参加学生によるプログラム・レポート
アクティビティレポート⑥(2016年派遣:バンドン工科大学)
Bandung | 2017年02月24日
国際関係学部 佐々木 統哉さん(2回生)
国際関係学部国際関係学科の佐々木統哉です。ここでは私が留学中に体験したインドネシアのイスラームについて書きたいと思います。
インドネシアは世界で最もムスリムが多い国にもかかわらず、イスラーム法に基づいた統治ではなく、世俗主義を標榜する国です。街には老若男女問わず、私の感覚ではおよそ60%の女性がヒジャブと呼ばれる布で髪を隠しています。チェーン店や高校生なども制服として統一されたヒジャブを付けた女性がいる一方で、ミニスカートの店員も少数ですが存在します。中東でイメージされるような目元しか見せないニカブスタイルの女性は少数です。
イスラームの重要な祭りの一つである犠牲祭を幸運にも友人の案内付きで見学させてもらうことが出来ました。その日は祝日となります。私の印象としては地蔵盆に牛、ヤギの解体ショーがついたものに感じました。屠殺するところから袋に入れるまでを行うところもあれば、大きく捌かれた肉の塊を持ってきて細かく分ける作業だけを集まって行うところもあるなど様々でした。どこも地域の人々が集まって男性が大きく解体したあとに、女性が細かく捌いて購入の出資金割合に応じてお肉を分配していく流れは同じだそうです。友人曰く、家族や地域の人と一緒に集まって食事をしたり、共同作業をすることがイスラーム的には重要なことですが、一方で別のムスリム友人はこの祭りが嫌いなため参加しなかったそうです。またそういった人も都市部を中心に広がりつつあるとのことです。
クリスマスが近づくと近所のスーパーやショッピングモールではクリスマスグッズやフェアが行われていました。オーストラリアに近く、常夏のはずなのに厚着のサンタクロースと雪のイメージが広告には使われていていることが、どこから輸入された文化なのか考えると興味深かったです。一方でそうした流れに対し反発する小規模なデモがイスラーム系の団体によって大学の近くで行われた現場にも遭遇しました。
また11月に行われたアホック・ジャカルタ特別州知事のムスリムへの発言に対する大規模なデモではこの国ではやはりムスリムの関心が大きな影響を持つことを改めて感じました。ムスリムの友人にこの件で話を聞きましたが、インドネシア内でもコーランの解釈の仕方や政治的派閥関係がこのデモに関係しているとし、デモは支持していないといいます。穏健と一括りにされるインドネシアイスラームの中にも色々あり、そうした違いについてより調べてみたいなぁと感じました。
犠牲祭で解体されたお肉を掲げる少年とそれを撮影する同居住区の大学生
Paris Van Java(ショッピングモール)のクリスマスフェアの広告

