarta Osoji Clubというボランティア団体の活動に参加するようになりました。「MALU BUANG SAMPAH SEMBARANGAN/ポイ捨てすることは恥ずかしい」というスローガンを掲げ、ジャカルタ日本祭でのゴミの分別の手伝いやオランダ植民地時代の建物が残るコタトゥア地区のファタヒラ広場でのゴミ拾いに参加し、人々の意識を変えていくことを目指して活動に取り組みました。

Jakarta Osoji Club活動後に撮った集合写真

私の受けたもう一つのカルチャーショックは、貧困層を間近で見た経験です。留学前はスラム街のようにある一定の空間のみに貧しい人が生活していると思っていました。しかし生活圏にも多く、道端に座って物乞いをする老人や、ギターを弾きながらお金を要求してくる若者、歩道橋の上で寝ている子供などに遭遇することは日常茶飯事です。授業でジャカルタ北部にあるプンジャリンガン地区という貧困層の多く住んでいる地域に行って脆弱性に関するインタビュー調査をしました。友人の手伝いで自分も拙いインドネシア語を使いながら彼らと直接話すことが出来て貴重な経験となりました。私たちの視点では劣悪な環境で生活しているように見えても、彼らの多くが今の生活を快適だと答えていたことが印象的でした。


Economics of Poverty授業の一環でスラム街での調査をする

一方同じジャカルタであっても、中心部には高層ビルや大型モールが立ち並び先進国と変わらぬ風景が広がっていました。ジャカルタ中心部は毎週日曜日がCar Free Dayのため、近年健康志向の高いインドネシア人がジョギングしている姿が多く見られます。授業の課題で実際彼らにフレッシュなジュースを販売しました。新興国でビジネスをする際には、発展途上であるが故の固有の都市問題(他にも渋滞や排水問題など)と向き合っていかなければ持続的な経済活動は出来ないでしょう。日本という先進国の中で生活しているだけでは到底気付くことのできなかった様々な社会問題を認識することが出来たのは、非常に価値のある体験だったと思います。


Entrepreneurship授業の一環で実際にビジネスを行う

急速な経済発展の一方で、深刻化するゴミ問題等の環境問題や富裕層とその周縁で生活を送る貧困層の生活の間にある二極化したこの国の格差社会を見たことが一番のカルチャーショックでした。